セキュリティ絶対突破するマン.EXE 作:エターナルマン.EXE
ロックマンがスカルマンを破った瞬間、現実世界の反応は三者三様であった。
喜ぶ熱斗とロックマンを、渡は"流石は光くんたちですね"と、拍手しながら手放しで褒める。
みゆきが逆転負けした驚きを顔に出したのはほんの一瞬のことで、すぐに無表情に戻った。
「魂の輝き、確かに見せてもらったわ……そのナビは、悪しき魂を祓うのに相応しいナビ。さあ、これを」
言葉とともに卓上に差し出されたのは、インターネット上で通行が規制されているリンクの
「あなたとナビ、2つの魂は成長し、そして重なっていく……」
「重なる? どういうこと?」
「……」
「えっと、ありがとう? でいいのかな? 何言ってるかわかんないけど……」
熱斗が困惑しつつもパスコードをPETに登録し、カードを返す。
みゆきは無言で店の奥へ消え、熱斗とロックマン、渡はネットバトルの振り返りを始めた。
……
みゆきが開店準備を終えた後に、入り口の引き戸が開く音がした。
入ってきたのは、赤い髪に缶バッジのようなヘアピンを留めた少女。光熱斗の隣家に住む幼馴染、桜井メイルだ。
「熱斗、渡くん、お待たせ! 遅れちゃってゴメン」
「おせーぞ、メイル! やっとみんな揃ったし、やいとのプレゼント選び、始めようぜ」
「先に来て見てたんだよね? 何かよさそうなのあった?」
「いや、全然わかんねー」
「もー。それじゃ先に来た意味ないじゃない」
メイルが頬をふくらませる。
「うるせーなー、わかんねーもんはわかんねーの! メイルだって絶対そうに決まってる!」
「そんなこと……」
左右を見回し、陳列された商品に一通り目を通すと、視線が折り返し、蛇行し始める。
「……うーん……」
「ほら!」
「わ、渡くんはどうかな?」
「あ、ずりぃぞ!」
「正直、僕も骨董品のことはわかりません。店主の黒井さんにおすすめを聞いた方が無難かと」
もともと渡は、父に買って帰る骨董品についても有識者たる商人に聞いて決めるつもりだったため、そう答えた。
「いいのかな?」
「素人目で選んで失敗するよりは。綾小路さんは本物ですから、なおさらでしょう」
「結局誰も選べないんだし、そうしようぜ」
結論が出て、熱斗がみゆきに声をかけようとカウンターに向き直ると、今度は金属製の小さな筒のようなものが置かれていた。先端の横合いには、平べったい円柱形の容器がついている。
見たことがない形状なので、熱斗はまずそれが何か聞いてみることにした。
「これは?」
「銅製の筆入れ、墨壺つき。蒐集家の友達に贈るなら、こういう小物がおすすめ……」
「いくらですか?」
「2万ゼニー」
「そんなに!?」
価格を確認したメイルがたじろぐ。その様子を見て、そういえば聞いていなかったと、渡が口を開く。
「お二方、ご予算は?」
「オレは5000ゼニー」
「わたしも……」
「なるほど。安物を3つ買うより、お金を出し合っていいものを1つ買ったほうがよさそうではありますが、2万ゼニーとなると……」
(ここで1万ポンと出すんは簡単やけど、ここで余計な貸しは作りたないよなあ……)
"自分の出費に気を使っている暇があったら、少しでも接近して欲しい"という考えが、渡の財布の紐を固くしていた。
「黒井さん、どうか5000ゼニーだけまかりませんか?」
「……いいわ」
「えっ、本当にいいんですか!?」
あっさり値切りに応じられ、予想外だと驚く渡。
「でも、条件がある。あなたひとりで、この店にまた来ること」
「ひとりで、というのは?」
「来ればわかる……」
(リピーターになれ、いう話やない感じか? なんやろ)
「……まあ、いいでしょう。それで丸く収まるなら安いものです。お二人とも、プレゼントはこの筆入れを3人で買うということで問題ありませんか?」
「オレはオッケー」
「わたしも、大丈夫」
「ということで、精算お願いします」
三人が電子財布から支払いを済ませた後、みゆきが紙箱に緩衝材と筆入れを詰め、紙で包んでテープを貼り、赤い紐を十字にくくって結ぶ。
スーパーの熟練レジ係がカゴや袋に商品を詰めるようなスピード感はないが、手さばきに迷いがなく、この作業に慣れていることが見て取れる。
(開店準備の手際といい、マジで一人で店やっとるんかこいつ)
「はい。お友達、喜ぶといいわね……」
みゆきが差し出した箱を熱斗が受け取り、3人は改めて礼を言ってから退店した。
最後に出た渡は、引き戸を閉じるその一瞬、みゆきが自分の目を見ている気がした。
(ネームドと知り合いになれて悪い気いせんはずやのに、
先に出た2人に意識を向ける。
「ねえ熱斗、これからどうする?」
「どうって、帰るんだろ?」
「熱斗くん、まだ夕方まで時間があるし、もう少し遊んでもいいんじゃない?」
明るかったメイルの表情が、熱斗の一言で、ごくごくゆるやかに落ち込んでいく。
ロックマンは、オペレータの熱斗がメイルの感情に対して鈍感であることについて重々承知なので、機会を逃すまいと軌道修正を図る。
それでも熱斗はその心中などつゆ知らず、手を頭の後ろで組んで、
「えー、でも店を探したりして疲れたしなー」
と、渋る。
「そうですね、僕も少し歩き疲れましたし。帰る前に、喫茶店にでも寄って行きましょう」
「うーん、これ以上の出費はちょっと……」
今度はメイルが難色を示すが、渡は
「最近あまり行っていなくて、回数券の期限が切れそうなんです。勿体ないですから、飲み物だけですがご馳走させてください」
(まあ回数券なんてウソなんやけどな。奢る言うて遠慮されたらかなわんし)
「そ、それなら……いいかな?」
「さんせーい! オレ、ちょうど喉乾いてたんだ」
「ありがとうございます」
「シゾーせずに済んでよかったな!」
「熱斗くん、それは使い方間違ってるよ……」
……
雑談しながら駅への道を歩き、その途中の喫茶店に入った3人。
注文を済ませてすぐに渡は一言断ってトイレに立ったのだが、その後飲み物が届いても戻ってこない。
窓際、4人席のテーブルに、熱斗とメイルだけが向かい合って座っている。
よくあるフランチャイズの喫茶店だが、その中でも雰囲気が落ち着いている方の店舗であり、客入りはそこそこあるが程々に静か。
教室や町中はともかく、このようなところで2人きりになるのは、幼馴染と言えども初めてのことで、メイルは緊張気味だった。
他方で熱斗は、何も――メイルの様子も含め――気にせずに、サイダーに口をつけている。
2人の関係についてたびたびやきもきしているそれぞれの持ちナビも、緊張して状況を見守っていた。
ひとしきり喉を潤して満足したところで、熱斗が視線をコップから上げると、手を膝の上に置いたまま動かないメイルのことがようやく気になった。
「どうしたんだよ? 飲まないのか?」
「えっ? ……あ、ううん。いただきます」
指摘され、気まずさを誤魔化すように、りんごジュースをちびちびと飲む。原因はともかく、わずかに頬が紅潮していた。
他にすることもなく、熱斗はメイルの方を見て、ふと思う。
(そういえば、こいつとこんな風に2人でいるのって、いつ以来だっけ……)
いつしか熱斗も、無意識にこの状況に緊張し始めていた。
それから5分経ち、10分経ち。まだ渡は戻らない。
「……渡、遅いな」
「……うん」
ドリンクの氷が小さくなり、熱斗が"もう帰ろう"と切り出そうとして実行できずにいる中、ウェイターがテーブルに近づいて来た。
注文していないにも関わらず、ウェイターは盆から取った皿をテーブルに置く。
「こちら、お連れ様がご注文のタワーティラミスです。お手紙もお預かりしております」
皿の横に置かれた、手のひらサイズの紙――メモ帳のページを切り取っている――を、熱斗が取って、喉の乾きを感じながら読み上げる。
「"急用ができたので帰ります。お詫びにデザートをどうぞ"……」
なぜ直接言わなかったのか、といったことまでは頭が回らず。2人とも、なんとか内容を理解した、といった様相であった。
「精算は済んでおりますので、お帰りの際に確認等は不要です。では、ごゆっくり」
1枚の皿に乗った3段重ねのティラミスを、2人して恐る恐るスプーンを動かして崩し、食べていく。
スプーンがぶつからないよう気を使ったり、相手より取りすぎないように手を止めたりということを、互いに行い、互いが認識していた。
2人は気付いていないが、熱斗も含め、緊張その他の影響で顔は赤くなっており、そのぎこちなくも微笑ましい光景に、他の客の多くが視線を注いでいた。
(渡くん、やるなあ……)
(渡くん、やるわね……)
ネットナビ2人はといえば、オペレータたちとは対照的に内心までも息ピッタリだった。
その日、熱斗とメイルはどうやって帰ったか覚えておらず、自室へ行くなり着替えもせずベッドに突っ伏して動かなくなったということを、それぞれのナビから聞かされた。
サブタイはやり遂げた渡視点です。出番は次回。
恋愛系書けなさすぎ問題。
ADVやったりそういう本読んだりしていないのが原因でしょうか。
だからといってやる/読む気になれないのも難儀なものです。
1で言われてるR国は多分ロシアなので、シャーロに差し替えた方がよさそうですね。
他にも1には面白いことになってるポイントがいくつかあるので、都度曲げていきます。
4のZ国は評価の通りに想像すると、多分元ネタであろうNKとはかなり異なる実態の国になりますね。孤高みがある。
あと物凄く今更なんですが、エグゼ世界には首都の概念が存在しない(出てきていない)っぽいので、採用しようか迷っています。
下記アンケートはここまでの話と一切関係ありませんが、割と重要なポイントです。
項目ごとの意味がわかったらすごい。
謎のアンケート
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虫
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馬