狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
そろそろ締めないと……でもまだ長い(自業自得)
…………………………
突如として現れた2体目のゾンダーロボ……その全長約1km弱という巨大過ぎる花の姿を模した身体を悠然と空に浮かべたまま、沈黙を守っている。
『コアの位置はおそらく、あの中央ユニットの最上部……彼処へ辿り着くのは、容易ではありませんね』
ビッグボルフォッグは妖花ゾンダーロボを見上げながら、サテライトビューの画像データと併せて解析し、リラが封じ込められているコアの暫定位置を割り出す……しかし、そこまで辿り着くにはまず、下部から無数に伸ばされ、触手の如く蠢く大量のサブアームを全て回避しながら上部へ上り……これまた無数の砲塔からの砲撃を避けながら中央へ迫り、強固なバリアーに守られたコアユニットを剥き出しにしてコアを引き摺り出す他ない……
当然ながら現状で最高の攻撃力を持つ撃龍神であっても、この妖花ゾンダーロボより上の高度700m以上*1まで無傷で辿り着くのは到底無理……ガオガイガーですら支援無しには不可能だと言えた。
『……ならば、先に厄介な1体目の対処を優先すべきだ』
ビッグボルフォッグの情報を踏まえひとまず、上空で沈黙を続ける妖花よりも先に“入れ替え能力”持ちのゾンダーロボを優先すべきと言う撃龍神。
『しかし……奴の能力は底が掴めん、取り囲んで飽和攻撃をするか?』
撃龍神の言葉に、敵の厄介な能力を指摘するナシュティア……手っ取り早い手段として遠距離からの“飽和攻撃”を考えつく。
『いや、我に策がある……グラヴィスに後詰めを任せ、奴の動きに依っては挟み込む。撃龍神とビッグボルフォッグはナシュティアと共にタイミングを合わせよ』
しかしダイキャンサーは、“我に策がある”と切り出してきた。
『何か手があるのか? ダイキャンサー』(撃)
『……我が矢面に立ち、全員で四方から同時に踏み込む』(ダ)
『敵の能力の底を知る為……ですか?』(グ)
『奴は我らや己の位置を入れ替えてくるが……矢弾を逸らす真似はしておらん。だが此方が遠距離で攻め立てると己と我らの誰かを入れ替えて対処してくる筈……ならば、誰が入れ替わっても対処できるよう、我々全員が近い位置に立てば、奴の能力の裏を掻く事も出来よう』(ダ)
ダイキャンサーの案はこうだ。
自分が正面に立ちつつ、全員でゾンダーロボの四方を取り囲み、近接攻撃を仕掛ける。誰かが敵と入れ替えさせられればその誰かが被弾するリスクはあるが、立ち位置によっては相手の能力を封じる、或いは逆手に取る事も出来るかもしれない……
そう考えての事だった。
『分かりました、貴方の策に乗りましょう』
付近にワームホールが開き、グラヴィスが直近に現れ同意を示す……イザとなればグラヴィスは自身の操る超重獄結界に引き込む事も考慮したが、それはあくまでも最終手段……
(私の超重獄結界は、主と共に居なければ完全に稼働できず、不在のまま展開すればほぼ確実にゾンダーコア諸共全てを消し去ってしまう……ですが、この非常時に主の手を煩わせる訳にも行きませんからね)
タダでさえ、リラがゾンダー化された為気が気でないシオンの事を鑑み、余計な心労を掛ける訳には行かない……とグラヴィスは考えていた。
『可能な限り、
『……任せるぞ。クーゲル達もじきに此方へ来る……後顧の憂い無く少女を救いに往けるよう、我らで奴を倒す!』
『『『応!』』』
不気味に沈黙を続ける妖花の下で……勇者ロボ軍団&アーマロイド達の反撃が始まった。
ゾォォォンダァァァ……!!
『此処からは先は、一歩たりとも通さん……!』
巨大な刃を振るい、入れ替えゾンダーロボの正面に立つダイキャンサー……その左には撃龍神、右にアイゼンナシュティア、背後にはビッグボルフォッグが立つ。
ゾォォォンダァァァ……!
警戒心を顕にするゾンダーロボ。誤解されがちだが、アーマロイド達は曲がりなりにも原種と同等レベルの強さが下地にある……地球側の戦力として振る舞い、GGGと協力体制を築いている以上、赤の星最強の戦力たるキングジェイダー以上に手加減を強いられるのだが、それでもなお相手との相性や性能差……そしてマスターであるシオンからの指示が有れば、彼等の戦闘力は計り知れない。
この“入れ替え能力”を持つゾンダーロボも、素体となった人物の頭の出来の良さから、彼らの底知れぬ強さを知らず知らずに嗅ぎ付けていたのであろう……
だが、ゾンダーロボは“勝てない相手から逃げる”という選択肢を持たない……
故に、不退転。
ゾンダーロボは意を決し、正面に立つダイキャンサー目掛けて突撃する。その動きにダイキャンサーも応じ、真正面から迎え撃つ。
『不退転……その意気や良し。……真っ向勝負!!』
ダイキャンサー目掛けて突撃するゾンダーロボ……しかし、1度は正面突破の構えを見せたが、そこから一転し周囲の瓦礫と己の位置を入れ替えて撹乱を始める。
『……?! 猪口才なッ!!』
ダイキャンサーはランダムに位置を入れ替えつつ迫るゾンダーロボに臆せず、迎撃の構えを解かない。
それは己の意地でもあれば……ある意味、仲間への厚い信頼とも言えた。
『その手ならば、既に予測済みです』
ガキィンッ!!
鈍い打撃音と共にゾンダーロボの体勢が強制的に崩される。音の正体はグラヴィスの放った空間跳躍攻撃。自前で相手の至近距離にワームホールを繋ぎ、自身の爪や尾を用いて攻撃するという若干チートじみた攻撃手段だ。
ゾゾゾ……?!
グラヴィスの搦め手封じに一瞬困惑するゾンダーロボ、そして相対するダイキャンサー等はその一瞬を逃したりはしない。
『我が一刀は、雷の煌めき……!』
『伊達や酔狂でこんな頭をしている訳では無い!』
『大人しくして貰いましょうか……!』
『動きがトロいぜ、貰ったァ!!』
一足先にダイキャンサーの巨刃が雷光の如き速度で迫り、絶妙な間隔を空けて残る3人も突撃……ナシュティアの頭に蒼雷が迸り、ビッグボルフォッグがミラーコーティングの銀光に包まれ、撃龍神の両腕に収束した緑光が煌めく。
ゾ、ゾゾ……?!
この機転に入れ替えゾンダーロボは正面のダイキャンサーと立ち位置を入れ替えようと能力を行使する直前……側面と背後の動きにも気付いてその真意を悟る。
(確かに、この敵の“入れ替え能力”は脅威……ですが!)
(俺達は全員、至近距離での戦いこそ本領……!)
(我等は仲間の意図など、手に取る様に判る……!)
(良い位置だ……仕掛けるぞ!)
敵のゾンダーロボは高い思考能力を必要とする“入れ替え能力”を行使するが故、ある程度は賢くあった……だがその知能が逆に仇となる。
自分の能力による入れ替えを考慮した作戦に出てきた……という
ゾゾゾ……?!
『ぬぅ……!? しかしッ!!』
追い詰められたゾンダーロボは正面のダイキャンサーと位置を入れ替わり、同時に向きを残る3人の方へ修正する。
だが、ダイキャンサー自身は入れ替わった事に気付くと同時に自身も向きを変え、先の踏み込みで付いていた勢いを“身を屈める”事で相殺しつつ、後方から来ていたビッグボルフォッグに道を譲る。
無論、左右からの撃龍神とアイゼンナシュティアも入れ替えに気付くと追撃のパターンを変更してゾンダーロボを捕捉しつつ追尾し、“入れ替えられる事自体が織り込み済み”だという事に気付いたゾンダーロボに対する連携を即興で組み直す。
『超・分身殺法ッ!!』
ビッグボルフォッグが銀光を纏ったまま3つに別れ、混乱するゾンダーロボを神速の剣戟で切り刻み──
『この距離……
ナシュティアが進路を変えてゾンダーロボに突撃。その頭に備えられた【プラズマホーン】が胴体を捉え、そのまま勢い任せに弾き飛ばす。
ガキィンッ……!!
そしてその飛んだ先には既に体勢を整えきったダイキャンサーが再び構えており──
『雷光……十文字斬ッ!!』
巨刃が音を置き去りにして振るわれ、逆風から薙ぎ払いへと繋げる十字斬り……ゾンダーロボ特有の強力な再生能力が無ければ、この時点で完全に破壊され尽くす程の連撃により、両腕を失い浮かされたまま無防備状態となるゾンダーロボ。
『唸れ疾風、轟け雷光……
そして、極限まで集束されたGパワーを含む竜巻と雷撃が双頭の龍を象り、同時にゾンダーロボの胴体を喰い破り貫き通す──
『……ゾンダーコア、確保を確認しました。速やかに護隊員の元へ搬送します』
『頼むぜビッグボルフォッグ、残る俺達は……!』
技を放ち終え、コアを確保した撃龍神。すぐさまビッグボルフォッグへとゾンダーコアは渡され、護の下へと緊急搬送される。
コアを渡した撃龍神はそのまま視線を上げ、妖しくうっすらと光りながら浮かび、リラを閉じ込めた妖花を見上げる──
『お待たせしました!』
『此処からが本番ね……!』
ちょうど到着したシュトゥルムボルグとクーゲルザウターを加え、ついに戦局は妖花攻略作戦へとシフトするのだった──
ゴメンナサイ……まだ終われません(ᗒᗩᗕ)