Armored Core Eastern War 作:ちょっとだけ別口
どこかに向かうヘリの下、牽引されるAC二機のパイロット達が話していた。それは、
RDの乗機『ヴェンジェンス』は、ヘリに回収された際、内部アセンブル機構のおかげで装甲などを総取替えし、武装や左腕も完全に回復していた。
肝心のRDは困惑していた。原因は霊夢より告げられた、非現実的な話にあった。
「...........じ、じゃあここは、オレの知らない
「まあ、そういう事ね。多分だけどアンタ達の居た世界の『概念』だとか『技術』だとかが幻想郷に
それを聞いてRDは申し訳ないといった声色で霊夢に謝る。
「その......すみません、オレの世界の兵器が来たせいで平和じゃなくなったんすよね」
「アンタが悪いって言ってるわけじゃないわよ。元々、ここもかなり物騒な世界だったし、そもそも私は世界を一人でどうこうできる人間なんかいないって知ってるから」
「...........それは」
RDの雰囲気が幾分か暗くなるのを、霊夢は感じた。
「なによ。言い難いことでもあるのかしら」
「オレはそうは思わないっす。変えられる人は変えられるんすよ、それもたった一人で」
「...........知ってるような口振りね」
「かもしれないっす。でもオレはその人の名前も性別も知らない、だから知ってるようで知らないんす」
そう言うとRDは大きくため息をついた。
「オレはね、アンタの事は良い人だと思ってる。今のところはね。でも、助けて貰っておいて言う事じゃないけど、簡単に他人は信用しないようにしてるんす」
「...........ま、ここじゃそれで正しいわね。良い判断よ」
「......悪いっすね」
それ以上、二人は話そうとはしなかった。
「二人とも、あと一時間せずに着くから着陸準備ね」
ヘリのパイロット、河城にとりの一言でRDと霊夢の二人がメインシステムを動かし、ACシステムが通常モードを起動した。霊夢のCOMユニットからは若い男性の声、RDのCOMユニットからは妙齢の女性の声がそれぞれ聞こえる。
『システム、通常モードを起動。あなたの帰還を歓迎します』
聞き慣れたこの声が、しかし次の瞬間には敵が襲来してきた、という知らせを告げた。
『システム、スキャンモード。敵影を補足しました』
「敵......!?えーっと、にとり、さん?オレを降ろしてください!多分アレの狙いはオレ───」
RDの言葉を遮るように霊夢の乗機『ハーモナイザー』が後方にスナイパーライフルを撃ち込む。弾丸が直撃した高機動型が墜落する。撃墜を確認してから霊夢がRDに言う。
「残念ね、RD。アイツらはアンタじゃなく『私達』を狙っているのよ。にとり!AC両機投下して!その後は急いで離脱!私とRDで全部仕留めるわよ!」
「わかった!」
そうにとりが返すとヘリが少し揺れる。AC用ハンガーを動かしているのだろう。
「アンタ、戦えるんすか?」
「戦えるに決まってるでしょ!じゃなきゃこんな数相手にするの面倒くさいわよ!」
霊夢がRDにそう言い放ったのを皮切りに、ヘリの揺れが最大級まで大きくなった。同時ににとりが叫ぶ。
「AC、切り離す!衝撃に備えて!」
にとりの警告と同時に、RDと霊夢が着陸体勢に入る。軽くブースターを吹かし、衝撃を緩和しようとする。『ハーモナイザー』は速射型ライフルと軽量スナイパーライフルを構え、『ヴェンジェンス』はバトルライフルと速射ライフルを構える。
『切り離し終わり!二人とも頼むよ!』
「行くしかないんすか!?」
『行かなきゃやられるわよ!』
「ああ、どうにでもなれ!」
RDが叫ぶ。
ブースターを最高速に到達するまで吹かし、二機のACが着地する。砂塵に隠れていて見えなかった敵影は、しかしスキャンモードという便利な代物によって何処にいるかがよくわかる。
『そこ!』
霊夢が二丁のライフルを撃ち込み、移動砲台を破壊する。直ぐに六機ほどの防御MTが弾幕を形成し、霊夢はそれを嫌って後方にハイブーストする。ヒートキャノンだけでなく重ガトリングガンやパルスガンなどの、『ハーモナイザー』が不得意とする種類の攻撃が飛んで来たためだ。
「俺が行く!」
下がった霊夢を守るようにRDが前進し、ライフルとパルスマシンガンを乱射する。ライフルによる物理的損傷と、バトルライフルの着弾時に発生する化学反応による内部機構の破壊によって霊夢の取りこぼした敵を殲滅する。
『アンタもやるわね!』
「一応はね!」
霊夢の近くに着地する『ヴェンジェンス』。
『《チッ!二機目のACとは、臆病風に吹かれたか》』
正体不明の敵指揮官が二人に向かって罵声を発する。
『うるっさいわね、アンタも沈めましょーか?』
『《クソが......総員撤退、下がれ!》』
その言葉を皮切りに、辺りを包み込んでいた砂塵が晴れていく。そこにはもう、何者もいなかった。
『嫌な気配が晴れた......?』
「......れ、霊夢さん?どうしたん───」
『ああ、そういう事ね!!』
急に霊夢が叫ぶので、RDは驚いてしまった。
「な、なんすか!急に叫んで!」
『妖力よ!アイツら、妖術で薄く風を起こしていたんだわ!ああ、ようやくすっきりした!』
「よ、よう......?えっと、何を言ってんすか?」
RDが聞き慣れない単語を聞いて首を傾げる。
『あ......っと、そうね、
「......頼むっす」
彼がそう霊夢に頼むと、霊夢は咳払いしてから話し始めた。それは、まるで御伽噺を子どもに聞かせるような、どことなく優しい話し方だった。
『かつて...この鉄くずが来る前ね。元々幻想郷というのは古くから存在していたの。賢者が妖怪の住む場を守るために、この世界を作った』
「世界を......作る?そんな事が......」
『出来たのよ、紫はね』
RDの、信じられないというような声色の独白を、しかし否定する霊夢。
『そのまま妖怪......人とは違う、強くも弱い生き物が生きていけるように、紫は幻想郷の中に取り決めと秩序を作った。それが『人里』。人間が妖怪に襲われないように作った、安全な世界』
『妖怪は人の恐れを糧に生きる。でも、アーマードコアが幻想郷に入ってきたせいで、人間は妖怪を恐れなくなった。でも妖怪は生きている。なんでだと思う?』
霊夢が聞くが、RDには答えがわからなかった。
『答えはね、
「それは......?」
RDが聞くと、霊夢は少し溜めてから言い放つ。
『死の恐怖よ』
「死......」
過去の自分に思うところでもあったのだろうか、RDは霊夢の放った死という言葉を繰り返した。
『昔はね、人里にいれば人間は安全が保証されてたの。古くからの制約で、妖怪は人里の中にいる人間を襲えない、そういう決まり事が。でも今は個々が力を持つ時代。賢者の持つ力も、最早間に合わない。だとすれば人里という安全な結界は潰えたも同然、妖怪はいつでもその隙を狙えるの。人と妖怪が殺し合う世界、紫はそんなの望んじゃいなかったわ』
霊夢の消え入りそうな声が辺りを包み込む。
「人間は......どうなってるんすか?」
『今は
『こちらはにとりだよ。霊夢、よく無事だったね』
気が付けばにとりの操るヘリは既に二人の真上にまで辿り着いており、二人の会話の終わりを待っていたようだった。霊夢は早めに話を切り上げた事を良い判断だと思った。
「にとりさん、そっちも無事で良かったっす」
『とりあえず帰りましょ。こんな所にいたら肺が腐っちゃうわよ。RD、アンタうちの神社に来なさい。私の右腕になってもらうからね。アンタのお陰で休みなのに無駄に疲れたわぁ......』
霊夢のその身勝手な物言いが身内の誰かに似ていたのだろうか。RDは霊夢のその発言を受け入れた。
「良いっすよ。霊夢さん、アンタは似てる、オレの大切な家族に。だからアンタについて行く」
『あら、アンタの家族に似てるのね、私は。良いわ、それならRD。私はRDの事弟みたいに扱うから』
「...........勘違いしてないすか?大切な家族って言っても姐さんは別にオレの
RDのその言い方が悪かったのか、霊夢は意味がわからなくなってきて頭を捻っている。
『......??変な言い方をするのね。姉は姉でしょ?』
『あー、RD。霊夢は弟か妹を欲しがってたんだよ。そういう事だから仲良くしてあげてやってくれ』
『ちょっ!?それは言わないでよ!!』
にとりに思わぬ形で願望を暴露された霊夢は怒鳴った。RDが苦笑いしながら返事をした。
「あ......あー、ハハ、ああ。なるほど。了解っす」
『アンタも乗らない!......あぁ!もう!』
そしてRDは霊夢の住まう博麗神社へと連れて行ってもらうこととなった。それにしても、彼等は相当に戦い慣れしているのだろう、戦いの終わった直後にしては、随分と朗らかだった。
RD(その2)
死を体験した事で、死に関して非常に理解を得た。それはある種、達観に近いもの。
愛機の『ヴェンジェンス』はバトルライフルとライフルを装備した中量二脚機。軽快な動きで敵を撹乱する役目を果たし、いざという時には背部に折り畳まれている
また重量の都合上、蹴りに多大な威力が乗せられるため、近接戦闘もある程度こなせる。明確な長所、そして弱点が浮き彫りになっている機体。
どの話を優先的に完結させるべきか?
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射命丸文編(アリーナ編)
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霊夢・魔理沙編(機械化八人衆編)
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メインストーリー(オムニバス)