セキュリティ絶対突破するマン.EXE   作:エターナルマン.EXE

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謎アンケの答え合わせです。
10話のアンケが票めっちゃ分散してるのに対して、なぜ虫は一方的に不人気なんでしょう。あるいは馬が人気なのか?
わからない……いいじゃん、虫……

今回もそこそこ説明回です。長くなりすぎたので分割して、一旦区切りのいいところまで。


X2話 渡の一日・午前編

平日。かつ、WWWの事件を熱斗が解決する予定もない。

そんな日の渡は、一日中家にいる。

では、何をしているのか?

 

 

……

 

 

 朝8時。PETのアラーム音で目が覚め、一日が始まる。

 寝間着のまま顔を洗い、食事をとりに居間へ行く。

 

 「おはよう」

 「おはよ……」

 

 母・鏡子の挨拶に小さな声で返しつつ、席につく。

 起きてくる時間が決まっているので、母も決まってこの時間に配膳を終えている。

 食事中も眠たげに目を細めている渡だが、これでもいただきますとごちそうさまは欠かさない。

 食べ終えると食器をシンクに入れ、飲み物を持って自室へ戻る。

 

 一日のうち、鏡子が渡の姿を見る時間の実に3分の1は、これで終わりである。

 いつもその背中を見送る鏡子は、寂しいと思う気持ちも多少はあれど、我が子の心が離れているわけではないと信じていた。

 渡が手のかからない子供だからではない。飛び級という結果を出したからでもない。まして、通じ合っていると根拠もなく思っているわけでもない。

 

 椅子を倒してしまったり、食器を割ってしまったり。

 たまにそういうことがあると、音を聞きつけてやってきて、廊下からちらっと様子を見てから入ってきて、黙って椅子をもとに戻したり、どこか切ったかと尋ねたりして。

 表情豊かというわけではないが、渡が自分を家族だと思ってくれているという確信があるからだった。

 

 たまに昔の絵を見せるとき、渡は褒めるでもけなすでもなく、まず考えてから、その絵の意味を尋ね、それから感想を言う。

 子供らしくない振る舞いだとしても、真剣に絵のことを考えてくれるのが嬉しかった。

 

 所変わって、渡の部屋。PCのモニタにはチャットソフトや通話ソフトが開かれ、そこでは日常で見ることのない、国家機密の文書ファイルの名前があちらこちらに踊っている。

 また、高い翻訳技術によってニホン語として違和感のない文章になっているが、それらの名称や、チャット参加者の名前は、明らかにニホンのものではなかった。

 

 (さて、今日もお国のために頑張ろか。ニホンちゃうけど)

 

 

……

 

 

 渡の参加しているチャットルーム、その参加者の多くが現実世界で集っている場所。

 ニホンから海を越えた、遙か北の国・クリームランド王国、科学省。

 かつて"クラッキング郵便"を名乗る人物にクラッキングされた政府中枢サーバーの管理を受け持ち、クリームランド全体のネットワーク導入・管理、そして研究・開発を行う省庁である。

 

 行政機関としては小さい建物の中で、スーツや白衣を着た職員が忙しなく動き回り、ある者は書類を書き、ある者は電話で部下に指示を飛ばし、ある者は研究成果のプレゼンをしている。

 そんな科学省の、とある会議室の1つの席に、人が座らず、スピーカーとマイクだけが置かれている。

 

 「――以上が、ネットワーク基盤再拡大計画の調整案になります。どなたかご質問は?」

 

 プレゼンを終えたスーツの男がそう締めくくる。幾人かが質問し、スーツの男がそれに答える中で、

 

「ちょっといいですか?」

 

と、スピーカーから声がした。

 

 「はい、C.P.さん」

 「先月と先々月の資料も拝見しましたが、いずれも一貫して、事業を実施するにあたって雇用の――」

 

 その質問内容は、職員としては平凡なものだった。そこにあるのがスピーカーではなく、国内で正式に採用された職員であれば、何一つ不自然には思わないだろう。

 しかし、そうではない。だから男は、スピーカーに向かって語調を強める。本来気に障るような内容でないにも関わらず。

 

 「――なので、そこは心配するポイントではありません。ご理解いただけましたか?」

 「わかりました。ありがとうございます」

 

 質問への回答にいくら圧があろうと、バカにするようなニュアンスがあろうと、いつもC.P.(クラッキング郵便)――ベータの声、実際はそれを操る渡だが――は、なんでもないように受け流し、普通の職員としての役割を淡々とこなす。

 この立場にも慣れたもので、もはや渡は罵詈雑言があったとしてもいちいち気に留めず、業務内容へ意識を集中していた。

 

 また別の会議室では、短時間の会議が終わりに近づいていた。短時間、つまり小規模の会議でありながら、そこには王女・プライドが同席していた。

 

 「以上が、C.P.に関する調査の定例報告になります。質問がなければ、このまま解散といたしますが。……では、終了いたします」

 

 スーツの男がそう締めくくると、プライドはため息をつく。

 

 (今回も、一切収穫なし……)

 

 プライドを心配して、数人の職員が声をかけるが、

 

「わたくしは大丈夫です。さあ、みな仕事に戻りましょう」

 

とだけ言って、プライドは会議室を出ていく。

 

 プライドは、科学省出入口へ繋がる道とは逆、現在C.P.がプレゼンに参加している会議室の方をちらと見る。

 

 (C.P.……本当の名前も知らない、わたくしの"――"……いつになったら、あなたに逢えるのかしら……)

 

 速歩きで去っていく切なそうな表情のプライドを見かけ、職員たちが渋い顔をする。

 

 「またか……」

 「確かにあいつは今でもどこからかカネを運んでくるし、職員としても悪くない程度の仕事はするが、いつ獅子身中の虫になってもおかしくないって、わかっておられるのかね?」

 「ニホンから代理通報の依頼が来た時なんか、見つかるかもって舞い上がって、ニホンオフィシャルに身柄確保まで頼んでたんだろ。獅子身中の虫どころか、白馬の王子様か何かと思ってるフシさえある」

 「"彼の力が必要だから"って反対派を黙らせて、政府直下に雇い入れちまってな。上じゃどんな口出ししてるんだか」

 「彼っていうけど、そもそも男か女かさえわからないんだろ」

 「オペレータがいるかどうかだって、代理通報の一件がなきゃわからなかったよな」

 

 科学省内において、渡を信用する人間の割合は20%ほど。渡の存在を知る範囲での信用度は、プライドに近づくほど低くなる。その低さの主な原因は、正体を明かさないことではなく。

 

 「いつ、あいつがここのセキュリティをめちゃめちゃにしないとも限らない。みんなそれを分かってるはずなのになぁ」

 

 渡の能力が、セキュリティ関連、特にクラッキング側に特化していることだった。




 アンケートもあるので、ご用の方は一番下までスクロールしてください。
 10話にも展開に関するアンケートがあるので、まだの方はよろしくお願いします。

 今後は後書きを長くしていくかもしれませんし、長いという声があればやめるかもしれません。
 感想への返信が長いのとどっちがマシなんでしょう。とりあえず以下早口です。

●これまでのアンケについて
 というわけで、獅子身中の「虫」、白「馬」の王子様。プライドが渡に対して持つ第一印象がどうであるかのアンケでした。わかるか!
 この後どうなるかは10話のアンケートの今後次第です。今回は馬が選ばれましたが、必要とあらばぶち壊せるだけの爆弾を渡には抱えてさせてあるので、いらない派の方もご安心ください。
 今思うと「どちらともいえない」を導入したのは失策でした。一番多い……
 膠着状態が長く続くようであれば、四択でもう一度アンケ貼ります。猶予はたっぷりあるので。

●クリームランドあれこれ
 クリームランドの元ネタは(一応)君主制であるというのがイングランド、北国かつ小国というのがアイスランドだと思われるので、そんな感じでイメージしています。名前的にもアイスクリーム。
 産業はまあアイスランドベースで弱体化が無難でしょうか。大昔は漁業で稼いでたけど、近代では養殖技術が発展しすぎて小国では盛り返せず、観光産業に頼る比重が大きくなってきている、とか。
 するとネットワークの早期導入は一発逆転狙いのギャンブルということになりますが。
 プライドは「女王」と明言されていて、かつ「クイーン・プライド」や「プライド陛下」ではなく「プリンセス・プライド」と呼ばれています。少なくともアジーナ国王は「陛下」呼びだったのに。
 そもそも普通に考えるとあの歳で女王やってるのはおかしいので、語られていませんが、早い時期に両親を亡くして繰り上がってしまっているんでしょう。プリンセス呼びなのは歳からだとバカにしてることになるので、もっと小さい頃から親しみを込めて「殿下」ではなく「プリンセス・プライド」だったのかもしれません。

●なんで虫と馬の二択だったの? 中間は?
 -X話でも描写した通り、プライドは既に公務で過労です。
 予期せぬ出来事で女王のお鉢が回って来る以前からかどうかはともかく、今の国は常にピンチで、本来やっちゃいけないはずの「国王の顔がどうにかなるくらい使い倒す」という動きもやらなければならないほどです。
 数ヶ月後の「2」で、プライド自らが、世界転覆のテロに加担することを決意する程ですから、相当なピンチです。
 その件について、国があまりにピンチで、自身も働きすぎてて、多少おかしくなった部分もあるだろう、と考えられます。民を想う心も強いですから。爆発したのがゴスペルからのお誘い(多分)のタイミングでというだけで、もっと以前から。
 そんな精神状態のプライドの前に、謎の人物が10億ゼニーという(少なくとも個人がポンと払うには)とんでもない大金を持って売り込みにやってきたら? それも、ゴスペルのようなやり口でもなく、「微力かもしれないけど、お金あげるし、お仕事も手伝うから、体大事にしてね。でも身分は明かさないよ」って言われたら?
 トドメを刺しに来た他国のスパイを疑うか、降って湧いたヒーローと思い込むか。極端な方向へ行くでしょう。
 「怪しいけど実績は出してるし、でもあいつその気になればセキュリティぶっ壊せるし……うーん?」みたいな、中間の反応ができるほどの心の余裕はないはずです。
 それにしても、クリームランド衰退の原因が恐らく過去のアメロッパやニホンの政府にあるだろうことを考えると、結構な闇ですね。マジかよ光正最低だな!

●警察の存在
 以前、エグゼ世界には警察はない、というような話をしましたが、
 なにかの拍子に「あれっ?」と思ってエグゼ2の依頼掲示板の話を復習したところ、「署」や「刑事」という単語が出てきました。
 まあこれも設定のゆらぎと切って捨てるつもりですが、まだまだ原作の情報把握が甘かったと反省しております。

●「4」編について
 「4」編で渡側に用意する敵が別途必要なので、コロコロコミックに倣ってオペレータ&ナビの募集をする予定です。
 作者匿名だと活動報告使えないしアウトでは? と思って規約読んだところ、アンケート機能でできないことであれば感想欄使ってやってもOKっぽいので。
 まあ、「3」編に入るまでこの作品が続けばの話ですけどね!!!

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