シンフォギア習作 振れば風の鳴る翼的な女の子   作:レノボのカナリア

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ファン心理は複雑な話

奏ちゃんと別れ、そのあとで機密書類にサイン。

これで安心、さようなら!と潜水艦を後にしようとしたのだが、それは許されなかった。

 

何故かその場で少し待つようにと言われてしまって、そこから待つこと待つこと。

書類を纏め終わっていた弦十郎さんと俺、大の男が殺風景な潜水艦の内部で和服を着こんで茶をすする姿のシュールなことといったら堪らないな、Hahaha……はぁ。

 

 

 

「少しって何分なんですか……?」

 

「20分よりは長いらしいが、俺にもわからん…… いや、こちらとしても早く帰してあげたいんだが、マリア君がこのままただ帰しただけでは失礼だと言って聞かなくてな……」

 

「じゃあそのマリアはどこに行ったんですか? 流石に待たされ過ぎて嫌になりつつありますよ」

 

マリアが待てと言って部屋から飛び出していったから俺も待ってはいるが、もう帰らせてくれないか。

本当、家に、日常に帰らせてくれ……もう原作キャラと居合わせるのはドキドキして嫌なんだよ。

 

前に言ったかも知れないがはぐれ錬金術士たちがまだ沢山いてテロってたり、内乱地域だけじゃなく日本でさえ変なノイズが発見されている見たいだしで、もしかしたら俺が知らないだけでXVの後に何か新しいストーリーが有るんじゃないかなとかそんな気がしてならない。

アニメが終わっただけで世界自体は続いているんです、ノイズもはぐれ錬金術士も世界の一部なのでこれは仕方がないんです!とかだったら俺に安住の地はないから、出来れば新しいストーリーがあってなるべく穏便に終わってくれないものか。

 

 

「待たせたわね!!」

 

儚い想いに浸っていたら、マリアがドアバーン!!して部屋に入ってきた。

後ろには緒川さんがいて眼が合ったから会釈だけしとくべって、あ!翼ちゃんもいるけど和服から着替え、て…………いや、いやいやうそやろ?俺の見違いだろ?そうだろ?

 

 

 

「遅いじゃないかマリア君」

 

「仕方ないじゃない、どこかの誰かの言葉でこの子まで泣いちゃったんだから」

 

「な、私は泣いてなど居ないぞマリア!」

 

「………」

 

「はいはい。で、雅実はなんで目を閉じてるのよ」

 

「なんでだと?おい、おい!」

 

俺は、俺は見たくなかった。

俺の頭に浮かんでいることが当たっているのなら、これは見たくなかった!!!!

 

 

「翼ちゃんが着ているその衣装はなんなんだマリア! 見たことがないぞ!!」

 

「え、なんでよ、 見なさいよ! ほら、可愛さとキレイを両立した素敵なデザインじゃない。翼に良く似合ってるわ!お詫びにわざわざ先行して見せてあげようと」

 

「余計なお世話だぁ!!翼ちゃんが着ればなんだって可愛いのもキレイなのも知ってんだよ!でもそれはステージ衣装だろうが!翼ちゃんの衣装で俺の記憶に無いステージ衣装なんて無いからな!!確かに、確かに新衣装は嬉しいけどステージ衣装はステージで見たかったぁんだよおお!!!!」

 

ぬおおおおおおおあいあああああ記憶よぉ消えてくれええええ!!!!!!

ほどよく固定された分厚いテーブルよ、俺の頭を壊しやがれえええええ!!!

 

 

 

「あ、頭をテーブルに打ち付けるのを止めなさい! 頭でテーブルを破壊するのを止めろ!」

 

「おま、お前が俺の記憶を消せるのならやめてやらぁあ!!!」

 

うぬおおおお、うんぬおおおおううううう!

 

「う、ろ、た、え、る、なっ!!!」

 

「おふ…はっ、俺は何を?」

 

何か見ては行けない幸せな物を見たような気がするんだけど……それより

 

 

「おいおいマリア、お前はなんでそんな拳を振り抜いた格好で立ってるんだ?」

 

「こ、この男とぼけた顔をしやがって」

 

「マリア渾身のフルスイングを顎に受けてノーダメージとは……さすがの体躯だ」

 

「つ、翼ちゃんの声!?どこからだ!?」

 

え、いない?さっきまで居たような、居たような………

 

 

「実は翼さんが飲み物を服にこぼしてしまったので、上着を着替えるまで隠しているんですよ」

 

「忍術で?」

 

「はい、忍術で」

 

さすが忍者、やるな忍者!

 

 

「これ、わざと忘れたフリしているのか?」

 

「本当に忘れているのでしょう。身体はゴリラなのに頭は鳥ね」

 

「マリア、俺の悪口を言ってるか?」

 

「いいえ、なにも」

 

 

なんか、釈然としないが………

 

 

「それで、結局こんなに待たせて何がしたかったんだ?」

 

「実はね……緒川」

 

「こちらをどうぞ」

 

マリアが指を鳴らすと、横からスッと緒川さんが俺に小さな封筒を差し出してきた。

指を鳴らす必要が有ったのかは定かじゃないが、こう見ると翼ちゃんのマネージャーには見えないな………で。

 

 

「これは?」

 

「翼さんの復帰ライブのチケットの申請書ですよ」

 

「……………復帰ライブ!?」

 

「はい。今日のこちらの不手際に対するお詫びとして、お受けください」

 

復帰ライブ、復帰ライブだと?え?しかもチケットの申請書って?くれるの?……………いや待て、確認は大事だぞ。

 

 

「い、何時ですか?」

 

「半年先の7月7日になりますね」

 

「な、なるほど。席はどの辺りなんですか?」

 

「中央ステージと花道が一番見やすいVIP席ですよ」

 

「………枚数のほどは」

 

「何枚がよろしいですか?」

 

にこりとして言われた言葉に、俺の背筋にカミナリが落ちた。

 

 

何枚がよろしいですか、だと?

 

パワーワードだ、パワーワードの化身が俺の目の前にいるぞ!!

で、でもまだわからないぞ、2枚しかダメパターンではな!

 

 

「で、では……さ、さんま」

 

「三枚でよろしいんですか?本当に?」

 

「う、う……」

 

俺、妹2人、アニメ仲間の子、で4枚欲しい!

だが、学友含めれば5枚は欲しい…………だ、だが、いくらファンの夢である運営のコネでチケットゲット!シチュだとしても、いくらなんでも5枚、5枚も1グループが取って良いのか!?

 

良識的にどうなんだ!?

俺はFC古参の人間として、そういう独占的なことはやってはいけないんじゃないのか!?

 

 

「か、会場の規模ってどんなもんですかね?」

 

「予定では10万人収容が見込める場所、としか」

 

 

10、10万人、かぁ……………うーん、チケ争奪戦が激化しそうな箱だなぁ。

どうするか………なぁ。

 

 

「何をうだうだ気にしているの雅実。 チケットが複数枚欲しいんでしょ、欲しいんなら言いなさい、これはお詫びなんだから」

 

「ファン心理ってのを理解しない女だなぁ!?」

 

「そうですね」

 

「これはマリア君が悪い」

 

「え、私が悪いの!?」

 

「(何も言わないでおこう)」

 

「まったく………だが、そうだな」

 

そうだよ、お詫びなんだから遠慮なんていらないよな!

 

 

「ろ、6枚ください!!」

 

「分かりました。では、封筒内に申請書類が6枚入っていますから必要事項を記入後、封筒内の番号に電話してください。取りに参りますので」

 

「は、はい!!よろしくお願いします!!」

 

ふははは、6枚も貰ってやったぞ!

 

ふはははは!!!欲張りさんだな、俺!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホクホク顔の雅実を緒川が車で自宅まで送るのを見送った一同は、大小の別はあれど緊張から感じていなかった空腹を思い出したので遅めの昼食を取ることに。

本来なら調と一緒に美味しいご飯を食べる筈だったマリアは本部の食堂でいつも通りの食事になってしまい、テンションが見るからに駄々下がりである。

 

 

憎らしげにトマトをフォークで突き刺しているマリアに苦笑しつつも、翼が口を開く。

 

 

 

「今さら何ですが彼、雅実さんは私のファンだったのですか?」

 

「あぁ、お前や奏、ツヴァイウィングの熱烈なファンだよ」

 

「何故教えてくれなかったのです。 言ってもらえれば私だってもう少しやりようが」

 

「ファンだって言ったら貴女、良い顔すると思ったから練習で言わなかったのよ」

 

マリアの言葉に翼が首を傾げる。

 

 

「見合いなのだから良い顔していた方が良かったじゃないか」

 

「あのね、もともと断る前提のお見合いだったじゃない。なのに前向きな感じを出したら断りつらいでしょう?」

 

「断る、前提………?」

 

「貴女はあの練習の体たらくさの中に、ほんの少しでも前向きな姿勢を込めていた?」

 

「………」

 

「え、本気で言っていたの!?」

 

「だ、だってお見合いだというのに真面目にやらないと失礼かと」

 

嘘でしょう!?と立ち上がるマリアに指を弄り弄り上目遣いで言い訳するも、ため息にともに切り捨てられた。

翼は真面目にやってあれだったのかと、弦十郎は遠い目。

 

 

「結果、緊張でもっと失礼噛ましたらどうしようもないじゃない」

 

「ごもっともです………」

 

「まったく。埋め合わせは調の分も含めて多めにすること、良いわね!?」

 

「わ、分かった。善処する」

 

 

 




善処できるとは言ってない。
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