RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 with 仮面ライダーファム   作:ロンギヌス

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続けてパート2の更新。
今回は冒頭から回想シーンに突入します。

それではどうぞ。



Advent Again 2

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

『目覚めなさい、かつての戦士達』

 

 

 

 

響き渡るのは謎の女性の声と、甲高い耳鳴り。

 

それらを聞いて、眠りについていた者達は、次々と目覚め始めた。彼等は今、周囲にいくつかの鏡が置かれた謎の部屋の中に集められていた。

 

「ッ……ここは……」

 

『ここは人間が存在してはならない、非現実の世界』

 

「何だ、ここ……」

 

彼等は皆、何故自分達がこんな所にいるのかわからなかった。同時に、謎の女性の言葉を聞いて、意味がわからず首を傾げる者が大半だった。更に……

 

「……俺は、誰だ?」

 

1人の男がそう呟く。彼には過去の記憶がなかった。他の者達も皆、同じような反応を示していた。そんな一同に対し、謎の女性は言い放った。

 

『戦いなさい。再び』

 

『そうすれば記憶は戻ります』

 

『そして、約束します』

 

『生き残った最後の1人は、本当の人生(・・・・・)を取り戻せると』

 

「本当の、人生……どういう意味だ……?」

 

また別の男が、謎の女性に問いかける。その疑問に答えるように、女性の言葉が続いた。

 

『ミラーワールドから抜け出し、現実世界に戻る事ができる』

 

『戦いに勝ち残った、1人だけが』

 

一同は困惑した。どこかもわからないような場所に連れて来られたかと思えば、全員記憶をなくしており、更にはここにいる面子で殺し合いをするよう告げられたのだ。そうなれば当然、それに反感を抱く者だって出て来る。

 

「ッ……誰なんだよアンタ、そんなの信じられっかよ!!」

 

『他に道はありません』

 

『あなた達にできるのは、私を信じる事』

 

『信じて戦う事』

 

反感を抱いた男の言葉も、謎の女性の前にバッサリ斬り捨てられる。男がもはや文句すらも言えず黙り込んでしまった後、女性は改めて一同に言い放つ。

 

『さぁ、戦いなさい。“ライダー”となって』

 

「「「「「……!」」」」」

 

ライダー。謎の女性が告げたその名前に、その場にいた全員が反応した。何故ならその名前は、記憶がないはずの彼等に残っていた、数少ない記憶の1つだったのだから。

 

『期限は7日』

 

『7日の内に、勝者を決めなさい』

 

「……ッ!!」

 

次の瞬間、まるでガラスのように空間が砕け散り、気付けば一同は全く違う場所にいた。彼等が見た物、それは周囲に広がる街の景色……だけではなかった。

 

『グオォォォォォォォォォォォンッ!!』

 

『キキキキキキキキ!!』

 

『シャアァァァァァッ!!!』

 

『グルルルルル……!!』

 

『ピィィィィィィィィィィィ……!!』

 

「ッ……これは……!!」

 

ドラゴンが。

 

蝙蝠が。

 

コブラが。

 

虎が。

 

白鳥(ハクチョウ)が。

 

動物の姿をした様々な怪物達が、この場に集結していた。

 

この光景に、一同は言葉を失った。

 

それは目の前に広がる光景が、あまりにも非現実的過ぎる光景だったからではない。

 

「モンスター……!!」

 

今この場に存在している怪物達が、自分達にとって馴染み深い存在だったからだ。自身の頭上を飛行した白鳥(ハクチョウ)の怪物―――ブランウイングの姿を捉えながら、夏希がその名を小さく呟いた。

 

誰もが、この光景に圧倒されている中……1人だけ、他とは全く違う反応を示す者がいた。

 

「―――嬉しいぜ」

 

それは先程から黙って話を聞いていた、黒いインナーに蛇柄のジャケットを着た金髪の男。ガゼルのような怪物があちこちを跳躍し、エイのような怪物が頭上を通り去る中、無精ひげを蓄えたその金髪の男―――“浅倉威(あさくらたけし)”はニヤリと笑い、その場からすくっと立ち上がった。

 

また(・・)……“祭り”が始まるってか」

 

「何……?」

 

その言葉に茶髪の男―――二宮が反応する中、浅倉はコブラの紋章が刻まれた紫色のカードデッキを突き出した。銀色のベルトが装着される中、彼は一定のポーズを取ってから、カードデッキをベルトに装填する。

 

「変身……!」

 

いくつかの鏡像が重なり、浅倉は紫色のボディを持つコブラのような戦士―――“仮面ライダー王蛇(おうじゃ)”へと姿を変える。首を回して大きく息を吐く王蛇を前に、ある男は驚き、ある男は強く睨みつけ、そして夏希は頭に頭痛が走り、痛む頭を手で押さえた。

 

 

(ッ……あの男……どっかで見たような……)

 

しかし記憶がない今の彼女では、浅倉の正体を思い出す事はできない。その一方、先程謎の女性に反感を抱いていた黒髪の男―――“城戸真司(きどしんじ)”もまた、着ているパーカーのポケットからドラゴンの紋章が刻まれているカードデッキを取り出した。

 

「体が覚えてる……」

 

「え?」

 

「俺は……前にも、変身した事がある」

 

夏希が振り返る中、真司はそう呟きながら、王蛇に続くようにカードデッキを正面に突き出す。ベルトが召喚されたのを確認した彼は右手を斜め上にまっすぐ伸ばし、王蛇と同じ言葉を叫んだ。

 

「変身!!」

 

デッキをベルトに装填し、真司は赤いボディに銀色の鉄仮面が特徴の戦士―――“仮面ライダー龍騎(りゅうき)”への変身を完了する。シャッと拳を握り締めながら気合いを入れる龍騎だったが、その後すぐに自分が何故こんな事をしているのか、そもそも何故この姿の事を知っているのかという疑問で頭がいっぱいになった。

 

「ッ……また……!」

 

龍騎の姿を見た途端、夏希は再び頭痛で頭を押さえる。見覚えはあるはずなのに、何故か思い出せない。頭痛だけが頭に残り、夏希の気分は最悪だった。

 

「クハハハハハ……ハァ」

 

そんな中、王蛇は低い声で笑いながら、正面にいる龍騎を仮面越しに見据える。その際、王蛇に比較的近い場所に立っていた二宮は嫌な予感がした。

 

(ッ……まずい!!)

 

「ハァッ!!」

 

「え……ぐはぁ!?」

 

「ぐぅっ!?」

 

二宮が素早く後ろに下がったその直後、王蛇は自分のすぐ近くに立っていた坊主頭の男、ベージュのコートを着た男の2人を邪魔だと言わんばかりに蹴り倒し、殴りつけた。それに周囲の面々が驚いているのも無視し、王蛇は正面にいる龍騎に向かって襲い掛かった。

 

「ハァァァァァァッ!!」

 

「どわっと……!?」

 

龍騎は王蛇の拳を受け止め、彼が繰り出して来る攻撃を必死に捌いていく。いきなり始まったライダー同士の戦いに、変身していない者達の表情には困惑と焦りが浮かび上がる。

 

「へぇ、面白そうじゃん」

 

すると今度は、迷彩柄のダウンコートを着た男が楽しそうな表情で笑い、サイの紋章が刻まれたカードデッキを取り出した。

 

「せっかく用意して貰ったこのゲーム、楽しまなきゃ損だよね」

 

ダウンコートの男―――“芝浦淳(しばうらじゅん)”はデッキを正面に突き出し、ベルトが装着される。その後は右腕を正面に振り下ろしながら、彼も王蛇や龍騎に続いて変身を遂げる。

 

「変身!」

 

いくつもの鏡像が重なり、芝浦は頭部と右肩の角が特徴的な銀色の戦士―――“仮面ライダーガイ”の姿になる。ガイは拳を強く握り締めてから、今も頭を押さえている夏希に狙いを定めた。

 

「おい、危ないぞ!!」

 

「え……きゃっ!?」

 

「く……!!」

 

ガイの裏拳で殴られた夏希を、たまたま近くに移動していた二宮が咄嗟に受け止める。それを合図に、周囲の者達も一斉にそれぞれの行動を取り始めた。

 

「そうだ……これが、ライダーの戦い……」

 

「くそ、こうなりゃ俺も戦るしかねぇよな……!!」

 

「い、嫌だ……戦うなんて御免だぁ!!」

 

冷静に戦況を見極めようとする者。

 

自らも変身して戦おうとする者。

 

戦わず逃げ去ろうとする者。

 

皆がバラバラに動き、周囲に散り散りになっていく。それは殴られて倒れかけた夏希と、そんな彼女を抱き留めた二宮も例外ではなかった。

 

「おい、お前はどうする……!?」

 

「ア、アタシは……ッ!!」

 

頬を殴られた痛みからか、夏希の表情には恐怖心が芽生えかけており、二宮に抱き留められた状態からとても動けそうになかった。そんな彼女を見かねた二宮は小さく舌打ちし、彼女を強引に立ち上がらせる。

 

「ッ……来い、こっちだ!!」

 

二宮は夏希の手を掴み、引っ張るように彼女を連れながらその場から離脱。王蛇と龍騎、ガイやそれ以外のライダー達が争い始めたその光景は……現実世界にて、建物のガラスに映り込んでいた。

 

「ねぇママ! 次あそこ行こー!」

 

「あそこね、わかったわ」

 

「課長、例の資料について話が……」

 

しかしその光景が、現実世界で生きている人達の目に映る事はない。鏡の世界で熾烈な戦いが始まろうとしている事など、人々は知る由もなかったのである……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――で、今に至るって訳なんだが」

 

「ほんっと最悪。あの一本角、次会ったら1発殴り返してやる」

 

それから数日が経過し、現在はライダーバトルが始まってから3日目。あのまま成り行きで一緒に行動するようになっていた夏希と二宮は、この日もブレードやモンスターとの戦いを無事に切り抜け、こうして公園まで逃げ切るに至っていた。

 

「今にして思えば、俺も不思議でならんよ。何であの時、俺はわざわざお前を助けようとしたんだか」

 

「でもあの時、アタシを助けてくれたのは正直助かったよ。ありがとな」

 

「たまたま俺が近くにいて、倒れ込んできたお前を受け止めただけだ。助けた内に入るかよ」

 

「相変わらず素直じゃないねぇ、アタシの素敵な騎士(ナイト)様♪」

 

「誰がお前の騎士(ナイト)だ」

 

二宮の腕に抱き着いてからかうように笑う夏希と、彼女に抱き着かれ鬱陶しそうに引き離そうとする二宮。しかし二宮がどれだけ引き離そうとしても、腕に抱き着いてきた夏希は離れようとしなかった。

 

「……これでもさ。アンタには感謝してるんだよ、ほんとに」

 

「……いきなりどうした」

 

先程までと打って変わり、夏希の表情から笑顔が消え、代わりに不安そうな表情が浮かび上がる。

 

「正直、凄い怖かった。急にあんな戦いが始まってさ。あの時、二宮に助けて貰ってなかったらって思うと……」

 

「その時は、他の奴等の戦いに巻き込まれてご臨終だったろうな」

 

「……なぁ二宮」

 

夏希は二宮の腕を抱き締めていた力を強め、細い指先が二宮の服の袖をギュッと掴む。二宮はそんな彼女に一瞬表情をしかめたが、彼女を横目で見た際にある事に気付き、敢えて彼女を引き離さずそのままにした。

 

「アタシ達、本当にここから出られるのかな……?」

 

「……俺達が生き残ったとしても、ここから出られるのはどちらか1人だけだろうな」

 

「嫌だよ、そんなの……死にたくなんかないし……1人にだってなりたくない……ッ」

 

震えた声を発しながら、袖をギュウッと掴んで離さない夏希。その様子に二宮は呆れた様子を見せながら、彼女の額にデコピンを繰り出した。

 

「痛っ!?」

 

「いい加減離れろ、腕が締め付けられて痛いんだよ」

 

「ッ……アンタさぁ、こんな時までほんと空気を読ま―――」

 

喋っている途中だった夏希が突然黙らされる。驚く夏希の唇に、二宮の人差し指が押し付けられていた。

 

「勝手に俺を殺すな。俺とて、こんな所で死んでやるつもりはない。だが、そんな威勢だけで生き延びられるほどこの戦いは甘くない……だから」

 

人差し指を離し、今度は夏希の頬に優しく触れかける。その動作に驚く夏希だったが、自身の頬に触れている彼の温かな手を、彼女の心が拒もうとしなかった。彼の腕に抱き着いていた彼女の両手も、いつの間にか離れていた。

 

「お前の協力が必要だ。お前も死ぬのが嫌なら、命懸けで俺にその手を貸し続けろ。それが俺にとっても、お前にとっても最善の道だ」

 

「二宮……」

 

「余計な事は考えるな。必要のない不安は、俺が全て取り除いてやる……わかったな」

 

「……うん」

 

頬に触れられる事で、二宮の温もりを感じたからか。夏希は二宮の言葉に頷きながら、自身の頬に触れている彼の手を両手で掴み取った。そんな彼女のしおらしい姿に、二宮はどこか既視感のような物を感じていた。

 

(この感じ……どこかで体験している)

 

そのような体験は、彼の記憶にはない。しかしこの感覚を、彼の体は覚えているような気がした。それもあってか、二宮自身もまた、自分の手を掴んでいる夏希を振り払おうという気にはなれずにいた。

 

この関係が、たとえ一時的な物だったとしても。

 

今はただ、この状況に縋りついていたい。

 

夏希も、二宮も、その思いで頭がいっぱいになってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、とあるカフェテラス……

 

 

 

 

「ま、そういう訳だからさぁ」

 

テーブルを挟むように椅子に座りながら、仮面ライダーガイの変身者―――芝浦は正面の椅子に座っている1人の男と対話していた。

 

「ちょっとばかり、引き受けてくれると助かるんだけど」

 

「……あぁ、俺に任せてくれ」

 

芝浦からの頼み事を、その男は引き受けた。その返事に芝浦は小さく笑みを浮かべてみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらにとある廃墟では……

 

 

 

 

 

「遅いな……何事もなければ良いんだけど」

 

「心配すんなって。アイツはそう簡単にやられやしない」

 

「……ま、そうだと良いけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「先生……」

 

「どこにいる……俺と遊んでくれる奴はいないのかぁ……!!」

 

「……行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダー達の思惑は、彼等の気付かないところで交差していく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




やべぇ、書いててめっちゃハズい

正直、二宮がクサい台詞を言っているシーンは「めっちゃ似合わない事言ってる……」と思いながら執筆してました←
記憶がないのもあってか、今回の二宮は悪ぶっているもののいくらか善人寄り。このまま2人の協力関係が続くのだろうか……?
なお、記憶が戻った瞬間に悪役メーターが一気にカンストする模様(ドーン

次回もお楽しみに。
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