真剣でKUKIに恋しなさい!   作:chemi

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4話『クローンとの出会い』

 

 ヘリが一機、海の上を横断していた。その側面にはKUKIの文字が見える。

 天気は快晴。雲一つない空はともすると海と同化しそうな青一色である。

 ヘリの向かう先は、小笠原諸島の一つで九鬼の所有する島――クローンたちが育てられている場所だった。

 計画が発覚してから1週間、ようやく帝との連絡がとれた征士郎は、クローンとの顔合わせを希望し、それが叶ったのが今日である。ついでにマープルの処遇も降格とそれに合わせた減給に決まったのだった。

 隠居するならその頭に詰まった知識を受け継がせてからと言い放った帝。彼自身もその才能を手放す気はなかったようだ。

 ヘリは無事着陸し、征士郎は島へと上陸した。先に連絡いっていたのか、数名の研究員と10人の従者たちが待機している。

 征士郎の前に一人の従者が進み出る。その顔は見覚えのあるものだった。

 

「ようこそおいでくださいました、征士郎様。不肖、この桐山鯉が貴方様の案内役を務めさせていただきます」

 

 ペコリと頭をさげる桐山。それに対して、一緒に同行していたステイシーがあからさまに嫌な顔をした。彼女がそういう態度を表したのは訳がある。

 桐山は、若手主導の体制に不満を抱いている九鬼従者の老人たちの手先であり、同じ若手でありながらその矛先を同僚たちに向ける急先鋒だからである。事あるごとにどんな些細なことも指摘し、さらには余計なひと言まで付け加え、従来の体制に戻すべきと主張する嫌な奴と若手従者の中では認識されているのだ。

 しかし、九鬼を第一に考えているのも事実である。細かい指摘もその九鬼を思えばこそ。当然その指摘も的確であった。

 同時に序列1位を狙う野心家でもあり、以前は征士郎の専属も狙っていたことがある。

 

「よろしく頼む。すぐにでも会えるのか?」

「もちろんでございます。全員、既に同じ場所へ集めております」

 

 桐山はすぐ近くに止めてあった車の後部座席の扉を開ける。ここからは車での移動ということらしい。

 桐山が運転席、助手席にステイシー。後部座席に李と征士郎が乗り込んだ。

 しばらく景色を眺めていた征士郎だが、ふいに桐山に声をかける。

 

「桐山は序列を落とさずにすんだらしいな」

 

 計画の関係者の多くがそれなりに降格をくらっている中、お咎めなしであったのはこの桐山だけであった。

 

「はい。マープルが私の事を庇ってくださいました。あのときのマープルはまさに我が母そのものでした」

「ハッ! どうせならお前も998位からやり直せばよかったのによー。マザコン野郎」

 

 ステイシーが歯に衣着せぬ物言いをした。ちなみにマープルが1000位、揚羽の専属従者が999位である。

 しかし、桐山は慣れているのかいつもの笑みを崩さない。

 

「マザコンは私にとって褒め言葉です。マープルが守ってくださったこの序列、期待に応えるためにも私はさらに精進していきますよ。とりあえず、ステイシーさんは征士郎様の前なのですから、その口調をどうにかした方がよろしいかと」

「征士郎様からはちゃんと許しを頂いてるよ。それに他人が聞いてるわけじゃねえんだ。堅苦しいのは嫌いなんだよ……征士郎様はそこらへんを分かってくれるロックなご主人様だぜ」

 

 李が会話に混ざる。

 

「ステイシーは、征士郎様の専属なら楽しくやれそうだと言っていたくらいですからね」

「まあな。どうです、征士郎様? 今からでも全然ありですよ!」

 

 ステイシーが後ろを振り返り、そんなことを口走った。

 「ステイシー!?」李の語気が強くなる。さらに、それに追随する者も現れた。

 

「それなら私も立候補させてもらってもよろしいでしょうか? 我が母は言いました。バットは振らなければ当たらないと」

「桐山まで!? 何を言ってるんですか! 征士郎様の専属は既に私がいるんですよ!」

 

 アタフタする李はどこか小動物のような可愛げがある。ニシシと笑うステイシーはどうやらからかっているようだ。桐山も笑っているが、こちらは案外本気で言っている可能性もある。

 征士郎は賑やかな様子を見守っていたが、専属従者が暴走すると困るので助け舟を出す。

 

「ハハハッ、お前たちの気持ちはありがたいが、李は俺の従者をよくやってくれている。それにステイシー……あまり同僚をからかってやるな。桐山もお前は紋白の専属を狙っているのだろう? そちらに専念しておけ」

「了解でーす」

「かしこまりました」

 

 その言葉にほっと溜息をついた李。次いで、ステイシーが紋白の専属を狙っていることに対して桐山につっかかっていた。

 賑やかな車は林の間に整備された道をどんどん奥へと進んでいく。

 

 

 □

 

 

 車が行き着いた先は学校であった。コンクリートの白い建物だが、長年の風雨の影響もあってか、所々侵食が起こっている。その背後には林、いや森が広がっていた。海が近いため強い潮の香りがする。そして、少し歩けば砂浜もあるようだ。今は春休み、よって他の生徒たちの姿もない。というよりも学生はおろか一般人の姿が、征士郎たち以外に見当たらない。

 

「自然以外になんもねーんだな。退屈しそうだぜ」

 

 ステイシーがキョロキョロと辺りを見渡しながら呟いた。

 同じように周囲を観察していた李が答える。

 

「世間の目にさらせないという点では都合が良いのではないですか? それに都会では良くも悪くも影響が大きいでしょうし」

 

 そこへ一匹の犬が走り寄って来る。ステイシーがそいつを両手で抱えあげた。

 

「第一村人発見だぜ」

「人ではありませんが……迷子でしょうか? 迷子の犬を発見、ふふっ」

 

 パタパタと尻尾をふる犬。人に慣れているところを見るに飼い犬のようだ。征士郎が顎をくすぐってやると気持ち良さそうに目を細めた。

 桐山が李の疑問に答える。

 

「その子は漁師の柴田様の飼い犬ですね。名は確か……権六。漁に出られる際、港につなげておかれるのですがこうして脱走を繰り返しているのです。そのまま放置しておいてもよろしいかと、時間になればまた帰って行きます」

「クローンたちをのびのび育てるのには打ってつけの場所だな」

 

 征士郎は、海の方向へと視線を向けた。海面が日の光を反射してキラキラと輝いている。

 資料によると、生まれてからこのかた一般人となんら変わらない生活を送ってきたと書かれている。それでも、要所要所では自身が何者であるか、どういう振る舞いをするべきかを説かれてきたようだ。

 もちろん、武士道計画という名のとおり4人とも武術の鍛錬が早くから組み込まれていた。

 経過は良好。しかし、途中である研究員が口を滑らせたことによって、一人の精神に変化が生じたと注意書きもあった。マープルは、このクローンたちにとって母親代わりでもあったようだ。

 ステイシーが犬を放すと、犬はそのままどこかへ走り去って行った。

 

 

 ◇

 

 

 征士郎は従者らを引き連れ、桐山に案内されるまま学校の応接室へ向かう。

 そして、扉が開かれた先には4人のクローンたちが集まっていた。

 最初に勢いよく立ちあがったのは源義経(みなもと・よしつね)。黒髪のポニーテールに人懐っこそうな大きな瞳。腰には愛用している刀、銘は薄緑。一目で真面目そうな雰囲気が伝わって来る。実際九鬼の息子に会うというので緊張しているのだろう。顔が若干強張っていないでもない。

 その隣にいた武蔵坊弁慶(むさしぼう・べんけい)が義経の様子を見て、やれやれと息をついている。こちらは義経と打って変わって、妖艶な空気を醸し出している。ウェーブがかった黒髪に切れ長の瞳、自己主張の強い肢体。その手には朱色の瓢箪が握られていた。

 その弁慶とほぼ同時に立ちあがったもう一人の女性は葉桜清楚(はざくら・せいそ)。義経に似た顔立ちだが、一年上だけありより女性らしさが全面に出ている。オレンジの髪飾りが黒髪に映えていた。彼女の雰囲気は名前そのものといえる。

 そして、最後にのっそりと立ち上がったのが那須与一(なすのよいち)。灰色の髪に鷹のように鋭い目。その顔からは、わざわざ呼び出してくれるなといった感情が読み取れる。それも弁慶の睨みで吹き飛んだが。

 義経らが順々に自己紹介を終えた後、征士郎が口を開く。

 

「わざわざ集まってもらってすまないな。もう聞いていると思うが俺は九鬼征士郎だ。川神学園3年、生徒会長をやっている。お前たちが我が学園に転入すると聞いてな。様子を見に来た」

 

 自己紹介が終わったところで全員が席についた。従者たちは征士郎の後ろに立っている。幼い頃から人を従えることに慣れているからだろう。征士郎の姿は堂々としており、常々人を率いることを意識している義経にとっては、模範となりうる人物に映っていた。

 話はクローン組の今後の予定である。6月の頭に転入し、九鬼紋白もそのとき一緒に転入する手はずが整っていた。武士道プランの発表もそれに合わせて大々的に行われる。

 そして現在、従者部隊の中では紋白が登場するときの踏み台を誰がやるかという人選が、既に始まっていた。そのときのBGMはとある有名な楽団にお願い済み。

 派手好きとでも言えばよいのか。征士郎のときも、従者たちが剣を掲げその間を通って登場やら。メイドを両側に並ばせバラの花びらをまくやら。色んな案が出されたが、そんなことをしている暇があったら仕事しろという彼の一言で、却下されてしまったという従者たちの深い悲しみがあった。

 ちなみに英雄の入学式では剣を掲げるという前者の案が採用され、そのときの人選も2,3か月かかったのだから大変なものである。

 その裏では密かに、征士郎様の卒業式は盛大にと意気込んでいる従者たちが多くいることを彼はまだ知らない。

 その征士郎も今回の妹の転入が大々的に行われることには賛成であった。

 可愛い妹にはそれ相応の演出が不可欠。ましてや自身が生徒会長を務めている間に入って来るのだ。半端なものをやらせるわけにはいかないとお兄ちゃん的に張り切っていた。

 当然、踏み台候補のオーディションには面接官として立ち会ったこともある。そのとき、面接官の中に父の姿があったのには驚きを隠せなかったが、親では兄妹とはまた違った愛しさがあるのだろうと納得していた。

 大まかに予定が説明されたあと、義経が質問する。

 

「義経たちは学園でうまくやっていけるだろうか?」

 

 今まで少人数の島の学校で生活してきたのだ。いきなり都会の――さらには有名な川神学園でやっていけるか不安があったのだろう。と言っても征士郎が見たところ、そんな不安を抱えているのは義経だけのようにも見えた。

 

「そう不安がることもない。3年には俺と専属従者の李が、2年には英雄とその従者あずみがいる。1年にも俺の妹が転入しその護衛に一人九鬼の人間がつく。それなりにサポートはできるだろう。それにお前たちに興味をもつ人間は多々いるだろう、特にあそこは色んな意味で変わっているからな。むしろ簡単に馴染むはずだ」

 

 それを聞いて安心したのか、義経はほっと一息ついた。

 次いで弁慶が尋ねる。

 

「学園では川神水を飲むことは許してもらえる?」

「そこらへんは学長の川神鉄心殿と話し合う必要があるな。例えば、学年トップをとるなど我がままを通すだけの実力を示せれば、許可もおりやすいだろう」

 

 ただし、それは英雄の友である葵冬馬と並ぶ――つまり全教科満点をとるという離れ業を成し遂げる必要があった。

 

「生徒会長のお力を貸していただくわけには?」

「甘えるな。自分の力で何とかしろ。それぐらいの実力はあるのだろう? それとも……自信がないか、武蔵坊弁慶?」

「楽ができるなら楽をしたいと思っただけ。まぁ自信がないこともないしね」

 

 その言葉を聞いて征士郎は頷いた。

 

「話くらいは通しておいてやる。あとは力を示せ」

「はいはーい」

 

 弁慶は軽い返事をし徳利に川神水を注ぎ始めた。それに慌てたのは義経。どちらが主か分からないが、それでも弁慶がそんな義経を気に入っていることが一目でわかった。

 

「私も質問いいですか?」

 

 清楚が少し遠慮がちに問いかけてきた。

 

「構わん。なんだ?」

「貴方は私の正体について何か知っていますか?」

 

 葉桜清楚。源義経など他2人はその名の通り誰のクローンなのかはっきりしている中、自身の正体だけは秘匿されておりずっと気になっているのだった。

 25歳になったとき教える。それが清楚の質問に対するマープルの常の回答だった。

 そして、これに対する答えを征士郎は既に決めていた。

 

「項羽だ」

「え?」

 

 突然聞かされた自身の正体。まさか、いきなり答えを知れるとは思っていなかった清楚は、目を丸くしている。それは他のクローンたちも同様であった。弁慶が手を止めたため徳利の中の川神水が揺れる。

 清楚を一言で表すなら文学少女である。読書する姿がよく似合い本人も読書好き。清楚自身の予想では清少納言か紫式部であり、その意見に義経らも同意していたくらいだ。どこからどう見ても猛将として名を馳せ、苛烈な性格をしていたクローンには見えない。

 場の空気が乱れる中、征士郎はお茶をすする。香りがよく気分を落ちつけてくれるのに一役買ってくれる。もっとも彼は取り乱してはおらず、むしろ目の前の人物が落ち着きを失っていた。

 混乱する清楚は言葉に出して理解しようとする。

 

「コーウ? そ、そんな文化人はいないはず……私の知らない人? ごめんなさい、私もまだまだ勉強不足のようでその人物に心当たりがありません」

「一人ぐらいはいるだろう? 現代においても知られている項羽が」

 

 清楚の頭の中をよぎる偉大なる人物。それはあまりにも想像からかけ離れている存在だった。

 

「え……でも、そんな……私が、あの西楚と呼ばれた……覇王?」

「そうだ。マープルから聞かされたときは多少驚いたがな。お前の中には覇王が眠っている」

 

 清楚が自身を両手で抱え込み、義経がその背中を撫でている。

 そして、征士郎の言葉に弁慶が反応した。

 

「眠っているっていうのはどういうことです?」

「仮にも覇王と呼ばれる存在だ。その力は並はずれたものがある。マープルの予想では、実力は武神、川神百代にも匹敵するとのことだ」

 

 それはつまり壁越えの実力を持っているということ。

 征士郎は続ける。

 

「力のみを持った存在を野放しにしてはいずれ暴走する可能性があった。だから封じ込め知識教養を身に着けさせた上で、精神が成熟したときにその正体を明かす予定だったのだ」

 

 マープルは項羽を頂点とした偉人による統治を望んでいた。彼らにはその真の目的も知らされてはおらず、計画が発動したときに初めて伝えられることになっていたのだ。

 征士郎はそこまで口にすることはしない。既に潰えた計画であるからだった。

 

「それ今教えちゃっても大丈夫なの?」

「項羽を目覚めさせるキーワードがある。それを清楚に教えない限り心配ない。今は……な」

 

 そこで李が征士郎に耳打ちした。彼はそれに頷くと義経たちに問いかける。

 

「お前たちに問う。清楚は大事か?」

 

 

 □

 

 

 征士郎たちが向かった先には層々たるメンバーが集められていた。

 ヒューム、クラウディオ、マープルに加え、揚羽。そして30名近くの従者たちである。揚羽と彼女の専属である小十郎を除いて、全て武士道プランにかかわっていた者たちだった。

 これから行うのは項羽の解放。それに伴う戦闘。これによって武士道プランの問題に決着をつける腹積もりであった。

 清楚の正体が謎のままでは、遅かれ早かれ彼女自身あるいは誰かの手を借りて、それを知る可能性があった。そして、そのとき項羽がどのような行動にでるかわからない。それならばいっそ準備を整えたところで解放し、清楚に項羽と上手く付き合っていってもらう他ない。

 マープルにしても、計画があったからこそ項羽の存在を秘しておきたかったが、今ではその必要もない。

 征士郎は揚羽のもとへと歩みよる。

 

「姉さん、我がままを聞いてくれてありがとう」

「フハハハ! 可愛い弟の頼みだ。それに我も体が鈍らんよう鍛錬しておきたかったところだしな。事情はヒュームから聞いた。任せておけ」

 

 揚羽は征士郎の頭をグリグリと撫でる。

 実際は、項羽の解放を聞いたヒュームが揚羽のストレス発散にもちょうど良いと提案したからだった。ここ最近の老獪な人物とのやりとりは、いかに揚羽といえど精神的にくるものがあるらしい。

 そこへ揚羽の専属従者が話しかけてくる。

 

「お久しぶりです! 征士郎様!」

 

 声が大きいこの人物の名を武田小十郎。赤い鉢巻がトレードマークの見るからに熱血そうな男であり、事実そうであった。

 

「久しぶりだな、小十郎。元気にしているか?」

「もちろんです! 毎日のように、揚羽様ァ! に喝を入れられています!」

 

 それくらいに元気だと言いたかったのであろうが、それは同時に失敗も多いということであり、現に揚羽からは、「喝を入れられんように精進せんかぁ!」と殴り飛ばされていた。

 そして、この光景に驚いたのはクローン組のみ。九鬼に仕える者であれば一度は見たことがあるからだ。与一だけは同類を見るような目をしていたが。

 揚羽が征士郎の傍に控える李を見る。

 

「あれでも一応進歩しているのだがな……少しは、お前の専属である李を見習わせたいものだ。李も久しぶりだな」

「お久しぶりです、揚羽様。お元気そうで何よりです」

「我は生まれてこの方、元気で満ち溢れているからな! しばらく見ないうちに李はまた腕をあげたな?」

「征士郎様をお守りする盾として精進しています」

「フハハハッ! 良い心がけだ。これからも征士郎をよろしく頼むぞ!」

「お任せください」

 

 既に辺り一帯に結界が張られている。これは項羽が目覚めたときの対策であった。強い者と戦いたいと飢えているどこかの武神が、その気を感じとり文字通り飛んでやって来ないとも限らない。

 話がちょうど途切れたところで、征士郎が皆に声をかける。

 

「これから清楚の中の項羽を解き放つ。各自、どのような事態にでも対応できるよう備えておけ!」

 

 どこまでも通りそうな声だった。征士郎の号令を切っ掛けに、ピリピリとした空気が辺り一帯を占めていく。

 見るからに弱っている清楚だったが、マープルの手によって結界の中央へと導かれていく。その間、何を話しているかはわからない。ただ清楚の儚い笑みと一瞬見せたマープルの憂いの顔が印象的だった。

 義経と弁慶は不安に駆られているようでそれが表情に表れている。それに気づいた与一は人知れず舌打ちをした。

 マープルが清楚の元を離れ、揚羽のみが前へと進み出る。最初に彼女が相手をするということだろう。その後ろにヒューム、マープル、クラウディオが立ち、李は征士郎の前へ。他の従者は清楚を取り囲むように配置されている。

 征士郎のすぐ隣に立っていた義経が何かを言おうとしたが――。

 

「征士郎! 初めて構わんぞ!」

 

 揚羽の声によって遮られた。肌をうつのは彼女の闘気、同時に従者たちが一斉に武器を構える。

 そして、征士郎が垓下の歌を高らかに歌い上げる。

 

 




目覚めた瞬間、四面楚歌な項羽さん。

6.22 修正

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