セキュリティ絶対突破するマン.EXE 作:エターナルマン.EXE
アニメでは確かに比較的出番ありましたけれども……
埋め合わせを具体的にどうするか考えておらず、いらぬ苦労をした気がします。軽はずみなことを言うのはよくありませんね。
長さ適切。
官庁街、官庁ビル前広場。
ここには2つの露店が隣り合って存在し、昼時や夕飯前といった時間帯に客足が増える。
ひとつは自然保護活動家の少女・サロマが開く、自然食弁当屋。官庁ビルで働く職員たちが毎日、昼休みに列を作っている。本人は自然保護活動の一環として行っているつもりだが、売上も高い。
そしてもうひとつが、魚っぽい顔をした男・マサの開く魚屋である。この時代にあって新鮮さをどこまでも追求し、仕入れは魚市場の直売のみ、前日の売れ残りは出さない、バッテリー式の冷凍庫で鮮度を維持する、など徹底している。
新鮮な魚を求める客が遠くからもやってくる程度には名の知れた魚屋であるが、売上では隣の弁当屋にどうしても勝てない。
とある平日の昼前。子供が1人、魚屋の方へ歩いてやってきた。渡である。
「こんにちは。切り身ってありますか?」
「よう、切り身はねえぜ。うちはカルシウムの多い魚がメインだからな。ぼうず、学校は行かなくていいのか?」
マサが魚屋を開いたきっかけのひとつが、現代人のカルシウム不足だった。客の要望で
「家庭の事情で通っていないんです。勉強はしてますよ」
言いながら渡は冷凍ショーケースを覗き込む。
(イワシにシシャモに……シシャモあるんか。シシャモでええな)
「へえ、変わった家もあったもんだ。じゃ、お使いか?」
「そんなところです。シシャモ20匹下さい」
「おっ、太っ腹だねぇ。オスメス半々で詰めとくぜ」
渡が顔を上げて注文すると、マサが氷とシシャモをパックに詰め、ビニール紐で括って袋に入れた。
「まいどあり! うちの魚はうめえぞ。また来いよ!」
「ありがとうございました。またお世話になります」
魚の入った袋を持って駅でメトロに乗り、向かうのはコートシティ方面ではなくデンサンタウン。
以前にみゆきからの食事の誘いを無視してしまったため、何か詫びの品でもと考え、悩んだ結果が魚だった。
メトロを降り、徒歩10分と少し。引き戸の透けた所から中の様子を見るに、骨董品屋は開店中のようだった。やいとのプレゼントを買いに来た日にはまだ開店準備中だった時間である。
他に客もいない。
「こんにちは」
「……あら、いらっしゃい」
渡が挨拶すると、カウンターでぼーっとしていた(少なくとも、渡にはそう見えた)みゆきが目を細めて返事をした。
「お昼、もう食べました?」
「まだだけれど……それは?」
みゆきの視線が、渡の手の袋を向く。
「魚です。このあいだのお詫びということで、お昼ごはんご一緒しようかと。2階、上がってもいいですか?」
「ええ、どうぞ……」
「お邪魔します」
手で階段を示され、渡は2階へ上がる。その途中、階下から鍵の閉まる音がした。渡の後について、みゆきもゆっくり上がってくる。
「いいんですか?」
「お昼休みには閉めているから……」
手すりを握ったまま振り向き、渡が問いかけると、みゆきはいつものことだと答えた。
(客が頻繁に来る店ちゃうからええんか? 特殊やから当たり前のラインがどこなんかわからん)
2階に着くと、渡は炊飯器を確認する。米は既に炊けていた。
「それで、渡くんが持ってきたお魚でご飯を作ればいいのかしら?」
「僕が作るつもりでしたが、黒井さんが作るならそれでも」
「……料理、できるの?」
「一人ではやるな、と言われていますが」
実際、鏡子がいる時だけという条件で、台所に立つことも許されていた。日常的にというわけではないが、家族に関する記念日には料理や菓子作りをしている。
「そう……それなら、お願いしようかしら。楽しみに待っているわね……」
「過度な期待はしないでくださいね。というか、魚はシシャモなので簡単なものになりますよ」
冷蔵庫や台所の収納を確認する。
(圧力鍋は案の定ない。天ぷら粉があって、油はごま油があるな。青のりがないけど……? 抹茶あるやん。じゃあいけるな)
調理を始めた後、みゆきは渡の背後に立って頭越しにじっと様子を見ていたが、シシャモを揚げ始めた渡に追い払われてからは、少し離れてじっと様子を見ていた。
(なんかプレッシャーやな……)
……
テーブルの上に配膳されたのは、2人分の白米とお吸い物と、大きな皿1枚にシシャモの磯辺揚げが5本。渡の言う通り、揚げ物に関する諸々の手間を除けば簡単なメニューだった。
「内臓は取って、頭と尻尾も揚げた後に一応切りましたから、苦手なら残して下さい。それじゃ、いただきます」
「いただきます……」
みゆきが胴体だけになったシシャモを箸でつまみ、半分かじってよく噛む。飲み込んだ後、顔を綻ばせて渡の目を見る。
「……おいしいわ。ありがとう、渡くん」
「そうですか? ありがとうございます」
(久々の揚げもんやったけど、失敗はせんかったみたいやな。普通に食える)
その対面では、渡が頭と尾を順番にひょいひょいと取って食べていた。みゆきに言われて軽く会釈したが、その後すぐ食べる作業に戻った。
ごちそうさまをした後、片付けまでやると言った渡が皿洗いを始め、みゆきはその隣に立った。
「……渡くんはあの日、どこへ行っていたの?」
「さあ?」
「教えてくれるつもりはないということかしら……?」
「そうですね」
他人の家ということもあって皿洗いに集中し、生返事気味になる渡。その様子を見て、みゆきはひとつ思いついた。
「……ネットバトルでわたしが勝ったら、教えてくれる?」
「いいですよ」
どうせ無理だろう、と考えて、渡は二つ返事をした。
洗い物を終えた後、1階に降り、みゆきはカウンターに座り、渡はその前に立って、それぞれが虫眼鏡の電脳にナビを送り込んだ。
……
ベータのロングソードがスカルマンの額を貫き、そのダメージが許容範囲を超え、強制プラグアウトさせた。ベータもダメージは受けているが、まだまだ余力を残していた。
(タイムアップ狙いやと手抜きがバレるし、本気でやったら何言われるかわからん。こんなとこやろ)
涼しい顔で息をつく渡。結果はいかにとみゆきの方を見ると、PETを置いて渡に向かって微笑んでいた。
「……わかったわ」
「何がですか?」
「やっぱり、渡くんも戦っていたのね」
わかるはずがない。ハッタリだ。渡は頭ではそう考えていたが、言葉を返すのが一拍遅れる。
「根拠はなんですか?」
「そんなものは必要ないの。渡くんとベータがどれだけ長く戦い続けてきたかが、伝わってきたから……」
渡には、穏やかな表情のみゆきの目だけが、黒く塗りつぶされているように見えていた。
以前のような無表情ではないというのに、その鍵をかけられて試された時と同じような感覚に襲われ、じり、と片足に力が入った。渡の秘密を守ろうとする心が起こした防衛反応が、渡をみゆきから遠ざけようとしていた。
出ていくか立ち止まるか、感情を表に出すまいとしつつ決めあぐねている渡に、みゆきが続ける。
「……お礼が言いたかったの。きっと、あなたたちが守ってくれたのだと思ったから」
「……」
「渡くんの魂に興味があるのは、今も変わらないわ。けれど……わたしたちは友達だから……」
みゆきが小さく俯いたその時に初めて渡は、みゆきの肩が僅かに、本当に僅かにだが、震えていることに気付いた。
「……渡くんが嫌がることは、もうしないから……どうか、わたしを怖がらないで……」
渡は、みゆきの言っていることは理解できていたが、みゆきが何を感じているのか、自分がどうすればよいかがわからなかった。
ただ立ち尽くして、同じく何もできないでいるみゆきを見ているうち、ようやくかける言葉をひとつ思いついた。
「……大丈夫ですよ。僕はちょっとやそっとのことで絶交だとか言い出すような子供じゃありませんから」
渡は笑顔を作り、"子供"の部分でエアクオーツをつくって見せた。
「……ありがとう。ありがとう……渡くん……」
それを見ていたかはわからなかったが、みゆきは顔を上げ、再び感謝の言葉を口にした。繰り返し、ゆっくりと。
渡は畳敷きに上がり、みゆきの隣に座って、営業を再開するまで待った。
今回もアンケートがあります。後書き短め。
①マサ&シャークマン
今思えば、シャークマンには原作で台詞が一切ない。スカルマンと違って人格が希薄とかいう設定があるわけでもないので、扱いに困りすぎる。
「3」のN1GPで実はベスト8に残ってたりするそれなりの実力者の初登場回なんですが、今回はバトルなしのちょい役でした。
後の作品も含めてシリーズ通してシナリオに一切関わらないのが辛い……
②セリフ書く時の話
みゆきっぽさを出すために、台詞は三点リーダーを多めに入れていますが、難しいです。
マサといい、もっと台詞が多ければ考えようがあるんですけれども……
③サブタイ
「埋まる」は渡とみゆきの間にある溝のことです。最接近とまではいきませんが、また多少は距離が縮まったんじゃないでしょうか。取ってつけたような形ですが、渡が何をしたかも知ったことになりましたし。
④文字数
アンケートやってて思うんですが、項目の文字数が厳しい。せめて30くらいは……
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