IS Heroes   作:D1198

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Cross Point

 彼の内には一冊のノートが在った。彼を形作る記憶より更に深いところに刻まれ、それには文字が隙間無く記されていた。

 

 抽象的、心変わり、気分屋、理屈が通用しない、独自の価値観をもつ。数ページ目を通すだけで、それらがある存在の質に関して書かれている、そう気づくだろう。

 

 昨日と今日どころか、数分前と今、時々刻々と変わるその存在。数え上げれば際限が無く、それをある者は我が儘と呼び、ある者は情熱、またある者は猫かぶりと呼んだ。彼は困惑と尊敬を込めて“奔放”を選ぶ。

 

 空を駆け抜ける風の如くつかみ所無く、清流を流れる水の如く清らかで。

 

 そのノートの表紙には“女性とは”と記されていた。

 

 

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 金と銀、2人の少女と別れた彼は、撃墜したUnKnownの側に降り立った。それはオレンジの円錐形状で、末端からは小さい緑色のパイプが何本も飛び出していた。海に横たわり、ゆらりゆらりと浮かんでいた。先程まで吹き出していた煙はもう無くなっていた。

 

 みやのセンサーでも深部が走査できない為、焦げた人参としか形容の出来ないそれに、彼はゆっくりと手を延ばした。

 

 右腕部装甲を解除する直前の事である。とつぜん煙を吐いたかと思うと真二つに割れ、コルク栓が飛び出すかの様に上半分が飛んでいった。中から飛び出した影は、長い髪を持つ、どちらかと言えば幼い感じの、20代半ばの女性であった。

 

 金属の質感とゴムのような柔らかなさを持つ素材のうさぎ耳。肩を覆わんばかりに大きいフラットカラー(襟)に、提灯を模したパフスリーブの半袖。フリル縁の白いエプロンと、胸元を強調したフレア・ワンピースはラベンダーグレイ。さながら不思議の国のアリスを彷彿とさせた。

 

 なにより。その女性は眼を血走らせ、奇声を上げて、彼に襲いかかったのである。警戒していた彼だったが、人参から奇人が表れると夢にも思わず、呆気に取られあっさり捕まった。彼には、両手をかぎ爪の様にかざし迫り来るその姿が、うさぎ耳を付けた熊に見えた。その女性は、喚き散らし、真を散々ひっかき、噛みついた。みやのシールド越しに見るその姿は、さながら硝子越しに爪を立てる亡者の様であった。

 

 海面が波立ち、海水が2人を襲う。

 

 ずぶ濡れになったその女性は目を大きく開くと、今度は魂が入れ替わったかのように彼の身体を調査し始めた。我に返った真は、淡々と手を動かすその女性を抱きかかえ、空に舞い上がった。

 

 真の、みやの両腕に収まる妙齢の女性は、どこからともなく道具を取り出しては、真に宛がい、放り投げる。何度か繰り返した後、札のような紙を「ぺしっと」そう言いながら彼の額に貼り付けた。表面に文字が表れ、流れる。表れては水に流される泥のように文字が消えていった。それは“ナノマシン”を応用した紙状の測定器であった。結果を見た女性は落胆したようにこう言った。

 

「なんだいこれは。人相が悪いだけで大した事ないじゃないか」

「篠ノ之博士、お静かに願います」

 

 その女性こそ、神出鬼没、大胆不敵、無軌道にして破天荒、天駆ける大災厄。ISの生みの親にして希代の大天才、篠ノ之束であった。

 

 得体の知れない嫌悪を感じていた彼は、今すぐにでも放り捨てたいところであったが、束は“みや”の親であり千冬の友人であり、なにより。

 

「これ以上騒がれると手が滑って海に落とすかも知れません」

「いま、落とすって言わなかったかい?」

「“騒ぎ”が落とす、ですよ博士。俺ではありません」

「箒ちゃんも物好きだね。性格に問題ありだよ」

 

 箒の姉である。箒の記録を読んだ真は、束との距離を測りかねていた。もちろんそれは昨夜の、箒の告白の事であった。

 

「それならご心配には及びません。解決済みです」

「どういう意味かな?」

「博士は男女関係に疎いようです」

「おやおや? 強面に似合わず随分可愛らしい事を言う」

 

 夏とは言え濡れた身体に高い空は冷える。腕をさする束を、彼は渋々シールドの内に招き入れた。湿り気を帯びた長い髪が目元、頬、唇。首筋から胸元に流れていた。薄手の生地が肢体の形を浮かび上がらせていた。

 

 彼は意識の線が見えない束の有り様に疑問を持ったが、執着しなかった。明日どころか数分後にでも忘れるかもしれないからである。

 

「男と女は現実ですよ」

「現実なんて物は無いね。あるのはただの認識さ」

「そうですね」

「その眼に見覚えがあるよ。見透かす様で癇に障る」

「意外です。ご交友は狭いと伺っておりました」

「特別に聞いてあげよう。何が言いたいんだい?」

「ではお言葉に甘えて、」

 

 彼は束を抱きかかえたまま、左指で額の札を剥がした。苛立ちを隠さない束に、静かにこう告げた。

 

「少し静かにしてくれないか。俺は貴女の生い立ちに興味は無いんだ」

 

 

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 2人は木々の間を歩いていた。人目を避けろ、千冬の連絡を受けた真は僅かばかり離れた場所に降り立った。そこは岬の更に先端で、本部を兼ねる宿まで徒歩15分という距離である。

 

 そこは草木に囲まれていたが薄暗くはない。見上げれば揺らぐ木の葉越しに、太陽も見え隠れしていた。束は、足下に絡む鋭利な植物に辟易しながら、悪態をついていた。歩調に合わせてうさぎの耳が上下に揺れていた。

 

「むかむかむかむか! なんだいあの男! こんな屈辱初めてだよ!」

「博士」

 

 彼女は背後の真を意識の外に追いやろうと、肩を怒らせ足下の雑草を踏み抜いた。ざくりと植物の悲鳴が上がる。

 

「大体なんだいあれ!? “静かにしてくれないか。俺は貴女の生い立ちに興味は無いんだ”だって! 格好付けているつもりかい!」

「博士」

 

「目付き悪いし、左頬に傷があるし、左腕無いし、髪は黒いくせに眼は碧だし、根暗だし!」

「博士」

 

「なんとか箒ちゃんを説得しないと。可愛い妹が苦労する様なんて見たくないからね!」

「博士。そのまま進むと危険です。崖に落ちる」

「え?」

 

 踏み込んだ束の右足は宙を切った。転がり落ちる音と、か細い悲鳴。底でひっくり返る束は、泥にまみれながら、数メートル上の真を睨み下ろしていた。

 

「上長が呼んでいますので直ぐ這い上がって下さい。あと派手な下着ですね」

 

 スカートの奥を見られ、羞恥も怒りもあった。だが眉一つ動かさない年下の真にこれ以上動じるのは矜持に関わると、理性を総動員させた。束は今の真の状態を知らない、彼女にとっては不愉快な16歳の少年でしかない。だが憤りは消えること無く彼女の中で暴風のように吹き荒れる。

 

「最低」

 

 それは彼女にとって、少なくとも男に向けた初めての言葉となった。

 

 

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 “ここで待っていて下さい”と真が立ち去って数刻経つ。束は、舗装された煉瓦色の歩道、円弧の様に描かれた歩道の間、ヘアピン・カーブのその中心。そこに設けられた休憩所に腰掛け唸っていた。円筒形の壁に、円錐の屋根。壁を大きく抜いた窓からは海が一望出来た。内壁に沿う様に円弧のベンチがあった。

 

「ぐぬー ぐぬー ぐぬぬー」

 

 しかめ面の束が両手にするのは真が手渡した缶のアイス・ココアである。“これはただのココア”、“これはあの不愉快な男が手渡したココア”理性と感情の二つに挟まれ、彼女は苦悩していた。

 

 彼女は憤りのあまり、ここに降り立った目的を忘れていた。彼女にとって長時間の滞在は好ましくない、にもかかわらずである。

 

 吹いた海風を合図に習慣的動作で缶を開ければ、カカオの香りが口内に広がった。心が静まり、学者としての意識が表に出る。窓から見える水辺線を見つめると、記録で見た真と実在の真との相違に気づいた。

 

(変だね、箒ちゃんと話していた時と随分印象が違う。なんでだろうね)

 

 その表情に残酷なまでに静かな、数字の様な理性が表れた。

 

(人格に変化が生じたと仮定しようか。過大な心理的負荷? 違う、そこまでの負荷ならみやが何らかのアクションを起こす。 カテゴリー3ナノマシンの影響? 違う、影響を受ける事は、乗っ取られること同義だ。無事で居られるはずが無い。今頃ケイ素の塊になっているはず。

 

 しかしそれならば何故瞳が碧に? 因子変化ならば毛の色も変わっていなければ理屈に合わない。元々碧眼の因子を持っていてそれがナノマシンの影響で顕在化した……違う。これだと乗っ取りを否定出来ない。生物にこれを制御出来ない。

 

 ナノマシンを制御する何らかの能力、を持っていると仮定した場合。調査では特筆する結果は無かった。強力な自己保存、自己複製本能を持つ、決して生物と共存しないカテゴリー3ナノマシン。これはカテゴリー1,2の上位的存在。あの測定器はナノマシン3でこの束さんが創った物。生物とは共存しない……)

 

「私はなにを見落としている?」

「しばらく見ないうちに独り言が多くなったわ」

 

 束が跳躍したのと、1本の糸が繰り出されたのは同時だった。彼女が直前まで座っていたコンクリートの塊が、切り刻まれ、音を立てて崩れ落ちた。積み木の家が崩れる様である。編み出した重力でその身体を宙に踊らせていた束が、大地に舞い降りる。大地に根付く薄い草々が、その重力で円形に押しつぶされた。

 

 木の陰から表れたのは、こんじきの糸使い。黒いジャージを身に纏い、長い髪をなびかせて立っていた。陽の光を浴びて、紡ぐ糸が光を放つ。虹色のつむじ風がそこに在った。

 

 束は眼を見開き、牙を剥いた。

 

「相変わらず血の気の多い女だね!」

「うちの生徒にちょっかい出した落とし前、付けさせて貰うわよ」

 

 ディアナは広げていた両手を、羽ばたくように胸の前で交差させた。それは羽を広げた天使が赤子を抱くようにも見えたし、羽衣を靡かせながらハープを奏でる女神の様にも見えた。ただし、織りなすのは致死の糸。

 

 繰り出す糸が弧を描き、波を打ち、束に襲いかかる。空間を軋ませる程に振動する糸が、束の身体に絡まる、その直前。彼女の姿が右手5mに音も無く滑り、動いた。重力を用いた極短距離の歪空間移動。目標を失った糸が、背後の巨石を粉砕した。ガラスを引っ掻く様な音を立て塵と化す。

 

 黒い煙が立ち上る。束の右手には、空中投影コンソールがあった。彼女の姿は、銃を抜く様であった。

 

「聞き捨てならないね。証拠はあるのかい?」

「忘れたかしら? 私は問題が起る前に潰す主義なの。死になさい」

「そうか。腹立たしいのも納得だね。あの男の眼、お前に似ているんだ」

「嬉しい事言うわね。お礼に、切り刻んであげる」

 

 二つの強大な殺意の意識。それが激突する瞬間、一筋の刀氣が2人の間を斬り裂いた。それは天空を断たんばかりに巨大で、大地を旅してきた水の様に清らかだった。

 

 巻き上がる土煙と草と石。一帯を吹き荒れる牙の風。

 

 それは大地に深い爪跡を残し、震えさせた。未だ収まらない土煙の中から、黒髪の女性が白いジャージ姿で現れた。左手に鞘を持ち、右手には一振りの日本刀を携えていた。刃は夜を退けんとする程の光を放つ。巻き上げられた巨木が大地に落ちた。

 

 千冬は、束の影を見ながらディアナにゆっくりと歩み寄る。

 

「ディアナ。ここは私に預けてくれないか」

「いい加減にしなさい千冬。狙いはどうあれ学園が消えかけたのよ」

「Heaven’s Fall なら私も知っている。だが安易に判断したくない」

「……今回だけ。良いわね?」

「すまん」

「良いわよ、千冬の尻ぬぐいは私の仕事だもの。それにしても相変わらず足が速いわ」

 

 ディアナが詰まらなそうに、肩の髪を払い梳いたとき。崖の先端が十数メートルに渡って崩落した。千冬が刀を収めたとき、束の姿は消えていた。

 

 

 束は森の中を駆けていた。あるときは大地を蹴り、またあるときは木の葉の上。手足を曲げ、風に身を躍らせた。長いスカートがはためくその姿は百合の様である。彼女は苛立ちを隠さず、背後の強大な気配を睨み上げた。

 

「全くとんでもない女だね。糸の振動で分子結合を崩壊させるなんて出鱈目にも程があるよ。これだから“Walker”は嫌なんだ!!」

 

 束はほんの少し異なる空間に、様々な装備を隠し持っている。その彼女とて、ディアナに生身で立ち向かう事は愚挙である。千冬が助け船を入れた事は事実であった。

 

「でも、そこは流石のちーちゃん。優しいし格好いいし無敵んぐだね……」

 

 束の脳裏に蘇る、美しい黒と金のコントラスト。自分の赤紫色の髪をじっと見ると束は、眼を伏せた。千冬は束では無くディアナの元に歩み寄った、これは事実であった。

 

 束は歩みを止め、大地に降り立った。立ち尽くす木々の間、緑の葉が枯れ葉の様に舞い落ちる。

 

「あー 疲れた。もう帰ろう……ってなんてこったい! この束さんとした事が箒ちゃんを忘れてたじゃないか! ごめんね箒ちゃん! 今すぐいきょ! ……噛んでない大丈夫!!」

 

 束は面を上げると、妹の名を声高らかに叫びながら、森の中を飛び跳ねて行った。

 

 

 

 

 

 

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 陽が南中に掛る頃。切り立った崖の上に少女が1人立っていた。纏うISスーツはワンピース水着の様な黒色で、赤いラインを腰周りに引いていた。

 

 結い流すのは黒く長い艶やかな髪。海風に吹かれ、若苗色のリボンと共に揺れていた。何時もは刀の様に伸ばす背筋を、抱きしめるかの様に丸めていた。己を繋ぎ止めるかの様に二の腕を抱いていた。釣り上がった目尻は下がり、瞳も揺らぐ。

 

 箒が思いを言葉にしてから一つ夜が過ぎた。目が眩む程に高い岬。彼女は鋭利な岩盤の向こうに立つ荒波をじっと見ていた。

 

 突然警報が鳴り何事かと思う間もなく訓練は中止になった。自室待機を命じられたが、雑踏に紛れ、駆けだした。呼び止める本音の声を振り切った。1人で居たかった。

 

“最近の箒は暴力的だ” “私は前からこうだ”

 

 何度も繰り返した、手拍子の様な合いの声。

 

「こんな、がさつな娘では仕方ないか」

 

 友人からの信頼と彼女の思い。誓いという刃は欠け落ちた。海風に寒さを感じ、二の腕を擦ったその時である。彼方から聞こえる身内の声は、

 

「ほーきちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

 地を駆る早馬の、ひづめの様だった。

 

「早まったら駄目だよ! そんな事おねーちゃん許さないからねっ!」

 

 風の様に抱きしめられた。

 

「ね、ねぇさん。く、苦しい」

 

 この妹にしてあの姉の、豊かな胸の中。箒は戸惑いつつも、懐かしい香りに冷えた心と身体を委ねていた。

 

 

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 早合点だと気づいた束は一転、上機嫌である。入学を境にした3ヶ月と少々はアレテーのジャミングを受け、覗く事すら叶わなかったからだ。

 

 彼女の目の前には、15歳になった妹が立っていた。他人から見ても混じりけの無い雪の様に静かに、白く、美しく。姉の目ならば3倍増しである。

 

「うんうん、美人さんになったね。おねーちゃんは鼻高々だよ。まぁ募る話は後にして早速作業に取りかかろうか」

 

 束が左手を右から左に流すと、光子の仮想コンソールが彼女の目の前に表れた。左右にある土星の輪の様なパターンに両の手を宛がい、球状のUI(ユーザー・インターフェース)を操作する。束の操作に、意思に応じて2人から数メートル先に、文様が浮かび上がった。それは曼荼羅の様でもあり、棘縁の鏡の様でもあった。ある者は魔法陣と呼んだだろう。

 

 2つの空間が繋がる。フィルムを重ねる様にゆっくりと表れた物は、

 

「紅色の第4世代型IS、その名も“紅椿”だよ! さー どうだい!? この美しいシルエット! 箒ちゃんにぴったり……箒ちゃん?」

 

 浮かれていた束はこの時ようやく妹に気がついた。箒は両手を前に俯き、姉に深々と頭を下げた。

 

「姉さん。ごめんなさい。折角創って頂いたのにもう理由が無くなりました。その機体は立派な者に―」

 

 言いよどむ箒の言葉。初めて見る妹の弱気な姿。束は箒の頬に指を添えるとこう言った。

 

「おねーちゃんに言ってごらん。何があったんだい?」

 

 顔を上げた箒は歯を食いしばり大粒の涙を流していた。

 

「力を持つと心すら自由に出来ない。私はそれが分かっていたのに、両方得ようとして両方失ってしまいました」

 

 箒は力を求めた。その動機は、友との誓いであり、彼女の好意だった。真の側で剣を振うには強いISが必要だった。

 

 だがIS適正はC。何の後ろ盾も持たない彼女は、その願いを果たさんが為、憎んですらいた姉を利用した。今までの自分を翻した。篠ノ之束の妹という立場を使い、クラスメイトの努力を侮辱した。そのなりふり構わない振る舞いに、かっての自分を重ねた彼女は彼に相談したのである。

 

“自分を尊重したらどうか、と思うよ”

 

 彼と共にあれば正しく力を奮えるかもしれない。15歳の箒は思いを告げ、そして失った。

 

 震える声で紡がれる15歳の少女の告白。黙って聞いていた束は妹を強く抱きしめ、慰めた。数刻が過ぎ、箒が鳴き止んだころ静かにこう告げた。箒の両肩に手を置く束の姿はただの姉であった。

 

「箒ちゃんは因果律って知ってるかな?」

 

 箒は静かに首を振った。

 

「原因があって結果がある。ここに距離も時間も無い。そしてこの世界に在る以上どのような存在もこの原理に縛られる。原理とは式。転じて、これに則れば時間だって越えられる。空間だって渡る事が出来る。一見不可能に思える事も可能になる。神を殺す事すら」

 

 荒波の遠吠えが響き渡るその場所で、姉は妹の涙を拭った。

 

「いいかい? 箒ちゃん、よくお聞き……欲しい“もの”は必ず手に入れる。奪われた“もの”は取り返す。屈しない事、世の理すらねじ伏せる事。これが篠ノ之家の家訓だよ!」

「姉さん、それは無茶苦茶です」

「もちろん。私は天災だからね。そして箒ちゃんはこの私の妹だよ。出来ない事なんて無いさ」

 

 創造主の意思に応じ、紅椿が形を変えた。紅い鎧の中央、そこには箒の座があった。

 

「この子は、箒ちゃんが必要になったとき箒ちゃんだけを助けるよ。その為におねーちゃんが丹精込めて拵えたんだからね。だから持ってお行き」

 

 箒は笑顔で頷いた。2人は紅い鎧の準備が済むまで、かっての様に仲の良い姉妹だった。箒は、紅椿の二振り一対の姉妹刀を抜くと、コンソールに向かう姉の背にこう笑いかけた。

 

「これは良い感じです」

 

 束は振り向かず、もちろんだと陽気に答えたが、

 

(なんなのさ、あいつ。ちょぉっと、っかちーんって来たよ……これはきついお仕置きが必要だね)

 

 その心中腹の中。狂気という怒りが眼を覚まし、首をもたげていた。それはIS学園臨海学校2日目、午後2時を回った頃である。

 




皆様。私はやってしまいました。

・Heaven’s Fall = ナノマシン事件
・Walker = ディアナらの事

なんなのでしょう。この何かが首筋をなでる感覚。腹の底がマグマのように滾る感覚……これが厨ニハート? うひゃほぅ。

2013/01/15



以下、ネタバレかもしれない作者のぼやき











































真は束(福音)フラグを立てました。次から大変ー 私が。
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