狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
とはいえ、この辺りから原作とも違った感じに……
あの戦いから数日後──
海の向こうにGアイランドシティが見える小高い丘……シオンが自費で買ったこの土地に、シオンは小さな墓を建て、そこにリラの遺品を埋葬していた。
「………………」
唯一、リラが肌身離さず持っていた……シオンにすら解析不可能だった謎の鉱石が埋め込まれたペンダントだけを手元に残して──
「……シオン」
涙を堪えながら花を添えるシオンの後ろ姿に、同行していた命と凱は、彼女の悲しみを痛感していた。
(俺達が揃っていて尚、あの娘を救えなかった……シオンは目の前であの娘が消えるのを見ているしか……クソッ、まだ苛ついているのか俺は……!)
自分の不甲斐なさに反吐が出る……そう思いたくなる凱。
不可抗力とはいえ、目の前で消えた少女リラ……そして彼女を最も大切にしていたシオンの事を思うと、悔しさが止まらない。
たらればの話をすれば数多く挙がるが、それは事実を知った今だからこそ言える事であり、当然ながら当時には思い付く筈もない……
(これ以上、犠牲者を出さない為にも……必ず原種を打ち倒してやる!)
決意を新たに、寒空を見上げる凱。
この1週間後……人工衛星を乗っ取った頭脳原種による攻勢が起きたのだった。
地球全土を狙った原種による隕石落としの阻止後……GGGは、未だに地球各地で潜伏を続ける原種の捜索を全力で行っていた。
……だが、捜索の甲斐なく1ヶ月が経過した頃。護の超感覚に瞬間的な反応があった後、世界各地で退役軍艦が消失する怪事件が発生し、GGGはその行方を追う事になった。
しかし、消失した軍艦7隻を発見することは出来ず、また、トレースしていた原種の反応もかき消えてしまい、オービットベースには言いしれぬ不安が漂い続けていた。
「敵の目的は、今まで我々が倒した原種の本体……つまり“原種核を回収する”事だろう。ここまでは稀星くんの推測どおりに推移しておる」
「うむ……ではこれより、オービットベースは特別体制に移行する!」
麗雄の言葉に大河も頷き、オービットベース全域へ特例措置を出した……その内容とは。
1.オービットベース外縁部の外壁を徹底チェックし、あらゆる隙間を完全に塞ぐ事。
「敵の能力、考え得る侵入手段……稀星くんの事前情報が無ければ、初手から完全に詰んでおったかもしれん。侵入されない事に越した事はないわい」
2.研究区画内にある全ての原種核を特殊区画「GSルーム」へ封印し、特別監視体制を敷く事。
「原種とはいえ、GSライドから直接放たれるエネルギーに対抗するには、相応の出力が必要不可欠です。確保対象が奴らの手を出せない区画にあると知れば、否応なしに手段を変えざるを得ないでしょう」
3.勇者ロボ軍団及びアーマロイド隊によるオービットベース内外の徹底警備。
シオンが事前に伝えていた情報……最強と目される7体の原種の情報と、彼らの目的、そしてその手段。それらを前提とした迎撃体制の確立を、大河と麗雄は早くから整え始めていたのである。
「仮に奴らに侵入されたとしても……我々の回収した原種核がGSルームにある以上、敵が奪還する事はほぼ不可能な筈です」
この「GSルーム」とは、人体には無害だがゾンダーに極めて有害であるGSライドから発せられる光エネルギーを周囲に拡散・乱反射させる特殊金属粒子「Gプリズム」を塗布した建材を用いた区画で、区画内には常時一定出力のGパワーが供給されており、ゾンダーや原種核に対する研究や実験における安全性を高める措置の一環として設けられた特別な区画である。
「稀星くんが作戦に参加できない以上、アーマロイド達との連携が十分でない処は如何ともし難いが……あの状態ではな……」
しかし大河は、シオンが黄金の繭から開放されていない事に一抹の不安を感じていた。
「一時的に全権を預かっておる蠍座……グラヴィス君も、彼女の現状は把握できていないという」
「デモ、ワタシ達がピンチの時は、すぐに駆け付けてくれる筈デース」
「そうよね、あのシオンちゃんだもん」
対する女性陣……スワンと命は、どんな状況でもシオンを信頼していた。彼女らはシオンと日常的な付き合いも多く、年齢もあまり離れていない同性という事もあり、オービットベース内では最早3姉妹という括りで見られる事も多かった。
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「来るなら来い、原種め……返り討ちにしてやるぜ!」
火麻はこの体制に自信を深め、返り討ちだと息巻くのであった。
同時刻、地球上では──
(……?!)
ただならぬ予感を感知した戒道幾巳。その驚き様を察知したJも「原種か?」と問い掛けたが、幾巳は首を横に振りこう答えた。
「……物凄く恐ろしい気配がした。原種とも違う、何かの……」
「何……?」
その返答に怪訝な顔をするJだったが、トモロの声に更に困惑を隠しきれなくなる。
《……アーマロイドから、原種がオービットベースの直接侵攻を企んでいると報が入った。彼処で騒ぎが起きれば最悪、原種核を奪回される恐れがある》
トモロに対して送られてきたのは、アーマロイド……先の戦いで一時的に共闘したグラヴィスからの報であった。
「トモロ、いつの間にお前……」
《勝手に伝わってきたものだ。私の意図では無い……しかし、このタイミングで奴等が動くのなら──》
「ああ、好機には違いない……あの女が敵でなければな」
Jの言葉にはまだ少し棘があるが、それはかつての戦いの記憶の中に混ざり込んでいたあり得ざる記憶……最後の戦いで対峙した相手が女性型の影をしていたという瞬間の所為だった。
「J……」
「……ああ、分かっているさ。奴とあの女は違う……あの女は明確に我々を敵と見做していないからな」
事前に打ち明けられたJの記憶の混乱……幾巳やトモロには存在しないこの小さな混乱に振り回される彼を、間違いから救えるのは共に戦う仲間である2人だけだ。
幾巳の声にJは「分かっている」と返し、シオンは自分達の敵ではないと己に言い聞かせた。
「兎も角。原種がGGGと事を構えるなら、我々も動く方が良いだろう……それを見越しての報だろうからな。……よし、ジェイアーク、急速発進!」
《了解!》
大気圏を飛行する白亜の戦艦は進路を変え、速度を増して天を覆う虚空へと向かうのだった。
場所は戻り、オービットベース……その宙域付近。
「……どうだ、見つかったか?」
ガタイの良い大男が、童顔の少女へと話し掛ける……しかし──
「念入りに隙間を塞いである……外壁に穴が見当たらない」
少女は遠くに見える構造物……オービットベースの外壁全てを確認し、“隙間が塞がれている”と言った。その時点で、明らかに異常な能力だ。
それもその筈、この場にいる7人は全員がこの宇宙空間で宇宙服は愚かなんの装備もなく、薄い紫色のマント姿のままで居る。
そう、彼等こそ原種──人間の身体を入れ物とし、中に入り込む事で隠密活動を可能にした、原種の人間態であった。
「隙間が無けりゃ開ければ良いのよ、アタシの爪ならあの程度の壁なんて訳ないわ」
スキンヘッドで痩せ型の男(?)がそう溢し、その隣の小柄な男が更に続ける。
「中で散るのではなく、最初から3方同時侵入にすれば特に変わりはない……私の“原子分解”に、壁など意味を為さないからな」
「さすがはGGG。対策としては中々だったが、我々の能力には及ばなかった様だな。……では、作戦を修正して三方同時侵入とする。腸は残って奴等に備えよ。
音頭を取った大男……腕原種が頷くと、小柄な男が頷き返し、己の能力を発動させる。
「“原子分解”、開始!」
小柄な男の胴体から肋骨の様な器官が飛び出し、細かく振動し始める……するとフードの1人以外の6人が微細な粒子へと分解され、粒子の塊は一塊のままオービットベースへと向かっていく──
「……?! 原種だ! うわぁっ!?」
能力の発動を察知した護が声を発した直後、オービットベースを衝撃が襲う。
「何っ?!」
事態の急変に驚く大河、オペレーター席の猿頭寺が状況を報告する。
「エリアB-21、D-55、F-17の外部隔壁が破損。空気が流出しています! 侵入者は6名、外から3ヶ所同時に侵入してきました?!」
「クッ、強硬策で来たか……!?」
想定はしていたがタイミングが悪い……メカ形態を持つアーマロイド達は少し前に、偵察と称して付近の宙域へ向かったばかりなのだ。
「俺達で直接止める! 長官!!」
「おうよ!」
「うむ。対策があるとはいえ、くれぐれも気をつけてな……!」
火麻と凱が頷き合い、大河は注意を促しつつ承認する。
『僕達も……主の受けた恩を、彼らへ返す為に』
『はい、ですの……』
内部の警戒に残っていた天秤座と水瓶座も頷き合い、その場で分かれて迎撃に加わる為に動き出す。
オービットベース内初の白兵戦が始まる──
本気で掛かってきた最強原種7体に、GGGはどう立ち向かうのか……?
最近モチベが下がりつつあるので、
感想よろしくお願いしますぅぅぅ><
誰の活躍を期待する?
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凱
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護&ギャレオン
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天秤座
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水瓶座