シンフォギア習作 振れば風の鳴る翼的な女の子 作:レノボのカナリア
翼ちゃんに着てもらう沢山の服を用意した俺こと久我雅実の気分は、最高にHIGHってやつであった。
推しが自分の選んだ服を着るというファン冥利に尽きるどころではない幸運に恵まれ、テンアゲバイブスキマッテル!そんな感じで、今なら俺でも絶唱出来そう!なんて昂りに心が躍り狂う。
試着室と外界を隔てるカーテンの向こうに翼ちゃんがいるというだけでもやば杉内?って誤変換物なのに………あぁぁ、ダメだ期待で頭がおかしくなる。
「むー、翼さん遅いデスよー。まだ1着目なのに5分も掛かってるデス」
「いや、でもな暁……こう、私にも恥じらいというものがあってだな?」
「さっきまで普通に見せてたじゃないデスか、今さら何を」
「さっきまでとは物が違うではないか!?」
「同じじゃないデスか」
「違うのだ!」
……………………嫌そうだな。
「やっぱり、止めようか?」
「「え?」」
「よくよく考えたらスタイリストでもない何でもない人間が選んだ服なんて、アーティストが着れるような物でもないしさ」
「あ、あの、雅実さん?」
「ごめんね、考え無しで」
そうだよ、普通に考えたら分かる話だったじゃないか。
翼ちゃんには翼ちゃんのコーディネート基準があるんだから、俺なんかがあぁだのこうだの言うべきじゃ無かったんだよ。
いや、興奮のあまり手酷い失態を犯してしまった、猛省せねば。
「待ってください、今お見せしますから」
「いやいや本当に気にしないで良いんだよ?」
「いえ、変に意識した私が悪かったんです。あなたに下心がないのは分かっていたのにどうにも羞恥心が消し去れなくて……でも、もう大丈夫ですから」
羞恥心……って、そんなに変な服だったかな?
翼ちゃん推し◯十年の俺がガチめに選んだんだから、これだけは自信を持って似合うだろうと思っているんだけど…………あ、可愛い系のフリルが付いてる服か。
丈が膝より上のスカートだもん、パンツルックを着こなすことの多い翼ちゃんには恥ずかしいよな。
「いや本当にごめん。普通に恥ずかしいよな」
「え、えぇ」
「でも、これだけは誓って言える。俺は、本気で君に似合ってると思ってそれらを選んだってね」
「雅実さん……」
「だから、翼ちゃんが良ければ是非とも見せて欲しい」
「ただ服を見せるだけなのに仰々しいのデスよ……」
そりゃ一大事だからな、俺には。
「わ、わかりました。ではご覧ください、あなたが選んだ衣装を身に付けた、風鳴翼を!」
バーンッと効果音が聞こえてきそうな決意表明に、俺は気合いを入れ直した。
翼ちゃんが勇気を持って現れるのだ、こちらも相応に答えねばなるまい!
そうして、試着室の薄いカーテンが開かれた。
スタイル維持に努めている翼ちゃんのすらりとした見事な肢体、その綺麗な肌が俺の選んだ小さな布を身に付けている。
大人っぽさを演出する黒色のシルクの上下は、白い肌との間に見事なコントラストを作り出していた。
頬を染めながら後ろで手を組む翼ちゃんに深く見惚れてしまったが、次の瞬間、俺は急いでカーテンを閉める。
「え?雅実さん?」
「なんで下着なんだ翼ちゃん!?」
「なんでって、雅実さんが選んだのでないですか」
えぇ……?
「下着はあくまで服に合わせて用意しただけで、それ単体で見せて欲しいって言った訳じゃないんだよ……」
「な、それを早く言ってください!」
「言わなくても分かるんじゃ……どおりでやけに渋っていたわけデス。でも、一言下着姿は恥ずかしいって言えばこんな事にはならなかったデスよね?」
「うぅぅ」
「いや、うん、なんというか……ごめんね?」
「い、いえ私が」
「謝罪合戦はよしましょう、キリがないデスし」
「「はい……」」
咳払い。
「また着替えますね」
「お願いします」
俺大歓喜のファッションショーは、それから20分ほどで終了した。
翼ちゃんが着替える度に口と鼻から血が吹き出すかと思うほどに興奮したが、惜しむらくは全40セットの中で10セットほどの服が考えていたほど合わなかった点だろう。
俺もまだまだ翼ちゃんを推し切れてないということなんだろうか、精進しないとな。
「ふぅ……流石にこれだけの量となると、着替えるだけでも疲れるな」
「着替えた後の、戻す作業も大概大変だと思うのデスけれど」
「何を言ってるんだ切歌ちゃん。全部は戻さないぞ?」
「え?」
せっかく翼ちゃんに似合うものを選んだのに、買う以外の選択肢があるか?いや、ない。
「こっちの10セットは戻すとして………あぁ、店員さん、これらの会計よろしく」
「雅実さん、会計って」
「せっかくのデートなんだ、俺からのプレゼントだよ……この子が着てる物も買うので元の服は袋に」
「いやいや、幾らなんでも多すぎ、というか高過ぎですよ!」
「ははは、上下で2万くらいの物だよ?大袈裟だなぁ」
「それに掛ける30デスよ。まったくドン引きの金銭感覚デス……」
推しに直接課金出来るっていうのに、課金しないなんてあり得ないだろ。
じゃあ何時、何に課金するんだって話だ。
「本当に大丈夫なのですか?」
「お金ってね、有るところには有るんだよ翼ちゃん……………まぁ、貯まってた小遣いなんだけどね!」
「貯めれば云十万といくんデスか、小遣いで!?」
「雅実さんの家は古くからの名家だ。しかもお父上は名の有る実業家……なんとも剛毅だが、そういうことも有るんだろう」
「金の使い方を学ぶためにと小さい時から小遣いを沢山貰ってたからさ。今では無駄に貯まってるよ」
父の理屈は分かるんだが、だからって一桁年齢の子供に5万も小遣いやってどうすんだよ。
普通に考えて子供には使い途なんてないだろう。
精神年齢が高過ぎて孤高だった俺は翼ちゃんたちがデビューするまでは学友と遊びいく時位しか金を使わなかったから、なおさらだった。
いやまぁ今でも翼ちゃん関連と遊びにいく時しか金なんか使わないけどさ。
「というわけで、此処は
「は、はい………え、今課金って言いませんでしたか?」
「いいや?」
「そうですか?そうですか………」
セーラー服ギアの実装はよ。