セキュリティ絶対突破するマン.EXE   作:エターナルマン.EXE

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 普段のあとがきは書きたいことを書いているだけなので読んでいただく必要は皆無なのですが、今回はそこそこ大事な話が出てきてしまったため、できればご一読下さい。
 はちゃめちゃに長い(2500字くらいの)あとがきですが、結論は最初に置いておきましたので、そこだけでもお願いします。


42話 食うか食われるか

 バッグの電脳世界。ロックマンと対峙する影は……壺。高さは50~60センチ程で、側面下部からバーナーのような火を噴いて浮いていた。

 こういうウイルスがいると言われればまだ信じられそうなくらいには、ネットナビからかけ離れた造形だった。

 

 まあ一応……といった塩梅にロックマンが身構えていると、壺の中から緑色の縄がバッと飛び出し、ロックマンは小さく仰け反った。それが縄に見えたのは飛び出す瞬間だけで、蛇型ネットナビであることはすぐに分かった。

 首はコブラのように幅広で、その両横の裾からは2本の腕が、これまた蛇のようにニョロニョロと伸びていた。手まで蛇の頭ということはなく、4本の指が中空を掴んでいた。

 

 ネットバトルが開始するとすぐ、スネークマンを囲うように、地面に穴が発生した。さながら、城への侵入を拒む掘りだった。

 

 穴とは、そのための進入能力がなければ踏み入れない地形で、例えば、キオルシンのような空を飛ぶウイルスであれば穴の上を飛んでいける。

 電脳世界の壁ほど難解・難儀な存在ではなく、それを簡単に生み出すバトルチップもあれば、進入を可能とするバトルチップ・エアシューズが開発される程度には突破が容易で、そもそも何もせず放っておけば電脳世界による地面の自然修復で直る。

 

 が、スネークマンはそれが必要なので、当然放っておかなかった。維持されている限り、真っ直ぐ走ってきて殴るような真似を敵に許さずに済むからだった。

 

 スネークマンの取る戦術は防衛・遅滞戦術。敵といえばミリオネアの財産を狙う不届き者であり、守る者としての役割が自然とそうさせていた。

 

 まず自身の周囲の地面に穴を発生させて維持し、その穴から一直線に飛ぶ蛇(スネークアロー)を発生させて放つ。攻撃はそれに任せ、自身はダメージを通さない壺へと引きこもって攻撃をやり過ごす。

 遠距離攻撃の火力に優れていればスネークアローは撃ち落とせるが、弾切れまでは非常に長い。集中力を欠いて対処を誤ればHPを齧り取られるのは勿論、スネークアロー以外にもスネークマン本体が姿を現してバスターで追撃してくる場合もある。

 

 スネークマンが壺に隠れていられる時間には限りがあり、息継ぎのように一瞬姿を現すところが攻撃のチャンス。といっても律儀に一定時間ごとに出入りするわけではなく、緩急をつけて攻撃のタイミングを掴ませまいとする。時には壺を横倒しにして飛び出し、本体の強力な噛み付き(スネークバイト)で差を広げる。

 

 常にチャンスを伺い、それまでスネークアローを捌き続ける……という行動を強要する。

 この戦術が周知でありながらその守りを破れた者がほとんどいないために、巷でネットバトルの話題にスネークマンの話が挙がる時には、”倒すにはそれこそ蛇のような執念が必要だ”などと評されていた。

 

 また、スネークマンは外見でそうと分かり辛いが木属性のナビで、クサムラステージを使用すると足元の草を通して電脳世界の力でHPを徐々に回復してしまう。

 そのため渡は貸したフォルダの使用を止めさせた。

 

 結果、フォルダに偶然複数枚入っていた爆炎の前方誘爆銃(ヒートショット)が木属性のスネークマンに対して連続して大打撃を加え、それを契機に流れが短期戦に傾いたこともあって、ロックマンは無傷で勝利を収めた。

 最後のチャージショット――バブルショットが、両者の間に出現した発射直前のスネークアロー諸共泡で撃破していた。

 

 部屋の入り口から見て左側、天井のスリットからせり出して来た大型のモニタから、ロックマン・スネークマン両名の姿が消えた。

 ネットバトルが始まった時も変わらずただ部屋を監視するように立っていたボディガードは、いつの間にか軽く肘を曲げて両拳を固く握りしめていたのに気付き、しかし慌てる素振りは見せず、すっと姿勢を正した。冷房が耳周りの髪を冷ますのを感じた。

 

 負けたミリオネア当人は、戦闘中こそ声を低くして鋭く指示を飛ばしていたが、決着の瞬間からは何事もなかったかのように元の様子に戻り、ただ一言スネークマンを労ってPETをしまった。

 熱斗もロックマンと軽く健闘を称え合った後、PETをしまった。やり切った、と息をついていた。

 

「フフフ……負けたけど、気持ちよかったわ……」

 

 目を細めて首をやや後ろに倒し、誰に言うでもなく、ミリオネアが小さく笑った。

 

「いつ喉元まで刃が届くか気を抜けない緊張、最後の糸が切れる瞬間が近付いて来る時の、じりじりと灼かれるような感覚……久しぶりだった」

(こっわ)

 

 たった今さっき拍手を止めた姿勢で、渡は戦慄した。熱斗も、何を言っているのか分からず、顔だけが引き笑いしていた。

 小さく息を吐いて、ミリオネアが熱斗を真っ直ぐ見た。

 

「感謝しましてよ。約束通り、七代くんに貸し1つね。ああ、それと美味しいディナーも。ご希望通りに手配させるわ」

 

 熱斗が、あっ、と目を見開いた。

 

「ありがとうございます。服はこのままでも?」

 

 その横から、七代が返事をした。

 

「もちろん、つまらない手間は掛けさせないわ。それで、他の用事は……ああ、秘密だったわね」

「ははは、まあまたの機会に」

「美味しいもの食べに行くってホントだったの!?」

「ウソだと思ってたんですか!?」

「そうじゃないけどさ! ……そっか、やったーー!!」

 

 熱斗がぐっと拳を握り、突き上げて叫んだ。渡はその肩をそっと掴み、迷惑ですよと窘めながら、困惑していた。

 

(なんやこいつ……)

 

 短いアジーナ旅行で異国の美味を堪能した熱斗は、アメロッパのそれにも多大に期待していたのだが、異様なテンションの爆発がそれに由来することに気付くまでには、渡はもう少し時間を要した。

 

 

……

 

 

 流れを引き寄せて短期戦に持ち込んだとはいえ、スネークマンとの戦いは神経を削るものだった。

 しかし、金持ちが美味しいディナーと呼ぶものへの楽しみに疲れが吹き飛んだらしく、宝石店を出てから2~3時間程、アメロッパ観光をしようということになった。

 

 土産探しも兼ねて、と市場に入ったところ、いい匂いのする屋台を前にする度、熱斗の葛藤する姿が店主を笑顔にしていた。

 面白がるにせよ好機と見るにせよ、押しが熱心になりすぎた時は、流石に渡が止めに入った。デザートの類は数点買い、2人分を渡が持った。

 

 値札つきで小ぶりな青銅器を扱っている店――店主曰く歴史オタクの観光客向け――では、写真を送ってみゆきに目利きを頼むも、”どうして出発前に知らせなかったのか”というようなメールが返ってきただけだった。

 抗議なのか単純な疑問なのか意図を掴みかねている内に、面白そうなものを見つけたらしい熱斗に袖を引かれ、無駄遣いはやめておこうとその場を去った。

 

 そして、ここがニホンに比べ高緯度の北アメロッパで、環境維持システムにより日照量がコントロールされているとはいえ、夏は夏。歩き回って程よく疲れた2人はホテルに戻り、それぞれの部屋で食事の時間まで休むことにした。

 

 ホテルのシングルルームに入り、渡はテーブルの上に荷物を置いた。日差しで熱を持った肩掛け黒い鞄のジッパーを開いて、アイリスのPETを取り出し、挿さったままの端子を引き抜いた。

 そのケーブルは、鞄の側面に空いた穴に固定されているカメラから伸びていた。マイク機能も付随している小型の高級品だった。

 

 冷蔵庫からサイダーのペットボトルを取り出し、中身を一口飲んで一息つくと、渡はベッドに腰掛け、PETのディスプレイを点灯した。




①スネークマン戦のダイジェスト化、台詞がないナビの処遇
 はちゃめちゃに長いので、まずは色々端折った結論から述べます。

 原作でスネークマンの台詞がないことを主な理由に、このようにスネークマン戦を省きました。
 今後も、シャークマン、スネークマン、キングマンについては詳細な描写を行わず、本編への登場を(あくまでナビに関してですが、そうなると必然的にオペレータもある程度)避けさせるつもりです。
 なぜなら、この作品が「ロックマンエグゼの世界に転生者を投げ込んで動かす」ことを主旨としているからです。

 以下本論です。

 まず、スネークマンはシャークマン同様原作に台詞がないのですが、41話を書いた時点ではそのことを失念していました。

 もしやと思ってシリーズのナビを一通り確認したところ、他だと「3」のキングマンも台詞がありませんでした。
 トラキチは同じ関西出身ということで渡と会わせようと考えていたのですが、仮にここでスネークマン戦をカットしてそのまま行くと、またキングマンとのネットバトルをカットすることになるわけで、流石にそれはまずいと思いました。

 マサは「1」のみ(「3」ではちらっと画面に映るだけ)、ミリオネアは「2」のみ、トラキチは「3」のみ登場。トラキチが大分マシなくらいで、いずれも出番の少ないキャラで、それらの持ちナビの台詞がないのも無理からぬことではあるのですが、それだけを理由にキャラの出す出さないを決めるのもおかしな話だと考え、悩みました。

 仮に書いた(出した)とすれば、それは他の原作ナビが「原作のあのキャラはこういう性格だから、こう言う/こうする」という模倣・再現であるのに対し、「特に確固たる根拠は原作にないけど、多分こう言う/こうする」という捏造・妄想の域を出ず、要は全くの別人で代役を立てているようなものになってしまいます。

 所詮二次創作。読まれる方からすればどうでもいいことと思われるかも知れません。というか、もしこの作品を書いているのが自分ではなく、自分がこれを読む立場だったとすれば、そこそこどうでもよかったと思います。
 でもそれは、書く人が原作に対してどういうスタンスを採るかが自由だからです。

 この作品は、これまで度々原作至上主義的な話をして来た通り、「ロックマンエグゼの世界に転生者を投げ込んで動かす」ことを主旨にしています。

 その中で、原作で影も形もない要素、例えばIPC以外のPET関連会社は自由にしています。IPC以外のPET関連会社があることは設定でされているものの、具体的には企業名が出ておらず、仮に自由にしても、劇中で起こることは対して変わりません。
 27話のアイリス用のPETを買う辺りでいろいろと全くのオリジナル設定を並べましたが、PETのモデル名や出している企業の名前がどうであろうと、何も起こりませんし、変わりません。

 しかし、キャラの性格はそうは行きません。性格に依る言動が変わり、言動に伴う結果が変わるからです。

 極端な例を挙げると、もし炎山が友情を重んじる熱血正義漢だったら、発電所の一件ではエレキマンを倒した熱斗たちの腕前を褒めて後日ネットバトルの約束を取り付けたり、ダムで協力する時には激励したり申し訳無さそうにしたりしたでしょう。

 アメロッパ城で炎山と熱斗以外が行動不能になった際なんかには「消去法では熱斗が犯人だが、そんなはずはない!」とか言ってもおかしくありません。友達になって、プライベートでの付き合いも一気に増えそうです。
 他にも考えればいろいろ変化がありそうですが、とにかくこのように、キャラの性格が違うだけで、原作と全然違う話・違う世界になります。ロックマンエグゼの世界であるとするならば、変えてはいけない部分ということです。

 スネークマンを始め台詞のないナビにどのようなキャラ付けをしても、原作のそのキャラがそうであるという保証がありません。そのキャラが原作通りである保証がないということは、その世界が原作の世界に沿っている保証がないということです。

 また極端な例を述べると、シャークマン、スネークマン、キングマンのいずれかが「熱斗やロックマンとすぐに打ち解け友達になる」かつ「どのような困難が立ちはだかろうとオペレータを引っ張って絶対に友達の危機に駆けつける」ような性格だったら、ナンバリングごとの終盤とかに登場してしまいます。
 これは出番がなかった原作と矛盾し、つまりロックマンエグゼの世界から乖離します(極端な例とは言いましたが、キングマン辺りだと実にあり得る展開でもあります)。

 なので、キャラの性格を一からこちらで決めるということはしません。
 性格のないキャラはろくに登場・行動させようがないので、詳細な描写を行わず、本編への登場を(あくまでナビに関してですが、そうなると必然的にオペレータもある程度)避けさせるつもりです。チラっと映るくらいはあるかも知れませんが、そのくらいです。
 ただ、文中での描写等を避けるだけであって、見えない所でも全く関わりがないわけではありません。これまでも渡とミリオネアの間でバトルチップの取引があったのに、何ら記述がなかったことと同じく、何もない日常の中では何かしら関わっていて、しかしそれは本編に何の影響もないということです。

 また、身も蓋もない話ですが、性格のないキャラであれば、自然ファンもいないだろうから、出さずとも困らないという点も勘定に含んでいます。
 好き嫌いを論じる要素はありますが、それはキャラデザや戦法、コロコロでの公募ナビであるかどうかなどくらいです。
 この思考も中々遺憾というか作品ファンにあるまじきとすら言えそうなものですが、きちんと認めておかないと考え事として正しくないので、述べておきます。

 長々書きましたが、うまく言語化できた自信はありません。
 上記主張への反論も積極的に受け付けます。むしろ、上記を踏まえて書くべき理由があれば欲しいです。
 彼らに思う所があるわけでも、逆に関心がないわけでもありません。あくまで「気持ちとしては出したいけど、この作品において出すべきではないという結論に達した」ということです。

 以上です。本編共々、読んで頂きありがとうございました。
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