ベルカ自治領区・聖王医療院
セフィリアの入院を聞いたなのは・フェイト・はやての三人はお見舞いへとやって
来て・・・
三人が病室に入るやいなや、目に飛び込んできた光景に三人は絶句する・・・
2人と1人で意味が異なるが・・・
はやて 「なにしてるん・・・?
カリム・・・?」
はやての脳内に警報が鳴り響く
なのは 「あはは・・・」
なのはも同様だった
フェイト 「・・・・・・・・!」
当然フェイトに対する特別警戒警報である
はやて 「しょ・・・紹介するな!
こちら聖王教会の騎士で管理局の理事も務めてる、
カリム・グラシア少将や。」
なのは 「高町なのは三等空尉です・・・。」
フェイト 「フェ・・フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です!」
フェイトの顔が怖くなっているが、カリムは全く気にしてない様子で、
カリム 「セフィさんのお見舞いですか?どうぞこちらに。」
カリムが折り畳み式の椅子を準備する
なのは 「セフィさん具合どうですか?」
セフィリア 「ほとんど大丈夫だよ。
なんとか歩けるようになったし、食事も通常食に戻ったからね。」
実際はまだ治ってなどいない・・・
歩くといっても片足はまだリハビリの許可すら下りていない上、利き腕も使えない
はやて 「ホンマに驚きました。
ベルカの守護龍とやりあったって聞いたときは・・・。」
フェイト 「心配したんですよ。
なんか怪我で辞表出したとかって噂もあって、大怪我したんじゃな
いかって・・・」
実はあの後話が思いっきり交錯していた・・・
終いには
『セフィリアが武者修行の為にベルカの守護龍に喧嘩を売り、
守護龍を討伐して聖域の長になった』
などと、とんでもない話になっていた・・・
今は管理局からの正式発表により誤解は解かれているが・・・
発表が聖王教会からではなく管理局からあったのには訳があった
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一週間前
ベルカ自治領区・聖王医療院
ゼスト 「思いの外後先を考えない奴だな。
ま、覚悟の上だったのだろうが・・・」
辞表を出して飛び出したセフィリアにゼストが毒を吐く
セフィリア 「ゼスト隊長、どうして首都防衛隊に出動命令が?」
ゼスト 「俺がレジアスにかけあった。」
セフィリア 「ゲイズ中将に?でも断られたのでは?」
ゼスト 「お前が出ていったおかげで理由を作ることが出来た。」
経緯はこうである
今や管理局最強とも言われるほどの男が、辞表を出してまで出撃した
このままでは管理局の戦力が落ちるどころか、聖王教会が感謝の念を持ってセフィリア
を引き入れる可能性がある
奇しくもセフィリアは、古代ベルカの使い手であり騎士となる条件も整っている
それはゼストとレジアスが憂いていた、管理局の戦力不足の解消から最も遠い事態だ
もちろんセフィリアが五龍を何とか出来ればの話だったが、事実退けたのだ・・・
それだけでも十分出動の理由になるが、ダメ押しとして今回の事件を管理局員が
治めたとすれば、聖王教会に大きな借りが出来ることも付け加えておいた
すでにセフィリアは出ていってしまったのだ、何も手を打たなければ管理局にとって
最悪の事態になってしまう
という説得なのか強迫なのか分からないような理由を突きつけ、ゼストは親友であり
上官でもあるレジアス・ゲイズ中将を納得させたのだった
セフィリア 「なるほど、とりあえず分かりました。」
ゼスト 「お前は意外と融通もきかん・・・
一度辞表を出した以上辞めるとも言いかねんからな。
今日は一応釘を刺しに来た。
このまま辞めれば管理局と聖王教会の関係にヒビを入れかねん。
今回は俺の顔を立ててくれると助かるんだがな。」
ゼストの言う通りであった
一度辞表を提出した以上セフィリアは辞めるつもりであった
しかしこのまま辞めれば、何の義理も無いベルカの為に、辞表を出してまで駆け付けて
くれた英雄を管理局は切り捨てたとして、聖王教会はいい感情を持たないだろう
義理に厚いベルカの民なら十分あり得る話であった
セフィリア 「わかりました。
聖王教会に責任を負わせる訳にはいきませんし・・・」
ゼスト 「助かる。俺としてもお前がいなくなっては困るからな。」
ゼスト (後を継ぐものをむざむざ失いたくはないからな・・・)
本音は隠しながらゼストは何とかセフィリアを説得することに成功したのだった
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セフィリア 「ごめんねフェイトちゃん。
しばらく絶対安静で連絡も取れなかったから・・・」
フェイト 「こうして無事な姿を見れましたから安心しました。」
カリムはフェイトの笑顔を見て直感する
カリム (この娘・・・ライバル登場ってところですかね)
フェイトは自分の気持ちに気付いていないが、カリムは完全にセフィリアにやられ
ていた
それまで厳粛な生活をしていたカリムにとって、異性に抱きかかえられるなど初めて
の経験であった
しかも、命の危機に颯爽とあらわれお姫様抱っこで助けられたのだ
それはもう子供のころから憧れた、絵本の王子様のようであった
そういう訳でセフィリアが入院してからというもの、聖王教会の理事としての権力も
使い、絶対安静のはずの病室内にも入室を許可され、かいがいしくお世話をしてきた
セフィリア 「もう退院しても大丈夫だと思うんだけど、許可が下りなくてね。」
フェイト 「ダメですよ!ちゃんと身体を治してからじゃないと!」
カリム 「そうですよセフィさん。
セフィさんが退院するまでは、私がしっかりお世話させて頂き
ます。」
フェイト 「くっ!」
フェイトが悔しそうな顔をする
はやて (カリム本気やな・・・うちどないしたらええんや・・・)
なのは (怖い・・・また顔が怖くなってるよ・・・フェイトちゃん・・・)
はやては近い将来板挟みにあう未来を想像して不安になり、なのはは随分長いこと
一緒に居る親友が、最近嫉妬に狂い始めているのを心配する
はやて 「ところでなんでカリムが世話しとるん?」
フェイト 「そうですよ!看護師さんの仕事でしょう!」
これ幸いとばかりにフェイトが抗議の声を上げる
カリム 「セフィさんは私を助けてこうなったんですから・・・
それにベルカの為にここまでしてくださった恩人に何もしないなど、
教会の理事としても許されません。」
実際はカリムを助けた際に怪我などしていないのだが、嘘も方便だ。
フェイト 「ん~~~~~!」
どうすることもできないフェイトは、唸ることしか出来ない
なのは 「フェイトちゃん。
セフィさんが退院したら、少しの間セフィさんの家でお世話して
あげたら?
退院しても不自由なことはあるだろうし・・・。」
カリムには何の義理もないなのはが、フェイトの援護に回る
フェイト 「そうだね♪なのは良いこと言う♪
昔からお世話になりっぱなしですから、今回はぜひお世話させて
下さい。」
カリム 「ちっ!」
はやて (カリムのあんな顔みたことあらへん・・・
あかん・・・それはあかんよ・・・カリム・・・)
セフィリア 「そんな・・・悪いよ・・・。
フェイトちゃんにそんなことさせられないよ。」
フェイト 「大丈夫ですよ。
リンディ母さんに言っても、ぜひ行ってきなさいって言うと思い
ますし。」
たしかにリンディならそう言うだろうことも容易に想像できる
セフィリア 「でも、俺は一人暮らしだからね。女の子を家に呼ぶわけには・・・」
セフィリアは倫理観から拒否しようとするが
フェイト 「嫌ですか・・・」
フェイトのこの泣き出しそうな顔にセフィリアは弱い・・・
セフィリア 「いや・・・そうじゃないけど・・・」
フェイト 「ダメですか・・・」
セフィリア 「じゃ本当にリンディさんがいいって言ったら、お世話になろう
かな・・・」
結局セフィリアは女性の涙には敵わないのだ・・・
この後もフェイトとカリムのやりとりはいろいろと繰り返されたが、面会時間の終了
もありこの日は解散となった
ちなみに、セフィリアは二人のやりとりの裏にあるドロドロした感情にはまったく
気付いていなかった・・・
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それから二週間ほどたったセフィリアの退院日前日
カリム 「セフィさん、少しお話があるのですが、よろしいですか?」
セフィリア 「はい、どうされました?」
カリムは真剣な表情である
カリム 「実は・・・
セフィさんに教会騎士団に入団していただけないかと・・・。」
セフィリア 「騎士団ですか?今のところそのつもりはありませんが・・・」
カリム 「あなたほどの騎士に入団していただければ、現騎士達の戦力強化に
もなりますし、今やあなたは聖王教会の英雄です。
ただ居て頂くだけで皆さんの士気もあがります。
それにあれほどの功績を上げて頂いた恩人を、お迎えしないわけ
にも・・・」
セフィリア 「お気持ちは嬉しいのですが・・・
俺は父と親友の遺志と夢を継ぐために管理局で働いています。
今はそれだけで精一杯ですので・・・
ただ今回のように、なにか困ったことがあれば言ってください。
いつでも全力で駆け付けます。」
カリム 「そうですか・・・残念ですが・・・
無理強いは出来ませんね・・・、今回は諦めます・・・」
だがカリムの[今回は]とは[今日は]にも置き換えられるもので、その後セフィリア
は会うたびに教会騎士団に勧誘されることになるのである
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翌日の退院当日はフェイトが迎えに来ていた
カリム 「何かお困りの際は遠慮なく申してください。
私でよければ、いつでもお世話させて頂きます。」
セフィリア 「ありがとうございます。その時は宜しくお願いします。」
フェイト 「大丈夫です!今日からは私がしっかりお世話しますので!」
最後まで仲良くはできない二人であった・・・
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クラナガン ロムレット家
セフィリアとフェイトは病院から直接セフィリアの家に向かった
フェイト 「ここがセフィさんの家・・・」
セフィリア 「両親が建てた家だけどね。さ、上がってゆっくりしてよ。」
と言いつつも、まだ足も手もおぼつかないセフィリアは四苦八苦している
フェイト 「ダメですよ!肩を貸しますから・・・もう無理しないで下さい!」
セフィリア 「大丈夫だと思ったんだけどね・・・、ありがとう・・・」
フェイト 「あんまり無理するようだと・・・、私泣いちゃいますよ!」
当然フェイトを泣かせるなど、セフィリアにとってありえない
セフィリア 「わかりました・・・。ごめんなさい・・・。」
この日から、セフィリアとフェイトのおよそひと月の同居生活が始まる
セフィリアはこの日の朝のリンディとの会話を思い出す
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早朝
フェイトが看護の為にセフィリアの自宅に訪れる許可が出たというので、
セフィリアはリンディに通信で直接確認していた
セフィリア 「本当にお言葉に甘えてよろしいんでしょうか?」
リンディ 「フェイトさんが、自分からお願いしてきたことですから♪
もう必死にお願いされましたわ。
セフィさんでしたら私達も信用していますから♪
私からもお願いします。フェイトさんをお願いしますね。」
普段自分からわがままを言わないフェイトが、あまりにも熱心に頼む姿にリンディは
逆に嬉しさを覚えていた
セフィリア 「何か申し訳ないですね・・・、いい大人が甘えてばかりで・・・」
リンディ 「あなたはそれだけの偉業を成したのですよ。
少し甘えるくらいがちょうどいいんじゃないかしら。
それに甘えてもらった方がフェイトさんも喜ぶと思うわ。」
セフィリア 「そうですかね?自分ではよくわかりませんが・・・
とにかく身体がある程度動けるようなるまで、
フェイトちゃんにはお世話になります。」
リンディ 「はい、ただ無理はしちゃいけませんよ。
身体の調子を見ながら、ゆっくり治していって下さいね。」
セフィリア 「はい、ありがとうございます。」
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というやり取りもあったがセフィリアは極力フェイトの世話にはならないように
しようと思っていた・・・
思っていたが・・・
フェイト 「はい、セフィさん。」
セフィリア 「あの・・・フェイトちゃん?」
フェイト 「どうしました?」
セフィリア 「自分で食べられるから大丈夫だよ・・・。」
フェイト 「ダメですよ、まだ右手が不自由なんですから。」
フェイト曰く[ヤツに負けるな!セフィさん看護大作戦!]は初日の夕食時から
始まっていた
ちなみにヤツとは当然カリムのことである・・・
フェイト 「はいどうぞ。」
当然「あ~~ん♪」である
セフィリア 「大丈夫だよ・・・左手でも食べられるし・・・」
フェイト 「カリムさんにはしてもらったのに・・・・」
ぼそっとフェイトが呟く
セフィリア 「うっ・・・。」
フェイト 「はい、あ~んです。」
セフィリアは観念して口を開く
セフィリア 「美味しいよ。」
フェイト 「よかった♪」
結局最後までフェイトが食べさせる形で夕食は終わった
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[ヤツに負けるな!セフィさん看護大作戦!]開始から十数日たった日
フェイト 「セフィさん今日のお昼ごはんどうでした?」
セフィリア 「とっても・・美味しかったよ・・・」
フェイト 「セフィさん・・・?」
セフィリア 「ん・・・?」
フェイト 「どうしました?顔色が悪いですよ?」
セフィリア 「そうかな・・・?」
あきらかに体調が悪そうなセフィリアをフェイトは心配する
フェイト 「ちょっと失礼しますね。」
セフィリアの額に手を当てると
フェイト 「すごい熱じゃないですか!すぐ横になって下さい!」
不思議と言われるまでは大丈夫と思えても、はっきり熱が高いと自覚すると急に身体
に限界が来る
セフィリア 「そう・・・すまない、じゃ少し横になるよ・・・」
自室のベッドで横になるセフィリアにドリンクを持ってくるフェイト
フェイト 「水分とって下さい。」
セフィリア 「ありがとう。」
フェイト 「眠れるようなら寝ちゃって下さいね。」
セフィリア 「うん、少し寝るよ・・・。」
まるで気を失うようにセフィリアは眠りについた
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数時間後
フェイト 「セフィさん。」
セフィリア 「う・・ん。フェイトちゃん・・・?」
フェイト 「起こしちゃってごめんなさい。おかゆ作ったので少しでも食べて
薬飲んで下さい。」
フェイトは湯気の立つおかゆを手にしている
セフィリア 「あ・・・ありがとう・・・」
フェイト 「ふ~、ふ~。はい、セフィさん。」
セフィリアはすでに諦めているのか反論する元気もないのか、素直に口をあける
何とかほとんど食べてから薬をのみ、セフィリアは再度眠りに落ちた・・・
目が覚めると薬が効いたのか、頭もはっきりしていた
身体を起こすとベッドの横に座り突っ伏す形でフェイトは寝ていた
セフィリア 「ずっと看病してくれていたのか・・・」
優しくフェイトの髪を撫でる
セフィリア 「ホント・・・いい娘だ・・・。」
フェイト 「セフィ・・さん・・・。」
起こしてしまったかと思ったがすぐに寝息が聞こえる
フェイト 「す~・・・す~・・・」
セフィリア 「ふふっ。」
自身にかけられていた毛布を一枚フェイトの肩からかけて・・・
しばらくセフィリアはその絹のようなフェイトの髪を撫でていた・・・
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翌朝
看病しながらセフィリアのベットに突っ伏して寝てしまっていたフェイトが目を
覚ますと・・・
セフィリア 「おはよう、フェイトちゃん。」
フェイト 「セフィさん、もう大丈夫なんですか?」
セフィリア 「もうすっかり。熱も下がったし、フェイトちゃんのおかげだね。
ありがとう。」
フェイト 「よかった。食事食べられそうですか?」
セフィリア 「うん、もうお腹ペコペコだ。」
フェイト 「じゃ、すぐ用意しますね。」
フェイトが食事を用意する間セフィリアは何気なくフェイトをみていた
台所をパタパタとせわしなく動き回るフェイトに・・・
セフィリア 「フェイトちゃんはいいお嫁さんになるね。」
がしゃんと盛大にお皿を落とす
フェイト 「なななな・・・・」
フェイト (プラスチックのお皿でよかった・・・)
セフィリア 「ふふっ、ホントだよ。」
その日一緒に食べたはずの朝食の味をフェイトは覚えていなかった
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管理局地上本部前
退院からほぼ一ヶ月、セフィリアの身体もほぼ完治し、フェイトの帰宅の日となった
セフィリア 「一ヶ月ありがとう、フェイトちゃん。本当に助かったよ。」
フェイト 「少しでも助けになれたのでしたら、よかったです。」
セフィリア 「帰り道気を付けてね。」
フェイト 「セフィさんも病み上がりなんですから、運転気を付けて下さいね。」
セフィリア 「ああ、ありがとう。」
フェイト 「それじゃあ、また・・・」
セフィリア 「またね・・・」
フェイトは背を向けて歩き出す
セフィリア 「フェイトちゃん!」
フェイトが振り向く
セフィリア 「またおいで!今度は俺がご馳走するよ!」
フェイト 「・・・はい!」
満面の笑顔でフェイトは答えた・・・
第二十一話でした
オリ主の気持ちが少しずつフェイトに向かう感じを出したかったのですが・・・
どうでしょう・・・
看病とかされるとなりますよね・・・「ほれてまうやろ~!」って・・・
いや私にそんな奇跡はおきませんけど・・・
魔法での治療ってどれくらい効果あるんだろ?
完治にひと月って長いのか?さすがに大怪我には効かないのか?
原作のなのはも結構長い治療だったみたいなのでよしとしましょう
ではまた次回もよろしくお願いします