「……二人とも、あたしが本気で怒ってるっていうのはわかってるよね?」
「う……」
「ぽい……」
自分の部屋に戻ったあたしは二人を正座させて睨み付ける。
「あたし相手ならまだしも、他の艦娘に迷惑かけるような真似をしちゃだめでしょ! 今回は向こうも穏便に済ませてくれたけど、もし問題が大きなったらどうするつもりなの!?」
「……でも、でも。僕は白露を取られたくなんてないんだよ……」
「夕立も同じっぽい!」
……はぁ、結局これかぁ。……うん、恥ずかしいけどあれしかないかなぁ。……恥ずかしいけど大丈夫大丈夫。白露は一番なんだから。欧米では常識だってビスマルクさんも言ってたし!
「時雨」
「なに? しらつ……ん!?」
あたしは時雨の前に腰を下ろすと、時雨の顔を掴んで問答無用でキスをした。真正面に時雨の驚いて目を見開いた顔が映るけど、構わずあたしはそのままキスを続け、少しして離れた。
「夕立」
「ぽいッ!?」
次に隣の夕立も同じようにキスをする。そして同じように離れてから、まだ呆けてる二人の肩を掴んでしっかりと視線を合わせる。
「これでわかったでしょ? あたしは黒潮にこんなことしないよ。優劣をつけるなんてしたくないけど、あたしは黒潮よりも時雨も、夕立も……ううん、妹達のほうが大切だと思ってるんだから」
そうしっかりと宣言する。これで黒潮達に迷惑をかけることもないだろうし、時雨達もあたしの事を信じて……。
「……きゅう」
「……ぽぃぃ」
「え? ちょ、ふ、二人とも!?」
突然二人とも気を失っちゃったんだけど!? ど、どういうことなの? どういうことなのーー!?
「……で、今のところ黒潮に被害はないのよね?」
「そうやねぇ。時雨も夕立も改めて謝ってくれたし、不知火も親潮も許す言うとったから大丈夫やで……まぁ、白露はちょい気の毒やけど」
そうねぇ。あれから白露の傍にはいっつも時雨か夕立が居るようになって、もっと言うと妹の誰かが大抵白露と一緒にいるようになったのだ。あれじゃぁ気が休まらないでしょうねぇ。
「まぁ、あんたも注意しなさいよ。あんたの甘やかしが度が過ぎてたのも原因なんだからね」
「う~ん。ウチ、そんなに甘やかした覚えもないけどなぁ……」
どの口が言うのか。
「……はぁ。ともかく、白露達はもう放っておいて大丈夫だと思うから、気にしなくていいわ。それより、膝枕してくれる?」
「ん。ええでー」
黒潮に正座してもらい、私はその上に頭を置く。そんな私の頭を黒潮は優しく撫でていく。
(本当……こういうのが自然にできるくせにそんなに甘やかしてないとか……どの口が言っているのかしらね)
黒潮の温もりを感じながら、私はそう思わずにはいられなかった。