Girls und Kosmosflotte外伝 補給艦隊を守れ!トータス特務(生徒会)艦隊もう一つの戦い   作:Brahma

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後編 赤い艦の用兵家、驚異の脱出劇

「赤い艦の用兵家」は部下に語る。

「敵は、それぞれ1万5千いない可能性があります。しかしやっかいなことが分かりました。」

キルヒアイスはスクリーンに画像を映し出して部下に見せる。

「提督、それは?」

「私がカストロプ星系を制圧したときの敵の武器です。」

「ま、まさか...。」

「そのとおりです。敵はあの恐るべき戦闘衛星を使って、1万5千隻相当の火力をわれわれにぶつけてきている。それもただの1万5千ならまだいいのですが、あの戦闘衛星は鏡面装甲をもっているので艦砲、光学兵器で破壊するのはほぼ不可能です。」

「では、どうすれば...。」

「方法は二つあって亜光速であの衛星の大きさ以上の物体、例えば小惑星なりをぶつける、あとはわたしがやったように指向性ゼッフル粒子で焼き払う方法がありますが、敵はそのような小惑星がない場所を選んでいるのです。」

「でもそれを用意する時間もないわけですよね。」

「はい、そのとおりです、このままだと敵戦闘衛星の破壊力から考えて二万隻といえども、まともに戦ったら共倒れになるか、よくても七割の戦力を喪う可能性があります。われわれには同盟の補給艦隊を攻撃する任務があります。だからこの宙域から逃げるしかありません。」

乗組員たちは無言になってしまう。

「心配しないでください。作戦を考えました。まず自動操縦の無人艦隊200と強襲揚陸艦20を準備してください。それから敵は実数を知られたくないからレーダーに反射する艦艇の画像パターンを操作する技術をもっていて、接近されてばれたくないから距離をとって攻撃してきています。それが付け目です。わが軍も欺瞞艦隊を用意して、あたかもこの宙域にどどまっているように見えるよう発光している状況を作り出します。それから数は少ないですが小惑星の岩塊を何隻かにつけてください。これは敵に実数を気づかせないための欺瞞です。何隻にするかはお任せします。」

「しかし、宇宙気流は、回廊出口からこちらへ向かって吹いています。逃げられないのでは?」

「たしかに今は宇宙気流は回廊出口からわれわれのいる方向へ吹いていますが、たしか回廊出口へ向かって流れる時間帯もあったはずです。それがいつになるか確認してください。この星系は帝国領ですから長年の観測成果があるはずです。」

キルヒアイスは2日後に気流の流れが変わる時間帯があると報告を聞くと

「わかりました。これから休憩班と作業班に分けます。休憩班はタンクベッドで熟眠しましょう。10月1日0830で起床ということで伝えてください。」

と告げた。士官と兵士たちは敬礼して、退出した。

 

話は9月24日にさかのぼる。

「ヤン提督、どうしましたか。」

「たしかにこの作戦は完璧に見える。敵が二個艦隊でも大損害を与えられる。しかし...。」

「しかし?」

「不確定要素が多すぎる。このカンパニア星系の宇宙気流はほんとうに常に出口から内側に吹き続けるのかということ、敵が開発している可能性のある指向性ゼッフル粒子をうまく使ったらひとたまりもないということだ。」

「この戦闘衛星を撃破するには亜光速の物体をぶつけるかゼッフル粒子に指向性をつけて焼き払うしかない?ぶつけるべき小惑星がない場所を選んでいる?敵が接近してくる前には全滅できる?」

「敵が並みの将帥なら全滅できるだろう。しかしあのローエングラム伯の部下だ。

切り抜けるかもしれない。ヘルクスマイヤー家の令嬢とともに亡命したベンドリングという元帝国軍少佐によると帝国軍は指向性を持つゼッフル粒子の開発に成功しているふしがあるということだ。油断ならないからこの作戦が失敗した場合のことも考えたほうがいい。」

「100%の成功はないですね。それでは失敗した場合にどうするか考えておきましよう。」

 

10月1日午前8時

帝国軍艦隊の一部が接近してきます。距離1000万キロ。その数200」

「700万キロで主砲斉射だ。」

「700万キロです。」

「撃て!」

爆発光がきらめくものの帝国軍艦隊が接近してくる。

 

 

「欺瞞艦隊は機雷をばらまきながら接近します。そして弾幕の中から強襲揚陸艦で敵艦隊に接触し、遅延信管による吸着式爆弾をしかけます。危険な任務ですが敵の気をそらすにはもってこいです。」

この指示の通りに欺瞞艦隊は回廊出口南側の同盟艦隊へ攻撃をかけたのだった。まるでたいまつを付けた牛が暴れまわるように。

 

午前8時半

「会長、対岸で戦闘が起こっているようです。」

「敵艦隊の本隊はいまだカンパニア星系付近にとどまっています。」

「対岸に行くには宇宙気流が乱れていて危険です。」

杏はくちびるをかんだ。

 

午前9時

帝国軍艦隊二万隻の光点は回廊奥にとどまったままに見える。

「敵は何を考えているんだろう。」

「宇宙気流は回廊出口方向へ流れています。」

「複数の小惑星が回廊出口付近へ流れていきます。」

「敵艦隊に戦闘衛星を破壊されないよう、小惑星がない宙域を選んだはずでは??」

「念のためスペクトル解析してみて」

「岩石と鉄分ですね。標準的な隕石や隕鉄の成分です。」

 

 

10月1日10時半

「宇宙気流の流れがかわったね。」

「帝国軍は動かないようです。」

「われわれと決戦するつもりなのか....あの戦闘衛星からは通常火力の艦艇では、逃れられないはず...。」

「!!回廊奥へ向かってなにかが多数移動中!」

「拡大して!」

「なにかの工作艦のようです。」

「主砲斉射!」

「帝国軍工作艦隊全滅!」

「!!残骸が.....岩石です!」

「何!!」

 

 

「そういえば帝国軍の砲撃が自動発射装置のように散発的でした。」

「攻撃しつつ帝国軍艦隊を包囲!アクテイブレーダー照射!」

「どうしてですか?」

「こうすれば、帝国軍が「本物」であれば、反撃してくるはず。」

「「本物」って何?柚子ちゃん」

オペレーターが首をかしげながら報告する。

「敵艦隊の反応が....散発的...」

「ももちゃん、わたしたちだまされちゃったかもしれない...。」

「だまされたって~~~?会長?」

「敵艦隊、沈黙....。なんだこれは....。」

そこにあったのは、木や岩塊や鉄板を組み合わせた欺瞞艦隊に発光装置がついたものだった。しかもご丁寧にも帝国軍艦艇の発光位置にあわせて発光装置がつけられている。

杏は、苦笑してからため息をつく。

「あ~あ、かーしま....ほんとうに残念だけど....西住ちゃんに伝えて」

 

「カメさんチームから連絡。真っ赤なタイを釣り損ねたって。」

沙織が皆に伝える。

「カンパニヤ星系で包囲した敵艦隊をのがしたってことだね....。戦闘詳報を読ませてほしい。」

ヤンとみほは戦闘詳報を読み、ため息をついた。

 

過去にさかのぼり、9月29日バルバロッサ艦上である。

「提督、宇宙気流は、回廊出口からこちらへ向かって吹いています。逃げられないのでは?」

「たしかに今は宇宙気流は回廊出口からわれわれのいる方向へ吹いていますが、たしか回廊出口へ向かって流れる時間帯もあったはずです。この星系は帝国領ですから長年の観測成果があるはずです。」

「提督、2日後の午前9時から10時半に流れが変わりそうです。」

「わかりました。これから休憩班と作業班に分けます。休憩班はタンクベッドで熟眠しましょう。10月1日0830で起床ということで伝えてください。」

作業班にキルヒアイスは告げる。

「ここは暗黒物質が充満しています。エンジンを切って暗黒物質をシールドにしておけば気流の流れでゆうゆうと脱出できます。そのための暗黒物質をシールドに転化するプログラムを作ってください。レーダーは吸収されますから敵には岩塊をはりつけた艦艇しか見えないでしょう。2万隻とは数が全く合いませんし、事実上隕石と隕鉄の成分スペクトルしか解析できないはずです。それに気流の流れが変わるタイミングで我々が例の戦闘衛星を破壊しようとしていると思わせるため例の岩塊で工作艦らしきものをつくって回廊奥に流しましょう。敵が騙されていれば、この工作艦を使われたら困ると攻撃してくるでしょう。」

「なるほど....。承知しました。」

「それでは、作業にかかってください。」

士官や兵士たちは敬礼して退出ていった。

 

 

「西住少将。補給艦隊が危ない。沖というには距離がありすぎるがコルマール星沖のこの宙域に急いでほしい。」

「わかりました。」

みほは、敬礼した。

 

カンパニア星系の包囲網を無事に逃れたキルヒアイスは命じる。

「敵の補給艦隊が通ると思われる宙域を抑えてください。2万隻の兵力があるから隠ぺいしつつ、敵の進路を抑えるために分散していて結構です。同盟軍の前線からは離れているので各個撃破で攻撃される心配はありません。」

「閣下、これまでの情報によると沖というには距離がありすぎるがコルマール星沖のこの座標の可能性が濃厚と思われます。」

「私がそこへ行きましょう。それから指向性ゼッフル粒子工作艦をそろえてください。」

「了解。」

 

そして10月8日、赤毛の青年提督と栗毛の少女は、スコット提督の補給艦隊を目前としてコルマール星沖でまみえることとなる。

 

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