モンハンのモンスターの能力が使えるようになったこのご時世、僕が目覚めたのはドスジャギィの能力でした。   作:螢司教

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良いような悪いような、そんな一日

狗竜 ドスジャギィ

中型モンスターの代表の一体。

小柄な体躯をしているジャギィ、メス個体であるジャギィノスの群れを束ねている。

統率力は高く、複雑な鳴き声で指示を出す。

運動能力は遥かに高く、地域によっては高い段差を跳躍で飛び越えることもある。

 

 

ドスランポスやドスイーオスなどとは違い、どっしりとした身体つきをしている。

そのため機敏な動きは出来ないが、獲物を捕らえる際は力技で仕留める。

外見からもがっしりとした筋肉が分かるほどだ。

このように高い身体能力を持っているため、知識が無い者が襲われれば、まず命はない。

 

 

 

…だがそれはあくまで、モンハンの世界での人間から見た話。

ゲームでは(モンハンを始めたてほやほやの人以外では)そんなことはない。

武器の強さと種類、そしてクエストの難易度によっては一撃で倒せてしまう。

そんな風にお手軽に倒せてしまうため、新武器のお試し相手として使われる不憫なモンスターである。

 

 

またムービー内からはドスジャギィの生態系内地位の弱さが露見しており、彼に待つのは悲惨な結果ばかり。

砂原の泥沼地帯でアプトノスを襲ったら、縄張りを荒らされたと思ったボルボロスに強襲され一撃で瀕死。

孤島で自身の縄張りに入ったアプトノスを襲っていたら、突如現れたイビルジョーに踏み潰され一撃で絶命。(しかもその後食われる)

どこかの原っぱでハンターと対峙している最中、空中から蒼レウスに襲われ一撃で絶命…

 

 

それだけでなく、とあるモンスターイラストでは咥えられながら振り回されるという扱いも受けている。

更にある作品では、部下達だけがG級に進出するという事態や部下達のみが登場する事態まで起こっている。

もう同情したくなるほど可哀想である。

天性の不幸属性でもあるのか、はたまた…

 

 

そんなモンスターの能力を、僕は授かったのだ。

 

 

………でも……

 

 

……ドスジャギィて………

仕事が始まった間でも、頭には哀しみしかなかった。

他の人はロアルドロスやガララアジャラなど、若干弱めでも驚く能力を持つモンスターの能力を持っていた。

またラギアクルスやナルガクルガなど、強くてかっこいい上に優れた能力を持つ人もいた。

 

 

今日検査を受けに来たほとんどの、いや全員がモンハンの生態系内で上位層に属するモンスターの能力を得ていた。

検査を受けたのは、僕を含め約65人ほど。

つまり64人がかっこいい能力を持っていることとなる。

まだ少ないとは言え、これはかなりしょげる。

 

 

「落ち込んでいるようだねぇ」

「はい、とても…」

突如隣に座っていた中年男性が話しかけてきた。

いつもならどう返事しようかテンパってるところだが、そんな余裕も無かった。

むしろこの状態の方がちゃんと会話できてしまう。

 

 

「だってモンハンの中でも最弱の部類ですよ…?

生まれかわったらアゲハチョウでしたみたいな感じですよ…」

「そんな分かるような分からんような…」

「沖島さんにはロマンは無いんですか!?」

「いやいや、僕もそういうのには憧れを持っているよ?」

 

 

という訳で今僕の愚痴を聞いてくれてるのは沖島さん。

本名は沖島 優。10年間天祖グループの研究所で働いてる研究員だ。

今は僕と一緒に検査を受けた人のデータを収集している。

 

 

「でも僕はモンハン?はよく分からないが、武島くんの持つ力でも十分羨ましいと思うよ?

僕には体験できないみたいだからね」

沖島さんは何故だか、この症候群を持っていない。

驚くべきことに、現時点では沖島さんのみが症候群を持っていないのである。

原因は不明ではあるが、この謎を早く解き明かしたいと本人は意気揚々としている。

 

 

「僕も一度は人間離れした力を使ってみたかったなぁ~」

…しまった、配慮が足りなさすぎた…

「…ちょっとワガママでしたね

すみません」

沖島さんの気持ちを察し、自分が贅沢を言っていたことに恥を感じる。

 

 

「いやでも、使うならもっと派手な感じがいいかなぁ?

武島くんのやつ以外で」

「ちょ、そんな意地悪言わないでくださいよ~!」

「はっはっはっ、僕を羨ましくさせたお返しさ

さて、今回の集約を取ろうか」

そんな明るい雰囲気を残したまま、仕事は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はお疲れ様!

初日から良い働きぶりだったよ、武島君!

やはり私の目に狂いは無かったようだ!」

笑顔で天祖さんは僕の手を握る。

どうやら本日分のノルマを余裕で達成していたらしい。

 

 

「今日は弾ませてもらうよ!

ほら、今日のお給料だ!」

天祖さんは懐から、厚さが1cmほどの封筒を取り出し、僕に手渡した。

恐らくお札が数十枚入ってるのであろう感触がする。

 

 

「では、また明日もよろしくお願いするよ!

明日以降の勤務時間は、先程手渡した紙に記載しているから、それを見ておいてくれ」

「お、お疲れ様でした」

終始オドオドしている僕に対し、天祖さんはずっと笑顔のままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃ…ふぅ…みぃ……」

帰路に着いてる間、彼は封筒の中を覗いてお札の数を数えていた。

当初は野口さんが何十枚入っているのかと思っていたが、中には諭吉さんがいっぱいいた。

こんなに貰っていいのか?ドッキリか何かか?と思ってしまった。

 

 

数えあげた枚数は、何と40枚。

ボーナス付きだからといえ、これには驚いた。

それほどに自分が有用であったのかと思うと、少しばかり嬉しくなる。

 

 

そしてちょうど彼はコンビニの前まで来ていた。

(…今日はちょっと奮発するか)

何やら良い考えを思い付いたらしく、彼はふらりとコンビニに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激しく眩しい都会から離れ、彼は仄かな明るさの小路へと入っていった。

彼の住むアパートまでの道のりは、夜になると一層不気味さを醸し出す。

そのためいつもは夜に外出しない彼であるが、今は手に今日の豪華な食事が入っている袋を持ち、上機嫌な様子である。

 

 

ゴッ…

 

 

軽い足取りで歩いていると、何かが足に当たった。

せっかくご機嫌な時に何かと怒りが湧くが、正体を見ると急速に冷めていった。

 

 

 

自分がつまづいたのは、少女であった。

 

 

 

少女が石垣にもたれかかるように倒れこんでいたのだ。

 

 

当初は死体か何かだと思い慌てるが、よく見ると意識もあるし、かすかに呼吸をしている。

まだ生きてはいるようだが、色々限界が来ているらしい。

身なりもみっともなく、ボロボロの布切れを身体に巻いているようだ。

虐待か何かから逃げ出してきたのだろうか。

 

 

とりあえず、警察か救急車か?

いやここから遠いから、彼女を背負っていくにしろ間に合わないかもしれない。

人を呼ぶ?

いや、この小路は夜の人通りは少ないから、助けは求められない。

ではこのまま放っておく?

…ダメだ、良心が痛む。

 

 

グゥゥゥゥゥゥ…

 

 

突如辺りに腹の虫の鳴き声が響く。

どうやら彼女が原因だそうだ。

そしてようやくこちらに気付いたのか、少女は小さな、だが振り絞った声でこちらに要求する。

「ごはん………ください………………」

 

 

その一言に、彼の心が動いた。

…こんなボロボロの子を放っておける訳がない。

そう思うと彼は少女を背負い、急ぐように家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぐもぐもぐもぐ…」

先程までの様子が嘘のように、少女は彼の豪華な食事を食べていく。

塩サバ弁当、フライドチキン2個、コロッケ2個…

彼がゆっくりと堪能しようと思っていた食事が、少女によってあっという間に平らげられる。

(さらば、僕の豪華な食事…)

彼は心の中で泣いた。

 

 

少女は満腹になり満足したのか、その場で寝ようとするも彼に止められる。

まぁ、汚い身なりで横になられたくはないだろう。

という訳で少女をお風呂にいれ、徹底的に汚れを落とさせる。

 

 

お風呂からあがった彼女の濡れた髪を乾かすと、元々綺麗だったのであろう髪が現れた。

彼女が元々着ていた服は洗濯に突っ込んだので、取り敢えず少女にとってぶかぶかの"強く生きろ"Tシャツを着せる。

するとどうだろう、先程とは見違えるほど少女の身なりがマシになったではないか!

 

 

…だが今日の食事はどうしようか。

自分の食べるものはすべて彼女に与えてしまった。

今から買いに行こうとも考えたが、さすがに子どもを一人家に置いていくのは気が引ける。

本当にどうしたものか…

 

 

と悩んでいると、少女がじっとこちらを見ている。

何かあるのかと聞こうとしたが、先に少女が口を開いた。

「あ…ありがとう、ございます…」

少しあどけない声で、お礼を伝えてきた。

 

 

それを聞くと、良い意味でどうでもよくなってきた。

何だか、腹の減りとかが気にならなくなるぐらいの幸福感が身を浸す。

ただあまり、面向かってお礼を言われたことが無かったので照れくさくなった。

恥ずかしさを和らげる為、お風呂に入ることにしたが、何も言わずに立ち去るのは無愛想になるため何か一言言おうとした。

 

 

「…あの、さ

僕は君が、どんな目にあったのか知らないけど…

でもここは安全な場所だから、大丈夫、だよ…」

こういう時にどう言えば分からなかったため、自分でもワケわからないことを言ったなと感じる。

だがその言葉を聞いてか、少女が笑顔になるのは見逃さなかった。

 

 

お風呂からあがると、少女は横になって寝ていた。

よほど疲れていたのだろう。

そんな彼女を何もない床で寝させるのは可哀想だと思い、布団を引き、その上に彼女を寝かす。

そしてそのまま自分は床の上で寝た。

床は固くて痛かったが、そんなのも忘れさせる充足感が彼を包んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…翌朝

 

 

 

 

 

……寒い。

 

 

 

 

 

 

……寒過ぎる……

 

 

 

 

夏であるのにも関わらず、謎の寒さを感じたため上着を着ようと身体を起こす。

すると部屋中に何故か霜が出来ている。

…夢でも見ているのかと思い頬をつねるが、痛かったので夢では無いようだ。

 

 

痛みの拍子でふと少女のことを思いだし、直ぐ様安否を確認しようとした。

彼女はシャツ1枚のまま寝ていた上、まだ子どもだからこの状況下では危ないと判断したためだ。

しかし少女の方を振り向くと、彼女は何事も無いようにすやすやと寝ている。

むしろ涼しそうにしている。

 

 

よくよく見てみると、少女の周りの霜が一番発達している。

ということは、この霜は彼女が原因…?

つまりこの子も症候群持ちなのでは?

どうやらとんでもない子を家に連れ込んでしまったようだ。

 

 

何のモンスターの能力か考えたかったが、先にこの寒さをどうにかしてもらおうと彼女を起こそうとした。

だが強烈な静電気によってそれを阻まれる。

その後も起こそうと試みるも、毎度毎度静電気のせいで上手くいかない。

そして10回目ほどでようやく、彼女の身体が少し帯電していることに気付く。

 

 

霜を作り、電気を纏う…?

そんなモンスターは聞いたことがない。

謎に思っていると、彼女が少し身震いをする。どうやら彼女も寒くなってきたようだ。

そしてそのまま彼女が寝返りをうったその瞬間、周囲の温度が急に上昇した。

 

 

今度は暑い、いや暑すぎる!

まるでサウナの中にいるかの如く暑い!!

そこで少女を見てみると、今度は温かくなって満足したような顔をする。

もう訳が分からない。

ここで起こっているのは最早天災レベルじゃないか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

天災?

 

 

 

 

 

そのワードが頭に引っ掛かった。

…待て待て、そんなヤバいやつな訳が…

ある………

 

 

 

 

 

 

室内であるが、実際寒冷地帯を作り炎天下を生み出した。

そして電気を身体に纏い、氷を操り、熱も思うがまま。

こんな芸当ができるモンスターは、もうこいつしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

神をも恐れる破壊の象徴『煌黒龍 アルバトリオン』

 

 

 

彼女の能力は、かの天災と一致していた。




どうもっ!螢司教でございやす!


突然ですが、ここで沖島さんの余談!

研究員である沖島さん。
実は彼の妻も研究員で、天祖グループの仕切る別の研究所で働いています。
しかも出会いの場所も研究所でだったとか…!?


そういえば今回の話を書くにあたって、ドスジャギィについて色々確認してみたのですが、扱いえげつねぇな...
何か3Gから一気にひどくなっていったような...

と思ってたら3から中々ひどい扱いされてました。
受付嬢が漢字を読めんからって理由で別名無して...
(ドスイーオス?ドスゲネポス?知らんなぁ)

あ、ちなみに筆者は3Gや4Gでドスジャギィを新武器のお試しで使ってた一人です(笑)
ごめんドスジャギィ...



さて、武島君の前に現れた謎の少女!
一体どんな存在なのか…?

今回は短めですが、ここでおいとまさせていただきます!
それでは~!
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