狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
通勤時間に車内で聞くのはお約束です。
来るべき日まで……あと……
護から齎された危機……それは地球から最近打ち上げられた人工衛星に原種が同化しており、警戒網を抜けてまんまと宇宙に脱出していたというものだった。
「護、原種の居場所は何処か分かるか?」
「……多分、宇宙の何処か……凄く反応が弱くて、場所までは分からないよ」
最近まで感知すら出来なかった原種の反応……しかし、先日の実験の際に渡された首飾りを得てから、護の能力は明らかに見違えるほど強化されていた。
『……我々にも正確には感知できません。せめて、マスターが真の覚醒に至っていれば……』
通信でオーダールームの面々にそう話すグラヴィス……シオンが黄金の繭に包まれているのは、その“真の覚醒”に関わるものらしい、が……グラヴィス等は気になる事も口にしていた。
『……しかし、あの黄金の繭……何故あの姿となったのか……』
『予定では繭に篭る事など無かった筈です……それに、進化はもう少し後になる筈だった……この事態そのものが、我々の想定外です』
『ねぇ、グラヴィス……お母さまは大丈夫だよね?』
『クーゲル……』
『……俺は主の事を信じる。無論、最後の瞬間までな』
『ボスの言う通り! シオンちゃんがこの程度で道を踏み外すなんて有り得ないわ……もし、万が一そうなるなら……』
『俺達で止める……無論、相討ちになろうとな』
牡牛座の一言にただならぬ結末を予感した凱……しかし、警報が鳴り響き事態は急変した。
「重力場異常だと?!」
突如として発生した重力場異常、それに最近起きた付随する関連事象といえば……
「No?! ESウィンドウ、急速に拡大!」
「ESウィンドウから大量の小惑星群が……!」
姿を隠した原種はそのままESウィンドウを開き、何処からともなく大量の小惑星を地球圏に呼び込んだのである。
「まさか、ESウィンドウを
小惑星群の動く道筋……軌道を計算していた牛山がその結果に驚愕し叫んだ。
「小惑星群を軌道計算……全てが地球への落下コースです!?」
「あのサイズ……1つでも地球に落ちれば、白亜紀後期の再現だ!」
白亜紀後期……その時、繁栄の境地であった“ある存在”は、たった1つの出来事によって滅びたとされている。
「それって、恐竜が滅んだって言う……?」
「そうだ、奴等の目的は小惑星の大量衝突で地球上全ての生命体を疲弊させ、我々を排除してからゆっくり機械昇華を行うつもりだろう」
「冗談じゃないぜ!? 牡牛座、さっきのは戻ったら詳しく聞かせて貰う……ガオガイガーで出るぞ!!」
「うむ、機動部隊は小惑星迎撃へ直ちに発進せよ!!」
白亜紀という単語に護は恐竜の滅亡を想起し、麗雄はそれを肯定……原種の想定を説明すると、怒りながら拳を握り、凱は出撃を宣言……大河も他の勇者達に向けて指令を出す。
大人達の喧騒の中……護は1人、自身の掌を見つめ……何かを確かめる様に握り締めた後、その場をこっそりと抜け出していく……
『我々も出ます……準備は良いですか?』
護の気配を察知したグラヴィスだが、敢えて無視して仲間へと向き直り、この危機を乗り越えるために今一度意思を問う……しかし、全員の心は既に1つだった。
『ハイっ!!』
『愚問だな!』
『了解した!』
『モチのロンよ!』
『承知ッ!!』
原作ではマイク部隊もほとんど残っておらず、少ない数で迎撃を強いられたが、今此処にはアーマロイド達が居る。頭数で苦労はしないだろう……
『僕達は主の護衛に回ります』
『みんな、頑張ってね!』
戦闘はまだできない双子座と水瓶座、そして基地内等の狭い所でも戦闘可能な天秤座をシオンの護衛として残し、グラヴィスを筆頭とする戦闘型アーマロイド達もイザナギとアマテラスに分乗して出撃するのだった。
『システムチェ──ンジ!』
グォォォンッ!!
『マイク・サウンダース13世ッ! 最高だっZE!!』
大河の指令を受け、マイクとストラトスパンツァーは先行して小惑星群の破壊に従事しており、縦横無尽に飛び回るマイクと、マルチロックオンによる同時攻撃を行うストラトスパンツァー……
途中から宇宙用姿勢制御ユニット“SPパック”を装備した超竜神と撃龍神も合流し、頭数が増え始める。
『待ってたゼ、超竜神に撃龍神!』
『後から隊長とアーマロイド達も来る、可能な限り数を減らすんだ!!』
ガオォォォン!!
超竜神の檄に応えるかのように吠えたストラトスパンツァー、その咆哮と共に全身のミサイルのカバーやレールガン等の砲口が動く……
《クアドリオス・ビッグバン》ッ!!
ちょうどパンツァーの後方に来たマイクと、後ろから合流してきた超竜神達の位置関係から、前方広範囲に障害物ナシと判断し、持てる火力の全てを叩き込むストラトスパンツァー。
自機から半径約数km範囲の前方広範囲を、満遍なく埋め尽くすレベルの爆発の嵐……パンツァーのミサイルにはクラスター型やマイクロ型、多弾頭型など様々なタイプがあり、全種類を一斉に放つ事で各種ミサイルの欠点をそれぞれがカバーし、隙間なく効果範囲を埋め尽くす濃密な弾幕の壁を形成する。
『す、凄い範囲だっゼ……?!』
『我々も負けてられんな!!』
『おうよ! 行くぜ超竜神!!』
SPパックによって追加された大型ブースターと姿勢制御用スラスターを駆使し、爆発の収まりつつある前方に出る超竜神と撃龍神。
一方のストラトスパンツァーは、今の大規模広域攻撃の反動でかなりの熱が機体に溜まり、アーマー自体の強制冷却システムが作動したものの、その膨大な熱量を冷却するまでの間はほとんど身動きが取れない……
グルゥゥゥ……
『今のでかなりの熱が溜まっちまったのか……Thank you, Liger! 後はオレ達に任せな!!』
マイクはパンツァーに感謝を伝えてから飛び去り、パンツァーはそれを少し寂しそうな目で見送る。しかしあまり間を置かずガオガイガーとアーマロイド達が合流してきた。
『大技の反動ですね……貴方はしばらく休息を。我々も小惑星群の排除に向かいます』
「先行してくれて助かった、後は任せてくれ」
グルゥゥゥ……
グラヴィスの指示を受け休息に徹するパンツァー……そこに凱の労いも加わり、同じ獅子の名を持つ者としての信頼感を深めるライガー。低い唸りで返事をするとガオガイガーも頷き、スラスターを吹かして戦線へ合流していった。
(敵の目的が何であれ、地球を攻撃させる訳にはいかない!)
『ガトリングドライバァァァッ!!』
ガオガイガーは右腕にゴルディオンハンマー、左腕に新型プラグ開発計画によって新しくなった「ガトリングドライバー」を装着している……この「ガトリングドライバー」は原作でも同様の事態等に活躍した空間歪曲ツールの1つだが、ココにある物はシオンの技術提供とGGG研究者らの努力によって大幅にアップグレードされ、エネルギー消費や効果範囲セッティングのリセットも専用コマンドによって簡略化、
(実質、ジェネシックの「ボルティングドライバー」とほぼ同等に便利になった)
『獅子王隊長。ゴルディオンハンマーはエネルギー節約の為にも、今は使わない事をお勧めします……ココは我々が』
そう言ってグラヴィスは重力衝撃砲を拡散モードで発射し、ガトリングドライバーでガオガイガーが止めた小惑星と一緒に周りの物まで纏めて破砕する。
『確かに、原種本体の居場所が掴めない以上……エネルギーの無駄使いは避けたいな。助かるぜ』
『礼には及びません。これも我々の務めですので』
破砕後も迫り来る小惑星群を回避し、会話を続けながらも破砕を続行するグラヴィスとガオガイガー……しかし、グラヴィスによる数度の攻撃後、小惑星群が明らかに奇妙な動きへと変化していった。
『……?! 何だ……?! 小惑星の動きが……ぐぁっ?!』
『超竜神?! うわァァァっ?!』
「……わァァァっ?!」
惑星間の引力に惑わされるのとも違う……明らかに勇者たちを狙った小惑星の衝突。超竜神が動きの裏を掻かれ直下から直撃を受けたのを皮切りに、ガオガイガーにも小惑星群が殺到し始め背後から衝突されてしまう。
その時、凱のとは違う声がガオガイガーの背部……ステルスガオーのコクピットから聞こえてきたのだった。
『な……っ、護?! どうしてステルスガオーに乗ってるんだ?!』
「凱兄ちゃん……僕は、シオンさんみたいに一緒に戦う力は無いけど、僕だってGGGなんだから、凱兄ちゃんの役に立ちたい……原種を感じ取れる様になった今だから、前よりそう思える様になったんだ……!」
未だ小学生とはいえ、既にここまでの覚悟が出来る人間などそう居ない……同じ子供とはいえ、年上であるシオンをずっと近くで見ていて、護は原作以上に戦いへの恐怖を感じていた……
だが、それと同時に、自身の力を役に立てたい……前に立って戦う凱の手助けになるなら、どんな事でもやり遂げてやる……少年の心には、もう勇者に相応しき熱い心が強く根付いていた。
『……分かった。その時は遠慮なく頼らせて貰うぞ、護!』
「うん……!」
『……しかし、この動きは……明らかに人為的な操作。ここまで巧妙に隠れられては、我々のセンサーで原種の本体を捕捉できない……』
『ンもぅ……自分は隠れて高みの見物なんて、趣味が悪い奴ねまったく……!』
アイゼンナシュティアは原種の本体を捕捉しきれない事に悔やみ、シュトゥルムボルグが原種の作戦に「趣味が悪い」と悪態を吐く……すると護は思い切って訴えてきた。
「なら、僕が原種の本体を探すよ!」
『出来るのか、護?』
『正直言って、藁にも縋りたい気分ね……出来たらご褒美あげちゃおうかしら?』
『だが、見つけられれば逆転の手もある……頼むぞ、少年!』
『……護、頼むぜ!』
「うん……っ!」
それから護は意識を集中させ、原種の僅かな気配を探り始める……
『邪魔はさせないわよん!』
護を死守しつつ邪魔しない様にガオガイガーは回避に専念し、アイゼンナシュティアとシュトゥルムボルグ……そしてダイキャンサーが直掩に入る。
『姑息な手が、いつまでも通じると思うな……!』
ダイキャンサーは握り締めた大太刀を振るい、投げ放つ……大きく弧を描きながら複数の小惑星を破壊しつつ戻る間にダイキャンサーは振り向きざまに背後から迫っていた小惑星を隠し腕「キャンサーエッジ」で破砕、そのまま舞い戻って来た大太刀を再び掴み、頭上高く掲げる。
『一刀……両断ッ!!』
大上段から神速の振り下ろしにより、眼前に迫って来た巨大小惑星を一太刀で斬り伏せ、粉々に砕く……
『何処からでも掛かって来いッ!!』
その後ろでランダムに動き回り、明確にぶつかって来る細かな小惑星を丁寧に撃ち漏らさず、砕いて回るシュトゥルムボルグ。
『とはいえ、ちょ~っと面倒なのよ……ねッ!!』
軽口を叩きながらも、その狙いは正確無比……敵によって動かされる小惑星の動きを完全に見切っており、メチャクチャに撃っている様に見えてハズレ弾は1つもないし、至近距離に迫る小惑星も、爪先に仕込まれたレーザーソードを展開して蹴り砕く。
「……?! 居た!! でも、あんな遠くに……!?」
護の指し示す先……その宙域は地球を挟んでちょうど裏側に当たる場所。オービットベース経由で目標宙域のLIVE映像が繋がるとそこには、巨大な脳を模した形状の原種が鎮座していた。
《すぐにイザナギを回す、ガオガイガーは原種の撃破に迎え!》
しかし、この距離を移動するにはどうしても時間が掛かり過ぎる……GGGの誇る高速艦であるタケハヤやイザナギでも、相当な時間を移動に費やす事は明白だった。
『……正確な座標をマークして下さい。此処から直接“跳び”ます』
《「……な、なんだって……?!」》
事態を察知したグラヴィスが放った一言……それは、人類が持つ科学の限界を、あっさりと超えるものであった。
まだまだ長くなる長くなる……
この辺りからじわじわとアーマロイド達がサイレント進化し始め、本領発揮してきます。
それにしても、黄金の繭……
不穏を運ぶ前触れなのか、それとも……?
感想ヨロシクお願いします!
グラヴィスの常識破壊度は?
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50%
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75%
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100%
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150%