狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif   作:睦月透火

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劇場版 SEEDFREEDOM……クッソ見たいわ!!
でも、そんな暇もお金も無いのが悔しい……

何故? それは……
私が薄給の一般(介護)職だからよ(諦観)



第84話 打ち明けられた真実(前編)

「スサノオ、アマテラス……分離発進!」

 

「イザナキ、機動部隊の収容完了! 合流のため移動開始しました!」

 

「オービットベースの補助動力……残りエネルギー、約47%です」

 

 着々と反撃準備が整う中、徐々にエネルギー不足に陥るオービットベース……補助動力機関は従来でも信頼性の高い太陽光発電と燃料電池だが、現行設備による消費量との釣り合いは取れず、徐々に残量は減っている。

 本来の動力システムが完全ならば絶対に有り得ない事なのだが、今はその2基あるメイン動力炉の片方を失っているのだから……

 

「……やはり、エネルギー不足は避けられんか」

 

 猿頭寺の報告を聞き、麗雄は大河の方を見て頷く。

 

「致し方あるまい……生命維持システムと通信管制以外の電力供給を、優先度の低いものから順次カット。可能な限り管制と生命維持に」

 

「了解」

 

 大河の指示により、オービットベースと他を結ぶ通信や戦闘管制と、ベース内に居る人間の生命維持に関わる部分以外の動力供給を可能な限り管制と生命維持システムに回す事で、遅延を図ろうと考えたのだった。

 

 その数分後、ようやく護とギャレオンが腸原種の本体から脱出したのが確認され、子供達を乗せたギャレオンがアマテラスに合流する。

 

 だが何故、こんなにも時間が掛かったのには少しばかり理由があった……

 

──────────

 

 心配するな、と幾巳に言われ、辛い時は頼って良いよと言って分かれた後……護は薄い酸素しか残ってない艦内を可能な限り急ぎでギャレオンの所へと戻ろうとしていた。

 

 だが、その時……なんとその中の1人……初野 華が寝惚け眼を擦りながら目を覚ましてしまったのだ。

 

「う~ん……え……っ?」

 

 原作では気付いても驚きと恐怖からか息を潜める筈だったが、この時の華は、始めて見る筈の護の姿に“言い知れない安心感”を感じていたのだ。

 

(え……護……くん……? 何だか緑色……温かい光……コレって“あの時”と同じ……じゃあ、護くんもシオンさんと同じ『宇宙人』……?)

 

 華にとって、近しい状況で助けられた事は過去にも数度あった……その中で、最も華の記憶に残っていたのは護ではなく“稀星シオン”の姿……そう、あのパスダー(EI-01)との決戦の時の光景である。

 

 華はその時のシオンの真剣な表情と、護の今の顔が全く同じ事に気付き、あの時に感じたシオンの“想い”と、護が今、自分達を救い出している時の“想い”は同じなのだと直感したからだった。

 

「……華……ちゃん……?」

 

 たっぷり数分ほど考えた後、華はゆっくりと身体を起こし……護の方を見る。“自分の正体については自分の気持ちに整理が付いたら話しなさい”とシオンに言われていた護だったが、皮肉にもそのシオンの優しさのせいか、タイミングが狂ってしまう事に……

 

(前にもこんな感じで“誰かに守って貰った”事が何度かあった……“あの時”はシオンさんだったけど、今ならちゃんと理解できる……いつも私を守ってくれていたのは……)

 

「……護……くん……だよね……?」

 

 偶然の悪戯か……パスダー戦時の状況がキッカケで華は、自分が“誰かに守られている”と薄々感じていた。それが今、確信に至り、その“誰か”の正体が“幼馴染の姿をした宇宙人”……いや、そこから一歩飛躍して“天海 護(幼馴染)”だと認識。

 

 しかも“稀星シオン”という()()が身近にいた事で違和感なくその考えが頭に湧き出し尚且つ()()()()()()()()()()()()()()という事実を素直に受け止められたのだ。

 

「………………」

 

 思わぬ形で問い詰められ、言葉に詰まる護……彼からすれば、華からこの後告げられるのは()()()()()()()。多分、自分が宇宙人である事実を認識した時、潜在的恐怖に耐え切れず拒絶されてしまう……と考えていた。

 

 だが、次に放たれた言葉は……護の想定を遥かに超えたものだった。

 

「……ありがとう……やっぱり、私をいつも助けてくれていたのは、護くんだったのね」

 

「えっ……?!」

 

 思わぬ言葉の連続に驚愕する護……だが思えば、自分たちの身近に宇宙人がいた前例はすでに多くあった為、心の準備というか、察せられる要素は揃っていたのだと護も悟った。

 

 此処は未だ宇宙空間でギャレオンの口の中……幸い、他の子達は気絶から回復していない事は1つの救いだが、半ば強引なシチュエーションの中で護は意を決して返答を始める。

 

「……ごめんね。僕、華ちゃんに嘘を吐いてた……僕は……この通り、宇宙人……なんだ……」

 

 普通ならば、その事実に驚愕し疑うだろう……だが、この世界の彼女は“誰かさん”のお陰(影響)で変な方向に強化されていた。

 

「……知ってた……というより今、ようやくちゃんと分かったの……前から、私達がピンチになった時、いつも助けてくれていたのは、護くんだったんだって」

 

 その不思議な“緑の光”を使っていない時も……護は第一に華の事を守護ろうと動いていた。そして華自身も、その事を薄々感じていた……その予想が今、本人によって証言された。

 

「……華ちゃん……」

 

「宇宙人……いえ、護くんは宇宙人……なんだよね……シオンさんと同じ……」

 

「……うん。シオンさんとは、違う星の生まれだけど……」

 

 ぽつぽつ、と自身の出自を簡単にだが語り始める護……ある程度した頃に既に護はシオンから“己の出自について”は明かされている……勿論、最初は嘘だと否定したが、シオンが語る事実は全て護が“幻視したヴィジョン”の辻褄と合うし、何よりシオンは“私自身……こんな出自だけど、なおさら私は、キミを三重連太陽系生まれの「ラティオ」ではなく、地球人の「天海 護」として扱いたい”と言った。

 

「……なら、北海道に居た頃は……」

 

「それも……僕なんだ……“天海 護”は最初から宇宙人なんだよ」

 

 言ってしまった……取り返しのつかない一言。しかし……

 

「……良かった……知らない宇宙人さんが護くんと入れ替わったんじゃないんだね♪」

 

 この時、護は改めて理解した。

 

 “信頼”というものの大切さ、一緒に過ごした時間……何より、他人に対して行った行為は、巡り廻って自分に返ってくる。

 幼馴染である華を幾度となく救って来た事で、護は華から大きな“信頼”を勝ち得ていた……その信頼は、彼が“宇宙人であった”という事実を知っても全く揺らがない程強固なものだったのである。

 

 華は能力を行使する故に身動きの取りにくい護へと近付き、優しく両手を広げて抱きつく……

 

「護くん、本当に……ありがとう……」

 

 耳元で囁やくように、華の口から溢れる感謝の言葉……しかし、低酸素状態で長時間意識を保っていられるほど、華の身体は丈夫ではなく、やがてゆっくりと意識を手放して眠ってしまう。

 

「……! ギャレオン! お願い、急いで!」

 

 突入前、事前に水瓶座から簡単なレクチャーを受けていたとはいえ、実際見るのとは理由が違う。自身が放つGパワーで生命維持は出来るものの、意識を失った事に驚いて、護はギャレオンを急かし、ギャレオンもまたそれに応えて虚空を駆けるのだった。

 

──────────

 

 それから数分後、護達を連れてアマテラスへと合流したギャレオン……護は凱達と無事だった事を喜び合う。

 

 しかし、それも束の間……反撃に出ようとする原種艦隊との激闘に備えるべく、凱はギャレオンとフュージョン。更にガオーマシン各機とファイナルフュージョンしガオガイガーとなる。

 

 原作では護もステルスガオーに搭乗して同行する事になるのだが、今回は戒道幾巳の安否も含め、本人からの要望もあって魚座のピスケガレオンの背に乗っている。

 なお、ピスケガレオンは先のパスダー戦の折の強化により、登場者の生命維持をあらゆる環境で行える様パワーアップしており、また、以心伝心な2体の連携も相まって、他の勇者達のサポートから護の身辺警護など、ボルフォッグの仕事を効率よくサポートできる新たな“仲間”となっていた。

 

『合体が必要な時には、彼は私が預かります。あなた達は自分の為すべき事をしなさい』

 

 グラヴィスの言に、ピスケガレオンの2人はやる気全開で護を背に宇宙を泳ぐ……

 

 撃龍神、ビッグボルフォッグも合体を済ませ、残るマイク部隊の発進準備も整い……GGGはアーマロイド達と合流すべく、原種艦隊へと進路を取るのだった。

 

──────────

 

 その一方……オービットベース内。

 

 黄金の繭に包まれたままのシオン。彼女の精神は、深い深い闇の中……何処とも知れぬ空間の中で、“何か”と対峙していた。

 

……何故……君……抵抗……

 

『アンタ等が“あの人達”を害するからよ、当然でしょ?』

 

 シオンの口調は何時になく攻撃的だ……それも当然、今の彼女は何かが“欠けてしまっている”。

 

『アンタ等のやっている事は、終末を加速させる不要な行為よ……この世界にはまだ早いわ!』

 

……不可解……我……世界……終末……確定……

 

『何が確定した終末よ! そんなのアンタ等が勝手に言ってる事じゃない? 不可解なのはアンタ等の方よ、今になってこの世界は不要だとか……神にでもなったつもり?』

 

……理解不能……我……終末……理由……皆無……

 

『ハッ、理由もなしに存在を抹消される側はたまったもんじゃなわ……知的生命体は理不尽に抗うものよ、その脳足りんな頭に刻んどきなさい!』

 

 気の知れた相手に対する口喧嘩にも聞こえるが、正しくは“謎の存在”と、稀星シオン(暫定)の喧嘩である。

 

 口汚く謎の存在を罵るシオンみたいな少女は、それまで現実に居たシオンとよく似てはいるが、髪の色は若干緑がかった金髪で瞳は青緑……この姿こそ、“Zオリジン”との融合前の姿であり、当時闘病生活を余儀なくされていた“本来の稀星シオン”の姿だった。

 

 だが如何に罵ろうとも、相手はただ只管に“この世界は終わらせる”の一点張り……もはや“馬の耳に念仏”という有り様だった。

 

『……全く……そこまで強情ならもう良いわ。私は私の“やりたい様にやる”だけよ!』

 

 そう言ってシオンはこの暗闇の中で唯一の光源……姿見くらいの光へと手を伸ばし、何度も叩く。

 

『……いい加減眼を醒ましなさい! “ソレ”は()()()“叶わなかった夢”であって、“貴女の夢”じゃないのよ……!!』

 

 つぅ……と、頬に一筋の涙が流れる。

 

 シオンの視線の先……光源は鏡であり、そこに映っていたのは“髪の色が違う姿の()()と、亡くなった筈の己の母が談笑している光景”……

 

『……もう、振り切ったと……思ってたのに……何でよ……何で今更……うぅ……っ……』

 

 鏡を叩く力は抜けていき、最後には縋る様にしてその場にしゃがみ込む。

 

 その光景を、遠目で見ている2つの“小さな光”……暫くはその場に浮いているだけだったが、やがてゆっくりとシオンの元へ接近していくのだった。

 

 

 

⇐ To be Continued...




後半は俗に言う精神世界です。
誰のって、そりゃシオンちゃんのですね……

現在、稀星シオンは本人以外の存在3つから干渉を受けています。
1つは“暫定管理者(見習い)”で間違いないですが、あと2つは……というかそもそも最初にシオンが罵っていた“アレ”って何なんでしょうね?(すっとぼけ)

さ、次回は後半戦……かな?
このゴチャ混ぜ模様にちゃんと決着を着けれると良いのですが……果たして……。

お楽しみに♪

今回、一番気になったものは?

  • 護と華の行く末
  • 何故か2人いるシオン
  • 謎の存在
  • 最後に出てきた“2つ光”
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