桜がさきほこるここ文月学園。
学生たちの喧騒が聞こえる中、一人の男子高校生は-----その表現の通り、一人で歩いていた。
「はぁ……、なんでみんなそんなに騒ぐかなぁ……」
それもそのはず今日から新学期である。普通の人なら少しなりとも気分は高揚するだろう。さらにこの学園特有のこともあり、騒ぎ声が聞こえるのだ。
「あいつは先行っちまったから俺は一人でつらい坂道を歩かないといけないし、朝っぱらからカップルどもはいちゃつくし……全く……」
中には不良っぽいやつが女子から逃げてるし。あぁ、あれか周りにキャッキャッウフフしてるのを見せて、俺リアル充実してるわぁって周りに自慢したいんだな?そういうことだな?
ブツブツ独り言を言いつつも校門の前に着く。
そこには誰もが恐れる補習室の鬼、西村教師が箱を持って他の生徒たちになにか怪しい封筒を配っていた。
「お、鉄人先輩チィ痛い痛いマジな顔して殴らないで下さい」
「朝から言い度胸だな、なあ谷川」
「いや悪気はないですってば。只でさえムサい顔した教師が、いつも以上に髪の毛がちぎれそうなんでそれ以上引っ張らないで下さい!!」
「全くお前は入学したときからそんな調子で……。一年間経てばやめるかと思ったら変わらない。ある意味お前はすごいな」
「あ、ありがとうございまーす」
「褒めてはないからな、ほれっ受け取れ」
鉄人から俺の名が書いてある封筒を受け取る。
「これ……もしかして見るからに怪しい葉っぱとか薬剤とか入ってて、これを飲むと痩せるよーとかっていうんですか?」
「はぁ……。お前はそんなに俺が怪しく見えるのか?」
「ええ、まあ(ゴツッ)」
「正直に言うな」
「痛いですよ!うちの親が「物事ははっきりと言ったほうがいい」って言ってましたよ!」
「時と場合に応じてと言ってなかったか?」
……アレそうだっけ?
「あれ何で知ってるんですか?」
「去年お前の三者面談の時に言ってたからな……」
「そうでしたね……」
うちの親が鉄人と長い時間うちの家訓みたいなことをしゃべっていた記憶があるな……。
「じゃあ、この封筒はあれですか?振り分け試験の結果のやつですか?」
だから他の人たちの叫び声や歓喜の声が聞こえたのか。
「おおよくわかったな。まあ、去年一年間お前を見ていた俺の判断は間違ってなかったようだな」
「そんな、鉄人程度が俺がどんな人なんてわかるはずがないじゃないですか」
軽くバカにしながら封筒を破く。中には紙が一枚入っている。紙を取り出して書いてある字を読む。えーっと、なんて書いてあるんだ?
「わかるさ。なぜならーーーー」
谷川 隼人 Fクラス
「お前はそこらにいるバカと変わらないからな」