その夢に彩りを   作:野兎改二

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こんにちは!野兎です。
パスパレが好きなので書いてみようと思いました。

それではどうぞ。


序章

 

 俺には夢がある。いや、夢があった。小さい頃の話だ、どこにでもあるようなごく一般的な夢。

俺はプロサッカー選手になりたかった。小学三年生の時に何気なく始めてみたのだが、俺には素質があったのか、技術の向上も早く、いつの間にか年上の選手たちにも引けを取らないくらいまではなった。

 サッカーを始めてから3年が経ち、小学校の卒業を迎えた。この時すでに俺は、サッカーにどっぷりハマり、それ以外のことはどうでもいいと思っていたと思う。

 

 中学校は地元にある学校で、小学校よりは少し距離があるくらいでそこまで不自由はなかった。むしろ歩く距離が増えるおかげで体力をつけるにはうってつけだった。

部活はもちろんサッカー部に入部し、幸先の良い学生生活のスタートを切った。

 

 そして、彼女に初めて会ったのも入学してすぐの事だった。

 

 

 サッカー部には入部したが、俺は部活以外の時間もサッカーに費やした。と言っても何もボールを蹴るだけがサッカーの練習ではない。もちろん体力づくりのために筋トレやランニングなど、基礎体力向上のための特訓も怠らなかった。

 

 そんなわけで部活が終わった後も、校庭をランニングしていたのだが、その時ずっと、どこからか視線を感じていた。

 

「はあはあ…」

 

 動かしていた足を止め、肺に空気を入れながら辺りを見回すと、1人の少女と目が合った。

 

「あ、えへへ」

 

 ずっとこっちを見ていたのは彼女だったのか、目が合った瞬間びっくりしたような表情を浮かべ、すぐに頬を緩め、照れ臭そうな顔を浮かべている。

 

「…なんか用?」

 

「いや…!なにも用はなくて…」

 

 彼女は手を大きく振ってなにもない事をアピールしてくる。

 

「…ならなに?」

 

 正直俺は邪魔されたことに少し苛ついていて、無愛想な返事しかしなかった。

 

「えと…私、努力してる人見てると、すごいなぁ! というか、応援したくなると言いますか…」

 

 後半に連れて声が小さくなって後半はよく聞き取れなかった。

 

「はぁ、努力ねぇ、俺はただ好きでやってるだけだから特に努力、っていうか、辛いみたいに思ったことはないけどな」

 

「それでも! 私はすごいって思う! 好きでそこまでできるなんて、すごいと思うよ」

 

 ……正直、ここまでベタ褒めされたのは初めてだった。

確かに、試合で点を決めたりしたら褒められたこともあったが、なんというか、努力してるということでここまで言われたことはなかった。

 

「…そう、お前は? なんか努力してるものっていうか、好きなものとかあるのか?」

 

「『お前』じゃない、私は丸山彩だよ、ちゃんと名前で呼んでよね」

 

 そう言いながら彼女はふくれっ面をする。普通より感情豊かな方だと思った。

 

「…丸山さんは何かやりたい事とかは?」

 

「うーん、言われてみれば、そうだなぁ… あ! アイドルが好き!」

 

 丸山さんは首を捻り手を顎にやりながら思いついたように言った。これまたどこにでもありそうな『好きなモノ』だった。

 

「好きって言っても、見るのが好きなのか、自分がなりたいっていう感じの好きなのか、その辺はどうなんだ?」

 

 俺は気になった事を聞いてみたが、なんでこんな事を気にしたのだろうか。

 

「どうかなぁ、その辺はよくわからないや」

 

「そうか」

 

 そう思えばそうなのだろう。俺は一言返事をし、学校の校舎に設置されている時計を確認する。

 

「げ、もう7時半か、早く帰らないと」

 

「なら一緒に帰ろうよ!君も…あ、えーと、名前聞いてなかったや」

 

そういえば俺の方は名乗ってなかった。

 

「文月千尋《ふみづきちひろ》だ。学年は中1。よろしく」

 

 簡潔に自己紹介をすませ、校門の方へ向かおうとしたが、

 

「千尋くん ね、覚えた! これからよろしく!」

 

 丸山さんは手を腰の後ろに回し、これ以上ない笑顔でそう答えた。この時、夕日に桃色の髪の毛が照らされ、キラキラと光輝いたように見えた。

というかいきなり下の名前で呼ぶのか。

 

 俺はまたもや無愛想に、よろしく、とだけ返し、ようやく帰路についた。元気で喧しい少女と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずここまでにしておきます
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