モンハンのモンスターの能力が使えるようになったこのご時世、僕が目覚めたのはドスジャギィの能力でした。   作:螢司教

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勢いで書いてみた4作品目!


1,発現
そんな始まりって無いでしょう?!


突然だが、モンハンは楽しい。

現実的に納得できる設定のモンスターもいれば、人知を越えたモンスターもいる。

そしてそれらを狩り、素材を手にいれ、防具や武器を作り、強くなっていく。

こんなリアルなハンター生活ができる、素晴らしい作品だ。

 

 

ただ、興味深いのはゲームシステムだけではない。

モンスターの造形もカッコいいのである。

ドラゴンやワイバーン骨格のものから、甲殻類や昆虫類の形をしたものまで、数多くの姿形を持っている。

しかもそれらが攻撃手段として、炎を吐いたり、雷を放ったり、はたまた竜巻を起こしたり…

このような強大な力を持ちながらもなお、自然の一部として力強く生きる彼らも魅力的なのだ。

 

 

 

 

 

…自己紹介が遅れた。

僕は武島 群 (たけしま ぐん)。今年大学を卒業し、今は職探し中の平凡な人だ。

資金はあまりないが、何とか一人暮らし中。

趣味は勿論モンハンのプレイ。他にもあるのだが、やはりモンハンに勝るものは無い。

さて僕は現在、このゲームをプレイしている訳なのだが、付けていたテレビから興味深いことが聞こえてくる。

 

 

「各場所で、怪奇現象が勃発しています」

 

 

またこれだ。

一週間ほど前からこのニュースばかりが流れている。

人が急に放電したとか、あくびをしたら周りの物が吹き飛んだとか…

面白い内容ではあるが、証拠映像もなければ意味がない。

 

 

だが今回はその怪奇現象が起こる瞬間を捉えた映像が届けられたとのことだ。

興味深いとは言ったが…まぁ唯一の楽しみであるモンハンを止めるわけにはいかない。

という訳でゲームを続けながら、横目に映像を見ることにする。

 

 

「ゴワァァァァァォォォォ!!!!」

 

 

突如部屋に某火竜の咆哮が鳴り響く。

しかし奇妙だ。今は金獅子のクエストをしているというのに。

一旦プレイを止め、テレビの方に注意を向ける。

そこには腕が翼に変わり、あらかじめ設置された的に火球を吐く。

 

 

人間の姿があった。

 

 

赤色の鱗に包まれた翼に、関接部と親指に当たる部分に黒く太い爪が生えている。

翼膜には特徴的な模様があり、堂々たる風格を漂わす。

その様は正に空の王者、『火竜 リオレウス』のようであった。

 

 

アナウンサーの人々も思わず息を飲んでいる。

それもそうだろう、明らかに常識を越えた現象なのだから。

実際自分も同じであった。

また他にも映像が送られているらしく、次々と映像が流れ始める。

 

 

首や腕から金色に煌めくナイフ状の鱗を生やし、的当てをする男性。

真っ暗闇の中、額から生やした提灯球を発光させる女性。

鼻をすすっているかと思えば、急に鼻先が開き、黄色い液体を噴射する子供…

 

 

不思議なことに、全てがゲームに登場するモンスターの特徴に当てはまっていた。

金色のナイフ状の鱗は、幻の飛竜と言われる『千刃竜 セルレギオス』。

提灯球を発光させるのは、地面に擬態し獲物を丸飲みする『灯魚竜 チャナガブル』。

鼻先を開き黄色い液体を噴射したのは、古代樹の森に棲む荒くれ者『蛮顎竜 アンジャナフ』。

偶然なのかどうかは不明だが、容姿も器官の形状も、何もかもが一致していた。

 

 

また驚いたことに、この現象の専門家がスタジオに来ているという。

一週間の間に専門家まで登場していたとは、余程深刻な問題なのであろう。

まぁ確かに人知を越えた力を手にすることで、悪事を働く者も出てくるだろうし、当然のことかと思う。

 

 

専門家、天祖 帝 (てんそ みかど)と名乗る40代あたりの男性がスタジオに現れ、用意された席につく。

天祖 帝。若いながらも数々の大手企業グループを仕切り、今や名前を知らぬ人はいないとまで言われるスーパーエリートだ。

「さて、一体どうしてこのような現象が?」

簡潔な自己紹介が終わるやいなや、すぐにインタビューが始まる。

「まだ詳しい原因は分かっていませんが、およそ一週間前に起こった研究所の爆発が関わっているのではないかと考えています」

 

 

一週間前に起こった、研究所の大規模爆発。

死者数100人越え、重傷者数500人を越える大惨事であった。

原因は不明で、唯一分かっているのは内部から爆発したということのみ。

今でも監視カメラの映像があちこちに出回っており、視聴者の中には爆発した研究所から翼を生やした人間らしき生命体がどこかに飛んで行くと言っている人もいるのだとか。

 

 

しかし3日ほど前にこの映像を見たのだが、確かにそう見えなくもなかった。

コメント欄を見ても、見えると言う人達のコメントで溢れている。

おかげでこの爆発の原因はこの生物なのではないかと噂されており、いつこの生物が我々を襲ってくるのかと怯える人々も少なくない。

 

 

 

 

 

「しかし、あの事故は本当に悲惨でしたね…」

「えぇ、あの研究所は私のグループが所有していましたから…

私も遺族の方々に、面目がありません。

ただただ、亡くなられた皆様のご冥福と、傷病者の方々の安全を祈るばかりです…」

 

 

そう、爆発した研究所は天祖グループのものであった。

これもまた、世間が騒いでいる要因の一つだ。

天祖さんは言葉を発する毎に、表情が重くなっていく。

 

 

ここでキャスターが、話題を変えた。

「そういえば、あの爆破事故は、映像に映っている謎の生命体によって起こされたと、世間では騒がれてますが…」

「我々もその噂が気になり、映像を確認しました。

最初は驚きましたよ。本当に噂通りではないか!と思いましたね。」

 

 

心が堪えているはずなのに、少しおどけながら場の雰囲気を明るくしていく。

これがトップに立つ人物なのかと、改めて感心する。

「ということは、本当に…?」

「いえ、我々が調査したところ、あれは生命体ではなく、ただの研究所の一部であったと判断されました。」

「しかし、はっきりと翼を羽ばたかせているように見えますが…」

「爆風で羽ばたいているように見えるだけです。

内装の企画書を確認したのですが、入口付近にレース状の柔らかいものを置いていたようで、それが上手いこと吹き飛んだ研究所の一部と重なり、そう見えていただけでした。」

 

 

「ということは、この生物は存在しないと…?」

「はい、そうなります。

従って我々が謎の生物に襲われることは、決してありません!」

噂の内容をちゃんと理解している堂々とした発言に、スタジオ内の人々の表情に安堵が訪れる。

 

 

 

「では何故、研究所爆破と各地で起こっている現象に関係があると?」

キャスターがもっともな質問をする。

「実は現場を調査したところ、謎の物質が発見されました。

恐らく爆発が起こった際に、何らかの要因で発生したのでしょう。

しかもこの現象が起こっている人々の検査をしたところ、同じ物質が検出されました。

つまり、何らかの要因で発生したこの物質が、爆風によって各地に散布されたことが、この現象の原因だと踏んでいます。」

 

 

ふむふむ、辻褄は合う…気がする。

それに専門家が言うのであれば、恐らく間違いはないのだろう。

そう自分を納得させながら、引き続きニュースを見る。

 

 

「しかし謎の物質となると、少し恐いですね…

何か、人体に及ぼす害などは発見されてないのでしょうか?」

「ええ、様々なデータを取ったところ、被害は無いと判断しています。

ただ身体の変化が何か影響を及ぼすかもしれないですね。

なのでこの現象が起こっている人々はなるべく、変化をするのを控えてください」

 

 

影響はあまりない(かもしれない)…身体の変形…現実離れした能力…

うむ、とても素晴らしいではないか!!

中二心がくすぐられ、物凄く高揚する。

 

 

「しかし、ここまで広がると名前とか欲しくなっちゃいますね~!」

ちょいとおどけた様子で他のキャスターが発言し、場を和ませる。

「えぇ、確かに

なので我々は、この現象の名称を考えました!」

 

 

ほう、こんな短い期間で既に名称も考えられていたとは。

「その名も!」

 

 

ゴクリ…

自分も、スタジオの方々も唾を飲む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超生物症候群 (モンハン・シンドローム )です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

…………ま……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジで?!

 

 

 

 

 

 

まさかのまさかであった。

まさかまさかのネーミングであった。

思わぬ名称に、謎の高揚感を覚える!!

 

 

「名付けた理由は、研究者の一人がゲームに精通しており…」

その後の内容はほとんど覚えていない。

だが、一つだけ気になる内容を言っていた。

 

 

「もしこの一週間の間に外に出た方は、是非ここに!

あなたがこの症候群を持っているかを検査します」

指定された場所が結構近かったので、早速出掛ける準備をしようとしたが、もう夕暮れなので諦めようとした。

が、直ぐ様出発の準備が必要となった。

 

 

 

 

ピンポーーーン……

突如インターホンが鳴る。

友達でも遊びに来たのかと思ったが、僕に友達と呼べる人はいないので些か不審に思う。

一応誰が来たのか確認するため、覗き口を覗く。

 

 

ドアの前には黒服のゴツい男性が二人、その二人の間に、何と天祖 帝が立っていた。

こんな大物が、僕に何の用だ?

恐る恐る玄関を開けると、天祖さんは明るい笑顔をしていた。

 

 

「やぁ武島君。初めましてだね

私は天祖 帝だ。」

「ど、どうも…」

コミュ力の無い僕は、咄嗟に返事を返した。

 

 

「な、何の用ですか…?」

「そんな肩身を狭くしないでくれ

私は君に任せたいことがあったから、ここに立ち寄ったのだよ」

オドオドした僕を見て、彼は気遣いながら用件を話す。

 

 

しかし、僕に頼み事って?

そう聞こうとする前に、天祖さんが先に用件を伝えた。

「君のその知識を、某症候群の役に立ててほしい」

 

 

…え?

一体僕の知識が何の役に立つというのだろうか。

大学でも普通の成績で卒業しただけだし、他にも大したことはしていない。

いわば"目立たずただ平凡に暮らしてきた人間"なのだ。

 

 

ちょっと困惑している僕が面白かったのか、天祖さんは小さく笑う。

「まぁ、詳しい話は移動しながらしよう」

と大きなワゴン車を指差し、僕を半ば強引に引き連れる。

 

 

 

 

車とは思えない広々とした空間と、乗り慣れない車による酔いで、胃がキリキリと痛む。

顔色が優れないようだと天祖さんは心配してくれたが、大丈夫だと返しておく。

 

 

「でも、僕の知識が何の役に立つんですか?

そんな原因解明とかに役立つ知識は持ち合わせていないのですが…」

「それにも立ち会ってほしいのだが、君には違うことを頼みたくてね」

「だとしたら、尚更何のために…?」

「君には、該当者がどのモンスターの能力を発現しているかを同定してほしいんだ」

 

 

そんな役割…?

しかしそれくらい、モンハンをやりこんでいる人であれば簡単なはずだ。

しかもやりこんでいる人なら、世界中に多くいるだろう。

だのに何故そこで僕が選ばれたのだろうか?

 

 

「何故自分が選ばれたのか、っていう顔をしているね」

どうやら顔に現れていたのだろうか、天祖さんは今僕が思っていることを言い当てる。

「君が選ばれた理由は、コストの削減と、その作品への熱意がとても強かったからだよ。

研究所のあるこの市内で、どれほどこの作品について熟知しているか。

この2つに該当したのが、君という訳だ。」

 

 

最小限のコストで、有力な人物を探す。

賭けのようなものだが、こういった運も経営には必要なのか。

 

 

 

「…それに君が職を探しているのも承知の上だ。

給料はこれぐらいでいいかな?

ある程度なら、君の要求も受け入れるが…どうかな?」

どこから情報を仕入れたのか不思議だが、給料は全然申し分無い。

むしろこんなに出してもいいのか!?

 

 

(飲むしか、ないよな…!)

僕は天祖さんの要求を、受け入れた。

 

 

 

 

 

 

「ここだ。

君はここで変化の様子を見て、診断してほしい」

よく映画とかで見る、ガラス越しに広い実験室が見渡せる部屋に案内される。

ちょっとした、男子の研究者かっこいい心 (サイエンティスト・リスペクト )が働く。

 

 

早速仕事を始めようと部屋に入ろうとしたが、天祖さんがそれを止める。

「仕事への熱心ぶりも感心するが、その前に君にはしてもらいたいことがある」

してもらいたいこと?何だろうか?

ぽかーんとしている僕を見て、彼は少し笑いながら言う。

「検査だよ、検査。

受けたい人はここに、と言っていただろう?

君も勿論、対象者だ」

 

 

と、いうわけで現在、検査の結果待ちである。

しかし血液をとるだけで分かるなんて…

もっと複雑な検査が必要なのだろうと思っていたため、少し拍子抜けた。

5~6分待ってると、検査の結果が帰ってきた。

 

 

検査の結果は、陽性。

つまり僕にも、モンスターの力が使える!

そのまま研究員から案内を受け、少し陽気に実験室に向かう。

 

 

 

実験室に到着し、中に入る。

「どうやら陽性だったようだね

よし、能力を発現させてくれ」

中にマイクが設置されているのだろう、天祖さんから指示が入る。

 

 

しかし、どのように発現するのだろうか。

陽性だとわかっても、能力の出し方が分からなければ意味がない。

「あぁ、そうだった。

能力の出し方が分からないのか。

念じるようにしてみてくれ。そうすれば外見に現れてくるはずだ。」

 

 

念じるように…

指示に従い、目を閉じ力を発現させるように念じる。

ひたすら、一生懸命に。

 

 

…力を感じる。

何だか身体が温まってくるような感覚とともに、身体の一部が別のものに置き換わる感覚が伝わってくる。

爪が…脚が…頭部が…

人ならぬものに、置き換わってくる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を、開いた。

 

 

 

実験室のガラス部分から、拍手する天祖さんの姿が見える。

「うむ、しっかりと発現できたようだね」

発現できている、つまりモンスターの外見が出ているということ!

早速身体に起きた変化を確認する。

 

 

手には…鋭く発達した一本の長い鉤爪…

脚は…どっしりと逞しい筋肉に包まれている…

尻尾も生えているようだが…藤色の様な色の鱗に包まれている。

横部には並ぶように黒い棘が生えており、上部には白い剛毛が大量に生えている。

 

 

どうやら尻尾から腰部あたりまで毛が生えているのか、腰当たりを触るとモフモフ(?)する。

何と耳も変化しており、威厳を示すエリマキの様な形に……

 

 

 

 

……エリマキ?

手に一本しかない鉤爪?

 

 

 

ま、待て待て。

そんな、そんなことって。

自分が何のモンスターの力に目覚めたのか気付いた僕は、思わず現実逃避を試みる。

 

 

そんな僕の目の前に、現実から逃さんとばかりに鏡が現れる。

「ほう、中々ワイルドで良い外見じゃないか」

呑気な天祖さんの声が聞こえる。

 

 

確かに外見はカッコいいけど……けど……!

鏡には。

 

狗竜 ドスジャギィの特徴が現れた、僕の姿があった。




どうも!螢司教です!!

モンハン、楽しいですよね(*´ω`*)
ちなみに僕もモンハン中毒気味だったりします(笑)


この作品は、もしもモンハンのモンスターの能力が使えたら、メチャクチャいいよね……
人間を越えた能力を持つのに、モンスターの中では弱い部類という立場にあったら、どんな感じなのだろうか…
というノリで書きました(笑)


ちなみに武島君、モンハンが好きすぎるために、モンハンのモンスターについて語る特設のブログを作ってます。
結構評判で、その噂が天祖さんの耳に入り、同定者に選ばれたそうな。



他の作品も書いているので、投稿が遅れるかもしれませんが、ご了承下さい…(T_T)
では今回はこの辺で! 次回もお楽しみに!
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