「……雄二」
今日から新学期だ。今日から試召戦争ができる。この日をずっと待っていた。
「……雄二、聞こえてる?」
俺が試召戦争にこだわっている理由は2つある。1つ目は世の中学力だけが全てじゃないことを証明したいことだ。まあこれも重要だが、個人的には2つ目の方が重要だ。その二つ目とはーーーー
「………私のおっぱい小学生の時よりも大きくなった」
ガンッ!
「………雄二、大丈夫?」
「朝っぱらから何言ってんだ!!」
「………雄二に聞こえてないと思ったから」
コイツの名前は霧島翔子。小学生のときある事件がきっかけで俺に好意を寄せてる。あれは思い出したくない記憶だ。もう少しちゃんとできたらよかったのにな……。といつも思っている。
「いやちょっと考えごとしてたからな。聞こえなかっただけだ」
「………じゃあ私のーー待って雄二」
その先の言葉は聞いてはいけないと思った時には、すでに行動を起こしていた。
なんの行動かって?
ただでさえ俺は悪い意味で、翔子はいろんな意味で目立っているのに、朝っぱらから翔子が言いかけた言葉を全て聞いてるやつが居たとしたら………明日から学園中の噂になってしまう。そんなことは絶対に阻止しなければ。
そう思い、俺は翔子から距離を空けるべく早足で逃げた。
2つ目はについては……、いつか話すことになるかもな……。
☆
翔子から逃げつつ登校し、校門についた。
俺はそこで信じられないものを目にした。
補習室の鬼と呼ばれている鉄人に向かい
「お、鉄人先輩チィ痛い痛いマジな顔して殴らないで下さい」
アイツは今なんて言おうとしたんだ……?
もしかしてヤツは……鉄人先輩チィースと言おうとしたのか……?この学校に俺と明久以外に鉄人目を付けられているやつがいたのか……?
「……雄二?どうしたの?」
「い、いやなんでもないぞ」
追いついてきた翔子が話しかけてくる。
「……?」
たぶん鉄人はこの学園の生徒をほぼ覚えているんだろう。だからだろう、アイツが目を付けられているとは思えない。
「翔子、クラス分けの封筒取りに行くぞ」
「……うん」
☆
「うーっす、鉄…西村先生」
「今お前なんか失礼なこと言おうとしなかったか?」
「失礼なことなんか言ってないが?」
「……西村先生おはようございます」
「おう、霧島か。おはよう」
………
「なあ鉄人」
「西村先生と呼べ」
「生徒によって扱いの差が激しくないか!?」
「しょうがないだろう。お前はあのバカに次いで目を付けられているんだからな」
「まあ、それはそうだが」
「いいからホレ、受け取れ。霧島もな」
鉄人は俺らに封筒を渡す。
その封筒を開けつつさっきの奴について鉄人から聞いておくか。
「なあ鉄(ボゴッ)西村先生。さっきの奴はどんな奴なんだ?」
「ああ、谷川のことか……」
「谷川?」
「ああ、でもアイツはそんな大した奴じゃないぞ」
「何かが得意とか、親が金持ちとかでもないのか?」
「ああ、でもアイツの親は少し特別だな……」
「どのへんがだ?」
「そこらへんはアイツに聞け。……珍しいな。お前が他のやつにこんなに聞き出すなんてな」
「いやちょっと気になっただけだ」
ただこの学園がな……。
「ん?ならいいが……。幸いアイツはお前と同じクラスだから安心しろ」
「わざわざありがとうな」
校門を過ぎて中に入る。
「……雄二?顔が笑ってるけど、どうしたの?」
「いやこの学園が、Fクラスがな……」
「すごく面白いことになりそうだからな」
「……よくわからない……」
「いいよ、まだ分からなくてな」
谷川……か。面白そうな奴だ。