倉庫までの調査を終えた所で、時刻が19:20を指しました。
夜7時半に再度食堂で集合する予定になっていたので、私達は一度食堂へと戻ることにしました。
1階に降りて食堂に行くと、既に何人かは到着しているようです。
他の皆もちらほら戻ってきて、徐々に皆が食堂に集まってきます。
「むーー」
「ん?」
全員が揃うのを待っている間、ソフィーさんがロジーさんの真横に来て彼をじっと眺めていました。
「どうしたんだ?」
「ここで顔を見た時から思ってたんだけど……ロジーさんって、私と会った事あるよね?」
「なに…?」
不意に彼と顔見知りのように言い出すソフィーさん。
しかし、ロジーさんの方は覚えがないらしいのか困惑している様子。
「いや、君とは初めて会ったしよく知らないんだが」
「えーー?そうなの?ほんとに?」
「ああ、本当だ」
彼のリアクションには嘘をついている様子は微塵もありません。
「ふーん、じゃあ同姓同名の別人かな?でも、ここまで似てるって普通あるかな?」
「君は俺とよく似た人物と会った事があるのか?」
「うん、っていうかほぼ瓜二つのそっくりさんと顔見知りだよ」
ほう、これはまた奇妙ですね。
ソフィーさんはよく見知った顔のロジーさんのそっくりさんと出くわしたって事ですか。
「何のことだかさっぱりだが、俺は君の知り合いのロジーとは別人だよ」
「そっか……」
微妙に合点がいかない様子のソフィーさんですが、とりあえず納得したようです。
「あーー!エスカちゃん!久しぶり!」
奥の方ではフィリスさんがエスカさんの手を取って笑顔を振りまいていました。
「えっ?えっ?」
「エスカちゃん、私だよ!師匠のフィリスだよ」
フィリスさんが何かエスカさんと顔見知りであるかのように接しています。
しかしエスカさんは親し気なフィリスさんに困惑している様子。
どうやら彼女もロジーさん同様に身に覚えがないようです。
「あの……私、フィリスさんとは初めて会ったんですけど」
「ええっ!もしかしてエスカちゃん私の事忘れちゃったの!?」
「いえ……本当に初めて会ったんだと思います。フィリスさんの言うその方とは多分よく似た別人だと」
そ、そんなーー!?とびっくり仰天するフィリスさん。
彼女の口ぶりからすると、エスカさんによく似たお弟子さんがいたんでしょうか?
人違いだとわかり、彼女は肩を落とします。
「そ、そっかあ……ご、ごめんね。いきなり変な事言って」
「いえ、でも何か親近感沸いちゃいました。これからよろしくお願いしますね」
ふふ、と微笑んでエスカさんがフィリスさんに会釈しました。
それからはまたちらほらと人が戻ってきて、徐々に皆が揃い始めます。
数分経つ頃には、16人全員が食堂に集まっていました。
「皆揃ったようですね。じゃあ結果報告といきましょうか」
ロジーさんが取りまとめ役となり、皆に向けて言いました。
どうやらこれから今回の探索成果を報告する様です。
「それぞれ校舎内外を調べてもらったと思いますが、何か新たな発見などはありましたか?」
机に座った皆を見渡して、ロジーさんが皆に意見を求めました。
すると、まずフィリスさんが手を上げて発言します。
「私とトトリちゃんでこの食堂を調べてみたよ。冷蔵庫の中に美味しそうな食材が一杯あって、よりどりみどりって感じだったね」
「途中でモノクマが出てきて説明してくれたんだけど、ここの食材は適宜補充されていくんだって。だから何日滞在しても食料に困る事はないそうだよ」
ほう、つまり誰かが食材を補充してくれているんですね。
いったい誰が?
まあモノクマのスペアが一杯いるらしいのでそのスペア達が補充しているんでしょうが。
「私達は外の寄宿舎を調べました」
すっと手を上げたステラさんが続いて報告します。
「皆さんが寝泊まりする場所だそうで、部屋は調度私達の数と同じ16戸ありました」
「部屋の中に入るには、モノパッドをかざして認証すればロックが解除されるらしいですよ。ちなみに他人のモノパッドでは駄目で自分の物を使う必要があるみたいです」
ステラさんの後にロッテさんが言い添えました。
「部屋の中は特にコーディネートされてないですけど、そこそこ綺麗でしたね。個人個人で好きに内装を作れば良い部屋になりそうです」
「……ただ、部屋の中にもモニターと監視カメラがあるのがちょっと、でしたけど」
「うえっ!?部屋の中も監視されてるの!?」
「あら……それはちょっと困りものね」
「ブーブー!プライバシーの侵害反対!」
フィリスさん、アーシャさん、スールさんらが困惑したように言います。
モノクマの悪趣味な所行には本当に辟易しますよねまったく。
でも、ロッテさんの言う様に、部屋の内装はまだ何の模様作りもされていない状態でしたけど、内装を自分好みに模様替え出来るのはちょっと楽しみかもです。
「俺とエスカは壁にあった不自然なオブジェクトについて調べていました」
続いて、ロジーさんが報告を始めます。
「1階の教室を出た壁際に猫の形をした大きな銅像があったんです。明らかに異彩を放っていたので、何かあるのではないかと思い調べてみました」
「でも、色々見てみましたけど特におかしな所はなかったですね。見た目が愛くるしくて可愛いとは思いましたけど」
エスカさんが微笑んで話します。
ほう、そんな置物があったんですか。
まだ1階の教室は調べてなかったので後で時間がある時にでも見ておきましょう。
「私とリディーは地下の視聴覚教室を調べてきました!」
スールさんが元気よく手を上げて言いました。
へえ、この建物には地下室もあったんですか。
「1階の階段を降りた先に視聴覚室って書いた部屋があったんです。その中には色んなモニターがあって映像を見るための機材がありました」
「でもテレビとかは映らなかったです。何かビデオを入れて視聴するみたいで、そのビデオがどこにもなかったので」
視聴覚教室とは、映像視聴用のモニターがある教室のようですね。
今はビデオ類がないので何も見れないようですが。
「私達は倉庫を見てきたわ」
続いてミミさんが報告します。
「倉庫の中は結構広くて、雑貨類や“武器”が色々と置かれていたわよ」
「武器、ですか?」
ステラさんが違和感を覚えたように言いました。
「ええ。剣や槍、ナイフ、チェーンソーといった危険な武器類が保管されていました」
プラフタさんが補足説明します。
「な…!な、何でそんなものが」
「わかりませんが、おそらくモノクマが“コロシアイ”を奨励するために用意したものかと」
「なんて危険な……。そんな部屋は封鎖した方がいいのでは?」
「私もそれがいいと思いましたが、モノクマが現われて『倉庫の封鎖は認めない』との事です」
「くっ……モノクマめ、勝手な事を」
ロジーさんがギリっと唇を噛みしめました。
「ここではモノクマの言うルールは絶対ですので逆らうわけにもいきません。致し方ないでしょう」
「ま、私達が自制して過ごせば済む話だから私はそんなに心配はしてないけどね」
ミミさんが、何という事はないという様子で言います。
「自制かあ……でも、大丈夫なのかなあ?」
「まあ不安になるのもわかりますけど、ここにいる私達は皆その辺はしっかりしていそうですから、各々が自覚を持てば大丈夫だと思いますよ、先生」
不安がるロロナさんをトトリ先生が落ち着かせます。
「まあ、皆さん倉庫の中の物には注意する事を心がけましょう。出入り・持ち出しは自由になっていますが、各自危険さを意識しておく事が大切です」
プラフタさんがそう締めて、ひとまず倉庫の報告は終わりました。
「さて、じゃあ次は私が報告するね。私とアーシャさんで図書室を見てきたんだけど」
後を引き継いでソフィーさんが話し始めます。
「2階の突き当たりに図書室があってさ。そこで色んな本を見つけたよ」
「結構規模の大きな図書室だったよね。そこにはたくさんの蔵書が収められていたわ」
2人は図書室で見た様々な書籍のことを説明しました。
普通の学校の図書室よりも本格的な図書室で本が充実していたこと。
私はさっきほとんど読めなかったから、また今度行って何か読んでみようっと。
「あっ、私とエクス君は校舎を色々と見て周りました。食堂とか図書室とか倉庫とか。ミミさんやソフィーさん、フィリスさん達とちょくちょく出くわして被っちゃいましたけど。わかった事は既に皆さんが報告してくれた通りです」
頃合いだと思った私が手を上げて発言します。
既に被った皆さんが報告してくれたので改めて話す事は特にないんですけどね。
「私達は門の外を見てきたよ」
次いでロロナさんが手を上げて言いました。
「門を出た先にはとっても大きくて高い壁が立ってたの。建物を一周ぐるっと囲む形で……」
「うむ。高さは雲の中にまでかかるレベルでな。とても登って越えられる高さではなかった」
「ええっ!?それって本当なんですか?」
「ほんとに!?凄い、後で見てこよーっと!」
ロロナさん、ステルクさんの報告にリディーさん、フィリスさんが驚きを露わにします。
フィリスさんは何かわくわくしてる感じだけど。
「うん、それに壁のどこにも扉がなくて、完全に出口のない壁だったよ」
「つまり、脱出口がないって事ですか……?」
スールさんがリディーさんの横で驚いたように言います。
「そうなるな。試しに私が剣で切りつけて見たが、傷一つつけられなかった。どうやら相当頑丈な素材で出来ているらしい」
「確かにあの壁は頑丈だ。俺が拳で殴りつけてみてもびくともしなかったしな」
ステルクさんの発言にエクス君が頷きます。
私もすぐ傍で見てましたが、エクス君のパンチもかなりの威力だったのにまるで効果がなかったんですよね。
あの壁はいったいどういう材質で出来ているんでしょうか?
「ふうん……男性2人が本気で攻撃しても壊れない壁かあ」
ソフィーさんが顎に手を当てて思慮しています。
「もしかしたらその壁は錬金術の力で作られているのかもね」
「錬金術、ですか?」
「うん。特殊な素材を使って錬金すれば物理的に破壊できない防壁を作る事は可能だから」
なるほど、錬金術で作られた壁ですか。
確かにそれならどれだけの衝撃をぶつけても壊せないのは理解出来ますね。
「つまり、俺達をここに幽閉したのには錬金術士が関わっているという事か」
エクス君が周囲を見渡して言いました。
「そうなるかもね。でも、私達の中の誰かがやったってわけじゃないと思うよ」
「そうだよ!いくら錬金術の力が関係してるからって、皆を疑うのはよくないよエクス君」
「ふん、だがここに居る連中のほとんどが錬金術士だ。怪しむなという方が無理だろう」
私の窘めにも不審の目を変えないエクス君。
まったく、彼の不遜な態度は相変わらずですね。
「まあまあ。私達をここに送ってきたのは変な呪術師のおじさんなんだから。私達は関係ないと思うよ」
フィリスさんがおちゃらけた様子でエクス君に言います。
そうだ、確か元の原因である水晶玉を渡してきたのは、呪術師の高齢男性なんですよね。
「っていうか、そういえばフィリスさん達がここへ来たのもその呪術師が原因なんですか?」
そういえばフィリスさん達にはまだここへ来た経緯を訊いていませんでした。
「うん、私が依頼を受けてね。何かフードを被っててこもった年老いた声のお爺さんから水晶玉を渡されたんだよ」
フィリスさんの話では、私達やロジーさん達同様に、顔をフードで隠した初老の声の男性から水晶玉にかかった呪いを解いてほしいという依頼をされたようです。
それで見た所相当特殊な呪いがかけられていたらしく、彼女はソフィー先生とプラフタさんに相談に行ったんだとか。
そこへ調度リディーさんとスールさんが彼女達のアトリエテントに遊びにやってきて――。
タイミング悪く、その時に水晶玉から“例の激しい光”が放たれたらしいんです。
そして気が付いたら、私達同様にこの校舎の体育館で目が覚めたとのこと。
「いやー、いきなりでびっくりしちゃったよ。まさか水晶玉が急にあんな光るなんてね」
「私も不意を突かれて対処出来なかったよ。気が付いたら意識を失ってここで眠ってたし」
フィリスさん、ソフィーさんがその時の事を思い出すように言います。
「初老の男性ねえ……ほんとにそれは確かなのか?」
「え?」
ふと、エクス君が疑問を呈しました。
「だっておじさんの声だったんだから、そうなんじゃないの?」
「だが顔はフードで隠していたんだろう?声が老いていたからといって、その程度なら錬金術の力でいくらでも偽装できる」
むむ、なかなか疑い深い人ですねエクス君は。
「しかし、確かに一理あるな。私は声を聞いただけで相手の顔を見ていないのは確かだ」
「ステルクさんまでそんな事を」
彼に同調する様に言うステルクさん。
まさか、呪術師が声を偽装しててほんとは年齢も性別も違うっていうんですか?
「でも、あり得ない話じゃないですね」
「トトリ先生」
横でトトリ先生が考え込むように思考を巡らせています。
「よく考えてみれば、錬金術の力を使えば声程度ならいくらでも変えられるんですよ。わざわざフードを羽織って顔を隠していた所からも不審な点が多いです」
「まさか……本当は初老の男性ではないって事ですか?」
「その可能性は排除出来ないだろう」
ステルクさんが否定せずに頷きました。
「ということはだ」
エクス君が再び発言します。
「お前達の中の誰かがこの一連の計画を企てた可能性もあるという事だ」
「……!」
「錬金術の力を使い、俺達をここへとおびき寄せ、隔離してコロシアイをさせようと企んでいる……そんな不届き者がいるかもしれんな」
彼の物言いに、食堂の皆がざわつきます。
「ま、まさかあ……そんな事ってあると思う?リディー」
「わ、わかんないよ。でも、何だか不穏だねスーちゃん」
「わ、私は何も嘘なんてついてないよ!嘘ついてこんな企てするなんて、私の頭じゃできないよ…!」
「落ち着きなさいフィリス。何もあなたを疑っているわけではありませんよ」
「ステラ……まさか、私達の中の誰かが――」
「そんなはずないわよロッテ。きっと誰か部外者が仕掛けた陰謀に違いないわ」
「ロジーさん……私、何だか怖くなってきちゃいました」
「大丈夫だ、エスカ。俺がついてる」
「ロジーさん……」
「ふふ、お熱いわね2人とも」
「「ぶふっ!?」」
アーシャさんの茶茶入れにロジーさん、エスカさんがむせびました。
「な、何を言い出すんですかアーシャさん…!」
「そ、そうですよ!俺達はそんなんじゃ……!」
「ふふっ、まあそういう事にしておきましょっか」
軽妙に微笑んでアーシャさんが席から立ち上がりました。
そして軽く手を叩きます。
「はい、じゃあ今日の会合はこのくらいにしましょ。そろそろ皆お腹がすいてるんじゃないかしら?」
時計の方を見て彼女は言います。
見ると、時刻は夜8:00を指していました。
もうすっかり夜ご飯時です。
「この食堂には食材が色々揃ってるようだから、私が何か作ってみるわね」
アーシャさんが夕食を作る事を買って出ます。
どうやら彼女が全員分の食事を作ってくれるようです。
「でも、お1人じゃ大変じゃないですか?私も手伝わせてください」
「私もお手伝いします。料理は得意ですから」
リディーさん、エスカさんが一緒に料理を作る事を申し出ました。
彼女たちはどうやら料理に一定の自信があるようです。
それからは、彼女たち3人に任せて私達は食堂で夕食を待つ事にしました。
それから数十分ほどして、料理が完成しました。
私達は料理を作ってもらったので配膳など料理運びを手伝う事に。
そして程なくして皆の机上にそれぞれ料理が並びました。
出てきた料理は色とりどりのコース料理です。
「わーっ、すっごく美味しそう!」
色とりどりの品々にフィリスさんが目を輝かせています。
「では準備も整った事だし、早速いただきましょうか」
アーシャさんの合図で皆がいただきますをしました。
私も料理を口に運びます。
「お、美味しい…!」
な、何という美味しさでしょう。
これまで王宮の高級な料理を色々と食べてきましたが、これほど美味しい料理は生まれて初めて食べたかもしれません……!
「さっすがリディー!料理の腕はピカイチだね」
「ふふ、まあアーシャさんやエスカさんの協力があってこそだけどね」
「アーシャさんもエスカちゃんも、リディーちゃんも皆ありがとう!無茶苦茶美味しっ、美味しいよ、この料理…!」
フィリスさんが満足そうに料理にがっついています。
「そういってもらえると作った甲斐があるわね」
「ふふ、フィリスちゃんたら夢中になっちゃって。でも気持ちは凄くわかるよ」
「本当に美味しい。流石だなエスカ」
「えへへ。私ロジーさんに褒められたら毎日作っちゃいますよ」
皆、美味しい料理を噛みしめつつ食していますね。
「…………」
ふと私はエクス君の方を見てみました。
彼は黙々と無言で食べています。
しかし、その口元は微妙に口角が上がっていました。
おっ、これは内心満足しているんですね!
ぶっきらぼうなエクス君もこういう普通の人間味っぽい所はちゃんとあるみたい。
ちょっと安心しました。
それからしばらくして全員が料理を完食。
いやー、本当に美味しかったです。
「あら、そろそろ夜時間かしら」
アーシャさんの声で時計を見ると、夜9:15を指していました。
確か夜10時になると食堂を閉めるそうなので、そろそろ後片付けに入らないといけませんね。
「皆、今日は探索お疲れ様でした。残念ながら出口は見つからなかったけど、明日以降もまだまだ粘り強く出口を探していきましょ」
「そうですね。俺達も睡眠をしっかり取って明日に向けてエネルギーをチャージしないと」
「今日から寄宿舎で寝泊まりかー。私、慣れないから寝付けないかも」
「ふふ、スーちゃんたら。子供じゃないんだから」
「私はどこでも寝るのは平気だよ!ずっと各地を旅して回ってたからね」
「あー、確かにフィリスさんはどこでも平気で寝れちゃいそう」
「ステルクさんはちゃんと寝れそうですか?」
「ロロナ君、何故私にそれを訊く?」
「えー、案外慣れない環境だと寝れなかったりするのかなって思って」
「私は子供か!平気に決まっているだろう」
「あはは、それはそうですよね」
皆それぞれ、ここで寝泊まりする不安はあるようですね。
ちなみに私は何の問題もありません。
アールズでもしょっちゅう王宮から外に出てはアトリエで寝泊まりしてましたからね。
いつもと違う場所でも気にする事なく眠れる事でしょう。
その後、食事会はお開きとなり、私達は夜時間になる前に食堂を出ました。
寄宿舎の自分の部屋に入った所で、モノクマの声でアナウンスが流れました。
『校内放送、校内放送、ただいま夜時間になりました!夜時間の間は食堂と体育館は立ち入り禁止だから気をつけてくださいねー。では良い夢をgood night~』
ご丁寧に夜時間のアナウンスまで流れるんですね。
まったく、こういうどうでもいい所にはやたらと手が込んでるんだから。
私はため息をつきつつ、ベッドに横になりました。
今日は色々イレギュラーな事があったので流石に疲れましたね。
「…………」
いつものアトリエのベッドとは違う寝床に、ちょっぴり慣れない私。
でも、その程度のギャップはたいして気になりません。
疲れからかすぐに眠気が襲ってきて、程なくして私は眠りに落ちたのでした。
これから先に待ち構える、恐ろしい惨劇の事など何も知らずに――。