新暦65年7月
首都クラナガン 管理局地上本部
セフィリア 「本部に来るのも久々だな。」
何気なくあたりを見回しながら本部内の廊下を歩いていたセフィリアに、立ち話をして
いる局員の声が聞こえてきた
そのつもりはなかったが聞こえてしまうとついつい聞き耳をたててしまう
局員A 「なぁ、聞いたか?
今年訓練校に入校した奴でなんか化け物がいるらしいぜ?」
局員B 「ああ、聞いた聞いた。
とんでもなく防御が硬い上に、
見たこともないような大出力の砲撃魔法使うらしい
って奴だろ?」
局員A 「そうなんだよ!
しかもそいつとは別に中・遠距離に加え広域魔法も使えて、
さらに目でとらえられないくらいの高速接近戦闘をこなすって奴もいる
んだってよ。」
局員B 「マジかよ?
今年の卒業生には[S]評価卒業生がいたって言うし、
そのちょっと前にはうわさの最年少執務官だろ?
どうなってんだ、すげぇな最近・・・」
そんな話を耳にしながらセフィリアは目的の場所を目指す
セフィリア 「[S]評価卒業生か・・・。元気かなアルの奴。
結局入隊してからは会えて無いし・・・」
セフィリア (活躍は耳にするし、魔導士ランクも[AAA-]になったって聞いた
からうまくやってはいるんだろうけど・・・。
無茶して体壊してなきゃいいんだけどな・・・)
久しく会えてない親友のことを考えながら歩いていると
目的の場所に到着する
古代遺物管理部・起動三課 課長室
部屋の前で襟を正し扉をノックする
セフィリア 「陸士108部隊から先行応援として参りました、
セフィリア・ロムレット二等陸士であります。」
デュエイン 「入りたまえ。」
セフィリア 「失礼します。
セフィリア・ロムレット二等陸士であります。」
デュエイン 「うむ、初めまして。
古代遺物管理部・起動三課課長
デュエイン・スミルノフ三等空佐だ。
宜しく頼む。」
セフィリア 「はっ、宜しくお願い致します。」
敬礼をしながら上官へのあいさつをしていたセフィリアだったが、
室内にデュエインとは別の人物がいることに気付く
アルフレッド「相変わらず堅いヤツだなぁ、セフィ。」
セフィリア 「アル!」
アルフレッド「よっ!」
セフィリア 「失礼致しました!アルフレッド・ミハエル空曹。」
ついあだ名で呼んでしまったセフィリアだったが、
親友の階級とここが課長室であったことを思い出す
アルフレッド「アルでいいよ。お前に空曹なんて呼ばれるとむずがゆいぜ。」
セフィリア 「そういう訳にはいきません。現在は職務中ですので。」
デュエイン 「アルフレッドもそう言っている、構わんよ。」
意外な人物からの言葉に驚くセフィリア
セフィリア 「しかし・・・」
デュエイン 「今回の作戦では、君はアルフレッドとエレメントを
組んでもらおうと考えている。
いわば運命共同体だ、公式の場でなければプライベートと
同様の話し方で構わんよ。」
目の前に三等空佐がいるこの場も公の場だと思うのだが、その三佐本人がいいと言って
いる以上
108部隊と起動三課のメンバーしかいない場合はいいのだろうと自己判断しいつもの
話し方で話すことにした
セフィリア 「でも、驚いたよ。
三課にいるのはもちろん知ってたけど、
なんの連絡もなかったから今回の作戦には
参加しないんだと思っていたから。」
アルフレッド「驚かそうと思ってな。
セフィなら安心して背中を任せられる。よろしくな。」
セフィリア 「ああ」
驚きながらも久しぶりの親友との再会に、握手で答えるセフィリアであった
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2時間に及ぶ会議も終わろうとしていた
デュエイン 「以上が今回の作戦の大まかな内容だ。
といっても研究されているロストロギアの詳しい詳細
は不明だ。
ま、これはいつものことだがね。
君たちに事前調査を頼みたいのは、
その研究所にどれくらいの武力があるのかということだ。
大まかにでかまわん。
どのくらいの人員が出入りしているのか、
警備の状況などを遠方より調査してくれ。
情報は貴重だが、近づきすぎて発見され
今回の作戦が露見しては元も子もない。
決して無理はするな。何か質問は?」
古代遺物管理部の捜査は不確定要素が多い。
内部に潜んで調査することなどそう簡単なことではないし、研究対象の情報など簡単に
漏らす奴らでは無い。
今回のように研究所や次元犯罪者の詳しい潜伏先が分かっていることなど
珍しいことなのだ。
今回研究所の情報が入手できたのは、別件で逮捕された次元犯罪者が
口を滑らせたものだ。
アルフレッド「ありません。」
セフィリア 「ありません。」
デュエイン 「よし、では明日から偵察任務に当たってくれ。以上だ。」
アルフレッド「はっ!」
セフィリア 「はっ!」
デュエインの言葉にセフィリアとアルフレッドは敬礼しながら返事をし
課長室を後にした。
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7時間後
古代遺物管理部・起動三課 第二対策室内
アルフレッド「んあ゛~~~~あ!
やっと、明日からのプランも固まったな。」
何時間も机にかじりついて今後の行動プランを練っていたアルフレッドが、
凝り固まった肩をほぐしながら呟く
セフィリア 「ああ、結構時間かかっちゃったけど仕方ないね。
事前準備はしっかり行わないと・・・。
相手は次元犯罪者なんだ、どこにどんな罠が仕掛けてあるか
わからないからね。」
アルフレッド「しっかしセフィ。
本当に初めてか?ロストロギア関連の捜査?」
セフィリア 「うん。
座学講習を受けたことはあるけど、
現場に出るのは初めてだな。」
アルフレッド「やっぱり優秀だな、お前は。
俺よりセフィの方が遺物管理部に向いてんじゃねえの?」
そんなことないとセフィは言いかけたが、
その言葉はドアから入ってきた人物に遮られた
デュエイン 「なら108部隊のナカジマ三佐に交換転属の依頼を提出するかな?」
アルフレッド「デュエイン三佐!えっ・・・と、いや、あの」
まさか聞かれていたとは思わず慌てるアルフレッドにデュエインは苦笑しながら続ける
デュエイン 「本気にするな、馬鹿者。」
慌てているアルフレッドにセフィリアは笑いをこらえている
デュエイン 「作戦会議は終了したか?」
セフィリア 「はっ!さきほど完了致しました。」
デュエイン 「そうか、それでは今日はもう帰っていいぞ。」
アルフレッド「ほんとですか?やりぃ♪」
セフィリア 「アル!
しかし、まだ108部隊との合流準備が
終わっていませんが・・・」
つい本音が出てしまったアルフレッドを諫めながらセフィリアも続ける
デュエイン 「大丈夫だ、それは別の人員で行っている。
それより君たちは明日から現地へ向かうのだ、
早めに帰ってしっかり休め。それも仕事だ。
・・・しかし・・・」
セフィリア 「?」
デュエイン 「やはり交換転属の希望は行うべきかな・・・」
アルフレッドを見ながら呆れ顔で呟くと、デュエインは部屋を後にした
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管理局地上本部 通路
アルフレッド「セフィはこの後なんか予定あんのか?」
セフィリア 「いや、こんなに早く帰れると思ってなかったから・・・」
アルフレッド「じゃ飯でも食って帰ろうぜ。
いろいろ話も聞きたいし♪彼女のこととか♪」
ニヤニヤした顔で言ってくるアルフレッドにうんざりしたように答える
セフィリア 「い・・・いないよ。」
アルフレッド「まあまあ。あとでゆっくり聞かせてもらうよ♪」
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クラナガン東部 日本食処 [黄昏]
セフィリアとアルフレッドはクラナガンでもかなり珍しい、
第97管理外世界にある日本国の料理を提供する食事処で食事をしながらお互いの近況
を報告しあっていた
アルフレッド「へ~、じゃあうまくやってんだ。
そのギンガちゃんとスバルちゃんだっけ?
にもなつかれてるんだろ?」
セフィリア 「なつかれているかは分かんないけど、
とってもいい子たちだよ。
ゲンヤさんとクイントさんにもよくしてもらってるし。」
アルフレッド「そっか。」
セフィリア 「うん。
自宅にお邪魔して一緒に食事させてもらったり
もしてるんだけど、なんか懐かしいなって。
家族ってあったかかったんだって少し思い出したよ。」
アルフレッド「・・・よかったな・・・」
セフィリアの両親のことを知っているアルフレッドは、
基本セフィリアと家族の話をするのを避けている
セフィリアも両親のことはすでに整理がついている、
いや普段は割り切れるようになっているセフィリアだが当然忘れることができるもので
はない。
たまに大勢で談笑しているときなど家族や親の話題が出るとセフィリアの顔が少し曇る
のをアルフレッドは見てきた
そんなセフィリアが自ら家族の話をして微笑んでいることに
アルフレッドは心底喜んでいた
アルフレッド「・・・で?彼女はできたのかよ?」
セフィリア 「・・・っ!だから、いないって!」
先ほどと同じようにニヤニヤした顔でアルフレッドは聞いてくる。
アルフレッド「照れるなよ。相変わらずもててんだろ?」
セフィリア 「別にもててないよ。皆よく話しかけてはくれるけど・・・」
アルフレッド(あ~、久々に会ったんで忘れてたよ・・・。
こいつが超の付く鈍感野郎だったってことに)
アルフレッドはあきれた顔をしながら学生時代や訓練生だった時を思い出す
実際学生時代にはファンクラブなんてものも設立されていたが、
そのせいで直接的なラブレターなどは本人にわたる前にすべて淘汰され、
時折その包囲網を狡猾に潜り抜け直接告白するという猛者もいたが「付き合って」
と言われても「買い物?いいよ、荷物持ちならいくらでも♪」
といった始末であった
セフィリア 「アルフレッドはどうなの?
地上本部にいるんだし女性も多いだろ?」
アルフレッド「いねぇよ!」
セフィリア 「どうして?付き合う気ないの?」
アルフレッド(こいつ本気で言ってんのか、一回マジでどついてやろうか!)
管理局には女性局員も多い、その男女比はほぼ5:5となっている。
地上本部ともなればそもそもの局員が多く当然女性もかなりいる、この四ヶ月何度か
歓迎会や別の部署との懇親会のようなものもあったが・・・
アルフレッド「もてねえんだよ!」
ということなのだ。
アルフレッドの容姿は悪いわけではない、
むしろかなり整った顔立ちでセフィリアとはまた違った雰囲気のイイ男である。
しかしその容姿と口調から[軽い男]のレッテルを貼られてしまっていた。
実際は逆で一途な優しい人物なのだが・・・
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食事も終わってお互いの仕事であった出来事のことなど話しながら
2時間近く経ったころ
アルフレッド「さて、そろそろ帰るか。
セフィ今日はどこに泊まるんだ?よかったらうちくるか?」
セフィリア 「ありがたいけど今日は実家に帰るよ。
毎週掃除してもらうよう頼んではいるけど、たまには
帰ってやりたいからさ。」
アルフレッド「そっか。じゃまた明日な。集合は8時、駅前だからな。」
セフィリア 「ああ、アルこそ遅れるなよ!」
挨拶をしながら二人はそれぞれ互いの自宅に足を向けた
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夜 セフィリア邸
セフィリア 「父さん、母さんただいま。
ごめんねしばらく帰れなくて。・・・」
棚に飾ってある写真立てには幸せそうに微笑む二人の男女が写っていた
セフィリア 「母さん・・・俺陸士部隊で頑張ってるよ。
部隊の人達もみんないい人で楽しくやってる。
だから・・・心配しないで・・・
父さん・・・明日から父さんがいた遺物管理部の仕事を
手伝うことになったよ。
大変そうだけどアルも・・・
友達も一緒だからきっと大丈夫・・・。
父さん・・・俺・・約束・・・ちゃんと守ってるよ・・・」
両親との話も終わりセフィリアは庭に出ていた
セフィリア 「アマテラス。」
アマテラス 「はい。マイスター。」
セフィリア 「父さんってどんな人だった?」
今まで聞いてこなかった。
いや、聞けなかったことがなぜか今日は自然と口から出た
アマテラス 「はい・・・とても優秀な魔導士でした。
魔力保有量こそ平均的な魔導士と同程度でしたが、
魔導士ランクは[AAA+]を得て戦闘能力でも近・中・遠距離すべて
において高い技能をお持ちでした。
現場での状況判断も的確で多くのの方々に
慕われておりました。」
セフィリア 「そっか。僕も父さんみたいになれるかな?」
アマテラス 「マスターもとても優秀でありますよ。
とても素早く的確な判断をなされます。
これから沢山の経験を経て、
もっと優秀な魔導士となれると私は信じております。」
セフィリア 「・・・うん。・・・ありがとう。」
アマテラス 「マイスター、前マイスターは常々言っておられました。
『どんなに苦しい状況でも決して諦めるな、
己の持てるすべての力を駆使し、その時々の状況で
何ができるかを常に考え続けろ。
最後の最後まで何ができるか考え足掻き続けろ。
それがきっと自分自身を、共に戦う仲間を、
無力な人々を守ることとなる。私はそう信じている。』
と・・・
主に部下の方々への訓練の際や任務が苦境に陥った時に
そう檄を飛ばしていらっしゃいましたが、
私には自分への戒めとして敢えて口にしていらっしゃる
ように見えました。」
セフィリア 「・・・己の持てる・・・すべての・・・力・・・」
父の言葉を心に刻みながらセフィリアは夜空を見上げていた
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首都クラナガン 中央駅前
アルフレッド「よっ。おはよう、セフィ。」
セフィリア 「アル、おはよう。」
アルフレッド「よく眠れたか。」
セフィリア 「ああ、体の調子も万全だよ。」
アルフレッド「じゃ、気~引き締めていくか!」
セフィリア 「ああ!」
二人は違法研究施設があるというクラナガン西部にある深い森の中に向かった
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目標の研究所から大分距離がある小高い丘から超望遠カメラで監視しながら
アルフレッドが呟く
アルフレッド「やっぱりここで間違いなさそうだな。」
セフィリア 「ああ、通常の資材工場を装ってはいるが、
異常に警備が厳しすぎる。
提出されている書類上は特に危険な物を扱っている情報も
無いっていうのにな。
目標で間違いないと思う。」
アルフレッド「特に夜の警備が異常だな・・・
夜間は工場も稼働してないことになっているのに最低でも常に
20人はいる。」
セフィリア 「夜の工場内は照明が付いている様子が無い、
それなのに人の出入りが多すぎる。
おそらく研究施設自体は地下だろうな。」
アルフレッド「中はもっと警備が厳しいだろうな、当たり前だけど。
研究員も含めると100人近いんじゃないか?
こんなに大きな研究所だとはな、これはちょっと大仕事だぜ・・・」
セフィリア (たしかに人数が異常だ。
夜間とはいえあれだけの人数の警備兵がいればさすがに目立つ・・・
それほどに危険なロストロギアを扱っているということか?
それとも・・・?
それに敷地内の警備は厳重だが敷地外は全くといっていい
ほど無防備だ、たしかに敷地外まで厳重にすれば
一般人にも怪しまれる可能性が出て研究所が露呈する危険も
増えるが・・・)
一抹の不安を覚えるセフィリアだが研究所の外周は高い塀で囲われており
簡単に内部は見えない
自分たちのいるような高い場所から監視すれば簡単に見えるのだが、
ただの資材工場をわざわざ望遠カメラまで使って覗くような者など基本はいない
事実自分たちも今回のようにリーク情報がなければ気付いてすら
いなかったのだそう思い直しセフィリアはその不安を振り払う
しかしセフィリアはこの決断をのちに後悔することになる・・・
セフィリア 「たしかに大変かもね。
108部隊のメンバーを入れても突入するのは20人も
いないからね。
気を引き締めていかなきゃね。」
アルフレッド「ああ。」
こうして4日間近い偵察任務を終えセフィリアとアルフレッドは報告のため部隊に
帰還した
第2話更新しました
今回も楽しんで頂けたでしょうか?
登場人物がオリジナルばかりで申し訳ありません
今は原作のキャラとあまり絡みませんがのちのち絡んでいきますのでお楽しみに
まだプロローグって感じですね
原作に絡むようになってからが本編って感じになりますが結構先です・・・
まだ戦闘描写はありませんがのちのち出ます
・・・が本当に描写が難しいです
頑張って書いてはいますが、伝わらなかったらごめんなさい・・・
(毎回言ってる気がする・・・)
ではまた次回も宜しくお願いします
以下オリジナル設定
(ある程度文量が増えたら後日設定集として別で投稿する予定です)
オリジナル人物設定
セフィリア・ロムレット 16歳
魔力値「B」 個人でかけているリミッターを外すと「SS」
別にもう一つ隠している能力がありますがそれは別の機会に・・・
(隠している理由も後日出てきます)
所有デバイス 古代ベルカ式 「アマテラス」
セフィリアの家に代々伝わってきたデバイス
ある理由から所持しているだけで使用していません
最初の所有者で制作依頼者がおよそ1000年前に次元震の影響で
当時のベルカに飛ばされてきた日本人
(当然その当時は日本の呼び名ではないですが・・・)
で同じように中国から飛ばされてきた女性と結婚したという裏設定があります
アルフレッド・ミハエル 16歳
魔力値「AAA」
アルフレッドは卒業時の高評価特例で試験を受けて「空曹」の階級と
「AAA」の魔導師ランクを取得しています
裏設定としてはミッドチルダの転送ポート事業を一手に担う会社
「ミハエル・エレクトロニクス」総帥の御曹司
(前回の作中でお坊ちゃんと言われているのはその為)
兄と姉がいる為跡取り問題とは縁が無く自由にやりたいことをやらせて
もらっている
デュエイン・スミルノフ
階級「三等空佐」 古代遺物管理部・機動三課課長
魔力値は同じランクの魔導師でも違いますので、
平均値で考えてという設定で話を進めています
(保有魔力量と言った方が分かりやすいかもです)