狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
ついに来たか、新たな勇者の伝説が……!
非常に楽しみでありまする♪
なお、前回そのまま続けると絶対に止められそうに無いので分けました……
氷竜と炎竜だけでは対処しきれない程の敵集団……
そこへ颯爽と現れた新型……風龍と雷龍。
敵集団からの攻撃を華麗に捌き、敵陣深く斬り込んで変形……そのまま攻撃を開始する。
『ティガオ4、ヴァ──ンレイッ!』
容赦なく攻撃を敢行する風龍と雷龍に、氷竜と炎竜は圧倒される……それもその筈、原作と違って風龍と雷龍は、単体でもゾンダーロボのバリアを貫通するほどの攻撃力を発揮しているからだ。
『……なんて攻撃力だ……!』
そこへイザナギ、そしてオービットベースから発進したアマテラスも合流し、ガイガーもファイナルフュージョン……ガオガイガーへと変わり、戦線に加わった。
『氷竜、炎竜! 状況は?!』
『あの2人が戦線に加わって、盛り返してはいるのですが……』
『アイツ等、全く容赦なく攻撃してるんだ!』
ゾンダーロボには、コアにされてしまった人間が中に取り込まれており、彼らを救出しない限り無限に再生するため一向に数は減らない……GGGの戦闘記録からも、人命に関わる最重要項目であるこの情報は国連を通して世界に共有されている筈なので、意図的でない限り彼らもこの事は知っている筈だ……
『何だって?!』
氷竜達の報告に、驚愕の声を上げるガオガイガー……それを尻目に、背負っているミキサータンク……
『ティガオ2、
前方を向いたそのユニットの先端から、圧縮空気が充填されたミサイル弾が連射され敵を粉砕していく……しかしシオンが解析すると何故かコアへの損傷は殆ど無い様で、少し時間を置くと破壊されたゾンダーロボは普通に復活していた。
(あれだけ破壊されたにも関わらず、コアへの損傷が回避されている……なら、彼らは意図的にコアへのダメージを与えない様にしているという事? どういう意図でそんな事を……)
原作とは明らかに違う彼らの戦闘行動……原作では軍事教練プログラムに基づいた行動パターンにより、人命尊重の優先順位は極端に低下しており、敵の撃破を最優先事項としていた。
しかし今目の前で戦闘している風龍と雷龍は、ゾンダーロボを撃破しうる攻撃力を持ちながら、コアへのダメージは極力抑えている……行動と結果がチグハグで、ハッキリと意図が読めない。
その時……
《風龍、雷龍! そんな雑魚に構うナ! サッサとアッチの大きな奴を破壊するネ!!》
『『……了解』』
突然割り込んできた通信……楊とは全く似ても似つかない、無駄に偉そうな男の声。その声に指示され、風龍と雷龍は僅かな思案の後に原種ロボへとターゲットを変更し、攻撃を再開した。
『何ッ?! 止めろ!! 原種はお前達が敵う相手じゃ……』
グォォォオォォォ……!!
ガオガイガーの発した静止の声を無視し、風龍と雷龍は揃って飛び蹴りを原種ロボに直撃させる……が、原種ロボはその長大な身体をくねらせて衝撃を吸収し、逆に反動を付けて風龍と雷龍を吹き飛ばした。
『……敵、損傷無し』
『攻撃行動、続行』
明らかに無駄な行動だというのに、構わず攻撃を続行しようとする風龍と雷龍。その異様な思考パターンにシオンは呆れから怒りへとシフトし、アーマーを装着。足元にグラヴィスを召喚して一緒に跳躍……
『や・め・な・さいッ!!』
グラヴィスの両腕……大鋏を拳骨に見立て、シオンは頭上から風龍と雷龍に直接的な“お仕置き”を敢行するのだった。
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その後、ガオガイガーとアーマロイド達の連携により、ゾンダーロボの大半はコアを抜き取った所に、ボルフォッグの独断で連れて来られた護によって浄解され事なきを得た……が、肝心の原種ロボは地中へと逃げられてしまい、GGG一行は体制を整える為に1度、科学院航空星際部の施設へと戻った。
「……全く、何なのだあの戦果は?! お前達は我が国最強の戦力なのだゾ?! 二度とあんな醜態を晒すでなイ!!」
『『…………』』
返答こそしないものの、申し訳ない表情をしている風龍と雷龍……この辺りは軍事教練プログラム履修時と同じ様なので、シオンも気にしなかった……いや、他の事に気を取られていた。
「楊! お前が居ながらなんて体たらくダ?! 風龍と雷龍があの程度の敵に苦戦するなど……教練プログラムのレベルが足りてないのではないカ?!」
「……申し訳ありません」
(何なのよあの男は……?! 原作にはあんなの居なかった筈……)
先程の割り込み通信で風龍と雷龍に司令を下した男、原作に出てすらいない矢鱈と偉そうな態度……そして楊に対しても厳しい文句を吐き捨て、椅子にふんぞり返っている。
この男【
その後も手当たり次第の部下に対して小言を言いまくり、GGGのメンバーの存在も半ば無視する様に去っていった……
「スミマセン、見苦しい所を……」
「いえ、アレが此処の所長とはのぅ……君も苦労しとる様だな」
「…………」
麗雄の言葉に、楊は無言で眼鏡の位置を整えるだけだったが、その表情には(全くです……)と疲れ切った感じがありありと浮かんでいた。シオンもコレには同情を禁じ得ず……帰ったら楊宛に《マインドセラピー》用の器具を贈ろうと考えるのであった。
『……楊さん。風龍と雷龍の事ですが……』
シオンは氷竜等の整備を手伝った後、航空星際部の施設へ赴き……先の戦闘で風龍と雷龍に感じた違和感を突き止めるべく、直接楊の下に話をしに行った。
シオンからの質問に対し、無言のままシオンへと目配せをして手近な個室へと案内し、カメラ等の機器が無い事を確認すると、楊は申し訳ないという表情でこう語りだした。
「……先の戦闘は、所長自ら指揮を執っていた。此処にいる我々は、誰にも所長には逆らえない……我々はタダでさえ、我が国の防衛に重要な研究を任されている身であり、所長に才能を見出され、この航空星際部に席を用意された者ばかり。此処では、少しでも所長の方針に従わない者は容赦なく切り捨てられる……我が国の失業率は知っているだろう? 皆、家族を養う為に必死なのだ……それ故、誰も所長には逆らえないのだよ」
その言葉に、シオンは絶句してしまう……確かに中国は、驚くべき速さで列強国に比肩し得る経済成長を成し遂げた。しかし、その反動か……国内の貧富の差は他国と比べても圧倒的な上、失業率も年々上がり続けている。
切り替わりが早いという事は、相応に捨てられる影響も大きいという事……発展の速さが逆に災いしてか、国内に蔓延る悪影響は悪化の一途を辿り、それが一部の権力者の台頭や思想の変化にも影響を及ぼしていたのである。
「……私だけならまだ良い。しかし、部下や皆には守るべき家族が居る……私が所長に逆らったとして、部下達まで切り捨てられないという保証もない。とにかく我々は、所長に従うしか無いのだ……」
それから、風龍と雷龍の行動についても部下同様に「逆らわない様に」と厳命してあった様で、
(命じられるままに戦う事しか許されない……そんな状況でも、人命尊重を考えられる。この世界の彼らは、最初から素晴らしい勇者なのね)
楊から全てを聞き終え別れた後、シオンは猛烈に感動していた……既に多くの薫陶を得て、見事に勇者として活動している風龍と雷龍。
楊やその部下達とも見事な信頼関係を結んでおり、彼らが切り捨てられるのを避けるべく、黙って所長の司令で従っている事を知り、シオンは何とか出来ないかと思考を回し始めるのだった。
(……何故ダ?! 風龍と雷龍はあの
その頃……所長室で劉は1人、執務机に備え付けられた所長専用端末の画面を見ながら歯軋りをしていた。
その画面には風龍と雷龍のスペックと、竜シリーズ特有のステータスである【シンパレート値】の変動データが表示されている。
先の戦闘時も劉は逐一、この画面を気にしながら司令を出していたのだが……想定し得る相手の行動に対して、的確な指示をしていたにも関わらず、最強モードたる【シンメトリカルドッキング】を実現する為に必要な【シンパレート値】は規定値にすら届かなかった。
(何が原因なのだ?! 風龍と雷龍は完璧な筈……楊達に教練をさせたのが間違いだったカ? ……いや、恐らくはGGGの連中の影響ダ。奴らは我々の戦略と全く違う手段で敵を撃破していタ……奴等には、元が敵の同種だった存在が助力をしていると聞ク……そうだ、あの小娘ダ! あの小娘が悪影響の原因に違いなイ!! さて、どうしたものカ……)
……とりあえず此処まで。
次回、想定通りに進めばちゃんと撃龍神が登場してくれるハズ……
お楽しみに♪