狂わなかった「Z」の力 ~勇者王ガオガイガーif 作:睦月透火
まぁ、《誰が》とか《何が》といった感じの微々たるものなので読み直すは必要はないかもしれませんが、一応参考までに。
では、前回からの続き……
不思議空間で“何者か”と言い争い、憤慨するシオン……
その後、死んだはずの母親と談笑する「鏡の中の自分」を見てしまった事で、振り切った筈の“未練”を感じてしまい涙する。
そんな光景を遠目から見ていた“2つの光”が、ゆっくりとシオンに近付いてくるのだった。
『それは
思い出を汚された故の憤慨か、それとも囚われた“もう一人の自分”の心情を察してか……シオンは鏡の中の光景に涙する。
先程まで映っていたのは、既にこの世に居ないこの世界のシオンの母と、自分と似て非なる者……“もう一人の自分”が、自分に成り代わって楽しそうに談笑している光景。
鏡の外にいる己は、地球で生まれた“
鏡に縋り付き、泣き崩れてしまうシオン……本当なら鏡の中の光景は、過去の自分が見るはずだったかもしれない光景。
しかし今、母の前で笑顔を見せる“
(……彼女も、早くに親と死に別れたのよね……)
もう一人の自分……
それは本来の“Zマスター”になるはずだった……それが何者かの歴史改変の影響でプロトタイプとされる“Zオリジン”へと代わり、人格を消されず、三重連太陽系の終焉とゾンダーの危機に際して故郷を追われ、地球へと落ち延びた“未知なる希望”……
己との合体で一度は人格まで完全融合を果たし、「地球を救う」という目的の為、陰日向に動いていた。
しかし、どういう訳か……融合していたはずの人格が“何か”によって再び依り分けられ、
本来ならば地球生まれのシオンは「優柔不断で推しに弱い」性格だった……しかし、今の彼女は「即断即決、一度決めたら絶対に曲げない」……と、当に正反対。
今の彼女は、“何者かの影響”によって融合前時点の精神とは全く異なる様に選別され、今のシオンの精神は理不尽さに憤る“反抗的な側面”が主体となっている……では反対に“従順的な側面”は何処にあるのか……?
それこそ、“鏡の中”の自分……リュシオであろう。
(今、分かった……今の私は、この世界に転生した“シオン”。そして鏡の中のもう一人は……三重連太陽系生まれのリュシオ*1……)
地球育ち故か、それとも幼い頃に施された親の教育故か……転生者としての己の精神を軸に“反抗的な側面”が寄り集められ、対する彼女には、この世界で産まれた彼女の精神を軸に“従順な側面”が寄り集められている。
奇しくも転生者としての己の精神は、いずれの世界でも変わらなかった両親……特に母親に近しいものだった。
「……でも、何だろ……あの子……心から笑えてない……?」
鏡の中、己の母と談笑している彼女を今一度見るが、その中に間違いなく残る違和感。それに気付き、シオンは独りでに呟く……しかしその言葉は、ゆっくりと近付いていた“2つの光”にハッキリと届き、その明るさを見違える程に変化させた。
「……っ?!」
背後で凄まじく光る光源が2つ……その光は瞬く間に漆黒で覆われたこの空間を覆い尽くし、揺らめく影……先程までシオンが罵倒していた“闇の塊”を消し飛ばし、その影響や痕跡を完全に塗り潰す。
《……さすがは紫の星の巫……いえ、今の状態では不適切ですね。今の貴方は、“転生者”といえば良いでしょうか?》
先に接近してきた光源はやがて人型を取り、西洋風の魔導師服を着た男の姿をになる。
僅かに遅れてもう一つ光源は、先の男より背の小さい……しかし似た服装で白銀の長髪の女性の姿に変わり、男へと耳打ちをする。
《先輩……この方は……》
《分かっています……司法府からの“通達”もありましたし、本試験は中断。以後は問題解決に向けての方策を練ります》
その答えに安堵のため息を吐いてから、女性は微笑んでシオンへと向き直り、ある行動に出た。
《この度は、私共より度重なるご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ありませんでした……ッ!!》
それは、彼女の誠心誠意を込めた謝罪……
頭を大地(?)にぶち当てながらの低身平伏……所謂、ジャパニーズDOGEZAだった。
「………………………………はぁ……」
この余りにも唐突な行動に、シオンはたっぷり3分ほど思考停止。その後ようやく復帰した己の頭が弾き出した応答は……毒気を抜かれた人物がよく行う「溜め息」だった。
「もう、良いですよ……そもそもの話、私の方が勝手に飛び込んでしまった様なものですし」
シオンは続けてこう話す……どうやら転生時の記憶がほんの僅かだが残っていた様である。いや、正確には“僅かに記憶が復帰した”だろうか……
実際問題、見習い管理者が受ける“試験”に用いられるは世界は、外部からの因果律の影響を受けないよう次元的に隔離・調節された空間内で行われる為、よほどの事がない限り外部からの干渉は受け付けない環境となっている。
それなのに外部からの干渉……それも、通常では有り得ない“転生者の魂が入り込む”事など前代未聞であった。
《いえ、通常なら転生者の魂はこの“隔離空間”には来れない筈なのです……本来、“転生”を管理するのは現行の管理者であり、この試験はその力を行使する権利を得る為の“試験”なのですから》
見習い管理者が受けるこの“試験”……それに受かる事で“転生者の魂”を選定し、管理世界の行く末を左右する“管理者”と認められ、“神的存在”へと至るのだという。
《人類という種が生まれ、人理を刻み始めてはや数百万年……近代において、世界は当に“ビッグバン”の如く無数に生まれ続けています。その原動力は、ヒトの探求力と、それによって得られた膨大な知識……後は“想像力”ですね》
光の男は語り出す……それは今や“世界創造”の原動力は“自然界の法則”ではなく、“人類の探求力と想像力”なのだと。
《我々からすれば、ヒトが頭の中で“1つの物語を想像し、世に書き残した”時点で、“その世界は誕生している”のです……ヒトの数……いえ、ヒトの想像力さえ絶えなければ、世界は新たに生まれる“可能性”を秘めているのです》
いきなり明かされる“世界想像の理”……いち人類でしかないシオンからすれば“は?”と首を傾げるしかない。しかし男はこの次に、“重大な事実”を口にした。
《そこに“彼奴”……いえ、“深遠なる闇*2”は目を付けたのでしょう。アレはヒトの持つ“想像力”を逆利用し、“特定の存在”に対して“終末へ向かう思想”を植え付け、ありとあらゆる世界を終焉に導いているのです》
その言葉に何故か、“想像力”が湧いた……そして“想像した”事で唐突に“理解”してしまった。
「……なによそれ……じゃあこの世界を終焉に導いてるのは……私達自身……?」
《……ある意味ではそうです。しかし、我々からすればそうではない……そう仕向けたのは“深遠なる闇”なのですから》
「そもそもその“深遠なる闇”って何なのよ……」
《“深遠なる闇”とは、“絶望”や“悪意”といった“マイナス思念”……そのあらゆる“負の概念”そのものが寄り集まり、極大なエネルギー生命体と化した、謂わば“負の極致”そのもの。奴は“概念的存在”が故に事実上、消去不可能です。“概念”とは、知的生命体が存在し続ける限り消えないものですから》
「……あなた達でも、不可能だと?」
《仰る通り……私達もまた“概念的存在”であり、“奴”も我々と同位の存在です。その為、我々には直接手出しすら出来ません……非常に腹立たしい事に》
「……待って、“我々には”?」
その言葉の中身に違和感を感じ、シオンは浮かんだ疑問を口にする。
《お気づきになりましたか……“奴”からは我々に対し一方的に影響を与える事が出来るのです。それも驚異的な強さで……》
“神的存在”であっても、奴の力には敵わない……
知的生命体が存在し続ける限り、“意識を終焉に向けさせる”概念的存在……それが“何か”に影響を及ぼし、この世界を含めてあらゆる世界を終焉に導く……それが“深遠なる闇”、それは“神的存在”にも一方的に勝る“負の概念”の化身。
《奴の発する“氣”に触れるだけで
触れるだけでアウト……しかも触れたら最後、全てを巻き込んで盛大に自爆し全てを滅ぼす為に動く。
「……何よ、そんなの……神様でも手出し禁止とかどういうクソゲーよ」
《……クソゲー……ですか。“言い得て妙”ですねぇw》
シオンの言葉に、光の女がクスッと笑った。絶望の極致の話だというのに、何でそんなに明るいのか……その疑問は、彼女の次の言葉で晴れた。
《だって、ゲームなら攻略法が必ずある……“アイツ”にも……あったんですよ……“攻略法”が!》
攻略法……神でも敵わない相手にそんなものが存在するのか? いや、実際にあるのならば、それは何なのか……不謹慎だがシオンは疑問よりも好奇心の方が勝り、次の言葉を待つ。
《知りたいですか?》
……だが、相方の男はその流れを強制的に止めた。
《……止めなさい!》
徐ろに右手を振り上げ、お笑いコンビもかくやといえるほどの見事な脳天チョップ……体格差的に最高威力となったタイミングで女の頭に直撃した一撃は、話の腰を折るのに充分すぎる一撃だった。
《ぷぎゅっ?! ……な、殴りましたね?! お父様にもぶたれた無かったのに!!》
《ソレが何の“ノリ”かは知りませんが、場を弁えなさい……それとも、
突然の脳天チョップから始まったコント……何処かで聞た事ある返しで反抗的な態度を見せて男に食って掛かる女に対し、男は毅然とした態度を途中で一変させ……当に悪魔の微笑みで女を睨み付けた。
《ッ!? な、ナンデモナイデース……》
「ブフッ……その顔で……ナンデモナイデースは……反則……」
笑顔なのに完全に笑ってない男の視線に気付いた女は途端に固まり、冷や汗ダラダラで目線を逸らす……女に何故か馬耳と赤いマスクを幻視してしまい吹き出すシオン。
だがお陰で先程までの怒りと哀しみも吹き飛んでしまい……既に笑いを堪えるのに必死だった。
「……もぅ、止めて……お腹痛……ッ……」
すっかり男女のコント模様と化してしまった2人の態度に、結局シオンは笑い過ぎて腹筋が痛むレベルにまで緊張を解されてしまった。
《……ようやく本題に入れますね》
先程までの深い悲しみすら忘れ笑いを堪えるシオンの様子に満足したのか、男は安堵するように言葉を吐いた。
「はぁ……はぁ……え……っ?」
《私は次元司法府・統括主導庁のアレス……彼女の上司で、多次元宇宙を個別管理する次元管理者の監査役でもあります》
《……で、この姿では“はじめまして”ですね。見習い管理官のヒビキです。最初に会ったのは、パスダー戦の直前辺りでしたっけ》
神的存在である男女のコントも唐突に終わりを告げ……
居直った2人から語られたのは、この世界の存亡を掛けた、未来の戦いについて……
そして現実世界では……アーマロイド達と合流したGGG艦隊と、最強7原種の原種艦隊との激戦が続いていた。
2つに分かれた人格のうち、檻の外で半ギレてたのは“転生者”の精神を軸に統合されたシオン、鏡の檻に囚われているのは“紫の星”生まれのリュシオの精神を軸に統合されたシオン。
なお、この世界の地球生まれシオンの“記憶”は転生者側にあるが、人格は“紫の星のシオン”の人格に統合されており、現状、鏡の中のシオンは“ある敵対存在”に対して非常に都合の良いように選り分けられてしまっている。
この時明かされた“多次元世界の成り立ち”と“深遠なる闇”……
世界に降り掛かる『厄災』がトリプルゼロ以外に出てくるとかこの世界カオス過ぎやろ(おまいう)
なお“深遠なる闇”の目的は勿論、世界の終焉……やだ~トリプルゼロとほぼ完全に利害一致してるやん、どないしよ?
シオンの身体に、何時の間にか自身の肉体に巣食っていた“深遠なる闇”の残滓。
浸食される様な心当たりは……何処だっけ?(すっとぼけ)
しかし“神的存在”ですら侵食し、破滅に導く“深遠なる闇”かぁ……果たしてこの世界は今後どうなってしまうのか?
そしてシオンちゃんって本来どういう存在?というのも少し分かってきたかも……
まぁ、最初からわりと精神構造とか変だったし思考が常人のソレとは掛け離れてる部分もあったしね。
さて、次回はいちおう舞台を現実世界に戻して本題の艦隊戦やろういい加減w
次回もお楽しみに♪
次回予告
君達に、最新情報を公開しよう!
原種艦隊とGGG・アーマロイド連合艦隊、
そしてジェイアーク……
三つ巴の思惑が折り重なる戦場で凱は
J、蠍座らと共に原種艦隊へと挑む。
だがその時、突如ESウィンドウが開き
再び大量に現れる未知なる敵……
そして反転色のクーゲルらしき存在も強襲。
この更なる混乱を助長するかの様に、
原種達は“切り札”を切るのだった……
次回、勇者王ガオガイガーif NEXT...
第86話『饗宴、再び……』
次回もこの小説で、ファイナルフュージョン承認!!
アナタが考察する“シオンの今後と結末”は?
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もう一度精神統合を果たして大団円
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人格分離した状態で終戦まで走り切る
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元鞘に収まる形で身体も分け、協力する