黒潮お姉ちゃんシリーズ外伝   作:雨宮季弥99

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外伝 陽炎耳かき編
外伝 陽炎耳かき編


 今日は出撃も演習も遠征もない日。でも特に外に出る予定もない私は黒潮の部屋で本を読んでいる。本当、ここに入り浸るようになったわねぇ、私も……。

 

(ん? ……ん~……)

 

 ふと耳の中が痒くって指を突っ込む。なんか最近耳が痒くなることが多くなったわね。耳掃除はしてるんだけど、どうしたんだろ?

 

「……ろ……かげ…… 陽炎! 聞いとるんか!」

 

「うわ! く、黒潮、何よいきなり大声出して」

 

 後ろからの大声に振り向くと、黒潮が立っていた。もう、なんなのよいったい。

 

「突然ちゃうで。さっきから何回も呼んどるのに、聞いとらんかったん?」

 

 え、呼んでたの? 全然気づかなかった。

 

「ごめん。全然聞こえてなかったわ。で、何の用なの?」

 

「いや、大した用事があるわけやないけどな。でも、ホンマにそんな聞こえとらんかったん? ちょっと耳の中見てもええか?」

 

「ん~……ま、いいわ」

 

 耳の痒みの原因もわかるかもしれないし、ちょうど良いわね。

 

「じゃ失礼して……いや、陽炎。耳ん中えらい状態やで。耳掃除しと……いや、これはし過ぎかなんかで余計酷うなった感じやな」

 

「え、マジ!?」

 

 耳掃除のし過ぎで余計に耳が悪くなるなんて、最悪じゃないの。

 

「マジもマジの大マジや。陽炎、これちょっと一回掃除して綺麗にしてからちゃんとケアせえへんとマズイで」

 

「ん、んー……。仕方ないわね、それじゃぁお医者さんにちょっと行って……」

 

「何言うとるんや、ウチがしたるわ」

 

「……大丈夫なんでしょうね?」

 

 黒潮はなんでもないように言ってるけど、黒潮が耳かき上手だとか聞いた覚えないわよ。

 

「なんやそない心配なん? 大丈夫やで、これでも妹達からはまたやってくれ言われる程度にはちゃんとできるんや」

 

 妹達が? それならまぁ……大丈夫なのかしら?

 

「……じゃぁ、お願いするわ」

 

「まかしときーや。じゃぁ、用意してくるからちょっと待っとってーな」

 

 そう言って黒潮は部屋を出て行った。用意って……なに持ってくるのかしら?

 

 

 

 

 

 

「お待たせしたな陽炎」

 

 少しして戻ってきた黒潮の手には耳かき、綿棒。それとなんか瓶持ってるけど何かしら?

 

「黒潮、なんなのその瓶? そんなの耳かきで使うの?」

 

「これは耳かき用のローションやで。普段は使わんのやけどなぁ、今回は陽炎の耳のケアもせなアカンから持ってきたで」

 

「へ~、そんなのあるんだ」

 

 そんなのがあるなんて、聞いたことなかったなぁ。

 

「じゃ、耳かきしたるから、頭おいてーな」

 

 そう言って黒潮が正座したから、私はいつものように頭を置く。

 

「じゃ、始めるでー」

 

 その声が聞こえたと思うと綿棒が耳の外側をぐりぐりと擦り初めて来た。

 

 ゴシゴシ……グッグッ……グッグッ……コシュコシュ……。

 

 あ、なにこれ、なんか気持ちいい……。

 

「もう、外側も汚れとるなぁ。アカンでぇ陽炎。ちゃんとしたケアをせえへんと」

 

「……反省してるわよ。っていうか、なんか気持ちいわね、あんたの耳かき」

 

「そらぁ、ちゃんと本読んで勉強しとるから。例えば……ここら辺にツボがあるとかや」

 

 そう言って黒潮が綿棒で耳の上のほうを押してくる。すると、そこからじんわりと暖かくなっていって、耳全体が温かくなってきた。

 

「この辺のツボに腰痛にきくツボ、美肌のツボ、ストレス軽減のツボとかが集まっとってて、他にも……」

 

 そう言うと綿棒が耳から離れたと思うと、耳たぶが指で揉まれていく。

 

「この辺美肌とかバストアップのツボやとか……本当、色んなツボが耳にはあるんやで。ほ~ら、こうやってコネとったらそのうち陽炎の胸も大きくなるんちゃうか?」

 

「ウッサイ、改二になってから妙に胸がでかく成長したからっていい気になってんじゃないわよ。そんなのいいから、耳かきの続きしなさい」

 

「それもそうやな。じゃ、再開するでー」

 

 耳たぶから指が離れて再び綿棒が耳の外側を擦っていき、しばらくして外側全部が擦られた。

 

「ほい、外は終わりや。じゃぁ耳の中の掃除していくでー」

 

 そんな言葉が聞こえたと思うと、綿棒が耳の中に入ってきて耳の中をこすり始めた。

 

 ゴソゴソ……ザリザリ……グッ……ゾリゾリ……。

 

 ズズッ……ゴゾォッ……ザリザリ……。

 

「んん……すご……耳の中の音がスゴイ……」

 

「量が多いからなぁ。……んー、綿棒じゃちょっと取れないのもあるようやし、耳かきでもしてみるで」

 

 綿棒が引き抜かれて耳かきが入ってくる。金属製の冷たい耳かきが耳の中を擦っていく。綿棒で擦られて熱くなってるところに金属の冷たさがなんだか気持ちよかったんだけど、それもすぐに熱を帯びてくる。

 

 カリカリ……ガリ……ペリペリ……。

 

 ベリベリ……コリコリ……ゴソッ……。

 

「窪みのところに粉が溜まっとるなぁ、なんや掘ってるような気分になってくるわ。陽炎、痛かったりせえへんか?」

 

「だ……大丈夫よ。……んん……」

 

 耳かきが耳垢をとったり掻き出したりするたびに気持ちよさに声が出ちゃう。自分でやってる時もなんか気持ち良かったりしてたけど……やりすぎちゃってたのもそれが要因なんでしょうけど、黒潮にやってもらうほうが気持ちいい。自分でコントロールできない快感の波が頭の中に響く。

 

「陽炎、まだ寝たりしたらアカンで~。まだ耳かきは終わらんからなぁ~」

 

「わかってるわよ……」

 

 確かに眠いけどさぁ……。流石にまだ寝ないわよ。

 

「さ~て……こんなもんやなぁ。ローション塗ったるから、冷たいけど我慢してな」

 

 そんな呟きが聞こえたと思うと、耳の中に粘着性の液体が擦り付けられていく。耳かきで擦られて熱くなってた部分がちょうど冷めていく。

 

「さーて、こんなもんやな。陽炎、反対側もしたるから、そっちの耳を出してな」

 

「うん……」

 

 体を反転させ、黒潮のお腹を見る形になると、黒潮が耳かきを始める。

 

「こっちも似たような感じやなー。量は多いけど塞がっとるわけでもないからなんとかなりそうや」

 

 そんなことを言いながら黒潮は外側を擦ってるんだけど……。

 

「……ねぇ、なんかさっきから耳を摘まみすぎじゃない? しかもそこって確かバストアップのツボがあるとか言ってたわよね」

 

「あ、バレた? いやー、胸がでかくなった陽炎見てみたい思ってなぁ」

 

「くだらないことしてないでさっさと耳かきをしなさい」

 

「はいはい、わかったで」

 

 そう言うと黒潮は耳かきを再開する。今度は程なくして耳の中に耳かきが入ってきてゴソゴソと耳垢を掻き出していく。……あ、これちょっとマズイかも……。

 

「んん……」

 

 下がってきた瞼を一生懸命開く。まだ寝ちゃダメ。まだ……寝ちゃ……。

 

「陽炎、陽炎。いや、ホンマまだ寝んといてよ。寝てる中で耳かきしたら危ないんやからな」

 

「じゃぁ……早くして……ちょっとヤバイから」

 

 私がそう言うと耳かきの速度が速く……っていうほど速くはなってないけど……それでもなんとか瞼が落ちきるよりも早く耳かきは終わってくれて、ローションも無事に塗られた。

 

「終わったで陽炎。もうお休みしても大丈夫や」

 

「ん……じゃぁ……おやす……み」

 

 黒潮の言葉に私は頑張って開けていた瞼の力を全て抜き、眠りに落ちていった。

 

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