大魔道士の異世界迷宮譚   作:コント

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■ポップは化物~その①鬼岩城まで~

・クロコダイルが突破できないマホカトールの発動。
・離れた位置に点在する魔法石を利用する魔法の発動(マホカトール)
・マッドオックス?よりも足が速い
・ルーラを一発で使えるようになる
・フレイザード戦後にはトベルーラも操る
・話に聞いただけのフィンガーフレアボムズの成功(自身で証言)
・魔法力の向上がマトリフも褒めるほど
・契約で覚えるんじゃないと思われるマトリフオリジナル魔法べタンの習得
・アバンを倒したよりも強いハドラーのベギラマに初ベギラマで押し勝つ
・超魔生物ザムザに対して破壊力を収束したギラで竜の紋章発動時のダイと同様に砕く



ロキファミリア②

「「「 レフィーヤ!! 」」」

「ここまでだな」

 

レフィーヤが横目で見るそこに死が迫っていた。

前衛にいたはずのアイズさん、ティオネさん、ティオナさん、それにベートさんまで私を助けるために駆けてくれている。

嬉しい気持ちと足手まといになってしまった申し訳ない気持ちがいっぺんに訪れる。同時に決して間に合わないだろうということもわかってしまった。

 

油断していた訳じゃない。それどころか考えられる最大限に警戒していたし、リヴェリア様のお力も借り受けて今の私が出来るありったけの力を出せたはずだ。

 

それでも足りなかった。今の私じゃベートさんが言ってたように役立たずだ…。

 

その瞬間、頭に衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ポップの力はどうだったか聞いてもいいかな?」

 

団長が私達を集めて先程の戦闘を振り返るために参加した私にアイズさん、ティオネさん、ティオナさん、ベートさんの他に室内訓練場に一緒に来たリヴェリア様にガレスさん、ラウルさん、アキさんやロキファミリアの高レベルの皆さんがそれぞれ思い思いに口にしたのは私達には辛い現実だ。

 

「経験の差かの?動きを先回りされておったわい」

「そうだな。戦闘中に見た手札には対応が出来ていたがそちらに目が行き過ぎていたな」

「化物っすね。でも、あのまま続けていたらどうなったっすかね?ベートさん達は無傷ですし」

「この場合、ポップさんを階層主として考えるなら後衛であるレフィーヤを制圧された時点で敗走じゃないかしら」

「まぁ、前衛が抜かれた時点で負けじゃろ」

「そうだな。4人も前衛がいて後衛の下まで来られるのは魔術師としては安心して詠唱できんからな。 …それより、やはり」

「ああ、50階層で不自然にリヴェリアの魔法が途切れたのは彼の仕業だね」

「そうじゃな、大魔道士…。いや、魔術師殺しと言ってもいいかもしれん」

「……速攻魔法と言っていい多彩な魔法に加えて、両手で別々の魔法を行使が可能な上に、こちらの魔法は無力化される。それにレフィーヤに迫った速度、レベル5を4人相手にできる立ち回りと近接戦闘能力…。 …正しく英雄といった強さだった。」

 

そう、私がポップさんにやられた以外は皆さんは大した傷を負ってないのがこの模擬戦の結末なんです。迷惑を掛けてしまって申し訳なくて俯いているとリヴェリア様から「お前たちはどう感じた」と声が掛けられた。 

 

なんでこんな状況になったのか現実逃避しながら考える。

えっと確か、始まりは食堂で帰還の祝いをしていたのとポップさんの紹介で食堂が地震でも起きたのかと思うくらいに揺れて、ロキがポップさんの事をオラリオ中に広めながらウチの客人であること知らしめていくことを言って一瞬の沈黙が出来たときに

誰かが『本当に強いのかよ』って言ったのが悪いんですよね。

 

そりゃ、ポップさんが御伽噺の登場人物みたいな人で、凄い人だから興奮していたところに神々や他派閥からのちょっかいが幻視できるような決定を突然伝えられて動揺したのはわかります。わかりますけど…。団長達の決定ですよ!それに意見するなんてありえません。犯人を見つけたい。見つけたいけど…、くぅ~~。

 

ティオネさんが怖いから大人しくしてたら、あれよあれよと模擬戦をすることに。

ポップさんの強さに興味深々だったアイズさん、因縁のあるベートさん、リヴェリア様に言われた私だったんですけど、ティオナさんが参加したいと申し出たティオナさん、ティオネさんも加わった1対5のハンデ戦。

 

ポップさんは短い杖の一本だけ。 

 

さすがにコレわ… 

どう考えても私達が負ける未来が見えない。というか、アイズさんがいて負けるはずがない。

 

「うわぁ~、楽しみ!」

「ティオナはしゃいでないで作戦を聞きなさい」

「ごちゃごちゃ言ってねぇで、速攻で終わらせんぞ!」 

「……ん」

 

作戦は単純なもので人数差があるんだから正面左右からティオナさん、ベートさん、アイズさんが50階層で見た魔法に複数で捕えられないように距離をとりながら開幕すぐに突撃を掛けてティオナさんのウルガの一撃を躱したところにベートさん、アイズさんが攻撃を仕掛けて、ティオネさんが中近距離でサポートしながら指揮をとる。連続した攻撃で絡めて倒しきる。倒しきれなかったら私がレア・ラーヴァテインで使って避けるにしろ、防ぐにしろ、その隙をついて倒す。 

 

…もし、当たってもエリクサーを使うから大丈夫だから使っていいとリヴェリア様もいっていたことですし。私の魔法だと威力が足りなくて撃ち落される可能性がありますからね…。 …うぅ、大丈夫でしょうか?

 

 

「それでは、模擬戦を始める。両者準備はいいか?」

「おう」

「うん!」

「はい、団長」

「…ふぅー」

「はい!」

「はやく始めろフィン!!」

 

「………始め!」

 

号令と同時に3人が駆けだして、私は詠唱に入る。

ティオナさんが半分くらいの距離を即座に潰したのに「ギラ!」とポップさんが叫んだ瞬間に右手の杖から熱線のような魔法が着地点向かうと避けるために空中で身を捩って躱す。

 

間髪入れずに左右から向かっていたアイズさん、ベートさんに「ヒャダルコ!」と地面を凍らせながら向かう魔法が放たれた。それぞれが対処しているうちにポップさんに空中で態勢を崩したティオナさんが大上段から「オラぁぁぁ」とウルガを振り下ろすと一瞬長くなった杖で側面からウルガを弾き飛ばした。

 

自分でも目を疑う光景を詠唱をやめないように冷や汗をかきながら唱え続けるとティオネさんも加わって追い詰めようと動くけれど速攻魔法よりも更に早い一言で発動して地面を抉り戦況を変えるような一撃一撃の魔法の威力とウルガさえ弾く驚愕する

膂力に迂闊に飛び込めない。 …いや、地面に縛り付ける魔法のほかに熱線の魔法、凍らせる魔法と連続して火の魔法まで使っているから先ずは手札を把握しようという気持ちもあるのかも。

 

両手で別々の魔法を飛ばしながら、近距離では杖で迎撃。

それに、ベートさんが一撃当てて吹き飛ばしても牽制の魔法を放ちながらなんでもないように立ち上がってくる防御力。

 

「えぇ!!そんなのあり!?」

「ちょっと、それは…」

「ちっ!どうなってやがんだクソがっ!」

「……すごい」

 

えぇーーー!

空中で静止してるんですけど。

魔法?魔法ですよね?魔法なんですよね?

 

ありえない態勢と軌道で魔法を放って4人と同時に対峙しないように立ち回りながら魔法を私にも放ってくるようになったのをアイズさん達が防いでくれてるけど、代わりに意識をこちらに割いてくれている分、先程までのように攻撃に回れていない。ポップさんの魔法力が無くなるのを待つか、魔法への対処をしくじってこちらの戦力が削られるか、一進一退の攻防が続くなら戦況を変えるリヴェリア様の一撃で…。

 

「皆さん、撃ちます!」

 

「【汝は業火の化身なり】」

「【ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを】」

「【焼き尽くせ、スルトの剣――我が名はアールヴ】!」

弾ける音響ととともに魔法円が拡大した超広域の効果範囲。エルフの王族、リヴェリア様の魔法を発動させた。

 

「【レア・ラーヴァテイン】」」

 

即座にウルガがとんでもない速度でポップさんの頭へ飛び、ティオネさんが牽制の為にゾルアスを投げて同時に攻撃を仕掛けると同時に離脱を図る。

 

「うわぁぁぁ」と叫びながら飛んでいたポップさんが尻餅をつくように地面に落ちて、そこへ私が発動した魔法が全てを飲み込み勝負がついたと安堵の息を吐いたら放ったレア・ラーヴァテインが割けた。

 

見えるのは、片膝で立つポップさんが拡げた両手に炎が逆巻きながら消えていく光景。

頭が理解するよりも早く光ったと思ったら後ろから声が聞こえて、あとはアイズさん達が向かってきてくれるのを最後に軽く叩かれて終わり。

 

団長が終了を宣言して、今リヴェリア様に質問されている。

 

「えっと、皆さんごめんなさい!」

 

 


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