セキュリティ絶対突破するマン.EXE   作:エターナルマン.EXE

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大変申し訳ありませんが、警察の存在を抹消しました。
前話で渡が警察に通報したくだりはオフィシャルへの通報に差し替えます。詳しくはあとがきで。


4話 透すくい

「僕よりずっと秋原町の土地勘がある光くんに、そちらをお願いします。」

「渡はどうするんだ?」

「WWWの人間がまた来ないとも限りませんが、恐いのはあの伊集院という子もです。彼が功を焦り、人質の事情を無視して浄水プログラム復旧を独断強行する可能性がわずかにあります。万が一そうなった場合、僕が時間を稼ぎます」

「オレがやることは特に変わらないんだな。わかった!」

 

熱斗は今度こそエレベータを呼び、入った後に渡に声をかける。

 

「そっちもうまくやれよ!」

「もちろん」

 

渡は親指を立てて、自信たっぷりに答えた。エレベータの扉が閉まる。

 

「さーて、気い抜けんで。なんせ炎山は100パー来るんやからな」

 

 

……

 

 

官庁街駅でメトロに乗り込んだ熱斗。そのPETから受信音が鳴る。

 

「熱斗くん、メールだよ! 渡くんからみたい」

「さっきの今なのに、どうしたんだ? 読んでみてくれ」

「"建物の中には入らず、物陰や狭い路地、停められた車の中を探すとよいと思います。ジュースは人に見られないところで飲んでください"」

「確かに、飲み物を持ってるところを見られたらヤバそうだもんな」

「あと、"もし、僕個人やベータのオペレータについて質問されても、知らないとだけ答えてください。オフィシャルの前で名前を出すのもダメです"だって。どういう意味だろう?」

「なんだそりゃ?」

 

考えている間に、頭上から秋原町到着を知らせるアナウンスが聞こえてきた。

 

「熱斗くん、降りるよ!」

「いっけね」

 

慌てて降車し、駅を出てから、靴底のインラインウィールを立てる。普段は運動靴として使え、こうすることでインラインスケートとしても使えるという優れものだ。

 

「人が隠れられそうなところと、車の中だっけ」

「まずは学校まで行って、その近くを回ろう!」

「了解!」

 

秋原町はその面積の多くを住宅街が占め、現在は土曜の昼過ぎ。省庁がそうであるように、基本的に大半の学校や企業も終業後である。

それが災いして、熱斗は足止めを食うことになった。駅を出て少し進んだところで、周囲の光景に愕然とする。

 

「普段気にしたことなかったけど、停まってる車ってめちゃくちゃ多いじゃんか!」

「仕事場に行った人たちがみんな帰ってきてるんだ!」

「これを1台ずつ、全部覗かなきゃいけないのかよ……」

「確かに、これなら隠し場所としても効果的かもね……」

 

明らかに敷地の駐車スペースというケースを除いても、路肩や駐車場にあるだけでかなりの数の車が停められている。

それでも根気よく調べながら、学校へ向かい、その後は学校の周囲を調べる。

 

 

……

 

 

水不足で外には誰もいないことも相まって、静かな町。自分とロックマンの声、後は靴のウィールの音だけがする。

そんな状況が続き、もう100台は車をチェックしたのではないかという時。

路肩の軽自動車を覗き込むと、暗い中に、横になっている子供が見えた。ぐったりして動かない。

 

「いた!」

 

熱斗がドアを引くが、開かない。長時間車内にいるせいで危険な状態なのではと、ドンドンと窓ガラスを叩くと、その子供がもぞもぞと動く。

気絶こそしていないようだが、よく見ると縛られており、口も塞がれて声が出せないようだった。

 

「プラグインしても、ロックマンじゃ車の鍵は開けられないよな……」

「ボクじゃなくてもダメだよ! 勝手に鍵を開けるのは犯罪なんだから」

「じゃあ、どうする?」

「渡くん、オフィシャルに捜索を依頼したって言ってたよね。オフィシャルに電話したら、近くの人が来てくれるかも」

「そっか! よし、オート電話頼む!」

 

ロックマンがオート電話でオフィシャルに発信し、PETから発信音が数回した後。

 

「はい、こちらニホンオフィシャルセンター。事件ですか?事故ですか?」

「鍵がかかった車の中に子供が閉じ込められてて、その子は昨日から行方不明の子なんです!」

 

女性職員が電話を取り、ロックマンが事情を説明する。

 

「子供が車に閉じ込められているんですね。住所はわかりますか?」

「住所はデンサンシティ秋原町の……熱斗くん、どう?」

 

言われて熱斗も見回すが、近くの住宅は、どれもすぐ見える位置に住所が書かれていない。

 

「ダメだ、わかんねえ!」

「目印になるものはありますか?」

「秋原小学校の近くで……近くの家2つの表札に、中輪(なかのわ)(とばり)って書いてます!」

「中輪さんと帳さんですね。……はい、場所が分かりました。ちょうど近くに職員がおりますので、すぐ到着すると思います」

「ありがとうございます!」

「いえいえ。また何かあれば、今おかけのPETまでご連絡差し上げます。それでは、失礼いたします」

 

電話が切れた。そしてすぐ、誰かの足音が近づいてきた。

熱斗が振り向いて見れば、それはスーツを着た標準体型の若い男で、ジャケットを肩にかけ、袖をまくっている。

PETを見ながら歩いていたが、ふと顔を上げて、こちらに気付いたようだった。

 

「通報してくれ……んんっ、してくれたのはきみかな?」

 

やはり飲み物がないせいか、声が枯れ気味だった。

 

「そ、そうです! この車の中です!」

「オッケー。ご存知かと思うけど、僕はこういう者」

 

男が、ズボンのポケットからオフィシャルネットバトラーのIDカードを見せる。物理的にも様々な偽造防止加工が施されたそれは、淡く虹色に光って見えた。

 

「見たね? じゃ、後は任せて。ライナス、プラグインだ」

 

男が車にPETを接続して十数秒もすると、ガタッとくぐもった音がした。

ドアを開き、車内の少年を丁寧に抱えて出し、拘束を解く。不慣れなのか、体を縛るロープの方は中々解けない。

口が自由になってすぐ、熱斗が少年に話しかける。

 

「おまえ、氷川か? 大丈夫か?」

「ごほっ、ありがとう……それよりお父さんを止めないと! WWWに脅迫されて、水道を止めてるんだ!」

「ロックマン、渡にオート電話かけてくれ! 氷川、飲みかけで悪いけど、これ」

 

リュックサックから、半分になったオレンジジュースを渡す。

 

「あ、ありがとう」

「えっジュース!? いいなぁ……」

「お兄さんはダメ!」

「わ、わかってるよ」

 

透がジュースを飲み終える頃、オート電話の発信音が止んだ。

 

「はい、こちらベータ」




警察を抹消した理由ですが、オフィシャルと別に存在させる理由が見当たらなかったからです。
当初は現実の誘拐だから警察を頼り、「オフィシャルの担当部署(炎山のいるとこ)が人質の存在を軽視するかもしれないから残る」と渡に言わせる予定だったんですが、そうすると熱斗が透を見つけて警察を呼んでも車のカギを開けられなさそうなんですよね。
結果、警察が更にオフィシャルを呼ぶことになりそうで、じゃあ最初からオフィシャルでいいじゃん、と。
原作に警察が存在しないだけのことはありますね。近未来ネットワーク社会怖すぎる。

あと、原作の悪役を原作以上に叩きのめしたとして、それはアンチ・ヘイトなのか? と考えた末、タグを外しました。
この作品のあらゆる表現に、特定キャラを不当に差別する意図はありません。

あまりどうでもよくない話ですが、ニホン国の「シティ」は現代日本の「市」相当かと思っていたんですが(cityの意味的にも)、エンドシティのことを考えると都道府県相当なんでしょうか。
エグゼ世界はまともな地図とかないのが厄介。4で見られる飛行機行き先の世界地図は行かないところ省いてるし。

そしてこれはどうでもいい話ですが、民家の表札とモブオフィシャルナビの名前はアラン・チューリングとリーナス・トーバルズのもじりです。
多分エグゼ世界にはいない。
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