セキュリティ絶対突破するマン.EXE 作:エターナルマン.EXE
それと11話の内容の一部が二転三転していますが、話の流れには関係ないので流してください。
エレキマン編、エグゼ1特有のおかしな設定がいっぱいあります。曲げまくります。
今回は(多分)前編です。
立食パーティー当日。関係者でもない渡は、誰にも止められずレストラン内部へ入ることができた。
科学省側エレベータがパーティーのために開放されていたのと、渡を見た誰もが、誰かの子供だろう、と思った結果だった。声をかけられた場合の対策も講じていた渡は、少し物足りない気分だった。
(止められたら"展示される海外の最新PETの話が聞きたいんです"ってことにでもするつもりやったのに。ニホンの民度はスペシャルやな)
レストランは、異様なまでに広く、それに見合っただけのパーティー参加者で埋め尽くされている。
渡の視線の先には、一般販売されているものより一回り大きなPETが、行き交う人の隙間から見え隠れしている。ペットボトルをリサイクルしたPETという触れ込みで展示されているものだ。
(結局あれは本物なんか、WWWが用意した偽物なんか……本物なら是非話を聞きたいところやけどな)
大人にぶつからないよう壁際を歩いていくと、談笑する光一家の姿が見えた。向こう側は、渡に気付く様子はなかった。
渡は一応、遠目で見られても大丈夫なように、野球帽を被って伊達メガネをしていた。
(あれが光祐一郎。写真はなんべんも見たけど、かっこええなあ)
『光博士、光博士。至急、研究室までお戻りください。光博士、至急、研究室までお戻りください』
(おっと)
チャイムの後、祐一郎を呼ぶアナウンスが流れ、祐一郎が出口へ向かう。面識はないが、渡は一応近くのテーブルの陰で背中を向けた。炎山の姿もあった。
周囲のテーブルはいずれもおいしそうな料理がこれでもかと並べられているが、事前に腹を満たしてきた渡は、そちらにはあまり関心を向けなかった。
数分ののち。
『皆さま、大変お待たせいたしました。これより、パーティー主催者の挨拶があります』
再びのアナウンスに、レストラン内の人々が、レストラン二階に位置する舞台を見上げる。
そこには外国人の男が一人立っていた。黄土色の上等なスーツに、点滅する電飾が散りばめられている。
「皆さま、ようこそお集まり下さいました。この――WWW主催の死のパーティーへ!」
どよめく階下を他所に、男は話を続ける。渡は肩掛け鞄のジッパーを開けて手を突っ込んだ。
「
男が腕を振り上げる。
「エレキマン! 始めなさい!」」
合図と共に、パッと明かりが消えた。人々のざわめきに混じって、大声で状況を知らせる声が飛ぶ。
「電気と空調が止まったぞ!」
「それでは、残り少ない空気をごゆっくり味わってください。ワハハハハハハ!!」
言うだけ言って、2階に浮かぶ電飾人間は、悠々と歩いて去っていった。
(これだけ人がおってパニックになれへんのやな。流石は官庁の職員ってとこか?)
「ダメだ、電気がつかない! 誰か下の発電所で発電機を見てくれ!」
「オフィシャルは!?」
「ダメ! 電話も通じないわ!」
また別の誰かが、助けを求めて叫ぶ。
バタバタと足音がし、そちらを見ると、参加者のうち数人がPETなどのバックライトを頼りに動き出したようだった。
はっきりと姿は見えないが、一番後ろに小さな影が見えた。
(他には誰も動かんか? よし、行こか)
鞄から取り出したペンライトを点け、レストランを出る。出入口付近や、エレベータへ続く廊下などでは、バッテリー式であろう非常灯も点灯していた。そのため真っ暗ではなく、明かりを持っていなくとも、目が慣れてくれば動けるだろう。
官庁ビルにはダストシュートがあり、可燃ゴミ用のものは発電所階でストップし、集積された後は火力発電所で燃やされる。ダストシュートの大きさは、2メートル弱四方。成人でも、飛び込んで途中で詰まるということもない。
自分より先に入っていった大人に続いて、渡もダストシュートの中を覗く。下の階まで4~5メートル吹き抜けとなると、ゴミがクッションになるとしても怪我の可能性は充分すぎる程のはずと、恐る恐るだったが――
(あっ、そういう感じなんか! やったらええわ)
落下の衝撃でゴミ袋が破れないようにするためか、ダストシュートは螺旋状の滑り台になっている。人が通ることを考慮していないのだろう、傾斜は詰まり防止のためかかなり急だが、これなら無理なく降りることができる。
渡は斜面にへばりつくようにうつ伏せになり、手のひらを滑り止めにしてゆっくりと降り、開け放された下階のダストシュートの扉から出た。
……
「いいかい、この部屋以外の電気がつかないってことは、発電機が動いているのに電力が正常に回っていないということだ!」
発電所階の廊下を進むと、奥のコントロールルームから誰かの声が漏れ聞こえてきた。元よりそこへ行かなければならない渡は、扉へ近づく。
「そんな状態で電脳世界へ入れば、ナビを維持するためのPETの電力も拡散するから、猛烈な速さでバッテリーを消費する。この状況でプラグインしている途中にバッテリーが切れてしまえば、ナビがネットワーク側からのエネルギー供給も受けられないまま、存在を維持できなくなって消滅するかもしれないんだぞ!」
「……どうすればいいんだ!?」
「行こう! 熱斗くん!」
中で、発電所職員か誰かが、熱斗とロックマンと言い争っているようだった。
「なに言ってるんだ、ロックマン! 下手したら……消えちゃうんだぞ!」
「大丈夫! WWWのナビを倒して、すぐプラグアウトすればいいんだ!」
「……ダメだ、できないっ!」
「熱斗くん!」
軽い調子で熱斗を叱ることはよくあるロックマンだが、このように声を荒げることは珍しかった。
「今すぐ行かないと、ママや沢山の人の命が危ないんだ! それに……熱斗くんのオペレーティングを、ボクは信じてる」
「……っ、そうだ、オレは絶対デリートなんかさせない!」
「流石は熱斗くん。その勇気を、僕も見習わないといけませんね」
「えっ、渡!?」
いいタイミングでコントロールルームへ入ってきた渡の声に、熱斗と白衣の男が振り向く。
電灯がつかない部屋で、コンピュータのモニタの光が室内を薄明るく照らしているのみ。熱斗は数拍おいてようやく、その影を渡と認識できた。
「……お前、なんでここに!?」
「話は後です。……おや?」
渡は言いながらさっさとプラグインすると、PETにキーボードを繋ぎ、小さな画面をじっと見ながら叩いた。周囲が暗いこともあって、渡は目を細め、睨みつけるような格好になっていた。
「プラグイン拒否プロテクトがありました。解除したつもりですが、一応気をつけてください」
(とにかく、ちょっとでも時間短縮するんや。エレキプログラム盗られるのは阻止せなあかん)
「わ、わかった。プラグイン! ロックマン.EXE、トランスミッション!」
白衣の男はツッコみを入れるタイミングを見失っていた。
……
電脳世界内部は、外とは打って変わって明るい。空間中を細い稲光が走り回り、床の隅からは進行不能な位置に向かって無意味に放電され続けている。
発電所の電脳についての案内を担当するプログラムくんに話を聞くと、サイバー電池なるものを床に据え付けられた電池ボックスに入れ、スイッチを入れて電脳世界の明かりを点さなければ、文字通り道が開けないのだという。
そして、その電池もロックマンがあるだけ受け取ったのだが――
「ちょっと待って、これじゃ電池ボックスと電球の数が合わないよ!」
目の前には道を作る電球が1つ、電池ボックスが3つ。ロックマンが受け取った電池は1つ。
「デンキュウニ ツナガッテイナイ デンチボックスモ アリマス」
「一応、そこの道を照らすための電球の数よりは多いですが……当たりを見つけろということですか」
「スイッチを入れると、電池の残りが減るんだよな……渡、水道局のハンドルみたいに、なんとかできないのか?」
「電池が必要な以上、直接道を作るのは無理ですが……そうですね」
(この電池ギミックを全部一発で通せば、かなり早くなるはずや。いけるか……?)
ベータがうろうろ歩き、床や導線にペタペタと手を触れる。その手が電池ボックスに触れた時、渡のPET上でデータが展開された。ひとつ頷いて、渡が口を開く。
(よし、あった!)
「ロックくん、よく聞いてください。これから僕は勘で電池ボックスの位置を指定します。そこに電池を入れて、スイッチを押してください」
「カン? あれ? 前みたいにクラッ――」
「光くん!!」
(人おる時にその単語を出すなや!!)
熱斗の疑問を遮り、狭いコントロールルームに渡の怒声がこだまする。熱斗と白衣の男はのけぞった。
渡はわざとらしく咳払いをし、念を押す。
「もう一度言いますが、僕は勘で電池ボックスを指定します。いいですか光くん、勘ですよ。わかりましたか?」
「……わ、わかったよ。それで?」
「まずは――」
自分で置いておいてなんですが、「しなければならない」に票を入れた人の気持ちがわかりません。
あと、ウラの設定が間違ってたのでX2話午後編を直しました。話の流れには影響ありません。
10、X3、11話にもアンケートがあるので、まだの方はよろしくお願いします。
それとは別に今回のアンケートもあります。
~曲げたヤバい設定たち~
・電源がついてないコンピュータにプラグインすると~
→そもそも電源がついていない場合プラグインできない(後の作品において、「電源がついていないのでプラグインできない」オブジェクトが登場)
よって、本文中のような理由でナビが危ないという設定。リスクは原作よりも大きいという結果に
・ナビは自分で体力を回復することが~
→できるのは1だけ。当然なかったことに
~曲げてないけど割とヤバい設定~
電脳世界は異世界とかではなくコンピュータネットワークでありながら、現実世界に近い物理法則が適用されたりされなかったりします。
電気信号で成立しているであろう電脳世界の中で電池を使って電球を点けるの、結構めちゃくちゃな話だと思いますが、電池をプログラムくんの手で充電する必要がある辺り、電気回路を模したパズルによるセキュリティってわけじゃなくて、本当に電脳世界上での電気回路みたいですし。
なぜここを曲げないかというと、後の作品の電脳世界でも異常気象みたいなことがいくらでも起きているからです。避けて通れない。
結局どこで夜を明かすの?
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超天才の渡はホテルに部屋を取った
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誰かが助けてくれた
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ただの子供一人では部屋を取れなかった