絶対絶望少女メルル   作:プレイズ

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プロローグ6

一方的に説明を打ち切ると、モノクマは教壇の裏側へと消えていきました。

私がすぐにそちらを確認すると、モノクマの影も形もありません。

「き、消えちゃった……」

「もう、いったい何なのよ…!あのクマは……!」

ミミさんが苛立ちを露わにして、槍の柄で床をタンタン叩きながら言いました。

「しかし、さっきのモノクマの言動が本当なら不穏ですね。コロシアイなんて」

「まさかー、きっと私達を驚かせようとしてあんな事言っただけだよ」

「でも先生、今の槍の雨はどう説明するんですか?」

楽観的に言うロロナさんにトトリ先生が指摘します。

「もしあれが他者に向けられていたら――」

「そ、それは……確かに危ない攻撃だったよね」

「それに、さっきのモノクマのライトを浴びてから錬金術も使えなくなっちゃいましたしね」

「う、うん。エンゼルフルハートが出せなくなっちゃった。出し方のやり方が何故か思い出せなくて」

「きっとあの光には記憶の一部を忘却させる作用があるのでしょう」

男性の声がして、私達は後ろを振り向きました。

そこにはエスカさんがロジーと呼んでいた方が立っていました。

「俺達もあなたと同様に、錬金術関係の技が出せなくなってしまいました。出そうとしても出し方の記憶が思い出せないんです」

「ってことは、やっぱりあの光にはそういう効果があったんだね」

納得したように頷くロロナさん。

「えっと、あなたは……」

「ああ、自己紹介がまだでしたね。俺の名はロジックス・フィクサリオといいます。言いにくいのでロジーで結構です」

「ロジーさん、だね。私はロロライナ・フリクセル。こっちも言いにくいからロロナでいいですよ」

初対面の2人が自己紹介し合います。

次いでロジーさんが皆に向けていいました。

「そうだ、皆さんもお互いを自己紹介しませんか?ここにいる皆の多くは初対面のようですから」

「そうですね。これからさっきのモノクマとやり合っていかないといけないようですから、まずは私達がお互いの事を知らないと」

トトリ先生が頷きます。

 

「では、各自皆に自己紹介をして回りましょうか。それで皆さんの事を互いに知りましょう」

ロジーさんの合図で、各自の自己紹介巡りが始まりました。

さて、私はどうしましょうか?

「あ、メルルちゃん。私はメルルちゃんが起きる前に何人かと自己紹介を済ませてるから、助言も兼ねて一緒に回ってあげようか?」

「トトリ先生、いいんですか?じゃあお言葉に甘えて一緒にお願いします」

トトリ先生が一緒に回ってくれるそうなので、私も快く頷きます。

じゃあまずは……あの人から行ってみましょう。

「あの、すみません。自己紹介いいですか?」

「うん?ああ、もちろんいいですよ」

くるりとこちらを振り向いたのは、先程モノクマとやり合っていた白コートの女性です。

得体の知れないモノクマ相手にも臆せず堂々と意見をぶつけていた勇敢な方なので、気になってまず最初に当たってみることにしました。

彼女は赤いショートへアーに赤いスカート、そして白いコートを羽織っています。

「私はメルルリンス・レーデ・アールズっていいます。長いのでメルルでいいです」

「メルルちゃんだね。私はソフィー・ノイエンミュラー。ソフィーって呼んでくれていいよ」

「ソフィーさんですね。よろしくお願いします」

「メルルちゃん、ソフィーさんは凄腕の錬金術士なんだよ。錬金術士の中でも相当な経験と実力があるみたいだから、色々と参考になるかもね」

「へえ、そうなんですか!トトリ先生が言うならかなりのレベルなんでしょうね」

「ふふ、トトリさん言い過ぎだよ……って事もないかな。まあそれなりに経験は積んできたからね」

少しだけ満足そうに微笑むソフィーさん。

先程のモノクマへの怒りの表情とは違って、穏やかで優しそうな雰囲気が漂っています。

「ま、錬金術の事で訊きたい事があったら何でも言ってよ。答えられる事なら何でも教えてあげるから」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

さて、ではお次は――。

ソフィーさんのすぐ隣にいた女性に今度は声をかけてみます。

「あの、すみません。自己紹介いいですか?」

「ああ、どうぞ。いいですよ」

問いかけに応じた声を聞いて、私はおやっと思いました。

この声、どこかで聞き覚えがあるような……。

「おや、どうしました?私の顔に何かついていますか?」

「い、いいえ!何でもありません」

「さっきトトリさんも同じような反応をしていましたが……」

「ふふ、やっぱりメルルちゃんも何かを感じたみたいだね」

くすりと笑ってトトリ先生が言いました。

「あの、先生、この声って……」

「うん、ミミちゃんとそっくり」

ああ!ようやく思い当たりました。

そう、この声ミミさんですよ。

まさしく声質が瓜二つ。

「ミミさん…?お知り合いの方ですか?」

「ええ。おーいっ!ミミちゃーん!ちょっと来てくれないかな」

トトリ先生が奥へと叫んでミミさんを呼びました。

少ししてミミさんがこちらへとやってきます。

「まったく何よ、突然呼び出して」

「!?こ、これは……」

「……!え、今の声って」

お互いに向き合って、目をパチクリさせる2人。

ほとんど瓜二つの声を聞けば無理もないでしょう。

「ええっ!何今の。その子、プラフタと声が凄く似てるね」

傍にいたソフィーさんが同じく驚いた様子で言いました。

「え、ええ。凄く私の声と似ていますね。びっくりしました」

「あなたは……?」

軽くフリーズしていたミミさんが彼女に問いかけます。

「私の名はプラフタ。そこのソフィーの師であり、友人であり、家族でもあります」

「私はミミ・ウリエ・フォン・シュヴァルツラング。長いからミミでいいわ」

「ちなみに私はメルルリンス・レーデ・アールズです。こちらも長いのメルルでいいですよ」

ミミさんのついでに私も自己紹介を済ませます。

ちなみにプラフタさんは緑のアクセントが入った白いドレスを着ていて、落ち着いた美しい女性という印象を抱かせます。

ソフィー先生の師らしく、博識で知的な人という感じですね。

「ミミさんにメルルさんですね。ミミさん……あなたの声は何故私とそんなに似ているのですか?」

「そんな事言われても……私が訊きたいくらいだわ」

「ふふ、何だか面白いね」

面食らっている2人にトトリ先生がころころと笑います。

「ソフィー、私は何だか不思議な感覚です」

「ほんと、そっくりすぎてどっちがどっちかわからなくなりそう」

ソフィーさんも困惑しつつも面白そうに笑っています。

これは、この先声で聞き間違いが発生しそうですね。

 

 

さて、ではお次は――。

「ねえねえ、自己紹介してもいいかな?」

「あ、はい。どうぞ」

おっと、逆に向こうから話しかけられてしまいました。

ちょうどいい、こちらから行く手間が省けそうです。

「私はフィリス・ミストルート!フィリスって呼んでね。私、錬金術士なんだ」

あ、この方は先程モノクマの自爆を錬金バリアで防いでいた人ですね。

水色のラインが入った白いコートを着て、ポニーテールの髪型をした女性です。

「ふふ、フィリスちゃんはちょっとぬけた子だけどなかなか面白い子なんだよ」

「はあ、そうなんですか…?」

「ちょっと!トトリちゃん何気に酷くない!?」

トトリ先生の言い様にフィリスさんがずるっとずっこけそうになります。

「あ、あはは……。えっと私はメルルっていいます。あの、さっきは凄かったですね。あの威力の爆発を前に瞬時に防御できるなんて」

「え?ああ、あれは全然大したことないよ。ソフィー先生の声を聞いて咄嗟にアイテムを投げたら上手くいったってだけだから。ソフィー先生のおかげかな」

「直感って奴ですか。それはそれで凄いと思いますよ。ってあれ?ソフィー“先生”?」

「ああ、ソフィーさんは私の錬金術の先生なんだよ。だからソフィー先生。錬金術の腕なら私なんかよりソフィー先生の方がずっと凄いと思うよ」

「ほう……さっきのフィリスさんよりもさらに実力が上とは、相当激ヤバな実力と見ていいですね」

ゴクリ。

トトリ先生やソフィーさん本人の口ぶりといい、いったいどれほどの力を秘めている人なのか。ちょっと末恐ろしくなってきました。

「あはは、でもさっきモノクマに錬金術の力は使えなくされちゃったから、ここでは錬金術の力はあんまり意味ないかもなんだけどね」

「は、ははは……それ言っちゃったら本末転倒なのでは?」

確かにさっき錬金術の力は記憶から忘却されて無効化されてしまったのでアドバンテージにはならないかもしれません。

……ソフィーさんには言わないでおこうっと。

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