シンフォギア習作 振れば風の鳴る翼的な女の子   作:レノボのカナリア

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次話を途中で消しちゃったからお茶を濁す回。
すぐに次話を投稿、したい、できたら。


幕間、大学の話

日本で一番の大学はと聞かれたら大体の人間は東京大学と答えるだろう――慶應義塾出身者のほとんどは慶應義塾と答えるが、それは除外しておくとして――が、日本で一番運動部が活発なのはと聞かれたならば、間違いなく日本皇道大学通称日皇大と皆が答えるだろう。

 

 

1880年に皇族、ただしく言うのなら次の天皇になるだろうと思われていた当時の皇太子にあまねく学問を教え、皇道というに相応しい政治を求めるための私塾、それが日本皇道大学の前身であった。

そこへ集った教師陣は後の歴史にすら名を残すほどの傑物ばかりであり、当時設立されたばかりの東京大学からも幾人か引き抜かれたため、これでは何の為にわが校が設立されたのか!と怒声があがったという。

 

私塾外ではさまざまな軋轢があったものの内部は極めて開放的な空気に充ちており、皇太子は良き教師や学友に囲まれて順調に学んでいた。

後に文学賞の名前ともなった語学教師のこだわりから英語とロシア語の2ヵ国語教育に力を入れた結果、世界へ進出するために語学を学ぼうと入塾したがるものが続出し、それを受けて私塾は日本皇道大学と名前を変更。

生徒受け入れの為に規模が拡大し、生徒が増えたことで教師陣も増員せざるを得なくなったのだが、ここで問題になったのが教員の宛であった。

 

先に東京大学から引き抜きをしたため警戒されたのか、他大学の引き抜き対策や青田買いなどでめぼしい教師を用意出来なかった日皇大は今いる教師陣の教え子――弟子とも言うが――を雇いいれることになるのだが、これが元で大きな路線変更を余儀なくされることになる。

 

教え子たちは皆立派に成長していたが、時代が時代であったため高等教育を受けた者たちの進路など陸軍だったり海軍だったり政治関係だったりが主だった。

そういった者たちが教師として流れ込んで来たがゆえに体育会系の空気が蔓延し、柔術剣術その他もろもろも教える事になっていく。

 

あとは分かりやすい流れだ。

 

開放的な空気は淀み、閥が出来上がる。

それを嫌って開明的な教師や生徒たちは出ていき、ますます悪循環が加速する。

 

私塾設立から40年。

残ったのは設立当初の理念が消し飛んだ、準士官学校と揶揄される学舎だけであった。

 

戦後はGHQによって解体寸前の憂き目にあったが、健全な教育に力を入れて体育大学として再建することを当時のアメリカ大統領と約し、無事にすまされることになる。

 

 

その歴史の裏では、とある先史文明時代の女性の魂を身に宿した者の姿が見え隠れしていたのだが、そんなことを知るものは誰もいない。

 

 

 

 

 

 

さてそんなバリバリ体育会系の日皇大だが、体育会系の常として健全かつ不健全な行いが日々行われている。

それは三徹麻雀後の飲み会だったり無意味な荒行だったりするが、今日行われているのはまことに不健全な方の、いわゆる賭け事だった。

 

賭けの種は、雅実の学友いわく

 

「久我雅実が見合いを抜け出して逃げるまでの時間は何分か?」

 

というもの。

 

 

事の起こりは本日2月15日の朝であった。

 

雅実と古くから学友をやっている男のもとに雅実兄から一本のメールが届く。

内容は弟の誕生パーティーは真っ赤な嘘であり、本当はお見合いがセッティングされているのでもし逃げ出したら居場所を特定して欲しいというもの。

 

いやぁ嬉しいなぁと、友が珍しく家の事ではしゃぐ様を見ていたのを思いだし小さく合掌。

そのあとで了解です!と普通に返信し、雅実が逃げるであろう先を予測した学友は人をそちらに派遣してその時に備えた。

 

 

備えた良いがそれだけだとつまらないとなんとなく思ったので、無駄に広い交遊関係を利用して大学の知り合いや学部間の連絡網に事情説明と賭けに誘うメールをばら蒔いたのである。

お兄さんには俺も一緒に頭下げてやるから、ちょっと儲けさせてね!的なサムシングで。

 

 

賭けには大多数の人間が乗った。

なんなら複数の教員まで乗った。

 

良くも悪くも目立ちまくるその存在感から人気がそこそこある雅実の見合い話というだけでも面白いのに、賭け内容が逃げる前提になっているというのも笑える話。

健全な賭けにするためという御題目のために賭け金は電子マネーで、さらには1人千円までというお手軽なものにしたのだが、参加総数が六千人弱とマンモス大学校の面目躍如――賭けに参加するのが面目かはともかく――であり、集まった金は約六百万。

 

素早く投票結果をまとめた学友はそれを学生間のネットワークに流すと、一息いれるようにコーヒーをすすって皆の反応を確かめていく。

 

 

 

――開始から逃亡まで3分に得票率93%も集まってたら賭けにならんだろ!――

 

――逃げないに投票したコンマ1%未満の奴ら、これ参加賞とかないからな?――

 

――むしろなんで逃げると思うんだよ。久我だって一応良いとこの坊っちゃんだろ。そういう俺は5分に賭けた!――

 

――残ると思ってるなんて、雅実エアプかな?ちな大穴の10分――

 

――エアプは今回のブックメーカーのTwit◯erに雅実伝説のリンク貼ってあるから見てこい――

 

――ブックメーカーの奴、久我と友人やってる時点でヤバい奴だけど久我の被害担当でもあるんだよな――

 

――研究室の先輩をぼったヤクザの面が見たいって言ってブックメーカー巻き込んで事務所に挨拶しに行った話する?――

 

――挨拶(破壊活動)――

 

 

 

賭けの話から脱線するのは構わないが嫌なこと思い出させないで欲しい……話題の友と違って学友は一般人であるから、ヤクザは怖かった。

目の前で拳銃は抜くしドスは抜くし、いかつい顔でアンゴランノガゴラなんてどこかの方言で喋りかけてくる姿なんかもう怖すぎだ、本当に。

 

怒鳴っただけでビルを半壊させた友人が一番怖いとは気付かない学友は、ヤクザの姿を思い出して震えながらもネットワークに書き込む。

 

 

――そろそろお見合い開始です。皆さん、色々よろしく――

 

――色々………雅実の確保俺たちも手伝うパターンなのな――

 

――まぁ、賭け云々よりその後の逃走実況のほうがメインに近いしな――

 

――友としては逃げないで欲しいんですけれどね!――

 

――叶わぬ願いよ――

 

――奴に大人しくは無理だろ、筋肉が躍動しているからな――

 

 

 

なおも流れていくネットワークの文字を目で追いながらも壁掛けのコートを羽織った学友は、一番有力な逃走先に先回りしておこうと

車のキーを手に取った。

知らされているお見合い現場から僅か5kmの位置に存在するそこは、雅実が数年前から通っている喫茶店である。

 

 

飯でも頼んで待っていよう。

 

先代から受け継いだとうそぶく絶品ナポリタンのことを頭に描いている学友だが、着いた時に臨時休業の張り紙を見て崩れ落ちる事をまだ知らない。

 

 

 

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