狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
ありがとうございますッ!!(歓喜&感謝)
ついに自身の秘密を打ち明け、秘めていた想いを語るシオン。
彼らの心に、彼女の想いは届くのか……?
敵と祖を同じくする存在【Z・オリジン】の秘密を暴露したシオン。
……たとえどんな結果になろうとも、もうは後悔したくない……
そう決意した少女の瞳は、真っ直ぐにGGGの指揮官である大河幸太郎の瞳を見つめ返していた。
「……シオン、さん」
「シオン……」
「シオンちゃん……」
護くん、スワンさん、命さん……今までありがとうね。
……長い様で短い間だったけど、けっこう楽しかった……でも多分、私はもうココには居られないと思う……
……ココでの思い出は、例え死んだとしても……忘れないよ……だから皆も……私の事……
「うむ、それを聞いて安心したよ」
『……はぁ……えっ?』
長官の顔は、長年の憑き物が取れたかの様な満面の笑み……よく見ると、麗雄博士もやけにニヤニヤとして、まるで周到に準備した悪戯がついに成功した……そんな笑顔をしていた。
『……あ、あの……私は、皆さんの敵……』
「身体的な特徴などは確かに敵に近いだろうが、その心まで同じではない……君の思考パターンは奴らゾンダーではなく、むしろ我々人類に限りなく近いものじゃ」
私の言葉を遮るように、麗雄博士はそう言ってくれた……
「稀星くん……キミの来歴や、我々と敵対しているゾンダーに近しい存在だという事は、覆しようのない事実ではある……
……だが、そんなキミが心に秘めているその想いは……我々地球人類と同じという事が分かった。
例えキミが敵と同種だったとしても、いやどんな存在であろうとも……その心が我々と同じである限り、キミは立派な人間だと私は思っている……今回の件は、それを確かめたかったが故の事だった訳さ」
若干の照れ隠しも含め、頭を掻きながら「古典的な芝居で試してしまって……すまなかったね」と、大河長官は謝罪までしてくれた。
この物々しさも全て、今まで私がひた隠していた真意を知りたいが故の芝居……ようやくこの流れの全てに納得のいった私は、一気に緊張が解け……糸の切れた人形の如くその場へ座り込んでしまった。
スワンさんが一番、私の事を心配してくれていたのだろう……すぐに駆け寄って、涙を浮かべながら「良かったデス、シオンとサヨナラしなくて良かったデス!」と抱き締めてくれた。
「まぁ……彼女は最初から、敵とは思えない行動を普段から取っておったし、凱も“彼女が敵対するなんてあり得ない”と言っておったからのぅ」
「……な? 俺の言った通りだったろ」
「うわっは~♪」
凱さんは最初の厳しい表情から一転し、護くんと笑い合っている……思えば確かに、彼と初めて一緒に戦った時、私も「不義理はすまい」と可能な限り彼のサポートに徹した……彼と話した事は少ないけど、彼に対しては本音を隠して無かった気がする……多分あの時から、彼はずっと私を信じてくれていたのだ。
護くんも満面の笑みで拍手までしてくれてるし、感極まったのか、命さんも私に抱き付いてきた……
なんか、物凄く気疲れした感じがするけど……
これで私は……大手を振って皆と同じ道を歩む事が、出来るようになったのかな……?
シオン達が会議をしていた頃、とある港を一望できる海岸で……
「……ケッ、何が自動操舵システムだ……嵐に勝てねぇんじゃ、無くても一緒だろうが……!」
不貞腐れた初老の男性がアルミ製のミニボトルを片手に、ズラリと並んで港に浮かぶタンカーやコンテナ船の列を恨めしそうに見ていた。
原作では座礁したタンカーを眺めていたが、彼は今……原作とは違う理由で職を失っていた。
「俺達船乗りだからこそ、機械には分からねぇ僅かな変化を読み取って船を動かす……どんだけ機械が発達しようが、それだけは簡単に真似なんざ出来ねぇ……!」
……彼は元々、優秀かつ人望もあるタンカーの船長だった。
実際、彼が船長として乗り込んだ船は、何度も嵐やテログループの襲撃に逢いながらも全員が五体満足で戻れていた……原作とは違い、GGGが表立ってテログループの襲撃などを警戒しているのもあるし、それだけ運が良かったのもあるだろうが……ただの運では説明が付かない事も多々あった。
勿論いつも無傷で済む訳はなく、多少は怪我を負ったり、積み荷を失う事はあるだろうが……武器を持つ凶悪なテログループ等を相手に、命を失わないで切り抜けられた時点で普通に凄い事であろう。
……彼等にはそんな幾多の経験があり、この仕事は自分達の天職である……
そんな想いと、自負があった。
だが、昨今声高に言われている「コスト削減」……
何度も嵐やテロに遭い、襲われる……それをマイナス面として見た者は多かった。
企業における最重要コストの1つ……「人件費」。
物的な損失だけならば比較的安価で補填はできるし、作業用の機械ならば替えも効く……だが人的な損失となると、その稼ぎを以て生活している家族にも大きなダメージを与えるし、会社側としても欠員が補填できなければ同じく大ダメージを被る。
その上、世間的にも人的損失が表沙汰になると、やれ「ブラック企業」やら「雇用する側の問題だ」と叩かれるのはほぼ確定だ……それ故に企業側は可能な限り人的損失を抑えるべく、多大な費用を掛けて対策を講じ、替えの効かない働き手を守る……雇用主である会社側としても必死なのだ。
だがその人件費を、低コストに抑える手段……近年成長の著しい「自動化」によって削減出来るのなら、誰しもが真っ先に飛び付くだろう……
つまりはそういう事だった……
よくある「企業努力」「コスト削減」……聞こえは良いが、彼はその煽りを受け解雇されたのである。
理由は勿論「船の運用コスト削減に伴う人事異動と、若手の育成」……そんな所だろう。
「俺が居なきゃ、アイツ等も本領を発揮できねぇ……それなのにあの男は、アイツ等をバラバラに……似合わねぇ部署に置きやがって!」
おっと、彼は自分の事だけでなく……部下や仲間の行き先にも不満が有るようです。
……そしてそこに、原作通りの相手が現れ相槌を打つ。
『……なるほど、貴方はそんな横暴をした会社に恨みがある……』
見た目は小肥りの……さながら笑○せぇる○まんに似た体型と顔をした、ただならなぬ雰囲気を発する金目の男……何故か片目は船の錨をデフォルメしたマークの眼帯で覆われ、白い水兵服と帽子が奇妙なマッチ具合だ。
「……な、なんだよ……お前さんは?」
『貴方のその恨み、この私が晴らすチャンスを与えて差し上げましょう……ウィィィィィィ!!』
奇妙な嗤い声と共に不気味な男が取り出した……毒々しい紫色の結晶体、それから発せられる光を見た彼の身体は、己の意思に反して動けなくなっていた。
「……う、うわぁぁぁぁぁッ?!」
『ウィィィィィィッ!!』
『……良かったですね、稀星先生』
『あぁ、一時は決別もあり得るんじゃないかってヒヤヒヤしちまったぜ……』
これまでの経緯を黙って見ていた氷竜と炎竜は、ようやく安心できたと言う風に場を締める。
『先生は止めてって……なるほど、氷竜も炎竜も知ってた訳か……!』
少し理不尽にも感じたが、唐突に飛び込んできた既知の感覚が急激に思考を現実へと引き戻す……
「『……ゾンダーだ……!』」
護くんと同時に発言した事で、彼の超感覚と私の感知能力はほぼ同等である事も実証され……すぐさま出撃体制が整えられ始めた。
「横浜市中区の製油所付近に、超大型のゾンダーを発見との報告あり!」
「サテライトビューからの映像を受信、メインスクリーンに出します。」
命さんが外部からの連絡を受け取り、チーフオペレーターである
やはり、現れたのは工業地帯……投影された映像に映っていたのは、海岸線に近い製油所と、その場所を襲う「巨大なタンカーを模した姿のゾンダー」だった。
「な……ッ?! 何という巨体だ……!?」
「Oh?! 推定300mは超えていマス!!」
「なんて事だ……敵ゾンダーの身体には、約数十万トンのガソリンが満載されています!!」
腕の様に伸びた三対の長いパイプのような触手は蠕動運動を繰り返しており、施設のタンクへと突き刺して中身を吸い上げている……ヤツの巨体の中身は、やはりガソリンだった。
『……分かってはいても、予想通りすぎると逆に怖いわね……!』
そう呟きながら私は、氷竜と炎竜に「ある装備」を渡す為……メインオーダールームへ戻ろうとするリフトから飛び降りる。
「シオンさん?!」
『相手が私の予想通りなら、対策を練ってあるからそれを実行するわ! 護くんは皆と一緒に行って!』
声を上げていた護くんの返事も待たず、メインシャフトを上昇するリフトは見えなくなった。
私はリフトサークルの外側に予め置いておいたコンテナの側に着地し、氷竜と炎竜へ声を掛けた。
『氷竜、炎竜聞いて! 敵の詳細はある程度予測が付いてるわ……コレはその対策よ、持って行って!』
疑似ゾンダー核を生成するついでに、今回のゾンダー対策として創り出しておいた「とある装備」が入ったコンテナを2人へと渡す……コレがあれば、敵の足止めを行いつつ消火作業を行う2人へ、多少なりとも助力できる筈だ。
『……それと、もう1つ……今回は最初から全力でガオガイガーを援護しなさい。
いざとなったら、あなた達2人の存在が勝利の鍵になるわ……それも忘れないでね?』
『稀星先生……?』
『どういう事ですか?』
突然の言葉に、少し戸惑い気味の2人……
『……勿論、GGG憲章も1つの理由ではあるけど……私が、あなた達2人の成長を心から願っているから……これじゃダメかな?』
『『…………』』
少し強引過ぎたかな……この戦いで彼等が成長しなければ、今後の予定や方針にも響いてくる……それに今回は
少しでも、勝利条件を整えておかないと……
『……分かりました、それが
『今まで外した事も無いしな、先生の助言』
まさか未来を知ってるから、とか理由に出来ない……でも、だからこそ……状況の悪化だけは何としても避けたい。
『ありがとう2人とも……さぁ、行ってらっしゃい!』
激励を背に受け、氷竜と炎竜は出撃に使われる三段飛行甲板空母に乗り込んでいく……私も今回の推移を確かめるべく、人間用のルートを使って同じ空母へと乗り込むのだった。
渡した装備の詳細と、シオンが「先生」と呼ばれている理由……
それは次回のお楽しみ。
さて、敵も徐々に活動を活発化させてきたようですね。
徐々に攻略難易度が上がるのはしょうがないとして、不測の事態が起きなければ良いのですがね……
今後、この物語に期待しているシーンは?
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原作介入し過ぎて絶望するオリ主(w)
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原作死亡キャラの生存フラグ
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”先生”によって生まれ変わる勇者ロボ軍団
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後半の”パない”絶望感の回避
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未知の「FAINAL」シナリオへの伏線
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【番外】オリジナルメカの登場