狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
そしてシオンそっくりの少女は母と過ごしている……
どこか違和感のあるこの光景は、いったい何なのだろうか?
「な……何だよ命、父さんも……!」
2年前のあの時から、苦楽を共にしてきた幼馴染と父親……その2人が揃って絆の象徴とも言える“ガオガイガー”を完全に忘れ去っている……いや、彼らの記憶には最初から無かった事になっている。
「大方、夢でも見ていたんじゃろ」
「凱ってば……随分とリアルな夢を見てたのね?」
この反応はさすがにおかしい……知っているならばこんなリアクションにはならないし、違和感を覚える可能性はある。しかし、こうもサラッと流されるという事は、最初から知らないという前提なのか……
そして、己の姿までも2年前の事故自体が無かった事になっている様に、元々の人間の身体を取り戻していた。
結局、ガオガイガーの事は“夢だった”という結論にされてしまい……
(クソっ……俺は、どうすれば良いんだ?!)
身体もまだ十分に動けない為か、しばらく休むよう麗雄に言われ、渋々横になる凱……ふと、部屋の外が見える窓の向こうから視線を感じた。
(……? あれは……)
そこには、何処か懐かしい雰囲気を纏う少女……シオンとも違う、不満顔の少女が見えた。
「君は……何故そんな顔なんだ? 何がそんなに不満なんだ?」
既に麗雄と命は部屋から去っており、凱はその少女に声を掛ける……瞳に映る少女はその問い掛けに応えず、ただじっと凱を不満げに見つめるだけだった。
「……もしかして、この状況に流されるな……ココは俺の居場所じゃない……そう言いたいのか?」
自分に対して不満あり気な少女の視線に、凱は現状が先程までとは違い過ぎる事から“状況に流されるな”と警告しているのだと感じ取った。
確かに先程まで宇宙で原種を相手に戦闘していたのだから、現状はあまりにもおかしい……それに理由は分からないが、何処か違和感も感じている。
「……そうだ、確かに俺はさっきまで戦っていたんだ。こんな状況……おかしいに決まってる! コレは“
頭の中で、現状を全否定する凱……こんな状況、ありえなさ過ぎる。
強く、強く、そう念じた直後。硝子の様な崩壊音と共に空間が砕け散り、全てが光に包まれていった……
《……ぃちゃん?! 凱兄ちゃん!?》
最初に聞こえたのは頼もしい仲間であり、守るべき少年の声……そして次々と己の感覚が戻り、凱の精神は現実に帰還した。
「護……っ?」
《……! 良かった、凱兄ちゃん。元に戻ったんだね?!》
「ッ!? 俺の脳波に同調して、幻覚を見せるとは……!」
眼前には、巨大な脳の様な外観の原種……そしてその周囲では、アイゼンナシュティアとシュトゥルムボルグ……そしてダイキャンサーが、ガオガイガーを攻撃しようとしている原種の触手攻撃を食い止め続けてくれていた。
『目覚めたか!』
『遅いお目覚めね、待ちくたびれちゃったわよ?』
『だが、コレで勝ちの目は揃った!』
しかし、そこはさすがに原種……アーマロイド達相手に触手を振り続けながらもサイコウェーブによる物理攻撃へと移行し、触れずにガオガイガーを破壊しようとし始めた。
「ぐぁ……っ?! 物凄い圧力だ……!」
数々の戦いを潜り抜け、勝ちを拾いつつ、ここまで来たガオガイガーは既に原作以上の完成度と性能を誇ってはいるが、原種の強力なサイコウェーブを防御する手段は無く、一方的に攻撃を受けるしかない……
(ガオガイガーにあの攻撃は防げない……でも、僕ならやれる!)
「僕だって、凱兄ちゃんの役に立てるんだ!」
意気込みと共に浄解モードでステルスガオーのコクピットから飛び出し、サイコウェーブを中和し始める護。
無意識下ながらも原種の放つサイコウェーブを解析し、攻撃を押し留める……護の頭にあるのは、憧れの存在である凱を守りたい。少しでも彼の役に立ちたい……その一心だけだった。
「うおぉぉぉ……ッ!!」
護の強い想いが、自身の潜在能力を引き出したのか……徐々にガオガイガーへの圧力が減り、凱は身動きが取れる事を確認する。
「これは……?! 助かったぜ護! 後は任せろ!!」
護の不思議な力で救われている、そう実感した凱……そして敵が動揺している隙を逃さず、攻勢に転じるガオガイガー。
「ガトリングドライバァァァッ!!」
ディバイディングドライバーと同様の理論で空間に作用し、捻じ曲げ、敵の身動きを空間的に遮断する……ガトリングドライバーでねじ曲がった空間は渦を巻いて原種の本体を捉えて離さない。
『よっしゃ! 一発ブチかませぇ!!』
『ゴルディオンッ、ハンマァァァッ!!』
ゴルディの檄に応え、左腕のガトリングドライバーを切り離し、白銀に輝く釘を掴み構えるガオガイガー。
『ふんっ……ハンマーヘルッ!!』
原種のコア……核の在り処は、先の中国での一件とシオン達の協力により、ガオガイガーのセンサーで位置を割り出せる様になっていた。その為寸分の狂いもなくガオガイガーは原種核の位置を捕捉し、正確にそこへ釘を打ち込む。
『ハンマーヘブンッ!! ……ぉおぉぉぉッ!!』
そしてマーグハンドに備わった専用パーツを展開し、打ち込んだ釘を引き抜いて原種核を確保……残るは不安定なエネルギーを溜め込んだ残骸を何とかするのみ。
『原種よ、光になれぇぇぇッ!!』
重力活断ウェーブにより、対象を問答無用で光の微粒子に変換するゴルディオンハンマーを振り上げ、残った残骸を処理し尽くす……
一連の光景を見守るナシュティア達は、揺るがぬ勝利を確信するのだった。
……だが、しかし……
《……駄目だ、抑え切れない……ッ!?》
撃龍神の声には明らかな焦りが見える……それもその筈、先程まで原種が開いていたESウィンドウから、とんでも無い物が姿を現していたのだから……
『クソっ、大きすぎる……!?』
超竜神も想定外過ぎるこの光景に、思わず悪態を吐く……
そんな彼らが目にしているのは、原種が開いていたESウィンドウが閉じ切らず、詰まった様な感じでこちらに出てこようとしている“超巨大な小惑星”だった。
《バカデケェ……!?》
《直径10kmは確実にある……! コレだけでも確実に地球全土を冬に閉ざせてしまうぞ?!》
《Oh no!? ESウィンドウ、再拡大! このままでは通り抜けられてしまいマース!》
再び慌しくなるオーダールーム。スワンの言葉から、ESウィンドウを確実に閉じるには、この巨大小惑星を何とかしなければならないと全員が悟る。
『私が撃ち砕きます……ッ?!』
グラヴィスは自身最大の威力を誇る荷電粒子砲を撃とうとチャージを始めるが、直後に何者かの気配を感じて中断……慌ててその場を退き、その位置を黄金色のビームが突き抜けていく……
『誰ッ?!』
ヴンダーワーフェを構えつつグラヴィスに寄り、ビームの軌跡をなぞる様に視線を移すクーゲル……その視線が捉えたのは、全身が灰色のクーゲルザウター……つまり、色違いの己の姿だった。
『クーゲルっ!?』
グラヴィスの声に、一瞬呆けていたクーゲルは自身に迫るビームを
相手もクーゲルの弾をシールドで弾くと、2人は全く同じ動作で最適距離を保ち合い、撃ち合いを開始……
グラヴィスにはそれで終わりと思えず、ヒシヒシと感じ始めた悪い予感に従ってその場を更に移動し始めた。
そしてグラヴィスの予感は的中……彼のセンサーとカメラが異様な集団を捉える。
『な……っ、この数は……?!』
グラヴィスが目視距離で捕捉した“何か”……は、グラヴィスが気付いた直後、一斉にグラヴィスの方へと向きを変えて殺到する。
体表は若干ながら薄紫に近い灰色で光沢は無く、円錐形の単一形状ではあるが、大きさはグラヴィスよりも明らかに大きく、その速度や纏う雰囲気は明らかに尋常のモノではなかった……もしかしたら、小惑星による攻撃そのものが“囮”ではないだろうか、とも考えてしまう程に。
だがグラヴィスは躊躇うこと無く迎撃を開始……最大チャージした重力衝撃砲の拡散照射やその他各武装の乱射で纏めて薙ぎ払うが、後詰めの如く次々と黄金の光の中から現れる同じ姿の相手に、最悪の展開を予想してしまう……
(不味いですね……このままでは、当初の予測通り……いえ、もっと悪い方向に!)
原作では無かった、第3勢力の介入……
少なからず想定していた事とはいえ、こうも易々と警戒の裏を掻かれ介入されるという事に、グラヴィスは焦りを禁じ得なかった……
……恐れていた事態、第3勢力の直接介入……
しかも、相手は全く未知の存在。
強引にGGGとの協力体勢を封じられ、アーマロイド達は焦り始める……
そして、ESウィンドウを抜けてこようとしている巨大小惑星……果たしてどうなってしまうのか?!
待て次回!!
……正直に下記から選んで下さい。
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この第3勢力に正直、ゾッとした……
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前回の謎空間で出てきた家族は?
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この後どうなるかの方が気になる!