セキュリティ絶対突破するマン.EXE   作:エターナルマン.EXE

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 UAやお気に入りやしおり、高評価といった数字をいただくのも、まさかのランキング掲載という形で読者の方が一気に増えたことも含め、「これは一体……? いつの間にダークチップ使ったんだ……?」と思うくらいに嬉しいです。

 が、なにより、原作の話を交えた感想や書き方の感想を頂くと、「その手があったか」とか、「あれは握手だったのか」とか栄養になる部分が多かったり、そうでない感想でも「ああこの人は作品読んだ上で、どう感じたか伝えてくれてるんだ」ということが直に感じられ、じんわり温かい気持ちになり、感謝の念や、同好の士としてのシンパシーが尽きません。
 いつもありがとうございます。この力で、未だ立つことができています。
 醜い感想乞食の話は以上です。

 前話でベータがロックプログラムを破壊したことになってますが、主語(ロックマン)が抜けているせいです。一見ミスに見えないのが一番怖い。直しました。

 長めです。


21話 空舞う魔術師

「サモンウイルス!」

 

 マジックマンが宣言すると、その周囲に魔法陣が2つ出現。魔法陣の上にウイルスのデータが3Dプリンタめいて急速ロードされ、完成すると生きたウイルスとして動き出す。白い幽霊(ゴースラー3)青い光を纏う胸像(メガリアA)。いずれも対処が困難とされるウイルスだ。

 ゴースラー3はロックマンの視線を避けながら、メガリアAは青いオーラを曳きながら向かってくる。

 さらに。

 

「マジックファイア!」

 

 マジックマンの両手――赤い宝石が内側から輝きを放ち、高まったエネルギーが青白い火球となって発射される。何の特性もない単純な射撃攻撃だが、その早くも遅くもない弾速により、他のウイルスと合わせて弾幕形成が成立する。

 マジックマン自身は魔法陣のある所から動かないが、相手に攻撃の暇を与えなければ、動く必要がなく、一発でも多く火球を飛ばすことに専念していた。

 

「ロックマン、まずはウイルスから倒すぞ! アクアソード送る!」

「うん!」

 

 火球を避けながら下がっていき、側面まで追いついてきたゴースラー3を流水の剣で迎え撃ち、一撃で真っ二つにする。10歩ほどの距離にいるメガリアが、ロックマンめがけて頭部を射出した。速度は充分。だが、バスターからゆっくり這い出た球電(サンダーボール3)を見るとその表情が、彫像ゆえ僅かではあるが、恐怖に歪んだ。

 射出された頭部は急には曲がれず、台座たる首部分から発せられる青い防護オーラにも守られていない。ある種文字通りの玉突き事故を起こし、メガリアAも消滅した。

 

「ほう」

 

 表情を持たないマジックマンが続けて放出した火球も、ロックマンは油断なくかわす。

 

「よし、突撃だ!」

 

 熱斗の合図でロックマンが走り出す。ウイルスを排除した今、マジックマンを攻撃するチャンスだ。

 

「サモンウイルス!」

 

 再度の召喚。急速ロードされ命を吹き込まれたウイルスたちが、またもマジックマンを守る使い魔として立ちはだかる。スウォータルに、橙の光を纏う胸像(メガリアH)。ロックマンが急ブレーキをかけ、一瞬にして敵で満たされた目の前の光景に身構える。

 マジックマンたちの攻撃をやりすごそうと下がったために、ロックマンは反撃の機会を失い、振り出しに戻ってしまっていた。

 

「何回でも出てくんのかよ!」

「それに、補充までが速い!」

「このマジックマンの布陣を破った者は過去にたった一人だけ。そしてロックマン、あなたは二人目にはなれない!」

 

 ウイルスたちに落ち着いて対処すれば、反撃を試みる頃には再度召喚で補充される。熱斗とロックマンはすぐに攻略法を理解したが、それはおよそ攻略法と呼べるものではなかった。

 

「熱斗くん!」

 

 躊躇い歯噛みする熱斗に、ロックマンが呼びかける。やるしかない、やるんだ、と背中を押す気持ちを込めて。

 

「……ああ、やるしかない! 突っ込め、ロックマン!」

 

 退かないこと。それが、マジックマンを攻略するための、今できる唯一の手立てだった。過去にマジックマンを破った一人――アイロニーも、Dアーマーがもたらす脅威の防御力によってそれを成していた。

 熱斗がチップデータを送信する。広範囲を攻撃できる濁流(オオツナミ)だ。

 

「はっ!」

 

 火球とスウォータルの剣をかわし、ロックマンの手が地面を引っ掻く。そこから噴出した黒い津波に触れたスウォータルが消滅し、それを見たメガリアHは盾となるべくマジックマンの前へ移動。攻撃を橙のオーラで相殺する。

 オーラが消えただけで、マジックマンは勿論のこと、メガリアH自身も無傷だった。だが、追撃するためのチップデータを送るには、発生したクールタイムを待つ必要があった。

 ロックマンは右腕をバスターに変化させ、メガリアとマジックマンに向けて連射する。繰り返し飛んでくる火球とメガリアHの頭部を避けつつ、少しずつではあるが、一方的にHPを削っていく。

 怯まず撃ち合いに応じるマジックマンを見て、ふと、熱斗が違和感に気付く。

 

(……なんで避けないんだ?)

 

 そう、なぜマジックマンは撃ち合いに応じているのか。足を止めて。そもそも――

 

「ロックマン! あいつ、なんで戦い始めてから一歩も動いてないんだ?」

「そういえば、確かに!」

 

 言われたロックマンが攻撃の手を止め、回避に専念する。その次の火球と頭部が過ぎ去った時、マジックマン自身を観察する。火球発射の光に混じって、その足の下に何かが見えた。部分的にしか見えないが、同じくマジックマンを観察していた熱斗と、全く同時に気付き、叫ぶ。

 

「魔法陣だ!」

「おや、もう気付きましたか」

 

 看破したロックマンが、チャージショットでメガリアHにトドメを刺す。

 

「魔法陣の上に立ってないと、ウイルスが消えちまう……とかか!」

「その通り。しかし、それを理解したところで」

 

 三度魔法陣にデータがロードされる。

 

「一人で戦う限り、ロックマンは正面から来る他ないのだ」

 

 マハ・ジャラマの言う通り、多対一である限り、ロックマンがどこから切り込んでもウイルスにカバーされる。

 

「いや……見えたぜ! だってお前は、魔法使いだからな!」

「む……?」

「ごめん、ロックマン! 一回だけ、反撃もせずに真っ直ぐマジックマンのところまで突っ込んでくれ!」

「何か作戦があるんだね?」

「ああ!」

 

 聞き返すロックマンに、熱斗は即答した。

 

「よし、わかったよ!」

 

 言われた通りに、ロックマンはバスターすら構えず、ただ全力で走り出した。

 

「マジックマン、油断するな。意味は分からないが、何かある!」

「御意!」

 

 マジックマンが指示をせずとも、新たに生まれた傘を差した黒雲(クモンペ3rd)黄緑の光を纏う胸像(メガリアW)がロックマンの道を塞ぐ。クモンペ3rdが吹き出した雨雲からは1粒で石を穿つ雨粒が降り、A・Hの更に上位のメガリアWがより高威力高耐久の頭部を射出する。

 

「ぐうっ!」

 

 雨雲を避けるように横っ飛びしてまた走り出したところで、メガリアWの頭部にぶつかってロックマンの体が半回転する。予め攻撃を受ける覚悟があり、歯を食いしばっていたが、それでも苦悶の声が漏れた。

 

「ロックマン!」

「うう……! まだだっ!」

 

 たたらを踏むが、痛みを堪えてマジックマンに向き直り、走る。

 

(強引に抜けて来たか。だが、これで我らがお前を囲む形となったのだぞ、ロックマン!)

 

 今、ロックマンの背後にはクモンペ3rdとメガリアW。正面にはマジックマン。このまま戦いを続けるならば、回避することすらままならない。

 ロックマンは自らを窮地に立たせてしまったと、マハ・ジャラマも思った。つまり、ロックマンが走り出した時も持っていた確かな警戒心が、薄れてしまった。

 熱斗がチップデータを送信する。たった1枚だけ。

 

「決めるぞ、ロックマン!」

 

 送信されたチップデータがロックマン側にロードされる前、そのチップが何かを知覚した段階で、ロックマンは熱斗の言葉の意味を知った。

 

「うん、熱斗くん!」

「決めるだと? できるはずがない、マジックマンが受けたダメージはまだ……いや、いかん!」

 

 WWWきっての実力者であるマハ・ジャラマも、まだその自信の正体には気付けていなかった。それでも、熱斗とロックマンが確信を持って立ち向かってきているのだということを、ようやく思い出した。そして、マジックマンにも警戒を促す声を発しようとした頃には、もう遅かった。

 

 ロードされたのは、ウラインターネットで半ば伝説的な扱いを受けている攻撃用バトルチップ――ガイアハンマー3。その重みを感じつつも、スピードは落とさない。

 

「うおおおお!」

「マジックファイア!」

 

 駆けるロックマンの手元に緑色の大鎚が出現し、ロックマンはそれを両手で後ろに構える。ウイルスの壁の内側に入った今、マジックマンに向けて突撃し続ける限り、ロックマンに届く攻撃はマジックファイアのみ。

 

「当たるもんか!」

 

 だから、避けられる。

 マジックマンたちは、ロックマンを包囲状態というピンチの中に見ていた。だがロックマンたちは、包囲を破る必要も、包囲の中で攻撃を凌ぐ手段を講じる必要もなかった。一瞬だけでも、"どうしてもそこから動けない"マジックマンと一対一の状況を作れれば、それでよかったのだ。

 

「いっけーー!!」

「っ、ここだっ!」

 

 短く息を吐きながらグッと力を込め、大鎚を振り抜く。打撃の威力と、拡散するはずの衝撃波全てが、マジックマンに叩きつけられた。

 

「!?――――」

 

 声を上げる間もなく斜め上に打ち上げられたマジックマンは、空間の端まで吹き飛ばされ、地に落ちた。

 魔法陣を通しての制御を離れたウイルスたちも、粒子に還元されていった。

 

「一撃! まさか、そのような方法があるとは……」

「渡直伝の必殺技だ! ウイルスに頼ってる魔法使いなら、打たれ弱いに決まってるもんね!」

(別にそこで名前出さんでええやん)

 

 突然呼ばれ、鼻を鳴らす。少し照れ臭く思い、口元が緩んだが、まだ渡は"勝った"とは思っていない。熱斗とロックマンに向けて忠告する。

 

「エレキマンの例もあります。最後まで油断してはいけません。追撃を」

「うん!」

 

 遠くで動かなくなったマジックマンをロックバスターでしっかと狙い、チャージショットが命中。マジックマンは完全にデリートされた。オペレータの男の声もせず、今度こそ肖像画の隠し扉が開いた他には、目に見えた変化は何もない。

 

「やったぜ!」

(間に合わんのは向こうも同じやったか。ドリームマジックなんてなかったんやなって)

 

 熱斗と渡はナビをプラグアウトさせた。ようやくPETの画面から目を離せるようになった熱斗は、初めて隠し扉の方をきちんと見た。

 

「この奥か……暗いな」

「足元に気をつけて行きましょう。ここまで来て、転んだせいで終末戦争になったとあっては笑えませんからね」

「わかってるって」

 

 浮かれ気分を隠しきれない熱斗を横目に、渡がペンライトをつける。

 2人は倒れたワイリーの肖像画を踏み越えて、通路へ入っていった。




 13話アンケで「(増や)せ」を選んだ方は、14話後書きのチェックをお願いします。
 (展開に関係する意見の募集です。ドリームウイルスが死ぬと締め切ります)
 今回もアンケがあります。一応2で元々登場するキャラではあるので、早めの対策を……
 これも締め切りはドリームウイルスが死ぬまでです。そろそろ死ぬはず。

 サブタイはホームランされるマジックマンです。無印シリーズの方でも(手品師のマジックとはいえ)空飛んでないんですよね。

 これまで出番のなかったリモコゴローやロックオンを使って召喚対決、というのも考えたのですが、それで対処できちゃうとマジックマンの強キャラ感がなくなるのでボツに。
 既に長いので前段階への追加もしていませんが、もしやっていたら精密動作性で負けて一方的にロックマン側の設置物だけ破壊されてた、という感じです。

(21話)地の文での緑川ケロの呼称(しっくり来る方を選んでください)

  • 緑川
  • ケロ
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