モンハンのモンスターの能力が使えるようになったこのご時世、僕が目覚めたのはドスジャギィの能力でした。 作:螢司教
「…おぅまいごっど………」
僕は思わず絶句した。
自分の部屋が本物の神域になろうとしているからだ。
例の少女はまだすやすやと寝ている。
室内が暑くなった時も起こそうと試みたが、相変わらず身体に纏う電気によって妨害されている。
ただ一番厄介なのが、頻繁に気候を変えてくることだ。
暑くなったら寒冷地を創り、寒くなったら灼熱地帯を生み出す。
しかも両方尋常じゃないほど厳しい環境なのだ。
ふと温度計を見ると、マイナス5度と43度あたりを行き来している。
物凄い速度で上がったり下がったりする温度計を、今まで見たことが無かった。
一周回ってもう笑えてきてしまう。
「ふぁぁ……」
やっと起きた少女は、呑気にあくびをしながら身体を起こした。
まだ寝ぼけているのか、座りながらうつらうつらとしている。
が今はちゃんと目覚めるまで待つ暇は無い!!
というわけで生命が懸かっている僕は、少女の肩を優しく揺さぶった。
「起きて!!お願いですから!!」
「ん~…ん?」
少しづつ、少女は目を開けていく。
すると自分でも驚いたのか、「えっ」と声を漏らして肩をびくっと揺らした。
そしてこちらをじーっと見つめる。
「?、!?」
何故こちらを見てくるのか分からない。
ただひたすら長い沈黙が、この場に緊張感をもたらす。
「あ、あの…」
ついに少女が口を開く。
「なにしたんですか?」
「いやこっちのセリフだよ!!!!!」
地獄絵図の部屋に、彼の人生初ツッコミが響き渡った。
◆
少女は、自分がこの現状を創った張本人だと分かると直ぐ様謝ってきた。
ちょっとイラッと来たが、意図的では無かったことと彼女の境遇を考えると、怒りは冷めていった。
むしろ少女自身も、この状況に戸惑っているようだ。
この場になんとも言えぬ雰囲気が漂う。
...どうすればいいんだ
とりあえず気分を変えるために、奇跡的に無事であったテレビをつける。
しかしこの時間帯では、主にニュース番組しかやっていなかったようだ。
どのチャンネルに変えても、例の症候群のことばかり。
すると変えたチャンネルに、ちょうど天祖さんが出ていた。
恐らく今のところ、この人が一番この現状に詳しいと思い、新たな情報がないかそのままそのニュース番組を見ることにする。
「ぐぅぅぅぅぅ...!!」
すると少女が突然、不快そうな声を漏らした。
何があったのか少女の方をチラリと見やると、怒りがそのまま表情に現れていた。
その目には明らかなる憎悪が含まれており、そのまま見ていると引きずり込まれそうな...
うまく言葉に出来ないが、ともかく何かがあったのは確実のようだ。
出来ればこのまま新たな情報がほしいところだが、少女の機嫌を損ねると何かがいけない気がしたため、テレビを消すことにする。
すると少女も落ち着いたようで、ふぅと息を漏らした。
しかしテレビを消してから、武島はふとしたことに気付いた。
少女は、他のニュースでは特に反応していなかった。
だが天祖さんの出ているものだけに、怒りを向けていた。
偶然か必然か、今のところでは分からないが。
...本当はこの子を研究所に連れていって検査を受けさせたかったが、とりあえず、今日は仕事を休むことにした。
♦
午前9時頃
一通り部屋の片付けが終わったあと、少女の衣服を買いに行くことにした。
この少女を長い間預かることになった場合、この子の服が無かったら可哀想だと感じたためだ。
という訳で早速商店街に向かうことにした。
ガヤガヤ...
都心に近いのもあるからか、まだ早い時間帯だが、多くの人が雑多している。
ちなみに少女は家に置いてきている。
この時間帯に見た目8歳位の少女を連れていては、色々と面倒なことになりそうだったからだ。
しかし商店街に来てふと気付く。
...どんな服が良いんだ!?
自分はとりあえず着れればそれで良い派だが、少女が自分と同じ考えであるのか分からない。
もし買ってきた服を気に入らなかったら、無駄な支出をすることになるし、また能力を使われて今度こそ死ぬかもしれない。
ぶにゅっ
路頭に迷いながら歩いていると、何か柔らかいものを踏んだ感触があった。
「ぐえぇっ...」
しかも声も漏らして...
って声!!!???
すぐさま踏んだものを確認すると、それは人間、しかも女性だった。
「うぅわあぁぁっ!!!!」
驚いた拍子にこけてしまう。
「う、うぅぅ……」
どうやらまだ息はあるようだ。
だが道端に倒れているなんてただごとただ事では無いだろう。
という訳で大丈夫かと声をかけようとした瞬間。
グゥオオオォォォォォォォォォォォォォ………
あたりに謎の轟音が鳴り響く。
グゥオォォォォ………
よく耳をすますと、小さいながらも謎の音が聞こえる。
そして音のなる方には、倒れている女性がいた。
「あ、あのぉ……」
少し意識が戻ったらしい、女性がこちらに話しかけてきた。
「何か、食べるものをぉ~…ガクッ」
と言いまた倒れてしまう。
一体何なのであろう。
と考えていながらも、彼女が倒れた拍子にポケットから何か紙が落ちるのを、武島は見逃さなかった。
ふと拾い見てみると、『緊急連絡用!!』との文字の横に電話番号が書いていた。
と、とりあえずここに掛けた方が良いのだろうか…?
しかし迷っている暇はないので、掛けてみることにする。
プルルル……プルルル……
ガチャ。
「はい、もしもし?」
どうやら女性が出たようだ。
というわけでかくかくしかじか事情を伝えると、女性はこちらに指示を出した。
「とりあえず、レストランとかに連れて行ってもらえるかな?
あたしもすぐ行く」
と言うと、彼女は電話を切った。
どうも、お久しぶりの螢司教です!
ここのところごたついてしまって、執筆が全然進まなくて...
楽しみにしていた方々、申し訳ありません...
今回は誰かの裏話はありません!
新キャラは出たのですが、彼女の話はまた次回...
さて道ばたに倒れていた女性は誰の能力を持っているのか...
お楽しみに!
別作品も出来次第投稿していくので、よろしくです~
それではまた次回で!