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海も楽しんで早い事もう一日が経った。俺は勿論最大限の警戒を維持して起床する。それも予定時刻より10分前に起き、身なりとベッドを整えて万全の態勢でハートマン・千冬を迎撃する。
何故こんな事に至ったか?理由は明白。昨日の夜にハートマン・千冬は俺たちに向かって「明日は『本格的な』訓練に移る」何て命令を下したんですよ。何があっても不思議じゃない。例えそれが地獄の釜に飛び込めって彼女が言い放っても驚かない程度のメンタルは保っておく必要がある。
「ん~…朝ぁ~?」
のほほんさんが眠たげな眼を擦ってゆったりとした動作で起き上がる。
――今はもう――戦争だ!
と耳元で叫んでやりたかったがそうはいかない。午前6時を告げた。起床ラッパをBGMに俺は一直線に砂浜へと向かう。
「全員!一列に整列。指示を待て」
やはり、いや予想通りの展開が繰り広げられていたと見るべきか。だが、ここから予想される事は極めて限定的で選択の余地は無い。やるべき事は一つ。
「――これよりIS学園校外学習『オペレーター・トレーニング』を開始する!」
どう言う事だ?IS学園は
そんな俺の疑問をよそにハートマン・千冬は続けた。
「オペレーター・トレーニングはこれから2週間に渡って、IS及び通常銃器を使用した特殊訓練を実施する。主な科目は近距離、遠距離両方の射撃訓練から水中潜入におけるISの扱い方。HALO降下からのIS展開強襲、人質救出などと言った訓練を私と校外のインストラクターがレクチャーする。いいな」
いつもとは違う声音に背筋が総毛立つのを感じた。いつもなら気付けの怒声を響かせるのが千冬先生だ。だが今回は違う。冷気を纏うその言葉の一言一言が胸へ突き刺さる。
そこで俺はIS学園と言う組織がどう言ったスペシャリストを育てる機関であるか事をまざまざと認識させられた。そう、コンクエスト、キャリア・アサルトは前座に過ぎなかったのだ。
「今回指導して下さるインストラクターはクリス・ヴィッカーズ先生だ。挨拶」
千冬の紹介で髭面の男が一歩前へと進み出る。外見こそ普通の中年のおじさんにしか見えない。
「ハロー。私がクリス・ヴィッカーズ先生です。短い間だけどよろしくね」
内面も普通に暮らしていれば何の事も無い普通の人に見える。ただ一人、俺を除いて。
彼がどういう人物か、俺にはある程度の推測は付いている。こういう授業のインストラクターは枕詞に『元』と付いた人物がいるのが通例だ。そのあとに付く言葉は『特殊部隊』。デルタだろうがDEVGRUだろうが、果てはISAだとしてもだ。こう言った手合いの胡散臭さはアメリカではエセ特殊部隊と言われる事が多々ある。だが、この男。クリス・ヴィッカーズは違う。ゆっくりと向けられたその眼には、生気が宿っていない。
「宜しくお願いします!」
元気よく返す1組の女子たち。俺はただ彼を見つめている事しか出来なかった。
「サーフボードを用意しろ。只今より、オペレーター・トレーニングを開始する!」
次回は……しばらくお待ちください