セキュリティ絶対突破するマン.EXE   作:エターナルマン.EXE

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比較的マシな知名度の作品で続けて感想がつかないと、多少クるものがありますね。
何がいけないんだろう。タイトルとあらすじと展開と文体が悪いのかな?


7話 骨のあるやつら

熱斗がメイルにメールの返事を出した後、待ち合わせの時間に結局メイルは駅に現れなかったため、先に行こうということになった。

メトロに揺られること、ほんの数分。デンサンタウン駅の出口階段を上がると、大通りの交差点に出る。

 

デンサンタウンはその名の通り、デンサンシティの中心となる街である。地図上では"田"の字をいくつもくっつけたような形をしていて、交差点が多い。

なお、デンサンの"デン"は"田"ではない。

道路沿いにはオフィスビルや飲食店、その他様々な店が並んでいる。ほとんどが住宅地の秋原町とは活気がまるで違い、都会という言葉がしっくり来る。

水道も復旧し、今日が日曜日ということもあって、多くの車や人が行き交っている。そんな街の様子を見て、渡は内心戦慄した。

 

(ゲームとは全然人口密度ちゃうやん! 赤信号んところには車も人もようけ溜まっとる。もしあいつを野放しにしとったら……死人が何百でもきかんかったかもしれん)

 

本来デンサンタウンで起きるはずだった、自動運転システムを利用した大規模テロ。

"信号を全て青にすることで車両を停止させず、それら全てを交通事故に追いやる"というそれが実現していれば、死者多数は必定。

水道局の事件が起こった日、事前準備までして渡が積極的に介入したのは、それを防ぐためという理由も大きかった。

 

「ったく、こっちの駅にもいないのかよ。ロックマン、さっき来たメールなんだった?」

「急用で遅れるから、先にお店探しといて、って。ロールちゃんの新しいナビチップが添付されてるよ」

「もうバージョンアップしたのか? まあ、一応フォルダに入れとこうかな……」

 

ウイルスを制するためのバトルチップの多くは、ウイルスのデータを元に作られる。数は少ないが、ネットナビのデータをベースにしたものも存在し、それらの多くはナビチップという分類に属する。

使用すると、そのナビのごく短い戦闘記録を再生する。要するに、ファンタジーなRPGによくある感じの召喚魔法である。

 

「要点は説明したけど、メールの内容、確認しといてね」

「ん」

 

熱斗がPETを操作し、メールに目を通す。

そこには、出先からメトロではなくバスに乗ったため到着が遅くなること、やいとが最近骨董品を集めていて、プレゼントもそれが望ましいだろうということが書かれていた。

 

「ったく、自分から誘っといてこんなのないよなー」

「急用じゃ仕方ないって。それより、お店探そうよ」

「骨董品のお店なー……ぜんぜんキョーミないから、あるかどうかもわかんないや。渡、なんか知らない?」

(……大まかな場所は知っとるけど、知っとる理由付けができへんのよな)

 

渡はその思考を顔に出さず、まさか、と否定のジェスチャーをする。

 

「デンサンタウンの土地勘は絶無ですよ。というか、コートシティに住んでる僕がここの地理に明るいわけないでしょう」

「いやー、渡なら知っててもおかしくないかなー、って」

「僕を便利な何かと勘違いしてません? ……まあ、人に聞いてみましょう。よくこの辺りを通る人なら、知っているかもしれませんから」

「やっぱ聞き込みしかないかぁ。メイルは1丁目のバス停で降りるって言ってたから、そっち方面に行こーぜ」

 

駅のあるデンサン3丁目から北へ歩くこと、およそ10分。

1丁目と3丁目の間であるデンサン中央に入り、聞き込みを続けていると、ひとりの老人がこう証言した。

 

「ちょうどわしも、骨董品屋に行くところなんじゃ。2丁目に新しくできたらしいんじゃが、歩き疲れてしもうてな……」

「詳しい場所も知ってるの?」

 

熱斗にそう問われると、老人はゆっくりと上着のポケットに手を入れ、丁寧に折りたたまれたチラシを取り出す。

 

「知り合いから貰ったチラシがあるから、これをやろう。わしゃもう道を覚えたからの」

「やたっ! ありがと、おじいさん!」

「お役に立ててなによりじゃ」

(こんなコッテコテの老人言葉、生で聞いたん初めてやわ)

「あとは写真をメールで送っとけば、あいつもまっすぐ来れるよな。渡、先に行ってやいとのプレゼント選ぼうぜ!」

 

 

……

 

 

デンサン2丁目。大通りに面したすぐ目につくところに、その骨董品屋はあった。

庇の上にかけられた古木の看板にも、はっきりと"骨董屋"と(だけ)書かれている。

 

(改めて考えると、えらい金かかりそうな好立地やな。それで骨董品屋って、子供の入れる店なんやろか?)

 

熱斗が引き戸を開けて入り、渡もそれに続く。

 

入って左右には赤い漆塗りの平箪笥が並べられ、その上に商品らしき皿や刀などの骨董品が陳列されている。

壁にかけられた山水画の掛け軸や、地面に直接置かれた大きな壺も含め、どれも値札がついていない。

 

(……やっぱあかんのとちゃう?)

「いらっしゃい……でも、今は開店準備中……」

 

店の奥、一段上がった畳敷きにはカウンターがあり、さらにその奥には古書が何十冊と積まれている。

声の主――カウンターに座っている少女の他に、従業員らしき人物はいない。

 

「準備中? こんな時間にですか?」

「そう、こんな時間に……」

(理由を言わんかい理由を)

 

渡が心の中でツッコみを入れている横で、熱斗が平箪笥の上を物色する。

 

「熱斗くん、触っちゃダメだからね!」

「そんくらいわかってるって! ……うーん、やっぱどれもただのガラクタにしか見えねーなー」

「……そちらのあなた、ちょっといいかしら」

「ん? オレ?」

「わたしは黒井みゆき。ここの全ての物には、魂が宿っている……あなたには見える?」

「……? いや、見えないけど」

 

呼ばれて振り向いた熱斗は、意味がわからないという風に答えた。

 

「わたしには、見える……あなたのナビに宿る、一際輝く魂が……」

(ほんとのこと()うてんのかどうか判別できへんなこれ)

 

店主はそう言いながらPETを取り出し、カウンターに置かれた虫眼鏡にプラグインした。

熱斗はそれを呆然として見ている。

 

「さ、魂を交わしましょう……」

「……なあロックマン、何言ってるかわかる?」

「えーっと……ひょっとして、"ネットバトルしましょう"ってこと……かな?」

 

ロックマンが絞り出した解釈を肯定も否定もせず、じっと熱斗を見つめる店主。

 

「えーっと……」

「……」

「……ぷ、プラグイン! ロックマン.EXE、トランスミッション!」

 

圧に負けた熱斗は、虫眼鏡へロックマンをプラグインした。

 

 

……

 

 

電脳世界へ送り込まれたロックマンを待ち構えていたのは、頭部が髑髏のネットナビ。

手足は骨だけかのように細く角ばっていて、両肩にも白い髑髏の肩当てをしている。

 

「……」

 

髑髏のナビは膝も背中も曲げ、両腕をだらりと垂らしているが、その顔だけがロックマンの方を向いていた。

目付きの悪い髑髏の視線に、ロックマンが身構える。

 

「さあ、スカルマン。おもてなしをっ」

「!」

「熱斗くん、来るよ!」

 

髑髏のナビ・スカルマンが、脱力した姿勢から肘を曲げて腕をわずかに上げ、戦闘態勢を取り。

顎が外れんばかりに口を開き、そこから青白い火球――鬼火を発射した。

 

「ひ、人魂!? ロックマン、避けろ!」

「ふっ!」

 

ロックマンは、真っ直ぐ飛んで来る鬼火を難なく回避する。

続いてスカルマンが、回避した先に手刀を向けると、その肘から先が分離。プロペラのように高速回転し、ロックマンへ向かって飛ぶ。

 

「い!? ロックマン、左だ!」

「わっ!」

 

さらにもう片方の腕も自切。追加の前腕ブーメランとなって飛び、ロックマンが躱す。

 

「そっちはダメだ、後ろに!」

「えっ? うわあっ!?」

 

背後から戻ってきた最初の腕がロックマンを弾き飛ばす。床を転がったロックマンは、受け身を取ってすぐ立ち上がる。

 

「飛んでくる腕が、2本!」

「よそ見はだめ」

 

みゆきの言葉と同時に、鬼火が再び発射される。

ロックマンの周囲には2本の高速回転する腕が不規則に舞い、逃げ場はない。

 

「なら、これでどかしてやる! ハイキャノン!」

 

右腕を大砲に変え、腕の1本に狙いをつけ、吹き飛ばす。そうして空いた空間へ駆け込み、火球はロックマンがいなくなったコースをそのまま通過して消えた。

 

「行ける!」

「だめって言ったのに……」

「? あっ!」

 

体勢制を整えたロックマンが、みゆきの言葉の意味を図りかねつつスカルマンの方を見ると、頭部の髑髏が消えていた。残った首から下は、何かを真上に放り投げたような姿勢を取っている。

 

「間に合わないわ。シャレコーベイ、直撃コース……!」

 

ロックマンの体より一回りほど大きい、巨大化した髑髏が、ロックマンを押し潰さんと頭上から迫る。それは、見るからに受け止められない一撃。

そして周囲にはやはり、2本の腕がロックマンを挟んで向かい合って飛び回り、隙を作らない。攻撃を当てて軌道を逸らすだけの猶予もない。

 

瞬間移動(エリアスチール)透明化(インビジブル1)も、まだフォルダからロードされてない! どうやっても避けられない――なら!)

「熱斗くん!」

「ロックマン、6時方向にダッシュだ!」

「うん! うおおお!」

 

包囲網の外側、スカルマンのいない方へ駆け出したロックマンの前に、左右から回転する2本の腕が迫る。

 

「くっ……うわああ!」

 

走りながら身を捩るも避けきれず、回転する腕のひとつがロックマンを打ち据え、吹っ飛ばす。そして、その先の上には大髑髏(シャレコーベイ)

 

(弱い攻撃をあえて受けて、強い攻撃から逃れる。セオリーのひとつやけど、相手はそれも織り込み済みでコンボを作っとるか)

「そこからは逃げられないわ……」

「いいや、振り切るさ! ダッシュアタック、送信!」

 

ダッシュアタックのチップデータが送信され、ロックマンの右腕が、紙飛行機と鳥の合の子のような姿のウイルス・キオルシンの形状に変化。

 

「飛べ、ロックマン!」

 

キオルシンの尾の部分で、白いアフターファイアが噴き出し、右腕を突き出したロックマンは倒れた姿勢のまま飛ぶ。

手を伸ばした先は、先ほど腕の一撃を受けたのとは逆、スカルマンの真正面。

ロックマンに起き上がる猶予がないのと同様に、一度ロックマンを迎撃した2本の腕も、今のロックマンには追いつけない。

そして――

 

「投げ上げた姿勢のままってことは――」

「――頭を外したキミは動けないってことだ!」

 

無防備なスカルマンの胴体にダッシュアタックが衝突。きりもみ回転しながら吹っ飛ばされたスカルマンは、ダメージが許容範囲を超え、強制プラグアウトした。

現実世界で熱斗がガッツポーズする。

 

「見たか! これが、"肉を切らせて骨を断つ"ってやつだぜ!」




タイトルでお察しの方も多かったことでしょう。
事件は起こりませんがネットバトルはありました。

この話だけ見ると渡がマジでモブですね……
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