今の所、世界の命運は俺にかかっている   作:流石ユユシタ

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七十話 説明

 今から千年前。アルテミスには魔族により妖精界への侵略があった。力が無い妖精は抵抗ができなかった。そこへ星霊が現れ魔族を蹂躙し一部を封印した。それが目覚めこの現代に攻め込んでいるという説明を簡単にメルが俺の部屋のリビングで彼女達にしている。

 

 

 四人共信じられないという顔つきだ。

 

「……そんなことがあり得るのでしょうか? ですが十六夜君も……以前猫に……なっていましたし」

「え? どゆこと?」

「えっと……前に彼が猫になった時があったんだよ……ああっ、思い出してきちゃった……」

「もう、止めなさい……その話は」

「猫になるなんてあり得る?」

「ああ、うん、あり得るんだよ……これが……」

「へぇ……そう……なんだ……」

 

 

 猫事件の事があり全員に信憑性が増す。しかし、まだどこか現実として受け入れきれていない部分もありそうだ。仕方がないといえばその通りだ。

 

 

 今までそう言った経験など無かったのだから。『ストーリー』の時もそうだったな。その時は三人だが中々受け入れがたい感じだった。

 

 

「まぁ、そういうわけなんや。だからこそあんさんたちには協力してもらいたいんや。ワイの世界の為。この世界の為にも……改めて頼む。力を貸してくれ」

 

 メルが頭を下げる。俺を含めた彼女達に協力をしてもらうのが一番最善だという事は既に分かったのだろう。

 魔力量は銀堂コハクが二千倍、それ以外の四人は千倍。彼女が住む世界の最大魔力値を大幅に超えているのだから。

 

 

「俺に出来る事があればやります」

「十六夜君がするなら私も」

「私もやるわ」

「僕も」

「……あーしもやるよ」

「ホンマ!? おおきに!」

 

 メルはひとまず一安心と言った感じだ。『ストーリー』では銀堂コハクはトラウマがあり渋々やってやるという感じだった。火原火蓮も黄川萌黄も仕方ない、取りあえずお試しでみたいなと言う心境で魔族との戦いがスタートする。それに比べたら反応は大分いい。

 

 

 ここまでは計画通りと言ったところか……彼女達に『魔装少女』になることを決心させる。だが、この程度では不十分だ。

 

 しかし、こういう事を直ぐにでも受け入れるとは彼女達は凄いな。

 

「一つ聞いて良いですか?」

「なんや?」

「魔装……今現在では使用になれていないのでトレーニングをしたいんですけど」

「それなら、ワイが作っとくで」

「あと、俺の魔装のデザインを多種多様にしてください。この世界においての男性の一般服なども欲しいです。出来ます?」

「できるで。魔装のデザインはワイの好みで適当に作っとるからな。あ、そう言えばあんさんは男やったな。女装は嫌な感じだったか?」

「いや、別にいいです。あれはあれでいいですから。ありとあらゆるパターンを想定したいので」

「分かったで!!」

 

 

 よし、後は魔族はこの地域に攻めてくることが多く、完璧な団体行動をする事が大事。のであれば『ストーリー』よりもっと多方面に進まなくてはならない。

 

 彼女達との”絆”と”波長”、ここが大事。そして……五人目は……まだだな……こればかりは焦っても仕方ない。

 

 俺がそんな事を考えていると銀堂コハクが手を挙げた。

 

「あの~、魔装を纏ってから……何だか体が変な感じがするのですが……これは何なんでしょう?」

「あ、僕も」

「私も」

「あーしも」

 

 無論俺もである。まぁ、俺はこの現象は知っている。

 

『魔力開放』だ。

 

「ああー、それはあれやな、『魔力開放』や」

「『魔力開放』ですか?」

「せや、あんさんだけじゃなく全員そうやろうけど。魔装は人の中にある魔力を無理やり引き出すという作用もあるんや」

「へぇー……それって大丈夫なんですか?」

「まぁ、基本的には大丈夫やな……例外もあるんやけどそれはまれな話やし、気にせんでいいと思うで」

「そうですか」

 

 魔力とは普通の現代人では決して使えない。何らかの手段で引き出すことが必要である。魔装で無理やりと言うのも一つだが魔法薬(マジックメディール)と言う薬のような物を一錠飲むという手段もある。

 

 魔力と精神は密接な関係があるとされており精神状態で大きく変わる。誰かを守りたいとか強い思いがあるとより力が出る。

 

 俺があっさりとドラキューレを倒せたのは強い思いがあったのもある。裏技的な物を使ったという事もあるが。

 

 そして、未だに魔力には解明できていない現象を起こしうる力があるらしい。

 ここが物凄く重要なんだがまぁ、一度置いておこう。メルも魔力に対する大体の説明を終えたようだしな。

 

「つまり、強い意志とかがあるとより力を出せるって事でいいのかしら? ラノベとかでよくある設定ね」

「ラノベ? まぁ、大体あっとるで」

 

 さて、俺が一旦席を外すとするか……

 

「少し、風にあたってきますね……」

「十六夜君、でしたら私も」

「コハク、十六夜を一人で行かせてあげなさい」

「え? どうして……」

「いいから。偶には一人でゆっくりしたいんでしょう?」

「はい……すいません。失礼します」

 

 俺は部屋を出て風に当たりに行く。外に出ると夕焼けが俺を照らしていた。

 

 

 俺は一息つく。

 

「やっちまった……クッ、もう一人の俺が、じゃなかった。黒歴史が急に蘇るとは……口からぽろっと……まぁ、独り言みたいな物だし誰にも聞かれてないよね? ふぅー、そう考えると良かった」

 

 

 俺は先ほどの永遠(フォーエバー)を振り返る。不幸中の幸いで黒歴史を彼女達に晒す事は無かったと俺は一安心をする。

 

 夏休みから始まる魔族との戦闘。俺がすべきは最善ルートの走り。

 

 遂に魔装を得た彼女達+俺の英雄譚が幕を開ける。

 

 

 ◆◆

 

 

「十六夜君、なにやら思いつめた顔をしていたような……」

「察してあげなさい……多分、傷口を洗いに行ったのよ」

「どういうことですか?」

「そりゃ、傷口に塩を塗ったんだから痛みを引かせるために水で洗うように一回落ち着きたいって意味よ」

「……お二人は分かりますか?」

「……僕は分かってるよ」

「あーしも」

「??どういうことですか?」

「……厨二的な行動がついつい出ちゃったから恥ずかしくて死にたいって事。アンタも察してあげなさい。十六夜は厨二と現実の間で揺れてるんだから」

「成程……死にたくなるほどの恥ずかしい言動をしたから一人で自分を見つめなおしたいって事なんですね。でも、私はカッコよかったと思います!! 十六夜君を今から褒めちぎりたいです!!」

「コハクちゃん、それしたら傷口にデスソースを塗る行為だよ。僕たちのすべきことはあの言動については触れない事が求められるんだよ」

「……分かりました」

 

 彼女達は十六夜の厨二的な行動を見て見ぬふりをすることに決めた。そこで、アオイがある話を切り出す。

 

「アイツ……あの化け物倒すのめっちゃ早かったね……五秒もかからなかった……まぁ、アイツなら納得するところもあるんだけど」

「さすいざなんですからあれくらい当たり前です」

「そうよ、さすいざなんだから」

「アハハ、まぁ彼なら結構納得するところもあるかも……」

「あんさんたちのアイツの印象ってなんなんや?」

 

 その数分後、十六夜が戻ってくる。彼女達は十六夜の厨二的な行動については全く触れなかった。

 

 

 ◆◆

 

 

 一方魔族組は……

 

 

「なんなのよぉ。あの女? ……私の作った怪人があんなあっさり……」

「なかなかの動き……アサシン……なのか? 興味ありだ……」

「これはしばらく様子見だな……」

「まったく情報が分からなかった……でもあそこの種族は怪人に対して大分恐怖してたから魔力は多少集まったけど……怪人を作るにも魔力はかかるし……だからと言ってこれ以外に方法は無いし……はぁ、魔力の無駄遣いをしてる気分ね」

 

 

 黒の戦艦に乗っているミッシェルは今後に頭を悩ませる。ゴーレムのドーン、悪魔博士のミッシェルは十六夜をヤバい奴認定していた。

 

 

 ◆◆

 

 

 

「これからあの化け物と戦うんだよね? あーしもこっちに住んだ方がいいのかな? 色々これから修行? みたいなのもやるんでしょ?」

「確かにそうですね……うーん、どうしましょう。私のマンションで良ければ……」

「僕のアパートでもいいよ」

「私の家は流石に居づらいだろうし……両親居るから」

「えっと、いきなり今日会って同居は……」

「いいですよ。今日から運命共同体のような物ですし」

「うんうん、それに僕はルームメイトが欲しかったし丁度いいんだ」

 

 片海アオイの住まいが決まりそうだ。俺の家と言う手も考えたが流石にそれはダメだよな。彼女の両親も心配するだろうし……しかしやることは全てやらないと。

 

「……俺の家でどうですか?」

「え? 流石に迷惑じゃない?」

「俺は良いですよ……」

 

 かなり言いづらいが切りだす……普通はこんな事言えないが……。

 

「……後、三人もご一緒にどうですか? メルさんもいいですよ」

「「「!!」」」

「ええんか? それなら頼むわ」

 

 片海アオイは表情を変えない。メルはあっさり承諾だが三人は少し戸惑っているようだ。

 

「ええっと、わ、私はいいんですけど……いきなり一緒に住めよだなんて……」

「そんなワイルドには……」

「私もいいけど……パパとママが何ていうか……変な勘違いしそう……」

「僕もいきなり住むのは……」

 

「片海先輩はどうしますか? 俺は全然問題ないです」

「……迷惑じゃない?」

「いえ、全然」

「……なら……両親に相談してからだけど……お願いしようかな」

「「「ええええ!?」」」

「何?」

「何? じゃないですよ!? 男と女が一緒に住むってそれは何というかもっと繊細に決めないと! 間違いがあったらどうするんですか!?」

「間違い?」

「そうよ! この年の青年は欲が大分高いのよ! いつ狼になるかなんて分からないんだから!!」

「狼?」

「……アオイちゃんあんまり意味が分かってないようだけど……若い男女が一緒になるのは不味いってのは分かる?」

「どゆこと? なんで一緒に住むのが不味いの?」

 

 片海アオイは全くという程性的知識が無い。三人はしっかり知っているみたいだけど。しかし、片海アオイが住むなら他の三人も住みやすいだろう。

 俺の計画では彼女達の同居が目的なのだ。安全面、絆の育みやすさ。全てを考慮すると全員同居が一番いい。

 

 

 

「アオイちゃんって……あんまりそういう事分かんないんだね……コハクちゃん後の説明はお願いね? 先輩命令だよ?」

「そうね。コハク、教えてあげて」

「な、何で私が!?」

「アオイちゃんにこういう事は不味いって教えてあげないと」

「そうよ、先輩命令よ」

「……なんて理不尽な……えっと、何と言えばいいんでしょう……」

「……」

 

 銀堂コハクが片海アオイに性的知識を照れながら伝授するというのは『ストーリー』にもあったな。

 

「こ、ここでは十六夜君も居るので……廊下に行きましょう……お二人もついてきてください」

「分かった……」

 

 

 四人でリビングから出て行く。するとメルと二人きりになったわけだが彼女にも話がある。

 

「いやいや、モテモテやな。ヒューヒューやで」

「それは一旦おいておいて」

「なんや、こっからがおもろいのに」

「確か、メルさんはアルテミスから来たんですよね?」

「まぁ、そうやで」

「……俺達をアルテミスに連れて行くことって出来ますか?」

 

 

 ◆◆

 

 コハクちゃんに僕たちはついてきた。流石にちょっと可哀そうだけど僕も流石に言いたくないし、でもアオイちゃんにも無知のままってのも問題あるし……と言う事で先輩の権力を使うことにしたのだ。

 

 

「えっと、こういった知識は普通なら誰もが持っているのですが……アオイ先輩は子供の作り方って知ってますか?」

「……詳しく知らない」

「うう、そうですか……」

「でも、大人のキスって聞いたことある」

「えっと、直接的な表現は避けて説明しますね……私もこういった表現は初めてなので……えっと、えっと……こ、こういう事です」

 

 

 コハクちゃんは顔を真っ赤にして右に人差し指、左手で輪を作り……右の人差し指を左手の輪に入れた……

 

「??」

「で、ですからこういう事ですって!!」

「??」

「何で分からないんですか!? 貴方は中学の保健体育の時間に何をしてたんですか!?」

 

 コハクちゃんが恥ずかしさで大声を上げる。うん、見てるこっちも恥ずかしい。火蓮ちゃんも恥ずかしそうに顔を伏せている。アオイちゃんは全く分からないようで真顔で眉を顰める。

 

「ああ、もう!! 今度、教科書で説明しますからこれで終わりです!! いいですよね!? これ以上は無理です!!」

「分かった」

 

 

 

 コハクちゃんが恥ずかしさ全開で首を縦に振った。確かにここで止めておこう……こんなピュアな子がいるなんて……。

 

 

 その後、何だかんだで彼の家に全員で住むことになる。

 

 まぁ、一人で住むのは寂しいものがあるしちょっと魅力的ではあるけど……まさかこの同居生活がとんでもなく過酷になるとはこの時の僕は想像もしなかった。

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