大魔道士の異世界迷宮譚 作:コント
「かぁ~、ここがオラリオか!すんげ~、ベンガーナのデパートよりデケェ」
50階層で出会ってからロキファミリアの面々と一緒に行動することになりダンジョンを登ってきたがダンジョンは破邪の洞窟と違って建物が出入り口の上に建てられていて、それが信じられないくらいデカい!白い!綺麗!と見たこともない建物だった。
「はぁ~、信じらんないぜ」
「ホントに知らないんだね! どう?どう?オラリオは?」
「スゲェな、こんなスゲェ建物を人が建てられるなんて」
「でしょ、でしょ!」
「あんた、本当に…」
左右を固めている姉妹にダンジョンの中で色々聞かれたりしたがこの光景は圧巻だ。初めての街に心がワクワクする。
ちなみに、狼男は交渉が終わる前に魔法を解いてから変わらず睨んできているが団長のフィンとドワーフのガレスが抑えているのが見える。
まぁ、まだ情報が足りないがこのロキファミリアはとてもいいチームだ。
街の住民も彼らに対して好意的で、もしあの戦いにいてくれたら人々にとって頼もしい存在になったに違いない。
団長さんが少しの演説のあと、号令一つで周りを統制する姿はおっさんが獣系のモンスターを統制していたのを思い出すほどの統率力で安心して身を任せられると思える。その団長を支える周りも精鋭と呼べるメンバーが揃っていると言えることろをみると地上への道中で話を聞いていた通り都市最大派閥といえるかもしれない。
「じゃあ、ポップ。行こうか、僕たちのホームへ」
~~~
「うひゃぁぁあ」
「で、そっちが例の子供か?」
ロキやめて下さーい。と叫ぶレフィーヤというエルフの女の子が胸を揉まれているのをウォォォって見ていたらいつの間にか話が変わっていて、真剣な雰囲気になっていた。
まだ巨大過ぎる屋敷に入ってもいないのに、細眼のわびしい胸の女がレフィーヤの胸を揉みながら鋭いまなざしを向けてきていた。
「そっちは話に聞いていた女神様?見たらわかるって話だったけど女神様?」
「「「「「 !! 」」」」」
「ほぉ~。おもろいやんけ。フィン~、このままウチの執務室に連れてきてーや」
…女神ってもっと神々しくて、豊かでメリハリがあると思ってたけんだけど。
ほなな。って言い残して踵を返し屋敷へと入っていく女神様を見送り、団員達へと指示を出している団長さんを待つ間にティオナやアイズから本当に女神だってわかんないの?って聞かれたり、うぅ、ロキに汚されましたと呟くレフィーヤが暗い目をしていたり、アホな行動しているけど私達の主神なのよね、あれでも一応。といったティオネからのフォローがあった後に、長い廊下を歩き、長い階段を上り、執務室へと案内される。
尖塔の上層にある執務室は酒瓶が転がっているところ以外は魔王軍に責められていた国々の王城の客間より良い部屋だ。
そこではダンジョンから先に戻っていたエルフのリヴェリアと先程の女神様が待っていた。
「おー、来たか。改めて、ロキや宜しくな」
「大魔道士ポップです。女神様」
「ほなリヴェリアから一通り聞いとるけど、ウチが直接聞きたいからフィンたちに話したこともう一度教えてや」
「ええ、こっちも何か知ってたら教えて欲しいので」
じゃあ、と話を始めるのはここに来るまでの経緯だ。
簡単に人間と魔王軍の争いが行われていること、国々についてを話をした後に、俺の話をする。
ダイが大魔王バーンと戦ってから数か月が経ち、マァムとメルルとダイを探して世界中を探している最中に地上に残っていた、いや、地上に出てきた魔族と交戦することが数回あって、その際に聞き流せないことをのたまわった奴がいたのが始まりだ。
そいつはグレムリン島で襲ってきてアバン先生の結界に阻まれたのと同じ魔族だった。
「ケケケーッ!貴様らがデカい顔をしてられるのも今のうちだけだ。準備は整った、後は時間だけだ。貴様らは我らの神によって殺される。キイイイイイッ!!」
そいつの残した言葉と各地を回った結果、世界中で魔族の目撃・交戦が少なからずあり、中には魔王軍との戦いの中で荒れた王城の宝物庫から何かが盗まれた形跡まであった。
何を盗まれたのかは侵略された際に管理していた者とリストが失われているため知ることはできなかったが、魔族が何かの目的のために動いているのは確かでも大魔王の脅威が去った各国は魔王軍の残党が悪足掻きしているとして処理されていたのか、共有されることもなかった未確認の脅威がその魔族の言葉で明確な形を成していく。
………魔界の神“ヴェルザー”の封印を解く準備が整った。いや、復活が決まり必要なのは時間のみ。
ダイの親父が倒し精霊たちが封印して、もし封印が解かれるのだとしてもずっと先の100年後1000年後の話だと誰もが疑ってさえいなかったヴェルザーの復活が近いかもしれないなんて全員がパニックになったね。
まぁ、どれだけパニックになっても俺たちのアバン先生が冷静に今できることをまとめてくれたからすぐに落ち着けた。あの戦いの中、大魔王バーンと冥竜王ヴェルザーの会話の中で“ヴェルザーの封印は天界に攻め入って解く”“魔界から動くことができない”と確かに言っていた。
天界にも、魔界にも行く手段がない俺たちは自分たちに出来ることをと、一緒に旅をしていたメルルはヴェルザー復活のタイミングを予言してみると王城内に先生が用意した部屋と施設を使って日々予言の為に時間を使い始める。マァムはチウとおっさん、ヒムと一緒にプロキーナ老師のもとで力をつけるべく修行の旅へと向かい、姫さんと女王は各国に対ヴェルザーについての協力を求め、ヒュンケル達がどこにいるかも分からないからダイ捜索と天界・魔界への移動方法の模索も合わせて世界規模で行う捜索・復興のために動き出した。
…アバン先生?24時間何重にも監視されながら王様としての仕事と特訓、対ヴェルザー部隊の兵士を鍛える先生をしている。
兵士たちを眠らせて逃げようとしたこともあったんだけど、とんでもない遠距離から幾重にも別の監視者がいて一度逃げられたフローラ様の本気を見たね。
俺も大魔王バーンとの戦いは結局、相棒任せで舞台に上がることもできなかったからヴェルザーとの戦いにはダイの隣で相棒らしく最後まで戦えるように修行するために
アバン先生から教えて貰った破邪の洞窟に1人で挑戦することにしたんだ。神々が人への試練として作ったのか、もしかしたら魔族が地上への橋頭保として作ったのかは分からないが内部はモンスターにトラップ、隠し部屋まで存在するという不思議な場所だった。先生は150階層で破邪の秘宝を手に入れたわけだから、もっと深くまで潜れるように食糧を山積みにして修行を始めたんだ。
ああ、師匠の所に行ったら「ヴェルザー?俺は疲れたから知らねー。アバンにでも言え!」と追い出された。お菓子をつまみながら横になっている師匠をズルポン達が
うちわで仰いでいる姿のままで魔法を打ち込んで来るんだぞ。信じられるか!?
…話を戻すと、その破邪の洞窟で修行をするために潜ってだいたい250階くらいで宝箱を開けたら部屋全体が光って気が付いたら目の前はデカい芋虫の群れで、すぐさま魔法が飛んできて対処したら、カワイ子ちゃん達と狼男が襲ってきたっていうのがここまでの経緯だな。
「そっちの団長さんから話は聞いているがパプニカやベンガーナ、それに魔王軍、大魔王バーンにヴェルザー全部聞き覚えがないんだろう?」
「………ああ、うちも知らん。これまでにそないな戦いが起きたちゅうことも聞いたこともない。」
「…女神様ならちょちょいのちょーいってなんとか出来ないのか?」
「出来るわけないやろ、そもそもどこやパプニカちゅーのは!」
「…そうか。…じゃあ、まずはどうやったら戻れるのか調べないとな。」
「ああ、それなら僕たちも手伝おう。オラリオで君が個人で調べるよりは僕たちが手を貸した方がトラブルが少なくて済む」
「おっ!サンキュー」
「いや、ダンジョンでも言った通り僕達が協力する代わりに君にも僕達に協力してもらおうと思っているからお互いにメリットがあるだけだ」
「それでも助かるぜ。いやー、団長さん達に会えて良かった」
もし飛ばされて誰もいないダンジョンの中だったらどうなってたか。破邪の洞窟の続きだと思って更に潜っていったか、取り合えず地上に出てパニックを起こしていただろうな、実際。
「じゃあ、今日はここまでにしてまた明日、今後の方針を決めていこうか。ラウル、ポップを案内してやってくれ」
「は、はいっス。ポップさん案内するっスからついてきてほしいっス」
「おう、よろしく」
---sideロキファミリア
「それでどうだったんだい、ロキ?」
「ああ、フィンの予想通り本当の事しか言っとらん」
「えぇー!じゃあホントに大魔王とかがいたってこと!!」
「………すごい」
「にわかには信じられないわ」
「ロキ、テメェが担いでんじゃねぇだろうな」
「お前たちが言うこともわかるが…、だが…」
「ああ、ロキはともかくあやつが嘘をつく必要はないからな」
ポップという大魔道士と名乗る青年をラウルに案内させてからファミリアの方針を決めておくべく話し合いをする。彼はたった1人で50階層に居ることができる見たことのないヒューマンで新種のモンスターを操っている闇派閥のテイマーだと断定したベートが仕掛けるも手も足も出せずに敗北する結果に息を飲んだ。だからこそ情報を引き出しつつ“神に嘘はつけない”という主神を危険に晒してしまう手札を使い調べて貰った。
結果はシロ。興奮して彼に話を聞きに行こうとしてリヴェリアに怒られているティオナのように楽観視することはファミリアの団長として全くできない。…間違いなく、大問題に発展する。
「…念のため、後でステイタスシーフを使用させてもらおう。まぁ、意味があるとは思えないけどね、ハハッ」
「………そうだな。本来であれば反対するところだが、彼はイレギュラー過ぎる。注意に注意を払うべきだと私も思う」
「そうじゃな」
「ええ~。本物の英雄だよ!英雄!冒険譚の中の、おとぎ話じゃない!本物の英雄!良い人に決まってるよ」
「ちょっとティオナ!団長に意見してんじゃないわよ!」
「…えぇ。だってティオネは気にならないの?本物なんだよ!さっきの話だってよくわかんなかったけど、凄かったし、良い人に決まってるよ」
「わかんなかったの?あんたねぇ…。はぁ~」
「まぁまぁ。ティオナは英雄譚が好きやからしゃーないやろ。それよりも今後どないしよ?」
そう。今後の方針によってロキファミリアの立ち回り方も大きく異なってくる。
ポップと協力するといったがはっきり言ってこちらのメリットはあまりないと言っていいだろう。逆にデメリットは山のように存在していて、派閥に引き入れた場合は内緒にしようとしても強さとレベルの乖離が大きすぎて問題になるので隠すこともできない、存在そのものが神々が興味を持たない理由がない。それは引き入れなくても同じで強さは隠せないし、帰還方法が判明するまでホームで大人しくしてくれていたら楽なんだが、彼の修行するという目的に合致しないため遠からずズレになるだろう。
まぁ、そんな心配も意味はないか…。
「で、ロキはもう決めているんだろう?」
「さすがやでフィンー。こんなおもろいことないやろ、ウチで預かんでー」
「賛成ー!!」
「チッ、盛んなクソアマゾネス」
「んだとー、負け狼!」
「あぁ!!」
ニヤニヤと笑うロキに喧嘩を始めるティオナとベート、そわそわしているアイズに呆れているリヴェリアたちといつも通りの光景に何が起きても大丈夫な安心感とこれから始まるかもしれない未知との遭遇にワクワクしている僕がいるのも確かだ。
「さて。これからの僕たちロキファミリアの方針は決まった!異界の英雄と未知の世界、新しい冒険を始めようじゃないか!」
ダイとポップ、レオナでバーンの経験値総取りでしょ。
メタキンの群れも真っ青なくらいめちゃくちゃレベル上がってるはず。