サプレッサーから放たれる間の抜けた銃声と共に、敵のISは地面へと投げ出される。それを皮切りに史上最悪のオーケストラが幕を開けた。退路は無い。増援も無い。彼女たちに出来るのは戦う事だけ。弾幕を形成する事は適わない。仕留めたら悟られぬように別の場所へとすぐさま移動する。3組の分隊は最初はこのゲリラ戦に手間取っていたものの、すぐさま退却するなり対ゲリラ戦陣形へと隊形を変えて再び丘の上へと進撃を開始した。
今は建物の物陰に潜んでいる。ここなら側面と正面2方向からは視認し辛い位置に居る。
「敵の数は20機。それに山狩り陣形、こちらは正面から叩く。いいわね?」
「了解…」
俺はAKのセレクターをフルへとセット、同時に殲滅判定を食らった3組の分隊を脇へと寄せる。
「3」
「2」
「1」
「ゴー!」
建物より身を翻し殲滅判定を食らった3組の子を盾にしてひたすらに撃ちまくる。これが何よりも意表をつくやり方で、ここまで役に立つとは思わなかった。
「にゃああああ!!!」
弾避けとなった生徒のISに銃弾が次々と着弾していく。死人に鞭打ちとはまさにこの事を言うのかと思うと俺はつくづく実感した。相手が混乱している隙をついてAKとマガジン3つを頂いていく。
「よし!撤退!」
谷本さんの号令に合わせて砂煙が舞っている中を首尾良く稜線へと身を隠していった。
「どうすればいい!?」
「とりあえず敵は4機倒した。でも残り16機。一斉に来られたら勝ち目は薄い」
「増援は?」
「来たら良い方よ」
つまり谷本さんは増援など初から当てにしていないという事だ。しかし4機対16機。いくら4機減らせたからと言って次にまた同じ数を減らせるとは限らない。
「持久戦に持ち込むしかない…」
AK3丁とスナイパーライフル、それにPKMマシンガン、そして奪った弾薬が残り1500発。向こうはその10倍の弾丸を撃ってくるはずだろう。
「ゲリラ戦はまだ使えますかね?」
俺の質問に谷本さんは無言で首を横に振った。
「私が増援を呼んでみせる。援護して」
「了解です」
俺は後ろに居たのほほんさんに目配せする。向こうもそれ以外に手段は無いと思っている。のほほんさんは二度三度俺を見た後にゆっくり丘から下って行った。
「行くわよ!」
谷本さんも命令と同時に稜線から飛び出しリペアツールを相手の装甲へと押しつける。肉が焼ける匂いはしないが装甲が赤熱して溶かされていく。それでいい。俺は混乱している3組生徒を押し倒して丘の上から蹴落とした。
「生憎、北海道民はお断りでね!」
蹴落とされたISに巻き込まれて数名が丘より落ちていく。
「援護射撃!!」
PKMの弾帯が勢い良く排出され、3組の部隊をある程度足止めをすることに成功した。
谷本さんはその隙に赤いハンドフレアーを発火させた。赤々とした炎が周囲を照らし出す。
「こちらアルファ0-1。ベータチームへ直ちに航空支援を要請します!フレアの周りを全て薙ぎ払って!!!」
「ベータ0-3了解。近接支援開始、頭下げててね!!」
上空に現れたオレンジの機体がフレアーを目がけて急降下し、30ミリのガトリングガンとロケットランチャーの奔流が地上の3組の部隊を容赦無く薙ぎ払っていく。
奔流が過ぎ去った後にあるのは双方ともに疲弊し切った子供たち。お互いに目の前で銃を突きつけあったまま睨みあいを続けていた。
「クラス対抗コンクエスト、1組の勝利!」
BFつれづれ日記
よくある、終わった時に敵と向かい合って終わるパターン。
今回のラストはそんな感じです