「……はふ~」
「もう、白露気ぃ抜きすぎやで。軟体生物みたいになっとるやん」
「だってさぁ……気持ちいいんだもん」
今、あたしは黒潮の部屋で彼女に膝枕されたまま、だらしなく四肢を伸ばしてる……。医務室で一週間黒潮の部屋に遊びに来るように言われてから今日で4日目だけど……あたしはすっかり骨抜きにされてた。だってこの部屋にいる間黒潮はずーっとあたしを甘やかしてくれてさー。髪を梳かしてくれて、服の乱れを直してくれて、こうして横になってたら膝枕してくれて。アーンをしてくれて……。黒潮、甘やかし慣れてない?
「しかしまぁ……まさか4日でここまでになるとは思わんかったで。白露、ホンマ気張ってたんやなぁ」
「……仕方ないじゃん。時雨も夕立も改二になってどんどん強くなるし、村雨も強くなるし……。悔しいし情けないし恥ずかしいし……ほんと、もっと強くなりたいなぁ……こんなんじゃお姉ちゃんじゃないよ」
うう……言葉にしたら本当情けないなぁ……あれ、なんか視界がぼやけてきちゃった……。
「何言うとるん。強いだけがお姉ちゃんの資格ちゃうで……そんなん言うとったら、大和はんとかどないなるんや、武蔵はんのほうが先に改二なっとるんやで」
「……そうだけどさぁ……やっぱ強いほうがいいじゃん」
あたしがそう言ってダダを捏ねると、黒潮が優しく頭を撫でてくれる。
「白露。お姉ちゃん言うのは、ちゃんと妹達の事を考えて、面倒をみれる人やと思うねん。やから、いつも妹の為に動くことができとる白露は立派なお姉ちゃんや。強さだけやないんや。……やからこそ、白露はこうして甘えられる人がおらなアカンで。やないと白露が疲れてまうからな……」
なんだろうなぁ。凄い実感の籠った口調のような……もしかして陽炎も?
「……ねぇ黒潮。もしかして陽炎にも同じことしてる?」
「ごめんなぁ、それは陽炎のプライバシーやからウチの口からは言えへんわ。やから想像にお任せするしかないで」
否定しない時点で言っちゃってるようなものだと思うけど……そうかぁ、陽炎もこうして貰ってるのかぁ……。
「……黒潮、ちょっとお昼寝するねぇ」
「ほいほい。ゆっくりお休み」
そうかぁ、18人も妹がいる陽炎も同じなんだったら……あたしがこうしても良いよね。時雨達には見られてないんだし……いい……よね……。
黒潮の元で一週間、甘えに甘えたあたしは一気に体調も良くなって、お医者さんからも疲労回復のお墨付きをもらった。それで久しぶりに出撃したけど、今日は無茶をせずにMVPをとることができた! 時雨や夕立も驚かせたし、白露お姉ちゃん完全回復だね。
「今日の白露凄いっぽい! カッコイイっぽい~」
「そうだね。最近は無茶な戦い方が多くて心配だったけど、これなら心配いらないね」
「ふっふーん。見たか! これがお姉ちゃんの実力よ」
鎮守府の廊下を三人で歩きながら今日の出撃の事を話していると、向こうから陽炎と……あ、黒潮もいるじゃん。
「く~ろ~し~お~」
黒潮の姿を見てすぐにあたしは駆け出す。そしてこっちに気づいた黒潮に思い切り抱き着いた。
「黒潮聞いてよぉ、今日MVP取ったよぉ。黒潮の言う通り、無茶な戦いをせずに済んだからねぇ」
「お、おお。それはおめでとうや。でも白露、いきなり抱きつかんでえな。ビックリするし、甘えるんは部屋の中だけ言うたやろ?」
「そんなの関係ないもーん」
黒潮の言葉を聞き流しながら彼女に頬ずりする。んー、良い感触。
「……へぇ~、白露、黒潮に甘やかされてたんだ」
不意に肩を強い力で掴まれたと思うと、陽炎がなんか怒ってて……あれ、時雨と夕立もなんか変じゃない?
「……黒潮、どういう事なのか説明してくれないかな?」
「白露と何をしてたのか教えて欲しいっぽい」
……あれ、二人ってこんな怖かったっけ? あれ? あれれえ?
「ちょ、待ちい! 待ちいや三人とも! ちゃんと説明するから! 説明するからちょっと落ち着いてえな!」