RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 with 仮面ライダーファム   作:ロンギヌス

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はい、お待たせしました。

今回はほんの僅かにですが、あの「めくるめく世界(ボーイズラブ)」の描写が含まれています。
そういうのが苦手な方や「あのキャラのあんな描写は嫌だ」という方、今すぐブラウザバックしましょう。

それではどうぞ。



Another Alternative 2

真司、蓮、夏希の3人が話をしていたその一方、とある豪邸では……

 

 

 

 

 

「惜しかったなぁ~」

 

鉄板の上でジュージューと、肉がこんがり焼けていく音が鳴り響く。中庭で食事をしていたのは芝浦、石橋、そして真司達を裏切った手塚の3人だった。石橋が焼き上がったステーキを皿に乗せながらそう告げる中、テーブルでは手塚と芝浦が一足先にステーキを切って食べ始めていた。

 

「途中で邪魔が入らなければ、城戸達を全滅させられたのによぉ」

 

「……だが、奴等のデッキは奪った」

 

「良いねぇ、生身の奴等をいたぶるのも!」

 

「あぁ、悪くない」

 

しかし、真司と木村のカードデッキは手塚が持っている為、2人はライダーに変身できない。その為、この2人については生身の状態を遠慮なくいたぶる事ができる。どうやっていたぶろうかという石橋の考えに手塚も賛同している中、芝浦は黙々とステーキを食べ続けていた。

 

「あ、ちょっと胡椒取ってくれ」

 

「あぁ」

 

真司達をいたぶるのは先のお楽しみという事で、今は食事を存分に楽しむとしよう。そう考えた石橋は手塚に胡椒を取って欲しいと頼み、手塚もそれに応じて立ち上がり、石橋から離れた位置にある胡椒へと手を伸ばし始める。その間、石橋は目の前のステーキから漂って来る美味しそうな匂いに、早く食べたいと思いながら胡椒を渡されるのを待ち続けた。

 

しかし、石橋が次に顔を上げたその瞬間……手塚から渡されたのは、胡椒ではなかった。

 

 

 

 

ドスゥッ!!!

 

 

 

 

「―――がっ!?」

 

手塚が石橋に渡した物、それは胡椒ではなくミートナイフだった。胡椒を取るフリをした手塚がミートナイフを勢い良く突き出し、その刃先が石橋の胸部に深々と突き刺さってしまっていた。

 

「お、お前……ッ……!?」

 

石橋が苦しそうに呻く中、手塚は何事もなかったのように椅子に座り、またステーキを切って食べ始めた。予想していなかったタイミングで裏切りに遭い、現状に理解が追い付かない石橋は、自身の隣に座っている芝浦に助けを求めようと、彼の服の袖を掴んだ。

 

「芝浦……ッ!!」

 

しかし……

 

「触んなよ」

 

「ぐっ……!?」

 

芝浦から返って来たのは拒絶だった。石橋の掴む手を振り払った芝浦は立ち上がり、手塚と同じようにミートナイフを石橋の胸部に突き刺し、そしてそれを力強く引き抜いた。石橋が椅子から地面に転げ落ちた後、芝浦は引き抜いたミートナイフに石橋の返り血が付いているのを無言で眺めてから、当たり前のように返り血が付いたミートナイフでステーキを切り始めた。

 

思わぬタイミングで2人から裏切られる羽目になってしまった石橋。地面に倒れた彼の体が粒子となって消滅していくその間も、芝浦と手塚は何の会話もなく黙々とステーキを食べ続ける。

 

 

 

 

 

 

 

そして食事を終えた後。

 

ある寝室にて、芝浦は上半身が裸の状態でベッドの布団に入り込み、手塚がベッドに来るのを待ち続けていた。そこにシャワーを浴び終えた手塚がバスローブ姿で現れ、芝浦の隣に入り込んだ彼はバスローブを脱ぎ、素肌を露わにしていく。

 

互いに上半身が裸になった2人は、無言で互いを見つめ合う。それから芝浦が手塚の前髪を掻き分けるかのように優しく触れた後、芝浦が手塚を抱き締めるように顔を近付けながら、ベッドに倒れ込む。

 

この間、2人は何も語らない。

 

そこにあるのは、極限の状況下で芽生えた禁断の愛。ただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――仮面ライダーシザース、死亡。

 

 

 

 

 

 

残るライダーは、あと9人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――すまない、二宮。食事から何まで」

 

「気にしなくて良い。どうせ材料も余ってた事だしな」

 

「はぁ~お腹すいた~!」

 

夕暮れ時。真司と蓮の2人と一旦別れた夏希はその後、二宮と自分が使っていた拠点へと戻り、そこで二宮、それから二宮に保護されていた木村と再会。話したい事は色々あるものの、まずは腹を満たすのが先だという事で、二宮はこの日の夕食としてお好み焼きを作っているところだった。

 

「にしても、今までずっと2人で過ごしてきたのか?」

 

「まぁな。初日でたまたま一緒になって、それ以来2人で組むようになったってところだ」

 

「食糧もいっぱい確保できたしねぇ。おかげでご飯は困らない、寝床も困らない、ほんっと最高♪」

 

「そ、そうか。とにかく、本当に助かった。お前等が来てくれなかったら、今頃俺は……」

 

「それはもうよせと言ってるだろ。こいつが飛び出して行かなきゃ、元々見捨てるつもりだった。礼を言われるような立場じゃない」

 

「けど、何だかんだで二宮もアタシのやる事に付き合ってくれるよね。ほんとかっこいい~♡」

 

「飯を食ってる時に突っつくな、行儀の悪い」

 

(……仲が良いんだな)

 

夏希がニコニコ笑顔を浮かべながら二宮の頬を突っつき、それを鬱陶しそうに手で払いのける二宮。その2人のやり取りを目の前で見せつけられた木村は、この日、信じていた味方に裏切られたばかりであるのもあって、どことなく複雑な気分であった。

 

「……それで、明日はどうするんだ?」

 

「城戸真司に、秋山蓮……白鳥がそいつ等と一緒に、浅倉威のところに向かう予定だ。俺はその間、芝浦に手塚……あと石橋だっけか? そいつ等の動向を探る。お前も、自分のデッキは手元にあった方がまだ安心できるだろう?」

 

「あ、あぁ……」

 

明日、二宮達はそれぞれ二手に分かれて行動するつもりだった。夏希は再び真司や蓮と合流し、過去を全て覚えているという浅倉の元を訪ね、その間に二宮は木村と共に芝浦達の動向を探り、隙があれば真司と木村のカードデッキも取り返す。何故そこまで自分に親切にしてくれるのか、木村は少なからず疑問に思っていた。

 

「俺達を信用できないか?」

 

「……すまない」

 

「あれ、ひょっとしてアタシ達疑われてる? なんかそれちょっと傷つくなぁ……まぁ、無理もないか。実際裏切りに遭ってた訳だし」

 

「だがどちらにせよ、お前には俺達に付いて回る以外の道はないぞ。デッキもなしにこのミラーワールドをうろつこうなんざ、自殺行為も良いところだからな」

 

ライダーがカードデッキもなしにミラーワールド内をうろつくなど、他のライダーやモンスター達からすれば美味しい獲物である。流石にそれほどのリスクを背負うような無謀な真似はできない為、二宮の言う通り、木村は2人に付いて行く事しかできないのが現状だった。

 

「とにかく今は、さっさと飯を食って体を休める事だけ考えろ。俺の勘が正しければ、明日はかなり忙しい1日になるかもしれん」

 

「は~い……あ、二宮。そこの鰹節取って」

 

「この距離なら自分で取れるだろ……ちなみに青のりはいらんのか?」

 

「いらない。歯に付いたら取りにくくて嫌だもん……あ、二宮になら舐めて取って貰うのも悪くないかなぁ~?」

 

「ぶふっ……!?」

 

「どっちにしろ取り辛いだろ。まぁ別に無理して青のりかけろとは言わんが」

 

「ふぅん、なぁんだ」

 

「……何でちょっと残念そうなんだよ」

 

「べっつにぃ? フフフ♪」

 

(……俺は一体何を見せつけられてるんだ)

 

夏希のトンデモ発言に、思わずむせそうになる木村。その後も食事が終わるまでの間、木村は二宮と夏希の甘ったるい空気を醸し出した会話を間近で長々と聞かされる羽目になり、しばらく謎の苛立ちを感じていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後。

 

一足先に休む事にした木村は、リビングルームのソファで毛布に包まりながら就寝していた。その一方、2階の寝室で休む事になった二宮と夏希だが、この2人はまだ眠りについていない。この日、せっかくの時間が台無しにされた事を思い出した夏希は、自分から二宮をベッドに誘った後、彼との熱い快楽の時間を過ごしていた。

 

「はぁ、はぁ……ッ……どうだった?」

 

「ッ……あぁ、悪くない」

 

ベッドに仰向けの状態で寝転がっている二宮と、その二宮の上に跨るように座っている夏希。着ていた衣服を全て脱ぎ捨て、ひたすら行為を繰り返し続けた事から、両者共に呼吸は荒く、全身も汗だくだった。流石に疲れが溜まったからか、夏希は額の汗を拭ってから二宮の隣に倒れ込む。

 

「ん……二宮の匂いがする」

 

「どうした、変態みたいな事を言い出して」

 

「いや、アンタがそれ言っちゃう? ……不安なんだよ、正直」

 

二宮の腕に両腕を回し、自身の胸を押し付けるように密着する夏希。二宮は自身の腕に押し付けられた夏希の胸から、彼女の鼓動を感じ取った。

 

「ライダーが死ぬところなんて、初めて見たからさ……」

 

「……あぁ」

 

石田がエビルダイバーに喰い殺される光景。

 

戸塚が粒子となって消滅していく光景。

 

今日だけで2人もライダーの死を目撃した事から、夏希は今まで以上に死への恐怖心が強くなっていた。故に、彼女は二宮との行為に強く没頭した。自分達はまだ生きている。それを確かめる為に、ひたすら二宮と愛し合った。

 

「明日も、またライダーが死ぬんだよな」

 

「まぁ、そうなるだろうなぁ」

 

「ねぇ、二宮……」

 

「俺の答えなら、もう何度も聞いただろう?」

 

「……うん、そうだったな」

 

もはやこれ以上の問答は不要。そう考えた夏希と二宮は再び唇を合わせ、両腕を回し強く抱き締め合う。それから二宮の胸元に顔を埋めた夏希もまた、二宮の鼓動を強く感じ取る。

 

こんな時間が、これからもずっと続いていけば良いのに。

 

彼女が胸の中に抱いた切なる願い。

 

その想いが、儚くも崩れ去る事になるなど……この時の夏希は、まだ知りようがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに……

 

 

 

 

 

(―――たく、やっと静かになったか)

 

天井から聞こえて来るベッドの軋む音、2人が快楽に没頭している声などから、2階の寝室で何が行われているのか容易に察してしまった木村。

 

おかげで彼はその夜、1人悶々とした時間を過ごさなければならなくなり、朝起きたら少し強めに殴ってやろうかと物騒な事まで考え始めたのはここだけの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




め く る め く 世 界




……いやほんと、何でこの2人なんでしょうね。おかげでこの作品にもボーイズラブのタグを付ける羽目になりましたよ。
なお、作者は初見で大爆笑した模様(ォィ

んでもって、夏希と二宮の方は……まぁ相変わらずです。
木村は2人の事、少し強めのグーで殴ってもきっと罰は当たらないと思う←

次回もお楽しみに。

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