Close・On-line 作:鷹介
劉橘高等学院
親の七光りとも言える金持ちが集う学校
成績が上位5位までは腕章とバッチを・・・
6位から10位は腕章
このように生徒の間では優秀で有れば有る程、目立つ仕組みになっている
腕章の色が1位では基本の色2色+1色
2位が2色の腕章で3位から1色の腕章
これは周知の事実であり、この学院においては成績と能力が有無を言わせる
「白ちゃーん!!!」
腕の腕章が白・黒・白という順番の腕章
比較的に地味な腕章な真ん中辺りに鷹のシルエットが描かれている
焦げ茶色の髪に緑色の綺麗な瞳
廊下を先ほどまで静かに歩いていた生徒も騒めき出す
因みに“白ちゃん”とは彼が仕える主人
つまり、彼は執事なのだ
神崎 雷斗
学年で不動の次席
ファイヤーダンスを楽しいと満面の笑みで踊り続ける度胸がある
変人として有名だ
「雷斗、何?」
黒・青・黒の黒と青の境目に赤いラインが入った腕章
普通は学校の校章が描かれているバッジには狼のシルエットが描かれている
白髪で左眼は浅黄色で右目は茜色
事故によって目の色が左右変わっている
彼の名前は西園寺 雪
雷斗の主人だ
同い年という事もあり学校でも家でも大体、一緒にすごしている
その為、今は雪の顔にあまり出ていないが苛ついている事も雷斗にはすぐにわかるのだ
新しく第5音楽室と第6美術室などが追加された新校舎
その為に勝手がわからない雪はドアの前に立っていた
「携帯、忘れてたから走って追いかけて来たんだ。それに、白ちゃんと僕は一緒のクラス。あと・・・」
雪の前のドアを指差しながら
「それ、手動のドアだよ」
「・・・・・・・・・・知ってた」
長すぎる間
これで嘘をついているのか誤魔化そうとしているのか
未だに真意は掴めないが嘘も誤魔化すのも下手だなと思うしかない
ドアの取っ手に手をかけ前と後ろにガタガタやっても開かない扉
それを不審に思った雪は試しに横に開いてみる
当然だが、押しても引いても開かないドアなら横にやれば開く
地震や津波が来ていない限りはそれは確定だと思っても良い
開いたドアを心なしか嬉しそうに見ながら教室に入っていく雪の後ろをついて行く雷斗
周りはそれを見て密かにホッコリとしていた
いつも何であろうと持ち前の才能や経験、知識で突破していく雪
それが意外にもドジというのは俗に言うギャップ萌え
スポーツも万能で勉学も言い掛かりの付けようもないスペック
いつもクールなイメージの雪がドジをしているのを見ると他の人も
『この人も人間なんだな』
そういう認識が出来る悪い所であり良い所
武術も受け身に力を入れているというが何故か?
答えは簡単
階段から転落する事が多い雪が死なない為
それが100点満点の答えだ
───回想開始───
コンビニ
24時間営業で安くて気軽に買い物が出来るお店
家の近くに有ればすぐに行けるので便利だ
会計は当然みんなするし今回は雪が初めてお使いを行なっている
雷斗は小さい子供の父親が初めてお使いをする子供を見ている心境ってこんな感じなんだ
そんな感じで見ている
「お客様、それは商品ではなく財布です」
水を買おうとした雪
だが、誤ってペットボトルでは無く右手に持っていた財布を出してしまったのだ
普通なら結構なレベルで恥ずかしくて死んじゃいそうなドジ
だが相変わらずの知人にしかわからない程度の無表情で
「あっ・・・・間違えました」
───回想終了───
とまぁこんな具合のドジっぷりだ
演技である事を切に願う人間は少なくはない
「どう思う、雪?」
ここは美術室
先生に頼まれて美術室の整理整頓をしている雪と雷斗
そんな中、雷斗は口を開いた
「昨日、世界樹を瞬間的にだけど突破したけど開かなかったよね?あれ、バグだと思う?」
有象無象に湧き出てくる敵
1体、1体は雑魚なのだが数が多すぎる
奇跡的に2人で瞬間的に突破
だが、嫌な事に上にあった扉のような場所は開かなかった
結果的に雪達が魔力切れになってしまい撤退
「俺と雷斗は1度は須郷と会っている。プロファイリングもした」
過去の犯罪事件にかかわる多量のデータベースを活用し、新たな事件の犯人の型や特色を割り出す方法
雪は人間の悪意に晒される事が多いので犯罪者の傾向全てを頭の中に入れている
ニュースで知った新しく起きた事件での犯人のプロフィール予測などが最近の趣味になりつつある程だ
「結果は?」
「良くて野心家」
段ボールから本を取り出し五十音順に並べていく雷斗
それを又、種類別に纏めていく雪
「悪ければ?」
「自分が悪い事をしても認めない自己中心的な人物」
淡々と語る雪だが、それってかなり嫌な人では?
そんな疑問を抱いた雷斗
「そういえばあの人、来週に結婚するんだって。病室で」
「あぁ、下らない家族ごっこか。なんでもゲームにダイブしたまま戻って来ないらしい」
須郷の話題になると最近はこれが良く浮上する
意識がない人間と結婚するという考え
「娘の父親は娘の事を思っているなどという綺麗事を言ってるが結局は自分が結婚させたいだけだ」
ペンキなど服に着色すると取れなくなる物を慎重に別室に移していく2人
須郷は2人にとっては玩具でしかない
逆に雪と雷斗は須郷にとっては出世する為の道具
お互いにお互いの事を余り良い風には思っていない
「プロファイリング?」
「俺の予測だ。その人に会った事が無いし情報が少なすぎる」
ペンキなどを置くと制服の懐から2枚の写真を取り出す雪
その様子を不思議そうに見つめる雷斗
「因みにこの写真の人だ」
「えっ!?寝てる人とこの人っておんなじ人じゃ?」
以前、病院で俺が撮ってきた病室に寝てる女性の写真
もう1つは5人で肩車をして飛んだ時の拡大に拡大して写った女の人の写真だ
「須郷がゲームマスターで妖精王。そこに居る人は妖精王の奥さん役だろうな」
「でも、なんでこの人がここに居るの?閉じ込められてるゲームは確か違うゲームなんでしょ?」
隣の部屋に移り、今度は石像などを運び出す雪と一緒に石像を持つ雷斗
頭の中では疑惑が浮かんでしょうがない
「随分前から浮上していた結婚話の急浮上の上に結婚の確定。嫁の同意は無いので養子縁組だがな」
「つまり?」
「仮定の話だが、SAOからその人を引っ張ってきて監禁。その中で結婚しなければ出さないと言われればどうする?」
「僕は結婚するかな。あとで離婚すればいいし。あっ、もちろん好きな人が居れば別だけど」
離婚は双方の同意がなければ出来ないが雷斗の事だ
自分よりも好条件の男をでっち上げてでも離婚するだろう
「そこだ」
「!本人が寝てる時に恋人がきた」
キャンバスを並べ、壁にもたれるように床に座って雑談をし始めた
「確かになんも関係のない男の出入りが確認できたよ」
「でも、だからって結婚を早める必要は無いんじゃない?」
「須郷は野心家だ。その女の人は金持ちらしいからな」
ここまで言えば雷斗もわかる
だが、どうしてそこまでして金や社会的地位のような物に興味があるのか理解できていない
「茅場って人と何か関係あるの?」
1つの確信のような物に雷斗は迫った
茅場と須郷は先輩後輩の中だという
須郷の様な本性を隠した野心家が嫉妬しない訳がない
「あるだろうな。恋人は少なくとも学校などの関係者ではない。他から考えるに茅場のゲームの関係者」
「そのゲームをクリアした人が目の前に現れたから嫌がらせをしたくなった?」
「そういう解釈も出来なくも無いな」
あくまでもここは雷斗の分かりやすい解釈に任せて話を進める雪
「会社の掌握でも企んでるの?」
「奴の考えてる事の全てはわからない。だが、SAOサーバーの一部が目覚めていないのは不可解だ」
「茅場って人のシステムに穴を見つけてプレーヤーの意識を引っ張ってなんらかの研究をしている?」
茅場がいくら頭が良くても完璧では無い
どちらかというとこれからの出来事を先読みする天才
この2人の茅場に対する評価はそれだ
「流石にそこまで非人道的な事は相当な利益が無い限りはやらないと思うがな」
雷斗が制服の裏側にある胸ポケット
ほこからスケジュール張を取り出し、ペンを片手に何かを書き足す
「雪、ここからこの日までゲームしようよ」
大体、1週間
その間ずっとゲームをする誘い
断る理由もない雪は当然
「わかった」
了承の意を示す
「面白ければ良いんだが・・・」
「大丈夫。きっと須郷の絶望した様な顔は見てて面白いよ」
この2人
実は重度のSっ気が強く、人の弱みを握るとそれで相手の苦渋の選択を迫る
そして、精神的にゆっくりジワジワと絞め殺す
雪は他人に興味を示す場合2つのパターンがある
とても面白そうだと好意を持った興味
この場合は雪が相手に飽きない限り有効な友情関係を築き上げる事が出来るだろう
もう1つはこいつは自分に害しか持たない人間だという事
1度でも敵だと認識されれば雪の大人顔負けの頭脳で今までやった犯罪履歴の裏取り
社会復帰出来ないようボロボロになる
自暴自棄になって雪に仕返しに来ると雷斗の合気道で尽く潰されるという負の連鎖
須郷が彼らに何をしたか
彼らが居ない場所で“友人関係である”と宣ったのだ
それを聞いた雪と雷斗は内心で憤慨しつつ親達には
『須郷さんがそう思っていくれていて嬉しいですよ』
などと表面的に取り繕っていた
雪は自傷行為で発散
雷斗は辞書をパソコンやノート内容を移した
その頃から須郷は彼らによる彼らの為だけのストレス発散計画でのターゲットに選ばれたのだ
結婚も邪魔しようかと思ったが養子縁組を組むらしいのでそれからでも遅くはない
逆に須郷を選んだ一族の最後
そうやって楽しんでみるのも又一興だな
こんな事を言い出した2人はもはや誰にも止められない
恨むべきは須郷の運の悪さなのかそれとも人格なのか
野菜の収穫時が来た農家のような忙しさで教室から出て行く2人は“悪魔”といっても良いだろう