「……で、この状態、どうしろっていうの?」
「いやぁ……ごめんねぇ陽炎」
白露が私の部屋に駆け込んできたのはついさっき。何事かと思っていたら、後から追ってきた時雨と白露が部屋の扉を叩き始めて、それを聞きつけた不知火や親潮との問答が外から聞こえてくる。で、白露に事情を聴いてみたら、なんともアホらしい理由だった。
「大体、あんたの妹達なんだからちゃんと対応しなさいよ。なんで逃げてるのよ」
「いやいや、いきなり妹二人に体を舐められ始めたら普通驚くじゃん!」
……うんそうよね。それが普通ね。
「……まぁ言いたいことはわかったけど。だからってこっちに逃げるんじゃないわよ。もしも黒潮が二人に見つかったらどうなるかわかるでしょ?」
「う……そりゃ、そこは考えが足りなかったよ」
まったく。こうなった要因の一環が黒潮なのに、よりにもよって陽炎型の区画に逃げてくるなんて。早いところ処理して三人ともここから追い出さないと……。ん?
「ねぇ、なんか外の騒ぎ大きくなってない?」
「え? あ、そういえば……」
さっきまでは聞こえなかった音量で外から声が聞こえてくる。しかも単に大きいだけじゃなくてかなり激しそう……まさか!
私がそっと扉を開けると、そこには困惑した表情の黒潮と、それを庇うように前に立っている不知火と親潮。そして今にも黒潮に飛びかかろうとしている時雨と夕立の姿があった。くっそ、こうなるより早く三人を追い出したかったのに。
私はいったん扉を閉めて白露に向き直る。
「白露。黒潮が戻ってきたせいでやばい状態になってるわよ。……私が言いたいこと、わかるわよね?」
「え!? う、うん、勿論だよ。これ以上黒潮に迷惑はかけられないもん!」
そう言うと白露は部屋を飛び出した。
「こらあ! 何やってるの二人とも!」
そう叫んで白露は二人の頭に拳骨を叩き下ろしている。白露の乱入のおかげで一触即発の空気も飛んで行ったけど、ここからどうするのかしら? もし白露の説得が失敗して時雨と夕立が暴走した時には私も止めに入らないと。
「白露、痛いっぽい! そんなに黒潮のほうが大事なの!?」
「そうだよ! 僕達ばかり殴って黒潮は庇うなんて……!」
「他の人に迷惑かけてる時点で怒るのは当然でしょ! ほら、三人にちゃんと謝りなさい!」
白露の言葉に時雨も夕立も「ごめんなさい」って頭を下げたけど、明らかに納得してないわね。さて、ここから先どうするかしら……。私としてはあんまり艦娘の間で問題は起こしたくないけど……。
「陽炎も迷惑かけて本当ごめん! 二人にはあたしからきつく言っておくから今日はどうか大目に見てくれない?」
「……いいわよ。でも、二人がこれからも暴走するならその時は相応の対応をするからね」
釘を刺しておくと、白露は大きく頷き、それから二人を連れて廊下を歩いて行った。さて、私は私で三人……主に不知火と親潮をちゃんと宥めておかないと。はぁ、そっちはちゃんとやってよ白露。