前編後編に別れています!
オレがこいつを見た最初の印象は特に何も思わなかった、ただこんな姿をしたオレに話しかけてくる有象無象、それだけだ
それはただの気まぐれだった。
そう気まぐれだ、ガリィ達の報告を待つ暇つぶし、だがその暇つぶしがオレの後の人生を、何度目か分からない、何百年たったかも分からない使命を果たすだけの人生を変えた
そうだ!パパも言ってた、数少ないオレの中に焼き付いた…パパの言葉、最愛の人を見つけなさいって!愛し合い!元気な子供を産みなさいって!
夜の街並みを悠々と歩く、コートを着て顔を覆い隠すほどのビックハットの帽子に美しい蜂蜜を溶かしたような金髪彼女、名前はキャロル・マールス・ディーンハイム、錬金術師
少女のような見た目をしているが恐るべき力を持っている
そんな見るからに怪しい彼女に話しかける酔狂な男が居た
「Hey!彼女!こんな夜更けになにしてんの!こわぁいオオカミに食べられちゃうぞ〜?」
「…なんだお前オレに何か用か?」
「こんな夜中にお姫様が歩いてたから声掛けちゃったって感じかな?」
ただのアホかそれとも死にたがりか?森羅万象理解してバラバラにしてやるつもりだが、こいつみたいなアホは理解出来ん。
無視して歩き出す、男が騒がしいがミカに比べればいくらかマシだがまぁ
ここには暇つぶしできた訳だ、こいつの話に付き合ってやってもいいだろう、退屈させるなよ
「五月蝿い、お前はもう少し落ち着いて話せないのか?」
「だって全然話してくれなかったし!しかたないよネ!」
「ナンパすらまともに出来ないんだな」
「コミ障なんだから仕方ないのだよ!美少女なら尚更ね!」
ケラケラ楽しそうに笑うその男は何の変哲もない強いて言うなら背が少し高いくらいだ、パパと同じくらいか?もう思い出せんが
「それでお嬢さん、こんな所で何して?夜のお散歩にしては刺激的で可愛らしい格好だけど、あと最近ここら辺で人が倒れる事件が多発してるから危ないよ?」
「なんだ、本当にナンパだったのか?ならもう少しいい口説き文句でも持ってこい」
「お人好しでバイト先が壊滅したから暇なだけ!もうまじ無理ぃ…ナンパしよぉ…」
そうかなら、少し付き合ってもらおう、どうせ暇なのだろう?
獰猛な獣のような笑みを浮かべ男の胸ぐらを掴むキャロル
「おい、ならお前、ちょっと付き合え、暇なんだろう?」
「まさかの逆ナン?」
その夜のことは…そうだな、久しぶりにキャロルとして楽しめた
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そうしてコイツと出会った、それから3日後また何の因果か…いや違うな…オレが会いたいから会った、話が上手いぞコイツ
「それでキャロル様、この5日前にバイト先が崩壊した私になにか御用で?」
「あぁ、まだ暇だと思ってな、それにオレのような美女に呼び出されるのは男冥利に尽きるだろ?」
「嬉しいけど!なんで夜中?ってなる昼間でいいじゃんかよ?この吸血鬼ちゃんめ!」
「お前は毎回毎回なんでそんなテンションが高いんだ?身内にもお前みたいなやつが居るが疲れやしないか?」
喫茶店やファミレスなどではなく、路上のかなり前に火事があり燃えたという建物の前にあるコンビニの前で喋っていた
「お前…そう言えば名前を聞いてなかったな、オレはキャロル・マールス・ディーンハイム錬金術師だ」
「イケメンの〇〇だぜ!今はただのフリーター えっと…なんて呼べばいい?ちょっと早い厨二病君?」
「キャロルで構わん、それと次その巫山戯た事言ったらバラバラにしてやるぞ?自称イケメン」
くっくっくっとお互いに軽口を叩きながらコイツは珈琲をオレは紅茶を…くそ…この紅茶不味いな
「おい、その珈琲寄越せ、代わりにオレのをやる」
そう言うとキャロルはジャンプをして〇〇から珈琲を奪い取り自分の紅茶を押し付ける
んっ…こっちの方が美味いな…甘口だそれともこいつの飲みかけだからか…?馬鹿らしい
「酷いってキャロルちゃん、いきなり取るなんて、言ってくれれば渡すのにさぁ?」
ちゅうちゅうとオレが口をつけた紅茶を飲んでいる…その光景を見ていると腹の下が疼く…あぁ、落ち着く
そんな楽しい夜は深く暗くなっていく…
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そして別のある日の夜、その日は少しだけ肌寒かった
だからだろうか、それとも魔が指しただけだろうか?
「おい少しオレの事を抱け」
「キャロルちゃん?俺の事を犯罪者にするつもり???」
「違うわ!寒いからそのコートの中に入れろって意味だ!誰がお前にこんな路上で抱かれるか!盛りのついた猿かお前は!」
こいつは阿呆か!抱かれるならもっとムードがあってだな!…まぁ、こいつなら無理矢理でも…けど甘えながらな方が…まぁ…オレは何を考えてるんだ?まあいい
「どうしたのブツブツ言って…入るなら入ってもいいけど!べっ別に!誰かに見られたらまじ犯罪者だから気をつけて欲しいだけだからね!?」
「キモイ、次言ったらバラバラにする」
コートを広げているその中に小さな体を活かして滑り込む。
ふむ…悪くない、オートスコアラーのような冷たい体でなく人の優しい体温がオレを温めてくれる、正直蕩けてしまいそうだ、心が休まる…
「子供特有の高い体温あったけ!けど警察に見られたら一発アウトで御座候!てか帽子!キャロルちゃん帽子めっちゃ邪魔!あと寒いならファミレスとか行く?」
包み込むようにオレを抱きしめ寒そうにしながら提案をしてくるコイツ
その提案に乗るのも悪くは無いが…
もう少しこいつの体温を感じていたい…甘えていたい…
「いや、いいそもそもこの時間にオレとお前だとそれこそ通報されるぞ、帽子はお前が被っていろ」
「カー!一般成人男性は辛かばい!通報だけは勘弁な!」
帽子を放り投げありえない軌道でコイツの頭に被せる。
これでオレを抱きしめるための障害は無くなった。
あと少しもう少し強く抱いてくれないかな…痛いくらい安心できるくらいに。
「キャロルちゃん、俺臭くない?さっきから何も言わないけど嫌だったらコートだけ貸すけど」
「五月蝿い、黙って強く抱いていろ、オレを抱けるなんて光栄な事だろ?ついでに頭撫でてろ」
「要望多くない?というか俺に触られて大丈夫?セクハラで訴えたりしない?」
恐る恐るキャロルの蜂蜜色の髪の毛を撫でるお世辞にも上手い撫で方ではないがむしろ下手だが相手を傷つけないようにと思いやりに溢れて居てる
それが伝わってくるその想いが、堪らなく嬉しくなるオレの為にコイツがオレだけの為に撫でてくれる。
「ところでキャロルちゃん、最初に錬金術師って言ったけど何ができるの?黄金作ったり?人体錬成でもするの?」
「黄金は作れるが錬金術の本質は理解、分解、再構築の3つだ、だから錬金するためなら、同じ価値のあるものか黄金と同じような構造の物質を用意しなければならんぞ?それに今の技術だと無駄が多すぎる、オレですらそれなりに研究せねばならん、それで人体錬成?そんなもんよりオートスコアラー作った方が遥かに安上がりで確実だ壊れても直せるしな、なんだったら自分のホムンクルスでも…あぁ!そうだな…ホムンクルス…!」
「キャロルちゃ~ん?自分の世界から帰ってきて?」
「おっと、悪かった錬金術だったな…これならどうだ?わかりやすいだろ」
足元を強く踏みつけ意味のある陣を呼び出すと陣の中から強い風が吹き荒れる
「おお…凄い…なんか魔法って感じだ…」
「錬金術だ、魔法などと同じにするな」
ごめんね、と謝られ頭を撫でられるあぁ、これが幸せか思い出すら忘却して今更知るはずもない感情だったが、今なら思い出せそうだ。
甘えていたい…ずっとずっと、永遠に
ならば実行しよう、まずは永遠に一緒にいるためにどちらになりたいか聞き出さないとな
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また別の夜いつものように2人は喋っている。
「そういえばお前はホムンクルスかオートスコアラーどちらになりたい?オレとしてはホムンクルスがオススメだぞ?人の温かさがあるからな、だが怪我してもすぐに交換出来る点だとオートスコアラーもオススメだ」
「何それ?俺人間じゃなくなるん?」
俺は人間を辞めるぞーとオレをコートの中で抱きしめながらコイツは文句を言う、我儘なやつだ。
あの後キャロルをコートの中に入れるのが二人の仲で常識になった、キャロルが甘え自然と〇〇もそれを受け入れるようになっていった
「文句言うな、流石のオレでもそれ以外の方法など思いつかん、ならお前が考えを出してみろ」
グリグリと頭を擦り付け子供のように、恋人のように家族のように甘える
「そもそもなんで人間辞めないといけないんだ」
「察しろ、ノータリン」