シンフォギア習作 振れば風の鳴る翼的な女の子   作:レノボのカナリア

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昨日からGWでした。
ゴールデンとは………一体………


初デートの次の日の話

 

雅実が去ったあとのパーティー中、彼に対してやけに調の距離が近かったことに未来から疑問を呈された。

 

この話しは、その疑問へのアンサーである。

 

 

 

――――

 

 

 

雅実と翼が初めてデートをした次の日、月読調は大変に不機嫌であった。

 

見合い相手である雅実のことを弦十郎だけならまだしも当人の翼や調と一緒に警戒していたはずのマリアが気に入ってしまったこと、それだけでも彼女の機嫌を損ねるのに充分であったのだが、マリアがデートの情報を調にのみ伝えずにいたこと、そのデートがどうやら成功してしまって切歌までもがなんとなく雅実を認めるかのような感じになってしまったこと………これら全てが調を不機嫌にさせていた。

 

風鳴訃堂絡みなんだから、何か裏があるはずなのに切ちゃんまで!?と、実際に切歌に向かって訴えていた調。

変な人でしたけど、悪い人ではなかったデスよ?と返されてしまって、まさしくグヌヌとなった彼女は、どうにかして本性を暴かねばと使命感に燃えた。

そしてその使命感のままに緒川慎次に本格的な調査を依頼したのだが、彼は笑顔で首を振るだけで取り合ってくれない。

 

 

あの緒川さんまでが籠絡されてしまった、あの久我雅実はきっととんでもなく悪い奴に違いない!

自分がなんとかしなくては……いざとなったらシュルシャガナで……という後ろ向きな覚悟を固めた調は、本部のトレーニングルームで1人鍛練に勤しんでいた。

 

 

 

 

「はぁっ!」

 

気合いを入れた大きなノコギリがノイズの胴体を真っ二つにする。

彼女の目にはノイズではなく雅実が映っていた。

 

 

「えい!」

 

掛け声とともにノコギリが分裂し、ノイズの身体をズタズタに引き裂く。

勿論彼女の目にはノイズではなく雅実が映っていた。

 

 

「く、やぁぁ!」

 

ノイズを引き裂くのに熱を入れすぎてしまって囲まれてしまったが、調は身体を独楽のように回転させて周囲のノイズを弾き飛ばす。

近所の子供がベイブレ◯ドで遊んでいるところから発想を得たのだが、高速回転する刃は切り裂くためだけにあるのではなく竜巻を発生させることも出来るのだ。

 

ノイズたちは愉快なまでに飛んでいくが、彼女の目にはやはりというかなんというか、雅実が映っていた。

 

 

 

「……ふぅ」

 

ある程度暴れたところで調はギアを解き、隅っこに設置してあるベンチに座り込んでドリンクを飲んでいた。

冷たい水が温まった身体を冷やしてくれる。

 

しかし頭に昇った血は冷えてくれそうになかったから、彼女は足をバタつかせて苛立ちに堪えていた。

はしたないことは自覚しているが独りなので許されるべき、寧ろこれで我慢しているのだから文句を言われる事ではない。

 

そう思えば自然とバタ足の回転数も増すというもので、シュルシャガナの電ノコか? いやいや調の御御足デスよ!脳内切歌がそう彼女に語りかけてくるのも吝かではない……吝かの使用法が合ってるかは別として。

その勢いは風力発電だって出来るかも知れないくらいだ。

 

 

 

きっとわたしは後の世に人間発電機と呼ばれるに違いない。

 

 

 

「ふ、ふふふ」

 

ふと、誰も居ないはずの隣から突然に聞こえてきた笑い声に、アホな事を考えながら動かしていた足が止まった。

足と一緒にフリーズしかけた頭を無理やり動かしてそちらを向けば、色々な意味で困った顔をしている翼が座っていて……

 

瞬間、調の肌が真っ赤に染まった。

 

 

「あ、い、あ………い、いつからそこに……?」

 

ようやく言葉を絞り出せたのは、たっぷり1分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、訓練の邪魔をしてはいけないと思って。緒川さんから教わった術で気配を消していたんだが……その、ふふ」

 

誤魔化すように微笑む翼の肩が少し震えている。

明らかに笑いを堪えているのだろうと分かる姿を見た調の顔はもはや茹で蛸のようで、翼は遂に笑いだした。

 

 

「あははは、まるで雪音みたいに真っ赤だぞ」

 

「うぅぅ……」

 

「ははは、その姿を見られただけ気配を消した甲斐が有ったというものだな」

 

「そ、それで、何かご用が有るからここに来たんじゃ!?」

 

「あぁ、そうだったな」

 

恥ずかしさから声が大きくなってしまった調を微笑ましく思いながら、翼は本題を思い出したように手を叩くことで露骨に話題を変える。

最近は大人びて来たと思っていたが、やはりまだまだ子供だな……

などと思われていること調は知らない。

 

 

 

「昨日雅実さんとデートをしたのだが、そこで色々知見を得たから、君に話を……ん、どうした?険しい顔をして」

 

「……なんでもないです。続けて下さい」

 

「そ、そうか」

 

なんでもないとは到底言えないような顔をしているが、そうと言われたら続けるしかないので翼は続ける。

切歌と違って直接不満をぶつけられたわけでもなく、マリアのように余裕が有って察知出来たわけでもないので、翼は調が見合い相手に良い感情を持っていないのを理解していなかった。

 

理解していたら翼は彼女に気を使ってその話題に挙げなかった筈で、調の雅実に対する不愉快感は長い間消えなかっただろう。

その辺りの気遣いが出来るようにならないものかと弦十郎を始めとした保護者一同が悩んでいるが、少なくとも今回はそれが良い方向へと向かった。

 

 

 

 

「見合いの練習に付き合ってくれた月読への埋め合わせがどうにも浮かばず、どうしたものかと彼に相談したんだ」

 

「へぇ」

 

信頼を寄せる人間が自分のことで他人に相談を持ちかけているというのは、愉快なことではない。

しかもそれに目の前の人は気づかないのだから、どんどん不機嫌のレベルも上がっていくというものだ。

 

 

「そうしたら1つ提案をしてくれてな、月読さえ良ければそれも埋め合わせにしようかと思ったんだ」

 

「なるほど」

 

内容がなんであれ絶対拒否しよう、そんな意地悪な考えを持った調の顔はとても良い笑顔で、翼は喜んでくれていると勘違いをした。

なので調と同じく良い笑顔をしたままに、特大の爆弾を投下してみせた。

 

 

「これから月読のことを下の名前で呼ぶ、というものなんだが……どうだろう?」

 

「嫌で……………………え?」

 

「そ、そうか。いや、私が下の名前で呼ぶのもおかしいと思ってはいたのだが」

 

「い、いえ、いいえ!大丈夫です、じゃなくて、呼んでください!名前で!」

 

食い気味に拒否しておいて、提案の中身を理解した瞬間に手のひらを回転させた調……節操無しとはこの事である。

しかし、自分に気を使っているのでは?と翼が提案を引っ込めようとし始めたので全力で名前呼びを乞う羽目になった………

 

 

 

帰宅後、相方に向かって雅実さんって良い人だね、切ちゃん!などと宣って呆れられることになる。

 

 

 

 

――――

 

 

 

この話を聞いた装者一同がパーティーどころではなくなってしまったことは、まぁ言うまでもないだろう。

ズルいズルい!私も私も!と阿鼻叫喚に陥る雪音クリス邸の中で、雅実を使えば名前で呼んで貰えるのでは?と考えた輩はいたが、幸運にも他人である雅実に矛先が向くことはなかった。

 

 

「オレが名前で呼んでやるから良いだろ?」

 

親切から出た言葉に沢山のNO!を叩き込まれて、翼がいじけてしまったので、一応この話は終わりを見ることになる。

 




好感度って良くも悪くも反転するよね。
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