パリィンッと言うガラスが割れるような音が辺りに響く。その音の正体は剣を振り下ろした少年が出した音である。藍色に光る片手直剣を腰にある鞘に納める。レベルアップのファンファーレが鳴り、少年は空中に手を振って、振ったことで出てきた電子画面を見て今さっきに倒した敵モブから落ちた戦利品を確認している。
少年は藍色のローブを身につけており、その中も灰色のジャケットに黒緑色のインナー、腰ベルト付きの黒い長ズボンを履いている。今は顔にローブを被っていない。
そうこの流れでもう分かったと思うが、ここは普通の現実世界ではない。此処は自分が創り上げたキャラクターを操作して、敵を倒し、クエストを行い、人を集めてギルドを作ってこの世界を攻略していくゲームの世界。しかし、このゲームは通常のMMORPGと違う点がある。大きく分けて2つ。1つ目はこのMMORPGは従来のMMORPGとは違い、画面上のキャラクターを操作するのではなく、自分自身でキャラクターを操作する。つまりはこの世界で
これが出来る理由、現実世界での自分自身の身体はベッドで寝ている。そして頭に『ナーヴギア』ーーー機器に脳から送られる五感やその他諸々の電子信号を接続して、電子世界に投影する《フルダイブ》を可能にした物ーーーを被っている。そしてその電子世界内で動かす仮想肉体を作って送られた五感やその他諸々の電子信号をその身体に投影する。そうして電子世界で自分自身が動くことを可能にしている。
2つ目はーーーそう俺は改めてこの世界についてのことを考えていると、後ろから声が掛けられた。
「・・・・・そろそろ時間ですし、合流したら戻りましょう。割とスムーズにレベリングが出来ましたね」
後ろを向くと、白いローブを身につけた人物がいた。頭にローブを被っていて顔は見えないが、金髪の長いサイドテールが見える。声は落ち着く静かな声の少女だ。腰には金色の鞘に納められた片手直剣を携えている。俺は驚くことなく平然として言う。
「まぁ、ここら辺は穴場だしな。割と効率よく稼げて、敵モブも多い。レベリングには持ってこいの所だな」
俺の言葉に驚くような仕草を見せる。顔にローブを被っているので表情は分からない。白いローブを身につけてる人物は言った。
「貴方がレベリングに持ってこいだなんて・・・・毒状態にでもなりましたか?毒消しポーションならありますけど」
「どんだけだよ・・・・俺もそれくらい言うこともあるわ。お前の中での俺って一体どうなってんの?」
かなり失礼な物言いに突っ込みを入れると、白いローブから蒼い宝石のような眼を半目にして覗かせる。その眼は所謂ジト目だ。そして呆れるように言葉を紡ぐ。
「いつもいつも部屋のベッドでだらけて、何事も面倒くさそうにしていると言うイメージですが?この前なんて起こしに行って後5分って言ったから寝かせてあげてたのに1時間経っても起きてこなかったでしょう」
「ぐっ・・・人間の三大欲求なんだから仕方ないだろ。久しぶりの休暇なんだからよ」
正論で返され、苦し紛れにそう零す。すると溜息を突かれた。
「本当に偶にならそれも仕方ありませんが。貴方の場合はいつもだからです」
良いじゃねえか。最前線はしんどいんだし、自分のことを労わる位させてもらえませんかねぇ。俺もジト目になって言い返した。
「お前だっていつも遅くまで迷宮区に俺を付き合わせてんだろうが。それに攻略の時、あのDKBとかALSと衝突するし、抑えんの大変なんだぞ」
胃が痛いし、大半の奴はなんか知らんけど生暖かい目で見てくるんだからな。俺がそう言うと、白いローブから覗かせる顔の頰が赤くなった。そして捲し立てるように言う。
「それとこれとは話しが別でしょう!それに、貴方だって割と容赦ないことを言ってるじゃありませんか!!」
「言いがかりをただ正論で返してるだけだ。お前の方がもっと容赦ないと思うんだが」
そんな言い合いをしていると、おーい。と言いながら薄赤色のローブと腰に白い鞘に収まった片手直剣を身につけた奴がこっちに来た。
「まーた、2人で言い合いしてるの?毎回毎回、本当に仲が良いよね♪」
そんなことを言われ、俺は溜息を突いて、白いローブを着た奴はもじもじしている。頰が更に赤くなっているのが視界の端に見えた。
「・・・・それよりもここの気候めっちゃ暑いのにローブ被って熱くねえの?」
咳払いをして閑話休題し、この地獄のような暑さの中、未だに頭にローブを被っている2人に言う。
「・・・私たち以外居ませんし、大丈夫かしら」
「・・・隠してもしょうがないか。結構煩わしかったしちょうど良いかな」
そう言って2人は素顔を見せる。白いローブから、金色の長髪にカチューシャ、そして蒼眼の美少女。薄赤いローブからは暗めのブラウン色の髪を後ろで束ねた長髪に、頭にアクセサリーを付け、先程とは対照的な紅色の眼を持った美少女だ。
「転移結晶は持ってるか?」
2人に確認すると持ってないと被りを振った。俺も転移結晶は持ってないため、歩きになる。そして歩き出した俺たちは他愛も無い会話しながら帰る。
「それにしても
そう呟かれるように言われた言葉には確かな重みを感じた。俺はその言葉に反応する。
「やっとこさ2/5の40層まで来たしな。このまま行けば一年半位かには終わるだろうが、そんな甘く設定されてねえだろうしなぁ」
「そうですね。敵モブのアルゴリズムも複雑化してきてますから、上手く被害を出さないように立ち回らなければいけません」
俺、否俺を含めた1万人がこの
そしてこのデスゲームをクリアするには今俺たちのいる場所は浮遊城《アインクラッド》の上だ。その城の1層から100層までのフロアボスを倒さなければならない。
「後どれくらいかかるのかなぁ・・・・」
「どれだけ掛かったとしても現実世界に帰りたいです。あっちでやり残した事はまだまだありますから」
そんな2人のやり取りに俺も続くように言った。
「さっさと帰って小町を愛でたいなぁ」
「「シスコン」」
なんでやッ!この2人は俺の時だけ反応が冷た過ぎる。終いには泣くよ?・・・・うん、俺が泣いてもキモいだけだわ。
そんなことを考えながら、帰り道を歩いていると急に後ろからする足音が止んだので怪訝に思いながら振り向くと2人が止まって何やら考え込んでいた。何してんだ?彼奴等。
「おい、どうした?」
俺が聞くと、2人は何やら思い当たることがあったのか、納得した様な表情をして俺を見る。な、何だ?
「さっきから思ってたけど。私たちの
そう言われ、名前を呼ばないようにしているのは何故なのかと2人に問い詰められる。ちょっとずつジリジリと近寄ってくんのやめて下さい。って近い近い近い良い匂いぃ!
「ち、近いから、離れろ。呼ばない理由は特にな「「嘘だ(です)ね」」・・・い、って腕掴んでくんな!分かった、理由を言うから離れてくれ!!」
早々に降参する。ここでノーと言える日本人でありたかったが、2人のATフィールド破りに負けてしまった。俺は溜息を付いて言った。
「だってお前等のプレイヤーネームって名前じゃん。ボッチの俺にはハードルが高過ぎるんだよ」
此奴等、オンラインなのに本名を登録しているからどっかの閃光様と同じで、必然的に名前を呼ぶことになってしまう。俺は名前を変えているので問題無い。
「別に問題無いと思うんだけど。ほら、『ヤハト君』呼んで?」
「貴方はどれだけ照れ屋なんですか。『お前』とか言われるのは嫌ですから呼んでください。ヤハト、早く」
・・・・こ、ここは戦略的撤退「そんなことしたらヤハトの黒歴史をアインクラッド全域に広めますよ?」ちくしょう・・・悪魔みたいな所業しようとしやがる。俺はローブ被って顔を見られないようにして、か細い声で言った。
「さっさと帰るぞ・・・・
そして俺は、顔を見られないようにして走りだす。2人を垣間見ると、とても嬉しそうな顔をしていたのが今日の夜まで離れなかった。
この物語は本来ならありえない邂逅を果たした少年少女が、この世界ーーーー《ソードアート・オンライン》の中で生き、様様な人物達と関わりながら攻略を目指すお話。
イーディスとアリスの性格と口調が分からない(頭抱え)
人気だったら続くかも・・・・