終わりのその先へ   作:泡 沫

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出会い。

さて、どうしようかな。

私はこの漫画が好きだ。

だからこの世界が好きだ。

ただだからと言って、この世界では私は1人の人間だ。

特別でもない。

普通の人間だ。

ありふれた1人の人間。

 

ぐぅ

とりあえずお腹が減った。

不思議だが、私は一人暮らしだ。

両親は?友達は?生まれは?これまでの歩みは?

なにも覚えていない。

でも私は動じない。

しょうがないのだ。

初めの転生もそうだった。

自分の名前と年齢、性別ぐらいしか分からなかった。

それでも前の世界で天寿を全う出来たのは、両親や仲間に恵まれたおかげだろう。

 

だから、この世界でも同じ。

名前は一葉。年齢は20歳。性別女。以上。

これだけ。

だが流石に今回は酷くないか?

教えてくれる人がいない。

何も分からん。

もう一度言う、教えてくれる人がいない。

 

「はぁ....」

ため息を一つ。

まぁ、でも異物な存在である私はこんなものなんだろう。

前の戸籍や税金が曖昧な世界ならまだしも、今回は日本だ。

神からして誤魔化すのには具合が良いのだろう。

神なんてものは知らないが。

ただ転生なんてものが奇跡や偶然で起こるわけがない。

神みたいな、いるかも分からん存在のせいにしてる方が楽なのだ。

だから、そう割り切ってみる。

幸いながら元の元は日本人だ。

ここが漫画の世界だとしても日本だ。

変わりはないだろう。

 

お金もある。

何故かある。

怖いけども。

使わせて貰おう。

 

「コンビニでも行こうかな」

 

お腹を満たす為と偵察の為に外に出る。

何の偵察か?

そんなの決まってる。この世界だ。

 

一歩外に出てみれば、そこは夜の世界。

場所は東京だろう。

不思議と心が踊る。

 

徒歩5分で着いたその場所でおにぎりと飲み物を買って、目の前を走る車を眺めながら食べる。

ついでに、だし巻き卵も。

私は卵が大好物なのだ。

今時のコンビニは何でも売ってる。

素直に尊敬。

 

「美味しい」

 

久々の食事だ。

そんな事はない筈なのにそう思う。

それは多分。私が今生まれたばかりだからだろう。

私は笑みを浮かべながらその場で全てを食べ切ってしまう。

 

「ふふふ。」

食事は大切だ。

生きる糧になる。

前の世界で嫌と言うほど思い知ったのだ。

....

ただご機嫌な時にこそ、

変な事とは起こるものだ。

 

「ねぇ、彼女、今暇?」

 

私が横を見るとそこには男3人がいる。

声をかけてきたのはこいつらだろう。

....何だこのテンプレは。

前の世界でも確かいたぞ。こんな奴ら。

掛けてきた言葉は異なるが。

それにしても前の治安が悪い世界ならまだしも

東京ではこんな簡単に声をかけられるのか?

 

私は勿論無視する。

だが、男達は諦めない。

 

「ねぇ、聞こえてるでしょ?

無視はやめてよー。泣いちゃうよ?」

 

うざい。

そもそも女なら誰でもいいのか?

私の顔は普通だ。

世辞を入れても中の上だ。

全くもっといい女のとこにに行けばいいのに。

 

「結構です!」

 

仕方なく、返事をする。

もちろんお断りの。

 

だが、男達は諦めない。

 

いい加減にしろと思う。

前の世界の男達と同じ目に合わせてやろうか?

とも思う。

しかしそれは駄目だろう。

法治国家の日本でそれをやれば、まず間違いなく私は塀の中だ。

 

困っていると1人の男が私の腕を掴んできた。

 

「ちょッ!」

 

前の世界と異なり今の私の武力は皆無だ。

ちなみに背も160cmもないだろう。

157cmぐらいだ。

the平均。

それが今の私だ。

 

反射的に大声を出そうとする。

舐めるなよ?

潜ってきた修羅場が違う。

ビビってるわけじゃない。

ただ、か弱い女が男から助けて貰うには第3者に救いを求めた方がいい。この世界では特に。

届くから分からないが、とりあえずやってみよう。

ダメなら仕方ない。

 

だが、私が大声を出すその前に、

 

「その手離しなよ」

 

その言葉と共に

1人の男が私の腕を掴んでる男の手を掴んでいる。

 

「へ?」

 

私は少し混乱する。

何故この人がここに?

 

その人は男達を蹴散らしてこちらに振り向く。

ぁあ。

それにしても大した演技だ。

武力ではなく演技力で蹴散らすか。

流石、演劇界の怪物。

 

「大丈夫?」

 

そう聞いてくれる彼に、

私は平静を装いながら一言、

 

「ありがとうございます。」

 

と、返した。

 

これが私、一葉と明神阿良也との出会いだった。




つづく?
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