狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
厄介な“入れ替え”能力のゾンダーロボを撃破し、残るアーマロイド達とも合流した撃龍神とビッグボルフォッグ……
その頭上で不気味な沈黙を保ちつつ、夜空に浮かぶ深紅の妖花ゾンダーロボ……
『……必ず助け出してやるからな』
この撃龍神の呟きにダイキャンサー等アーマロイド達も頷き、それぞれ頭上の妖花を見上げる……
イザナギから降りた後もずっと、現在進行系で己の事すらも頭から抜け落ち、ただ呆然と妖花を見ているシオン。
稼働し始めてしばらく経ち、種としての人間の精神性や感情を学び、察する事を覚えた超AIにより、勇者ロボ達は今のシオンが戦えない事を察した。
(我が子も同然に心を許していた少女がゾンダー化したのだ……止められなかった事に無力感を痛感したのやもしれん。それに、最近は主自身も何か心境の変化があったのか、戦う事を避けていた様にも見える。何があったのか迄は判らぬが……)
シオン自身の精神的変化を感じているダイキャンサーは、そう考えていた。
事実、シオンはリラの保護者となってから極力戦闘を避け、技術者や親代わりとしての活動しか取っていない。
アーマロイド達の存在もあり、GGG側としては充分にシオンの存在は貢献に値しているのだが、当のアーマロイド達には以前まで感じられた”敵意に対する積極性”が嘘のように消えたシオンの事を心配していた。
(人の親とすれば当然ではある……が、我らが主としては……)
仕える身としてはある意味歯痒くも思えたリラの存在……だが「Z」の守護者として、少女も庇護下にあるが故に単純には割り切れず、アーマロイド達はほんの少しだけ憂鬱であった。
しかし……シオンとリラを引き裂き、シオン自身が積極性を失っている今、主に代わって戦えるのは自分達である。
GGGと協力すれば、間違いなくリラを救い出し、主の心を平穏に戻せると信じ、彼等は行動に出るのだった。
「ガオガイガー、アマテラス内で補給を受けながら東京湾を縦断中!」
「ビッグボルフォッグ、ゾンダーコアを確保してアマテラスへ移動開始しました!」
GGGオービットベース内、メインオーダールーム。
逐次入る報告の声をバックに、麗雄は原種の目的が撹乱だけではない事に気付きつつあった。
(潜伏中の目的として、人間をゾンダー化し囮にするのはあまりにも杜撰過ぎる……何か違う目的があるのは明白だ。そして、態々GGGの目に止まりやすい日本で事を起こした事も、何か関係があるのやもしれん)
「長官……横須賀の警戒はもう解いても良いかもしれん。敵の目的は揺動や撹乱ではなさそうだ」
「どういう事ですか、博士?」
原種による人間のゾンダー化という事で、奴らの目的はGGGの目を欺く事が目的だろうと推察していた大河……麗雄のこの言葉に疑問を持つのは当然である。
しかし、麗雄はこう続けた。
「僕は奴等のこの行動を、我々の目を欺く為の囮にする為だと思っていた。ゾンダーロボを量産するのは最終目的である“地球の機械昇華”に近付く訳だからな……しかし、それならば我々の目を欺きながら同時に行う方が戦略的にも効率的だ。そして我々の膝下である日本は、我々の監視の目を欺く為にも避ける筈……」
勿論、日本以外で事を起こしてもあまり状況は変わらないが、発覚してもGGGの戦力が現地に到達するまでそれなりの時間は掛かる。戦力分散を狙うとするなら、それこそ世界各地でゾンダー化事件を起こせば良いのだが、敵は敢えて日本……しかも東京付近で事を起こした。
「もし……奴等の目的が撹乱による時間稼ぎではなく、自分達に不利な要素を潰す為だとしたら……?」(麗雄)
「まさか、奴等は既にあの少女の事まで……?!」
「恐らく最初から分かっていたのだろう……そして潜伏している己の存在を、敢えて危険に晒してまでリラ君をゾンダー化する強硬策に出た事といい……彼女には、奴等の不利に働く何らかの要素がある。そう考えれば今回の辻褄も合う」(麗雄)
「しかし奴らも、我々にはゾンダー化した人間を救う術が有ると知っている筈……」
「……奴等の目的は、リラ君をゾンダー化した時点で達成されているのかもしれん」
地球にはゾンダーを浄解する術がある……それを知っていて、敢えて行う時点で、敵の目的は既に達成されている。その可能性が高い事を指していた……
(しかし、敵の不利に働く要素か……彼女にはどんな秘密が……)
「イザナギは1度戦線を離脱し、横須賀の氷竜と炎竜を回収へ向かってくれ。氷竜、炎竜はイザナギが到着し次第、横須賀から千葉へ急行せよ」
大河は、これ以上敵は手を出して来ないという麗雄の進言に従い、氷竜と炎竜の回収をイザナギに指示する。
麗雄は敵の真意を突き止めるべく、思考を続けるのだった……
『……えぇい、何と言う数……!』
ダイキャンサーは上空から迫る無数の触手を相手に苦戦を強いられる。無論それは他の勇者やアーマロイド達全員にも言えた。
妖花ゾンダーロボの花弁は1枚でも全長400mに匹敵し、そこから大量の触手型サブアームが展開されていた。
サブアーム自体の直径は約2m程だが、とにかく数が多い……花弁ユニットの下部全体から伸びているサブアームの数は、単純計算でも花弁1枚につき約200本、妖花ゾンダーロボの花弁は5枚あるため、総数約1000本ものサブアームを備えている計算になる。
『破壊しても即再生されては……ジリ貧だな』
ヒートホーンを振り回し、囲みを突破してきたアイゼンナシュティアもそう呟く。
当然ながら、ゾンダーロボ特有の再生能力に加えて強力なバリアが全体を覆っている為、ある程度強力な攻撃でなければ突破すら出来ない……それ故必然的に数の暴力は驚異だった。
『しかも、コッチの考えを見透かしてるみたい……気持ち悪いです』
ボウガンモードのチャージショットで触手を纏めて吹き飛ばすクーゲルザウターは、触手の挙動に違和感を感じていた。
それもその筈……全ての触手は互いを認識しており、高度な連携を組んで追い込んで来る他、誘導して絡ませる様な対抗策に乗って来ない……非常に厄介な防衛能力である。
『……やはり、触手を迂回して上空から攻めるしか無いか……?』
撃龍神の問い掛けに、今度はシュトゥルムボルグが返す。
『上は上で砲撃の嵐よ? 危うく被弾しそうになったわ』
妖花よりも上は、分身能力を持つ筈の自分が、危うく被弾しそうになる程の濃密な弾幕が展開される……そう溢したシュトゥルムボルグ。
……その声には、いつもの巫山戯た様子など一切見られない。
《アマテラス、千葉上空に入りました。ガオガイガー、発進準備完了!》
《氷竜・炎竜、イザナギ内で簡易整備中。アマテラスから遅れて2分で到着します!》
その時、通信から響く牛山の声……ようやく我らが勇者王が現場入りした事で、事態は大きく動き始めるのだった。
アマテラスから出撃したガオガイガーを主導に妖花攻略作戦は組み直され、オービットベースからの作戦が伝えられる。
《まず、各機をイザナギのミラーカタパルトで順次射出し、ミラーコーティングの効果時間を利用して砲塔を可能な限り排除、ガオガイガーの進路を確保する》
第一段階、ミラーカタパルトで展開されるミラー粒子コーティングの効果時間を利用して妖花からのビーム砲撃を相殺しつつ、先行部隊は上部の砲塔を速やかに排除……
《次に、ガオガイガーをゴルディオンハンマー装備状態で、同じくミラーカタパルトにより射出。各機は目標地点到達までガオガイガーを援護し、コア摘出までの時間を稼ぐ》
上部の砲塔はシュトゥルムボルグによる事前調査で、再生にはある程度時間が掛かる事が確認済みであるため、砲塔排除後は下部からの触手サブアームによる直接的な妨害が想定された。その為、砲塔排除後はガオガイガー以外の全機でそれを阻止する事になる。
《サブアームの総数は約1000本……花弁状ユニット1基につき約200本はあります。その猛攻を防ぎ切るには、ガオガイガー以外の全機を防衛に回しても足りるかどうか……》
『だが、やらなければ少女を救うことは出来ぬ』
『そうです! リラちゃんを助けるにはやり切らないと!』
『今も少女は、我らが主の庇護下にある……彼女を救えずして、守護者などとは名乗れませんしね』
『
ガオォォォンッ!!
口々にやる気を発するアーマロイド達……勿論、我等が勇者ロボ軍団も全員が同意見だ。
『ああ、必ず救い出してみせる!』
『これ以上原種に、良いようにされてたまるか!』
「……頼もしいぜ、お前ら……!」
《……EI-01戦以来の総力戦になるだろう。各員、気を引き締めて作戦に臨んで欲しい!》
大河の言葉を皮切りに、救出作戦はスタートした。
《イザナギの合流を確認! ミラーカタパルト展開、射出準備!》
ガオガイガーを運んでいたアマテラスから2分ほど遅れ、氷竜と炎竜を迎えに行っていたイザナギもトンボ返りで戦場へと戻り、早速氷竜と炎竜の射出が開始される。
《氷竜、射出! ……続いて炎竜、射出!》
イザナギのミラーカタパルト後部には、8基のリボルバー式待機デッキがある為、順次の連続射出を可能としている。
氷竜と炎竜の射出と並行しながら待機デッキ内で次弾装填の如く他の射出準備作業を行えるので、出撃は非常にスムーズだ。
《風龍、続いて雷龍……射出!》
氷竜、炎竜に続き、風龍と雷龍が射出される。
『我等も征くぞ!』
『はいっ!』
『あぁ!』
『えぇ!』
ガオォォォンッ!!
ダイキャンサーの問い掛けに応えるクーゲルとナシュボルコンビ、そして咆哮で気合を入れ直すストラトスイェーガー……勇者達に続いてアーマロイド達も、順次イザナギから射出されていく。
なお、グラヴィスはサイズオーバーでこの一団には入れないが、アーマロイド達の誰かが妖花の上部に辿り着ければ座標を追ってワームホールで転移できるので問題ない。
『『シンメトリカルドッキングッ!!』』
今回は火力が物をいう作戦のため、氷竜と炎竜、風龍と雷龍は妖花の攻撃が来ない内に合体し、超竜神と撃龍神になっておく。
《超竜神及び撃龍神、妖花ゾンダーロボの上空に到達。砲撃が来ます!》
妖花の迎撃範囲に入り、容赦ない砲撃の嵐が超竜神と撃龍神を襲う……が、まだミラーカタパルトで使用したコーティングの効果時間内なので直撃コースでもビームは装甲に届かず霧散していく……
『ダブルガンッ!!』
『
この“無敵時間”の間に妖花の上部にある砲塔を可能な限り排除し、ガオガイガーの進行ルートを確保したい処だが……
『このまま一気に中央ユニットへ……!』
『……そう簡単には行かない様だぜ?』
想定通り、ビームが無効化される事に感付いた妖花は大量のサブアームを上部へ向けて展開してくる。
『ダブルトンファーッ!!』
『ヴァーンレイッ!!』
しかし、超竜神と撃龍神は一瞬たりとも怯まず迎え撃つ。
『大回転轟魔断ッ!!』
そこへ、ゾンダーコアを送り届けた後トンボ返り最中にピスケガレオンと合流したビッグバンボルフォッグが参戦。
『遅くなりましたが、作戦の概要は既に把握しています』
大回転轟魔断により発生する乱気流に乗り、ビッグバンボルフォッグは縦横無尽に空中を踊る様に駆け回りながら、ミラーコーティングのエネルギーを纏った斬撃を無数に飛ばし、次々と触手サブアームを切断していく。
『これなら楽勝じゃねぇか?』
『しかし、数は相手の方が数段上です……!』
ビッグバンボルフォッグの言う通り、この程度では幾らやっても焼け石に水……全方位を囲まれ一斉に襲い掛かられてしまえば、脱出の術も無くアッという間にスクラップにされてしまうだろう。
なにせこの触手サブアームの先端には小型ながら自身の装甲さえ容易く切り刻むチェーンソーとビームカッターが内蔵されており、射程範囲ではビームカッター、至近距離ではチェーンソーと凶悪極まる攻撃能力を持っている……それが群をなして来るのだから、捕まってしまえばどうなるのか、想像したくもないだろう。
しかも狡い事に、自身は無限再生で斬られてもすぐに元通りに生えて来る……
『臆するな! ガオガイガーがコアを確保すれば、それで全て止まる……我等も矢面に立つぞ!』
『了解!』
『このくらいで弱音なんて、吐いてられないものねぇ!』
『もう少しの辛抱だからね……!』
ガオォォォンッ!!
ダイキャンサーの大太刀が翻ると、サブアームを纏めて切り落とし、アイゼンナシュティアの両肩が開いて大量の炸裂弾がバラ撒かれ、サブアームの群れを粉々にしていく……
もう一方でもシュトゥルムボルグの砲撃が長大なビームの刃の如く薙ぎ払われ、再生しつつある砲台や残存する触手サブアームをストラトスイェーガーがすれ違いざまに切り裂きながら駆け抜ける。
《ガオガイガー、ゴルディオンハンマー装着モード。射出準備完了!》
《よぉし、ガオガイガー射出ッ!!》
「待ってろよ……必ず助け出してやるからな!」
ミラーカタパルトの弾丸に包まれ、ガオガイガーがイザナギから射出される。
・・・・・・・・・!!
《……何? この反応……ゾンダーロボの様子が……?》
その光景に何かを感じ取ったのか、妖花の様子が急変……滞空していた場所から上空へと逃げるように高度を上げ始める……まるでガオガイガーから逃げるように。
《ど、どうしたというのだ……?》
《……?! そうか、敵の狙いは時間稼ぎだ!!》
その時、何かを確信した麗雄が叫ぶ。敵の真の目的に気付いたのは現状麗雄1人……他のメンバーは攻略に必死だったが、麗雄だけは妖花ゾンダーロボの全体を俯瞰し、ある違和感に気付いていた。
「……長官、ヴァルナーの件を覚えておるかね?」
麗雄の言葉にその場が少し静まる。
「? ええ、勿論ですが……」
勿論大河を始め、GGGのほぼ全員が克明に覚えており、史上初の人間以外のゾンダーロボによるゾンダー被害としてデータベースにも記録されていた。
「あの時、僕等はゾンダーコアの明滅がゾンダーロボの寿命……ひいてはコアにされた者の生命に直結しているという事実を稀星くんから聞かされた……」
当時、無理やりゾンダーのコアにされ、その影響で瀕死の危機に陥ったシャチのヴァルナー……麗雄は当時の事を思い出し、妖花ゾンダーロボのコアユニットの映像を拡大して見せた。
そこに映されていた映像……ゾンダーコアを内包するセンターユニットの頂上。ゾンダーコアの明滅は通常の紫色ではなく、カラフルに変色し続け、まるで狂ったように不規則な明滅を繰り返していた。
「見たまえ、明らかに通常のコアの明滅間隔と違っている……敵の目的はまず間違いなく、リラ君の殺害だ! ゾンダーロボのコアは通常では人間のストレスをエネルギーに変換する……が、あの巨体であれだけの再生能力を維持するのに、どれだけエネルギーが必要だと思う?」
麗雄のこの言葉に、大河は行き着いては行けない答えに気づいてしまった。
「……まさか、あのゾンダーロボは……?!」
「まず間違いなく……リラ君の生命力そのものまでエネルギーに還元しておる。あのまま時間稼ぎを続けられれば、ゾンダー胞子が完成する前にリラ君の命が……」
リラの生命力すらも吸い潰すが如く、狂い咲く妖花……その行き着く先は、どちらにせよ破滅しか待っていないのだと麗雄は結論付けた。
……その残酷極まりない結末を想像し、オービットベース内が戦慄に包まれる。
《……なら! そうなる前に助け出すッ!!》
「……なら、そうなる前に助け出すッ!!」
ミラーコーティングの破片を撒き散らしながらコアへと突き進むガオガイガーの中で、凱はそう叫んだ。
「時間勝負なら、まだ救い出せる可能性はあるんだろう?! ボヤボヤしてる時間もない、一気に突き進んで勝ちを拾ってやるッ!!」
その時、凱の左腕のGストーンが煌めき、同時にクーゲルザウターも何かを感じて戦線を離脱……戦刃騎馬形態へと変形して突撃するガオガイガーに並走を始めた。
『貴方の……熱い想いが届きました。一緒に駆け抜けましょう!!』
「クーゲル……ああッ!!」
最高速を維持したままガオガイガーを乗せ、黒き騎馬は嵐の如く砲撃が飛び交う戦場を一直線に駆け抜けていく。
「ゴルディオンッ、ハンマァァァッ!!」
GSライドのエネルギーバイパスが開放され、クーゲルの背の上で全身を金色に染めるガオガイガー……右腕から銀色の釘を取り出し、コアへ向けて構える。
「間に合え……頼む……間に合ってくれッ!!」
『間に合って……お願い……っ!!』
『行けーっ!!』
『間に合え……!』
『救い出してくれ!!』
『間に合えぇぇぇっ!!』
上空へと逃げる妖花……その上で、侵攻を阻む大量の触手サブアームからガオガイガーを援護する勇者ロボ達が口々に叫んでは触手サブアームを破壊し続け、アーマロイド達が直掩に入りサブアームの接近を阻む。
「ハンマァァァヘルッ!!」
クーゲルの背から飛ぶと同時に釘を構え直し、垂直落下しつつ釘を正確にコアへと突き立てるガオガイガー。
・・・・・・!! ・・・・・・ッ?!
断末魔の如く声なき声が妖花から響き渡り、大量の触手サブアームが出鱈目に蠢く……その最中でガオガイガーは触手サブアームに拘束され掛かるが、クーゲルの援護もあり触手を強引に引き剥がしつつ冷静に打ち込んだ釘を引き抜いていく……
「ハンマァァァヘブンッ!!」
ようやく現状を把握したシオンも、金色に光る空を見上げながら万感の想いを叫んでいた。
『お願い……助かって……っ!!』
光の釘の先端……そこに掴まれた七色に光るゾンダーコアを力技で引き抜き、左手に収めたガオガイガー。ここで終わりにすると力を漲らせ、右手に握った必殺の手段を振りかぶった。
『光になぁれえぇぇぇッ!!』
金色の光が周辺を完全に染め上げ、あれほど巨大だった妖花の全体が光と化していく……
夜の虚空を黄金に染め上げたこの一瞬の出来事は、摩天楼もかくやという程の幻想的な空間を生み出し……そして全て消え去っていった。
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お気に入りだったあの時の仮装を改造して作ったワンピースに身を包み、ゾンダー状態から開放され、ようやく浄解されたリラ。
少女は無言のままシオンに抱きしめされ、しばらく困惑したが、周囲の状況を理解し、しばらくしてから口を開いた。
「……ごめんなさい。わたし……わたしのせいで……」
『…………いいのよ。もう良いから……』
たった数日の疑似家族関係とはいえ、濃厚過ぎる日々を送った2人にとっては、多くを語る必要はない……
『帰って来てくれれば……それで良いのよ……』
「……うん……ありがとう……」
この2人は、誰がどう見ても親子に見えるだろう……抱き締められた少女の足先と指先から、小さな光の粒子が零れ落ち始めていた。
「……あっ……?!」
浄解のために立ち会った護が気付く……少女の身体は既に限界を超えており、もう持たない事に。
「……あのね……わたし、ぜんぶ思い出した……お姉ちゃん、わたしのお母さんに似てたから……ごめんなさい」
ゾンダーにされた時のショックが、偶然にも少女の脳を刺激し、少女は過去の全てを思い出していた。そしてあの時、シオンを母と呼んだのは本当の母親とよく似ていたからだという……
『そう……私、そんなに似てたんだ』
「……えへへ……緑のお兄ちゃんも……わたしをもとに戻してくれて……ありがとう」
満面の笑みでお礼を言う少女リラ……その身体は徐々に消え続けており、既に手足はほとんど消えている。
ガオガイガーの掌の上でシオンに抱かれ、微笑みながら涙を流しはじめたリラ……その顔には、いままでこびり着いていた恐怖の感情も一切なくなっており、その表情から見て取れるのは溢れる喜びと、ほんの少しの寂しさしかない……
「あのね、お姉ちゃん……わたしね……この星にきて良かったよ……たくさん良い人に会えたし、楽しい思い出もいっぱいできた」
『……うん……』
「きれいなお姉さんや、カッコイイお友達もできた」
視線をクーゲルや氷竜たちの方へ向け、精一杯の笑顔でリラは「ありがとう」の気持ちを彼らに伝える……本当なら手を振りたかったが、もう既に二の腕から先が無い。
《……リラちゃん……》
オーダールームからも嗚咽混じりの声が通信越しに聞こえている……徐々に消滅していく境界線はもう胸まで来ており、残り時間は後僅か……それでも、たとえ涙混じりでも、リラは笑顔でいることを最後まで続けていた。
「わたし、かいぶつにされても……怖くなかったよ。みんなが助けてくれるって、信じてたから……」
ついにその瞳から大粒の涙が溢れる……それでも精一杯、笑顔を崩さないように、小さな少女は微笑み続けた。
『そんなの……当たり前よ! だってあなたは……私の……!』
感情移入が過ぎている……その自覚もある。しかし、もはや自分でも止められない……シオンは怒りとも、悲しみとも取れない顔でリラを再び抱きしめた。
リラもそれを拒まず受け入れる。
「……ありがとう……おか……さん」
この言葉が最後となり、少女の肉体はすべて金色の光へと分解され、天に登っていく……
『・・・・・・・・・・・・』
しばらくの沈黙の後……言葉にならない感情を制御しきれず、ついに限界を迎え泣き崩れたシオン。
浮遊するアマテラスの上に立っていたガオガイガーと共に、少女の最後を見届けた勇者たち……
地平線から夜明けを告げた陽光が、彼らの背中をそっと温め始めるのだった。
……最後の方だいぶ早足みたいになりましたが、とりあえず今回の閑話はここまでとなります。
ウチの文才ではコレが限界だよぉ……><
なお、実はこの閑話にはまだ続きがありますが
進行の都合上あっさり繋ぐのではなく
然るべきタイミングで掲載する予定です。
さて、次回からようやく途中放棄状態だった本編の再開となります。
なお、この閑話の時間軸は明確に決めてませんが、オービットベースの直接襲撃前辺りを想定しています。
他のところに差し込むもうにも、ちょっと流れが悪いですしね……
※再掲のため中略
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第78話『機界最強7原種』
次回もこの小説でファイナルフュージョン承認!!
今回のリラちゃんのシナリオはどうでした?
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アカン、不覚にも泣いたわ……
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おのれ原種め、許すまじ!
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リラちゃんに生き残ってて欲しかった
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こういうのがあってこそ勇者ストーリー
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まぁまぁ良かったけど、本編はよくれ!